米報告書:中国サイバー攻撃に懸念 ミサイル精度も向上

2010年11月19日 11時1分

 【ワシントン古本陽荘】米連邦議会の諮問機関「米中経済・安全保障調査委員会」は17日、対中政策に関する年次報告書を発表した。今年4月に中国がインターネットの流れを乗っ取った事案を明かしたうえで、サイバー攻撃の可能性に懸念を表明。また、中国軍の弾道ミサイルによる攻撃能力の向上で、在日米軍基地などを正確に攻撃する能力を保持していると指摘した。

 報告書によると、中国国営の通信会社が今年4月8日、約18分間にわたり、世界中のインターネットの流れの約15%を中国のサーバーを経由するよう「ジャック」する事案が発生。米上院や米軍、国防総省、航空宇宙局(NASA)、米マイクロソフト社などのサイトを出入りする情報が中国のサーバーを経由した。このため特定の利用者の情報を盗み見たり、情報の流れを妨害したり、サイトにアクセスできなくする事態が起こり得たという。

 また、今年3月には、中国のネット検閲システムが、米国とチリからの簡易ブログ・ツイッターやフェースブックへの接続を遮断した事案もあった。報告書は官民が協力して対応に乗り出すよう提言している。

 中国の軍事力については、核兵器ではない通常弾頭搭載型の弾道ミサイルの攻撃能力が飛躍的に向上していることを強調。すでに沖縄県の嘉手納基地や青森県の三沢基地など東アジアの米軍基地を攻撃する能力を備えていると断定し、同盟国と協力してミサイル防衛能力を高めるよう求めている。

 一方、経済については、輸出産業保護のため人民元の為替レートを不当に低く設定しているとして、米財務省が中国を「為替操作国」として認定するよう議会が働きかけるべきだと提言。ハイテク製品の製造に必要なレアアース(希土類)の日本への輸出を規制したことについては、「世界経済への懸念材料となった」と指摘している。

 同委員会は、米中関係が米国の国家安全保障に与える影響などを検討するため米議会が00年に設置した超党派の有識者会議。

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