スーダン北部、イスラム化の波 南部の独立濃厚、焦る大統領
産経新聞 1月12日(水)7時57分配信
拡大写真 |
スーダン周辺地図(写真:産経新聞) |
【フォト】コーラン焼却、イスラム世界の反応
バシル氏は昨年12月の演説で、住民投票で南部が独立を選んだ場合、憲法を改正し北部で施行されているイスラム法(シャリーア)を強化する考えを示した。
イスラム主義勢力「民族イスラム戦線」の支持を受け、1989年のクーデターで政権を奪ったバシル氏は、内戦をスーダン全土の完全なイスラム化のための「ジハード(聖戦)」と規定してきた。
しかし、長期化した内戦に対する国際社会の非難は激しく、2005年には米英などの仲介を受け入れて包括和平合意に署名。独立に向けた南部の自決権を容認したことは、「南部をイスラム共同体(ウンマ)の一部とみなすイスラム主義者からすれば裏切り行為」(外交筋)とされた。バシル氏にとっては大幅な譲歩だったが、米国などによる経済制裁は緩和されず、経済が一向に上向かないことへの国民の不満も強まっている。
バシル氏の「シャリーア強化」発言からは、北部社会に強い影響力を持つイスラム主義勢力の歓心を買い、権力基盤を盤石にしたいとの焦りがにじむ。
これに対し周辺諸国は、シャリーア強化が実行に移されれば、紅海に面した戦略的要衝に位置するスーダンの情勢不安を招くと危機感を募らせている。アラブ系イスラム教徒中心の北部にも非イスラム教徒は少なくない上、内戦中にバシル政権側と戦った黒人系民族が多い青ナイル州や南コルドファン州なども抱えるためだ。
隣国エジプトのスーダン専門家は「こうした地域がイスラム化に反発するのは確実。20年余に及んだ内戦の二の舞いにもなりかねない」と指摘する。
オバマ米大統領は、米紙ニューヨーク・タイムズへの寄稿で、バシル政権に対し、和平合意などの内容を順守するなら、経済制裁の解除も検討するとのメッセージを送った。しかし、米欧には人権問題でスーダンに根強い不信感があることから急速な関係改善は難しい。スーダンを国際社会に取り込んでいく道筋はみえていないのが実情だ。
【関連記事】
手を握った男女はむち打ち ソマリアのイスラム過激派
スーダン住民投票始まる 中・南部で戦闘、祝賀ムードに影
テロ警戒に治安部隊7万人 コプト教礼拝で
昨年の記者殺害最多はパキスタン 米団体調べ
「路上でムチ打ち」動画流出 スーダン
こんな時代だからこそ ”こだわりのスタイル”
最終更新:1月12日(水)10時14分
Yahoo!ニュース関連記事
- 北部スーダン、イスラム法強化の大統領方針に反対も(CNN.co.jp) 14日(金)12時3分
- イスラエルと国交樹立説=独立後もアラブと対立か―スーダン南部(時事通信) 13日(木)14時54分
- スーダン 北部は屈辱・孤立…イスラム法強化宣言で不安定化の懸念(産経新聞) 11日(火)23時12分
- <スーダン>南部独立容易に 大統領「対外債務は北が返済」(毎日新聞) 11日(火)10時27分
- 祝賀ムードのスーダン南部 「敵」失い矛盾表面化写真(産経新聞) 10日(月)21時9分
ソーシャルブックマークへ投稿 0件
関連トピックス
主なニュースサイトで オマル・ハッサン・アハメド・バシル の記事を読む
この記事を読んでいる人はこんな記事も読んでいます
- 中国軍、北朝鮮特区に進駐=施設警備、有事介入の見方も−韓国紙(時事通信) 1月15日(土)10時47分
- EEZ侵入、韓国船船長を竹島沖で逮捕写真(読売新聞) 1月13日(木)22時32分
- 致死率100%の風土病猛威=独立歓喜の陰で人道危機―スーダン南部(時事通信) 1月13日(木)5時49分
- スーダン 北部は屈辱・孤立…イスラム法強化宣言で不安定化の懸念(産経新聞) 1月11日(火)23時12分
- ニューカレドニア島沖でM7.3の地震=米地質調査所(ロイター) 1月14日(金)3時14分
|