2011年01月07日 (金)ここに注目! 「スーダン 独立問う住民投票」
アフリカのスーダンで南部の独立の是非を問う住民投票が9日から行われます。
二村伸解説委員です。
Q1.なぜ分離独立なのですか。
A1.スーダンは、北部がアラブ系のイスラム教徒、南部がアフリカ系の主にキリスト教徒に二分され、半世紀以上にわたって対立を続けてきました。そもそもイギリスが南北を分割統治したのが発端ですが、独立後政府がイスラム法を導入したことに南部が反発して内戦となりました。80年代からの20年間で200万人が死亡し、「忘れられた人道危機」といわれましたが、6年前に包括和平合意が成立し、南部の住民投票が行われることになったのです。アフリカ最大の国スーダンが、長い混乱を終えて2つの国に分かれるのか世界の注目が集まっています。日本からも選挙監視団15人が派遣され、投票を監視することになっています。
Q2.投票結果の見通しは?
A2.投票は15日まで行われますが、イスラム色の強い政府への南部の反発は強く、圧倒的多数で独立が承認されるものと見られ、早ければ今年7月にも新しい国が誕生する見通しです。ただ、対立の火種は消えていません。スーダンの国家収入の半分以上を占める石油の8割が南部にあり、北の政府がすんなりと石油の権益を手放すのか、南北の境界線や油田地域の帰属問題なども決着していません。
Q3.それでも政府はなぜ住民投票を受け入れたのですか。
A3.汚名返上と国際的孤立から抜け出すためです。スーダンはアメリカからテロ支援国家のレッテルを貼られ、経済制裁を受けていますが、アメリカは住民投票の見返りにテロ支援国家の指定や制裁の解除をもちかけていると言われます。
さらにバシール大統領には、西部のダルフール地方の虐殺を指揮した疑いで国際刑事裁判所から逮捕状が出されていまして、これ以上孤立を深めるのは得策ではないと判断したものと見られます。
Q4.独立への課題も多そうですね
A4.国の機関や大学、病院などは北部に集中し、南部はインフラが未整備でナイル川に架かる橋も1つだけ、道路も少なく学校も不足し、400万人が食糧支援を必要としています。スーダンの混乱は難民流出やテロを招き世界の不安定要因となってきただけに、復興と新たな国づくりへの国際社会の支援が今後も欠かせません。
投稿者:二村 伸 | 投稿時間:09:07