高松地裁:誤った法定刑で求刑 高裁で法令違反指摘

2010年11月19日 2時37分

 高松地裁で今年6月、強盗強姦(ごうかん)などの罪に問われた鈴木健二被告(49)に対する裁判員裁判で、検察側が誤った法定刑を前提に論告求刑し、地裁も気付かないまま法令適用に誤りがある判決を出していたことが18日、高松高裁の控訴審判決で明らかになった。裁判員らは誤った法定刑で評議していたとみられるが、高裁は誤りによる判決への影響はないとし、1審で懲役9年を言い渡した鈴木被告の控訴を棄却した。

 高裁判決によると、検察側は1審・論告求刑の際、強盗強姦の法定刑を「無期懲役または7~20年の懲役」として懲役12年を求刑した。しかし事件は刑法改正前の03年だったため、「無期懲役または7~15年の懲役」が正しかった。地裁は誤りを指摘せず、改正後に適用される刑の条文を判決文に書いていた。

 高裁判決で長谷川憲一裁判長は「裁判官が正確な法定刑を示さずに評議が行われたと推認する」とし、訴訟手続きに法令違反がある場合に該当すると指摘した。しかし1審判決への影響について、「正しい法定刑を示されていたとしても、同じ量刑となった可能性が極めて高い」として否定した。

 高松地裁は取材に対し「コメントは差し控えたい」とし、高松高検の中島行博刑事部長は「求刑は法的拘束力はないが、十分注意したい」と話した。【中村好見】

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