チラシの裏SS投稿掲示板




感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[25438] 【ネタ】エヴァンゲリオン『VERY HARD』モード
Name: 大豆◆c7e5d6e9 ID:2e564c12
Date: 2011/01/15 00:58
リハビリして感想9つもいただいたので、調子に乗って投稿だ!
この話は、エヴァンゲリオンの本編見たことない私が書くので、まじめな話になるわけもないです。
憑依モノになるのかな?
EVAの皮を被った別物になる可能性が高いですけど。
あと下ネタです。

では以下よりどうぞ。





プロローグ




とある街角にある、さびれたゲームセンター。その中で目立たない位置にある大きな筺体。薄暗い照明の中でひっそりと光を照り返す黒塗りの筺体に、いそいそと乗り込む男が一人。
椅子に腰かけると、キャッシュカードをスリットへと通す。機械が唸り、入口が勝手に閉まる。男は外界から隔絶された空間に閉じ込められる。男の目の前にチカチカと緑色の文字が出る。

『ヘルメットを被ってください。』

男はヘルメットを被る。






(エヴァンゲリオンで、とても面白いアーケードゲームがあると聞いてやってきました。とりあえずフルフェイスのヘルメットをかぶります。暗くて……クセェ! お、なんか見える)

『新世紀エヴァンゲリオン体験版へようこそ。
あなたのことを教えてください。』

(おお、エヴァだ! 懐かしいな……!)

1.あなたは、碇シンジですか?

YES
はい


(せ、選択肢がないだと!? ま、まぁとりあえず、YES)


『 YES 』
はい


2.何歳から始めますか?

14歳
3歳
前世(能力引継ぎ)


(あ、選択できないわけじゃなかったのね……前世とか壮大すぎるだろ。ここは最初だし……)


『 14歳 』
3歳
前世(能力引継ぎ)


3.身体能力をお選びください。

中学生男子一般
軍人男性一般
ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド

(最後の何だよw)


『 中学生男子一般 』
軍人男性一般
ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド


4.好きな二桁の数字を答えてください。



(じゃあ碇シンジと同じ年齢で14!)

『1』『4』



5.難易度をお選びください。これまでのあなたの選択を反映して、 4 つの選択肢の中から選ぶことが可能です。

EASY
NOMAL
HARD
VERY HARD


(あ、もしかしてワルドとか選ぶと選択肢がHARDからしか選べないとか? なるほどねぇ……どっちにしても、初心者はやっぱりイージーモードで行くべきだと思うね!)

EASY
NOMAL
HARD
『 VERY HARD 』



(あ、間違えた。これ一番難しい奴じゃん。変更変更………あれ、変更効かないよ!?)



『お疲れ様でした。それでは、確認を致しmjんhbgvfcdxsざ』




(??? なんだ? 文字化け? あ、直った)




『以下のステータスで間違いがないかお確かめ下さい。』

碇シンジ
年齢:14歳
身体能力:中学生一般男子
特殊能力:とてもエロい
ゲームの難易度:VERY HARD



以上でよろしいですか?



(よろしくねぇよ! ただのエロい中学生じゃねぇか! どんな特殊能力だよ! 二桁の数字ってコレ!? 難易度もアレだし、変更しますッ!)



以上でよろしいですか?

YES
はい


(ここでまた選択肢がねぇ―――! ……って…ん? 選択肢が増えた…)


以上でよろしいですか?

YES
はい
もっとエロい


(エロいのかよ! どんだけエロいんだよ! 期待しちゃうだろうが! もうこれでいいよ!)


『 もっとエロい 』



男が選択肢を選ぶと、一瞬の明滅の後、ナレーションのようなものが始まった。


『あなたは、碇シンジとして、襲い来る『使徒』を撃退し、サードインパクトを防いでください。詳しくは、ステータス画面のジャーナルでご確認ください。ステータス画面は、左手首にある痣に触れつつ、「ステータス」と唱えることで、見ることが可能です。それでは、頑張ってください』


(できれば難易度は直したかったけど……いいか。ゲームだし。とりあえず、かかってこいやぁー!)

男は両手で操縦管を握り、敵を待つ。フルフェイスメットの電極を通して脳に直接送り込まれるデータは、ロボットに乗って戦う主人公という素晴らしい臨場感を味あわせてくれるだろう。「エロい」が特殊能力ならば、戦闘だけでなく日常編もあるかもしれない。期待の高まる男は唇を舐める。

『用意はよろしいですか?』

(いいとも!)

『 YES 』
NO


(こんな時だけまともな選択肢が…………あ? なんだ?)

選択肢を選んだ直後、男の意識は遠ざかる。男の頭から落ちたヘルメットが椅子の上で跳ねる。

数分後、壊れたはずの機械がひとりでに動いていることに疑問を感じた店員が筺体の中を覗き込むと、そこには『ヘルメットを被ってください』という文字が映るモニターと、人が煙になって消えたかのように、椅子に引っ掛った服があったという。




[25438] 一話 誤字修正
Name: 大豆◆c7e5d6e9 ID:2e564c12
Date: 2011/01/15 15:27


『本日12時30分、東海地方を中心とした、関東地方全域に特別非常事態宣言が発令されました。住民の方々は速やかに指定のシェルターに避難して下さい』

無機質なアナウンスが流れる中、抜けるような青い空の下で、シンジは途方に暮れていた。
有体に言えば、状況が理解できないからだ。周りを見渡しても、ヒントになりそうなものはない。さびれた駅のホームがあるだけだった。自分のほかには人一人としていない。
ポスターが貼ってあり、『明るい未来を』と大きく書かれた文字の上で、スーツ姿のおじさんがニコリとほほ笑んでいる。選挙ポスター。

「なんなんだよココ……」

つぶやきつつも、何となく気づいていることはあった。まずは、自分の体。細い。そして軽い。年を取る中でいつの間にか獲得していたあの関節の痛みがさっぱりない。左足の魚の目もないだろうし、いわば新品になっていた。体毛も少ない。というかない。陰毛に関しては生えていなかった。この辺りですでに違和感が極大である。
そして服。学生ズボンと革靴。そして、ブリーフ。白いブリーフ。穿かなくなって久しい、白いブリーフ。思わず何度も確かめてしまった。何というか…白い。

夢だろうか。ブリーフの白さがまぶしい。黄ばんでない。新品だろうか。無人のホームでズボンを膝まで下げた彼は、混乱の極致にあった。ブリーフまじ白いッス。
ふと、足元に落ちている鞄に目が行った。誰のものかは知らないが、誰もいないことを考えると、中を見ても怒られることはないはずだ。

(なんかヒントないかな……)

持っていた鞄を探ると、服や、歯ブラシ、なんかの錠剤…役に立たない。
ついでに胸ポケットを探れば、何かの紙片がある。開けば、文字が書いてある。

(ビンゴ!)

喜んだ二秒後に、書いてある言葉の少なさに落胆し、その二秒後に、同封された写真を見て、彼の息子は元気になった。
写真の中ではけしからん格好をした、けしからん体型の女性が、実にけしからん格好をしている。
それを目にし、彼の愚息はとても元気になってしまったのだ。とてもとても元気になった。そう、彼の予想をはるかに超えて。
性欲を持て余した彼は写真を持ったまま、素早く駅のトイレへと移動した。



「……ふぅ。すごい量だったぜ」

量に加え、あまりに粘性があり過ぎて、一回では流れきれないほどであった。何がとは言わないが。しかしコレはあえて言おう。すごく良かった。10倍界王拳くらいよかった。もうこれだけでこのゲームの価値はあったと彼は思った。

賢者モードに入った彼は、そろそろ現実を見つめだした。ここまでくれば、現実逃避も終了である。
この元気すぎた息子は特殊能力のお陰だろうか。ブリーフを突き破りそうだったんだけど。現実の体ってどうなってんのかな。

「ゲームの中か……」

見渡せば、バーチャルとは思えないほど現実的な世界が目に入る。
こんなリアルなゲームが開発されたという情報は聞いたことがない。五体や五感をゲームの中に飛ばせるという話も聞いたことがない。
……ないが、そんなことはどうでも良くなっていた。むしろ楽しくなってきた。
予想の斜め上を行っていたが、ここは、例のアニメのあの場面である。

(エヴァンゲリオンの最初のシーンか!)

あの、ミサトさんが格好良く青いルノーで駆け付けるシーン! 見れば遠くででっかい巨人が戦っているではないか! あれが使徒か! 何がどうなっているのか良く分からないけど、頑張れ巨人! なんとかエル! エルつくか知らんけど!
それにしても、…ああ、ああ! すでにミサトさんのリアルな姿に対する期待が抑えきれない! いったい彼女の美しさはどれほどなのか―――――!

これでポリゴンだったりしたら悲涙に沈むことになるだろうが、すでに写真というもので、その姿を確かめたこの碇シンジに敵はなかった。妄想の中では既にやさしくしごいてもらった仲である。いかん。元気になって来てしまった。
その時彼は異変に気付く。

(……あ? …あれ、俺の名前……なんだっけ?)

「それに職業は……? 住所は……? 全然自分のこと思い出せんけど………まぁいっか。ミサトさん早く来ないかな……」

所詮ゲーム。終われば思い出すだろうという思考の元、彼はミサト嬢を待つ。
そんな彼のいるこの世界。ゲームは正しく動いているかは定かでないが、残念なことに、VERY HARDという難易度は保たれているようである。

「え、まさか、こっち来てない?」

先ほどから元気に暴れまわっている使徒は蠅のようにたかる戦闘機を顔から出る光線で撃ち落としている。巨人に撃墜された戦闘機はあっちこっちに落ちるのだが、その内の決して少なくない数が、彼のいる駅のホーム付近に一つ、また一つ、墜落、墜落、爆発、炎上。
空にそびえるきのこ雲。

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

間一髪、彼は抜け出していた。恐らく荷物を拾っていては間に合わなかっただろう。ああ、鞄の中にあった替えのブリーフよさらば。あいつも、やはり白かった。太陽のようなまっさらな。それ黄ばんでるとか言わないで。
火炎に髪を焦がされながら、爆風で転がされながら、右とも左とも分からぬところを、彼は一心不乱に駆け抜けた。

そこに爆煙の中より飛び出すは魔の一手。青い車体の美麗な車。それを操るは顔の引きつる葛城ミサト。
つんざくようなブレーキ音。ああ、残念。車は急に、止まれない。


ドゴッ。


「………」

重く、鈍い、音がした。
29歳の葛城ミサトは、呆然とハンドルを握りつつ、死んだような眼で今自分が引き飛ばしたものを見ていた。8メートルは転がったわ、と思った。
彼女が急いで駆け付け迎えに来たのは、そして轢き飛ばしたのは、白目を剥いてピクリとも動かないあの物体。多分。違うといいな。
そして次の瞬間には、切り替えも素早く言い訳を考えていた。『見つけられませんで―――――』『戦闘に巻き込まれて既に死んでおり――――』『私を守ろうとして、自ら―――いい笑顔で―――――

『ミサトさん、僕、あなたに会えて本当に良かった………』

「ああ、シンジくん! 死んじゃイヤぁあああああああああ!」

コンコン。

自分のやらかしたことで少しパニックになっていたミサトは、窓をノックされる音で気がついた。
見上げれば、窓を中指で叩いたのは、今轢き飛ばした少年のようである。意外にもかすり傷程度の出血しかしておらず、代わりに額に青筋を立てて、とてもいい笑顔をしていた。

「死んでませんけど?」

奇跡キタ! これで勝てる! ミサトはドアを開けるや否や、少年に抱きつき、接吻の雨を降らせた。





女性の柔らかさは、中学二年生には酷なものだよ。彼は、のちに友人となった少年たちにそう語ったという。
三十路前の、熟れ熟れの女性なら、なおさらだ、と。
ハードボイルドに語るその姿に、この男前! しびれる! と少年たちは囃したが、実際は、抱きしめられたまま身動きもせず、脳みそがスパークして何も考えられないまま2発ほど暴発して、大量に出過ぎた何かがズボンの端からボタボタ落ちるほどだった。流石に本人もこれには引いた。葛城さんは妙な自信を付けていた。現実はそんなもんである。



「一応確かめるけど、碇シンジ君よね?」
「そうですよ……早漏の碇君ですよぉ~と……はぁ……死にたい……」

走る車の中、会話が交わされる。
テンション低いわ、と葛城ミサトは横目でちらりと少年を窺った。碇シンジであるはずの少年は、内向的で、物静かな子であるらしい。ミサトはそのデータにもう一つ付け加えるべきだと思った。

(お、大きいわ……)

少年はズボンを穿いていない。パンツも穿いていない。靴下も、靴も履いていない。何故なら、異臭のする粘液がベタベタにしたからである。彼はそれらをすべて投げ捨ててきた。燃えたことにしましょう、と彼は暗い表情で言った。よって、碇シンジ少年の服装はカッターシャツ一枚である。エロい。
女性がやると、とても扇情的なこの格好。女性的な面持ちの、線の細い色白の少年がやると、女性のハートをわし掴むのである。
そして、裾から見える、あの、例のもの。でかい。待機状態で日本人の標準サイズ程もある。それがチラチラ見えるものだから、エロい。とてもエロい。

(……ハッ!)

少年の視線がいつの間にかこっちに向いていた。
危ない方向へと飛びそうになる自分の思考を慌てて持ち直す。駄目よ、今は使徒が来ているの、この子をネルフへ届けなきゃ! アレのことは後回しにしなきゃ。
ミサトは少年へと分厚い冊子を渡す。

「読んでおいて! ネルフのことが書いてあるわ!」

『ようこそネルフ江』と書かれた冊子を受け取った少年は何を思ったか、それを開くと、おもむろに股間の近くに持っていった。

「……うッ」

そして唸り声。べちゃあ、と音がする。2、3回じゃない。10回以上はした。
見てないわ。私は何にも見てないわ。ていうか、さっき私を見てたのって……駄目よ! 考えてはだめ! 今は運転マシーンになるのよ!
少年は満足そうにため息を吐き、開けた窓から冊子を投げ捨てた。かなり高速で走っているはずなのに、冊子が落ちる音が聞こえた。グチョ、とかグチャとかいう音。決して本の落ちる音ではない。いったいぜんたいどんな量だ。私の車は無事なのか!?
運転マシーンミサトの横で、黒髪の少年は唐突に喋りだした。

「今なら……」
「今なら?」

恐る恐る尋ねると、少年は幸せそうに目をつむる。

「今ならすべてを許せる……」
「…………」

そうですか。
もう何も言うまい。そう思ったミサトの頭上を黒い影が通り過ぎる。フロントガラスの落ちた影を感じたミサトが見上げれば、どうも見覚えのある輸送機である。

(あれは―――!)

あの機体は、N2爆弾輸送機。高威力。使徒に対して使うのか。でも使徒ってすぐそば。私たちがとっても危険。

(チルドレンごと吹き飛ばす気!?)

ミサトはガリリと奥歯を噛む。

「つかまってて!」

ミサトは叫び、アクセルを踏み込んだ。タイヤが唸り、アスファルトを削り上げる。ルノーは雄たけびを上げ、加速する。
隣の少年は――――――何故かミサトの乳房をつかんでいた。

「な、なにしてるの!?」
「つ、掴んでろっていうから!」

おっぱいが震えて落ちそうだったんだ、などと訳の分からないことを叫ぶ少年も、割といっぱいいっぱいのようである。それも仕方がないかもしれない。既に速度計は300キロを超えている。大多数の人間には未知の領域。瓦礫がそこかしこに落ちている道を、縫うように走るルノーはもはや、地獄直送の棺桶である。
ミサトは良くやっていた。極限の集中。もはや見て、動かしてでは間に合わない。見ると同時に手を動かして、車をコントロールするのだ! フォース! 見る前に、すでに手は動いている!
しかし、少年の手から感じられる未知の感覚。何かあったかい。ミサトは思わずステアリングをミスした。
揺れる車体、後輪が滑り、慌てて車体を立て直そうとした時、少年が恐怖からか、乳房を握る手に力を込めた。

「あふん」

ミサトは力が抜けました。

「ぅあああああああああああああああああッ!」
「ぎゃああああああああああああああああッ!」

完全に横向きになった300キロ超で走る青い棺桶は、瓦礫に当たって回転しつつ飛び出した。直後、後ろで巨大な爆発。死ぬ。死んでしまう。少年の頭には、これがゲームだからとかいう思考はすでに無かった。もはや、現実よりも現実らしい、この状況。
ああ、右手の乳房が柔らかい―――――

裸Yシャツの14歳の少年と、女らしくない悲鳴を上げる29歳の女性が乗ったルノーは回転しつつ、爆風に乗ってかなりの距離を飛んでいく。
ガリガリと地面をバウンドしながら擦り、スクラップになりながらようやく止まる。
進行上に建物がなくて良かった。本当に良かった。

そうして奇跡的に、前後が逆になっただけで止まった車の中、顔をあげた少年が見たのは、巨大なきのこ雲とそこから歩み出てくる巨大な影。
ずんぐりとした図体に、帯状のヒラヒラトした旗のような布が付いている肩。
腕はなく、布がその位置にあった。

(あれ?)

少年は疑問に思う。碇シンジが最初に出会うのって第三の使徒だよね。第三の使徒って言うと、長い腕と、手から飛び出るパイルバンカー! 初号機の目を串刺しだ!
……だったはずだ。
あの姿はまるで、最強と言われたあの……

「はは、まさか、そんなはずはないよね」

被りを振って笑う少年は、いまだに乳を放していない。それを若干気にしつつ(なんかあったかい)、ミサトは尋ねる。

「シンジくん、どうしたの?」
「ぼ、ぼかぁどうもしませんよ。ははぁ!」

明らかにどうかしている雰囲気である。あと地味に胸を揉むのをやめてほしい。
ミサトは言い出すタイミングを亡くしたまま、とりあえず、車体の向きを変えジオフロントへと走り出す。挙動不審だった彼は、意を決したようにこちらに訪ねてきた。

「た、大したことではないんですけどね? お一つ伺いたいんですけどね?」
「う、うん…」(どうしちゃったのかしらこの子)

シンジは脂汗を流しながら聞いた。

「あの、あの怪物、使徒の名前はなんていうんですか?」
「あら、良く使徒だって知ってたわね。お父さんに聞いたの?」

そんなことはどうでも良いのである。シンジが聞きたいのは、アレの名前がなんか弱そうな名前だったらいいのである。間違えてもゼで始まるものでなければ――――――

「それで、あれの名前だったわね。アレの名前はね――――」

ミサトは口を歪める。



「ゼルエルって言うのよ」



\(^o^)/






<つづくといいな>






これは18禁じゃないよね。言葉ぼかしたし、いけるよね!
判断がつかないので、とりあえずチラ裏で。チラ裏から出たことないんで、なんかもうココがHOMEっていうか。
やばくなってきたら初めてのxxx板に突入ですな。




[25438] 二話
Name: 大豆◆c7e5d6e9 ID:6e35c1f3
Date: 2011/01/15 15:42
「使徒の名は、ゼルエルよ」

苦々しげに、目の前のにっくき使徒の名を呟いた直後、ミサトは隣の少年が青い顔をしていることに気がついた。震えている。
そして気がつく。ああそうだ。私はこれから、この子を戦場へと送り出すのだ。年端もいかぬ子供に世界の命運を背負わせて。
なんと罪深い。不幸な子。ああ、だから今この時だけは。彼に安心を与えてあげたい。でも安心ってどうやれば……母親的なことをすれば……いいかしら?

「シ、シンジ君?」
「ななななにミサトさん」

いまだに彼女の胸を右手で下から掴みあげている少年に、ミサトは慈母のような声で言う。

「吸う?」

ブシッ!

瞬間、ホースが破裂したような音がする。ミサトは吸う対象は明言しなかったが、ちゃんと通じたらしい。だってこの少年が掴んでいるのはアレしかないのだから、吸う対象もアレしかないでしょう。そうでしょう?
しかし、横の少年が、白いカッターシャツを真っ赤に染め上げつつも爛々とした瞳でこちらを見つめているものだから、ミサトは怖くなった。この少年に吸われたら、私はいったいどうなってしまうのか! おっぱいは無事に帰ってくるの!?
怖くなったのでミサトは言った。

「ごめん、やっぱ無しで」
「ちち、ちくしょう、大人はいっつもそうだ!」

ずるい、ずるいよ! 少年は中身が立派なおっさんであるにもかかわらず、涙を流しながらだだをこねまくり、見事、代わりとばかりに彼女の膝の上なるポジションへと収まることに成功する。そこには世界一快適なシートがあった。車体の振動により柔らかく震えるそれに、すっぽりと包みこまれていくようだ。ああ、温かい―――――――。その時、首の後ろに受けた柔らかさ、そして、シンジが体を動かした時に後ろから感じられる、微かな熱い吐息。それらは彼の息子と、あと何かをどうしようもなく爆裂させた。これが後にゼーレと世界の覇権を争う、「おっぱい教」の創始である。嘘である。









ジオフロントに着いた。ミサトは迷った。シンジは落ち込んでいだ。
いや、碇シンジの皮を被った名前不詳のおっさんは、歩きながら、壁に顔面を擦りつけんばかりに後悔していた。

(な、なんださっきの行動は! 小学生か! 俺は、俺は……!)

だだを捏ねるなど、大人としてあるまじき行動である。その上、膝の上でフロントガラスを染めあげるほどの情熱を噴き出してしまった。ああ、ミサトさんはあの車をどうするのだろう!
あまりの羞恥にぶるぶると震える半裸の少年。彼はまだ、裸Yシャツなのだった。股間のアレも恥ずかしげに揺れ、こっそりと盗み見ていたミサトは頬を赤らめる。

それはともかく、少年の中で、性なるものへの欲求が耐えがたいほど大きくなっていることも確かなのだった。彼は書物が好きである。決して、異臭を醸し出す粘液を擦りつける対象にしか見ていないわけではない。紙がいっぱいだから出し放題! などと思っているはずもない。しかし、彼の中の欲望は、時に耐えがたく膨らみ、彼の矜持をやすやすと捻じ曲げるのであった。

(このままではいけない……!)

彼はこのゲームを始める時に、エロくなる、というコマンドを二重に選んだ。その結果この状態になっていることは想像に難くない。ならば、ステータス画面でその機能をOFFに出来るかもしれない、と彼は考えた。
そう、これはゲームなのだ。先ほど感じた、恐ろしいまでの心臓の音。右手に感じた温かいミサトの鼓動。あとやわらかい胸。自分を包んでくれる存在感。そして、生き延びた時のこの上ない充実感。
彼は、ここまで生きてくる中でそのようなものを感じた覚えはない。無いと思う……がしかし、ここはゲームなのだ。

左手の痣を抑えて彼は「ステータス」とつぶやく。
ステータス画面が出ないことを/出ることを願って、彼はつぶやいた。

果たして、ステータス画面は出現した。
薄い、半透明の広い板である。パソコンのウインドウのように右上にバッテンがあり、そこを注視すると、ステータス画面は消失した。

(……良く出来たゲーム、という訳か)

微かに落胆しつつ、彼はあるコマンドを探す。

『終了』のボタンである。

彼は、もうこのゲームを終えるつもりであった。ここに居れば、ここを現実だと錯覚してしまいそうになる。いや、もはや錯覚しているだろう。しかし、俺が向こうに残してきた、何かがある気がするのだ。何も思い出せないが、何かが―――――

『終了』のボタンを探しだした彼は、ミサトを見た。おかしいわねぇ、と引きつった顔で笑いつつ自分を連れまわしている女性を。この上ない安心感をくれた人。車汚してごめんね。

(ありがとう―――――――さようなら)

つぶやいて、彼はボタンを注視する。強く見ればボタンは発動することは確認済みだ。しかし。

『ERROR。そのキーの実行は受理されません。回線が混雑している可能性があります。時間をおいてもう一度お試しください』

目の前にウインドが出現する。それを消し、もう一度『終了』を押す。

(……?)

『ERROR。そのキーの実行は――――』
『ERROR』
『ERROR』
『ERROR。『終了』キーが5回以上連続で押されたので『強制終了』します。ショックにお備え下さい。ERROR。『強制終了』は受理されません。カスタマーセンターへメールを送信します。ERROR。送信先が見つかりません。』
『ERROR』
『ERROR』
『ERROR』

(どうやら……)

少年は目を閉じる。

どうやら閉じ込められたらしい。
碇シンジという肉体に。
難易度『VERY HARD』のエヴァンゲリオンの世界に。
ジオフロントにゼルエルが迫りつつある世界に。

―――――――ズシン。ズシン。
巨大な何かが大地を震わせ迫ってくる。鳴動が少年を震わせる。

深く、もはやどこにあるのかも定かではない現実から逃げるように深く目を閉じた少年が感じるのは、唯一、彼の手を握るミサトの手の温もりだけであった。






地響きが津波のように押し寄せてくる。気づけば、すぐそこ。

「特殊装甲が突破されました!」
「22層が一撃で……!?」
「ジオフロント内に侵入されました!」
「初号機発進まで、あと42秒!」

流されるままに、僕は赤い水の中に居る。どうしてだか知らないが、初号機の起動には成功したらしい。ギリギリのラインで。
これから、あの巨大な使徒と戦わなければならないという。僕は、ことここに至って、どうしようもなく、死ぬのが怖い。怖かった。震えているのだった。
このゲームで死んでしまえば、僕はどうなるだろう。元の世界に戻れるのならばそれでもいい。しかし―――――――

「シンジ君! 行くわよ」
「……うん」

戻れなければ? そのまま死んでしまうという可能性は?
否定できない以上、僕は生きるために死ぬような戦いをする必要があるのだろう。
これは決して決意ではない。何故なら、いまだに恐怖に震える心を自覚できる。できれば、まわれ右して逃げ出したい。初号機使って、走り去りたい。
でも、目をやれば、こちらを見つめる彼女の瞳があった。会ってからまだ数十分だ。何をそんなにこだわることがあるだろう。俺は俺らしく、見捨てて逃げればいいのに。見て見ぬふりをすればいいのに。
ああ、でも彼女は僕を見捨てなかった。あの爆煙の中、助けに来てくれたのだ。
彼女は先ほど小声で、恥ずかしそうにしながら約束してくれた。

『倒したら、吸ってもいいわ。その先も……あ、ごめんやっぱそれは無し』

約束してくれた。だから今、台無しなことに股間のあいつはマッスルゲージが満タンだ。スーツを盛り上げて突き破りそう。ハハハ、こやつめ。

自分ひとりのためだと怖くて、逃げたくなってしまうから、僕は彼女に依存しようと思う。
彼女を守るために戦おう。彼女のために。
決して退かないことにしよう。ここで死のうとも、後悔だけはしないだろう。


「初号機、発進!」


シンジに強烈なGがかかる。初号機はジオフロント内へ飛び出していく。
待ち受けているのは、ゼルエル。力を司る天使。








この戦いに勝算があったのかと問われれば、彼はあったと答えるだろう。例えわずかな可能性でも。アニメでは、漫画では、映画では、なんとかして倒しているのだ。そしてこれはゲームなのだ。なにかしら、倒す手段があるということなのだ。そんな糞ゲーのはずがない。彼はそれを信じて、そして、あっけなく死んだ。

初号機は出会いがしらの一合で、何もせぬまま、ATフィールドも張れぬまま、帯状に伸びたゼルエルの腕に頭を切断された。噴水の如く血を噴き出す初号機は、後ろにゆっくりと倒れ、じわりと血の海が広がっていく。頭に残っていた下半分の目玉から、てろりとした房水が流れ出て、血の海に落ちる。赤い波紋。その遥か上、急速に伸びたゼルエルの腕は、戻る時は殊更ゆっくりと動き、ヒラヒラとしたその上に乗った初号機の頭をゆるゆると運んでいるかのようだった。切断された頭部から滴る血が初号機の機体に点々とペイントを施していく。

シンジの死因はショック死だった。







「―――――――ぁぁぁぁぁああああああああああああああああああッ!」

彼は絶叫する。目を見開き、眼球がこぼれおちそうな表情で。その瞬間はしっかりと覚えていた。死の瞬間。恐ろしく早いはずのゼルエルの腕が、その切っ先が、自らの鼻梁を裂いて、軟骨を断ち、眼球の下をこそげとり、脳に―――――――だというのにこれで、シンクロ率は50%以下だった。
無理だ、俺には、僕にはできない。戻ってこれて良かった。だって体の感覚があるってことは、生きてるってことだろう?

ガタガタと震える彼は、ふと、背中に温かさを感じた。温かい、太陽の光である。
固く瞑っていた瞳を開けると、彼は制服のズボンを履いていた。制服のズボン。なぜ。
彼は呆然と辺りを見渡した。
遠くで戦う巨人――――ゼルエル。
抜けるような青い空。人一人いない駅。
掲示板では、『明るい未来を』と大きく書かれた文字の上で、スーツ姿のおじさんがニコリとほほ笑んでいる。選挙のポスターがあった。記憶と寸分違わぬ位置に。
触れると、紙の感触。それはそこにあるのだ。しっかりと。現実だ。

「マジか」

はは―――、彼の口が歪んで、空気が漏れる。笑みの形に歪んだ顔に気付かぬ彼は、やがてその場に膝をつく。泣いたような、笑ったような、全てがどうでもいいような、14とは思えぬ年老いた顔で、碇シンジは項垂れる。

「ループすんのかよ」

力なく漏れる声は誰の耳に入ることもなく虚空に消えていく。

直後、燃え盛る戦闘機が突っ込んでくる。
駅のホームは真上から押しつぶされ、数々の炸薬を詰め込んだ戦闘機はその衝撃で四方八方に炸裂した。
回転する装甲がシンジを直撃し、彼は壊れた人形のように吹き飛んだ。
世界は一瞬にして炎上し、ふと見れば彼の腕は無く、ああ、痛みが無い、碇シンジの意識はふつりと途切れ―――――――――








目覚めれば、また、駅のホーム。







<つづく>






エロくなくてごめんね!





[25438] 三話
Name: 大豆◆c7e5d6e9 ID:e3d51a41
Date: 2011/01/15 15:40
前向きに考えよう。

ループして帰って来た駅で、彼は考える。ほら、選挙ポスターのおっさんもいい笑顔だ。「前向きに考えるのが吉なのだよ!」彼はきっとそう言ってくれる。くれるといいな。

とにかく、敵は巨大とは言え、シンジは何度も挑めるのだ。少しでも、勝機を探ろうではないか。次のループは存在せず、もうおしまい! あなたは死ね! と言うならそれはそれでいい。正直、死ねるんならそれでいい。
だがここで、何度も何度も何度も何度も殺され続けるのは、正直勘弁してほしい。
あのおぞましい感覚に、麻痺はできないし、したくない。

さぁ、生きるために、死ぬ日々を始めよう。



でもその前に。


「『ステータス』! 僕の能力はいったい何だぁ―――!?」

基本的なことを失念していた。せっかくいただいた能力だ。「エロいこと」で何かが変わるなら、やってやる。やってやろうではないか!

シンジの前に出現するステータス画面で、「技能」の欄は2ページ目である。
そこに書かれていた能力は彼を驚愕させた。

『技能』
・煩悩変換・速Lv1
・煩悩変換・重Lv1
・煩悩変換・堅Lv1


煩悩変換:2SPを消費し、煩悩によって物理法則を捻じ曲げることができる。レベル上昇に伴い、効果持続時間が延長される。現在1秒持続。



(すごく強そうだ……!)

思わず喉を鳴らして唾を呑む。なんと、物理法則を、捻じ曲げる。ねじって曲げてしまうのか。
「物理法則」を! 「捻じ」って! 「曲げ」る!
速度を上げたり、重くしたり、堅くしたり、色んなことができるわけか!
なんでこの欄を真っ先に見なかった! 地団太を踏んでシンジは後悔した。
ところでSPってなんだろう。スキルポイント?

『SP:セックスアピール・ポイント。あなたの魅力を数値化したもの。初期は5。性的交流をもった人の数が上乗せされる。他人と一定量以上の体液を交換することにより、回復することができる。

現在の最大SPは6です。』


一ポイント増えているのはミサトさんのお陰かな。
最大で3秒も物理法則を捻じ曲げることが可能らしい。
それにしても、と碇シンジは思う。

(戦うための能力で、良かった……!)

これで、指の先からエロい汁が出るとか、チンコが二本になる能力とかだったら、もう目も当てられないところだった。良かった。このゲームに良心が残っていて本当に良かった。
碇シンジは頬を流れる心の汗を拭うと、空を見上げて叫んだ。

「やぁってやるぜぇ――――――!」

視線の先では、ゼルエルビームが戦略自衛隊の戦闘機に炸裂し、戦闘機は炎上し、こちらへと向かって墜落してくる。

(今こそ試す時!)

「煩悩変換・速!」

どうやって発動するか分からなかったので叫んでみる。ポーズも決めてみた。
しかし発動しなかった。違うのか。
いや、説明文を良く見るべきだ。必要なのは、SPと、あと煩悩だ!



◆◆◆

高速で走る車の中。窓の外の景色は光のような速度で流れて行く。ミサトさんの膝の上で佇む僕は、彼女と二人、世界に取り残されたかのよう。

『ねぇシンジ君』

彼女の声。赤い唇から吐き出される言葉と、微かに熱い息。それはシンジの頭のてっぺんをフワフワと撫でる。
なに、とシンジが訊きかえすと、彼女はためらいつつ、囁くように言った。

『どうせ座るのなら――――――こっち向いて、座るのはどう?』

振り返ったシンジの目に入るのは、視線を逸らしつつ、頬を染めた彼女―――――――

◆◆◆



みみ、み・な・ぎ・っ・て………キタぁ―――――――――――!

体内にあふれるエネルギィ。これが、これこそが煩悩だ!
みなぎり過ぎた煩悩は、鼻腔の中の毛細血管を断裂させ、さらに彼のズボンの中で出してはいけない汁を暴発させたが、彼はそれらを黙殺し、叫んだ。

「煩、悩、変、換――――『速』ッ!」

効果はたったの一秒。されどその一秒で、彼は弾丸の如く動いた。上を見れば、落ちてくるのは燃え上がる鉄の塊。
碇シンジは地面を蹴って、跳んだ。地面を蹴った反動は驚くほど、軽やか。しかし身に襲いかかる加速度が尋常ではなかった。
一瞬にして彼は駅のホームの向かいにあるビルの窓を突き破り、部屋の重厚な机を巻き込んでドアを突き抜け、廊下の壁に激突した。

碇シンジ、瀕死である。
体中の感覚がなく、額から流れる血が視界を赤く染め、ヒュウヒュウと危なげな呼吸をしつつ、しかし彼は充足感に満たされていた。

(いける! これなら……戦える!)

駅に戦闘機が墜落したようだ。巨大な爆発音。襲い来る振動。同時にビルの壁が崩れ、動けないシンジは生き埋めになる。三度目の死は圧死であった。












抜けるような青空に、無人のホーム。吐き捨てられ変色したガム。
それらを眺めつつ、シンジの心には最早慣れのようなものさえ生じていた。この場所ももう、4回目である。

「さっさと避難しないとな……」

ここでの障害は、上から降ってくる戦闘機と、時間が過ぎれば実行されるN2爆弾である。
ジオフロントの位置は分からないが、ミサトの来た方向へと進んでいけばよいだろう。

歩きだした彼は、ふと、視線を感じた。

(女の子……?)

青い髪、赤い瞳の女の子が無表情にこちらを見ていた。体は細く、儚げである。美しい。が、子供は専門外であった。痩せているとなれば尚更である。碇シンジのストライクゾーンは、以外と狭いのだ。
いやそれよりも。

「……もしかして、綾波レイ……?」

彼がつぶやくと同時に、少女は幻の如く消えた。恥ずかしがり屋の幽霊かもしれない、と彼は思う。幽霊だろうが妖怪だろうが、シンジの溢れる情熱の前にはなんら抵抗とならないが、やはり子供は専門外だと、ピクリとも反応しない股間のセンサーに視線を落とす碇シンジであった。




ところで、SPはループすれば回復するのだろうか。
答えは否である。

ミサトさんとの性的交流(轢き飛ばされた直後の接吻の嵐など)が、一度死んだ後もSPの上限を押し上げていることからもわかるように、彼のステータスは、死の前後で変動していなかった。
よって彼のSPは現在4。煩悩変換が2回使える。が、できれば3回使える状態で、戦いに臨みたいと、彼は考える。

なんとか体液交換をするのだ! できればミサトさんと!

対象は誰でもいいだろう。しかし、彼の中ではミサトさんへの溢れ出る親愛の情が形成されつつあった。何といっても、男は優しくしてくれる女性に弱いのである。

「体液交換か。」

まず初めに思い追いつくのは、キッスである。恥ずかしくて口には出せないが、ミサトさんとちゅっちゅしたいという気持ちは、彼の中で燃え上がっている。ちゅっちゅどころか、ネチョネチョだって―――――――いかん、考えてはだめだ! 暴発する! ステイ!

だが、問題もある。SPを回復させるのは一定量以上の体液交換である。一定量以上とはどれくらいを指すのだろう。
バケツ一杯分とかだったらやばい。エイズが感染する唾液量である。いや、向こうとこちらで出し合うのだから半分でもいいのか。どっちにしても無理そうだけど。
下から出す分が使えれば、楽勝でクリア―できそうなんだけどなぁ。
仮に、そう仮に、ビーカーいっぱいの僕の粘液を、飲んでくださいと渡すとしよう。

『ハイ、ミサトさん! 飲むだけで肌年齢が10歳若返る、碇シンジ特製のネバネバ汁だよ!』
『まぁ、ありがとう。ちょっとにおうけどいただきます! んぐっんぐっ……げふぅ! すごくまずいわ! もう一杯!』

(――――――できるかッ!)

SP回復は諦めるべきだろうか。
シンジは頭を捻りつつ、足早に歩いていく。遠く背後では駅に戦闘機が突っ込んで、爆発が起こり、爆風はシンジのところまで届いてくる。
そこに駆け付けるのは青い彗星。ミサトの操るルノーである。
タイヤでアスファルトを擦りながらドリフトし、シンジの前で止まる車。
ほぼ同時に助手席のドアが開き、その奥からは、快活な笑顔がシンジを見ている。
シンジの股間が臨戦態勢になったのは言うまでもない。

「シンジ君ね! 乗って!」

シンジが助手席に乗り込むやいなや、ミサトはアクセルを踏み、車は急発進する。
シートに押しつけられたシンジは、横目でミサトさんを見た。
前を見つめる真剣な表情の、大人の女性。ミサトさん。シンジの中では、湧き上がる情熱が破裂寸前になるのだった。






果たしてシンジはSPを回復することができるのか。そして、ゼルエル戦の行方は! 次回「あなたと、結合したい」請うご期待!




<君が読みたいというのなら……続けてみせる!>





[25438] 四話 誤字修正
Name: 大豆◆c7e5d6e9 ID:e3d51a41
Date: 2011/01/16 16:50
ミサトはジオフロントへ向けて愛車のルノーを走らせていた。

(見てる。すごい見てるわ)

車内は無言。ミサトは重い沈黙の中、愛車を駆っている。その彼女の一挙一投足を監視するかのように、助手席の少年が見ているのだ。
いや、監視だなんてそんな生ぬるいものではない。それは男の視線であった。粘りつくようなモノではなく、むしろ崇め奉るような瞳ではあったが見られているという事実は変わらなかった。視線が突き刺さるようで、見られている位置が何だか熱を帯びて行くようだった。

(ううう……)

緊張とあと良く分からない感情で、胸の先っぽがチリチリしてきた矢先、少年が口を開いた。

「ミサトさん」
「ななな何かしら?」

少年のやたらプレッシャーを感じるセリフに、ミサトは焦る。
お、襲われるのかしら!? だめ、弱気になってはだめよ葛城ミサト! たとえ密室とはいえど、ここは私の領域で、相手は非力な少年じゃない!
ミサトは冷静な表情の下で、あれこれといやな想像を打ち消していく。
そう、襲いかかってくるならば、今ハンドルに置いてある左手を、軽く握りながら肘をしならせて外に振り抜けばいい。人差し指の第一関節でシンジ君の下顎部を狙うのよ。梃子の原理で脳を揺らして、一撃で昏倒。これだわ。

対処方法を確認し、少し落ち着いた彼女がちらりと横を見ると同時、少年は「あ」と呟いた。
直後、ミリミリと音を立て、弾ける少年のベルト。バチン。学生ズボンのどこかのボタンが飛んで、フロントガラスに直撃した。

(!!!!?)

そしてあらわになったのは、黒のズボンに映える、輝かんばかりの白いブリーフと、それを千切れんばかりに押し上げるDAN!KON! であった。もちろん臨戦態勢である。

こんなことがあり得るのか。ていうか何そのアナコンダ。その時ミサトは金魚のように、突如として現れた白い巨塔を凝視したまま口を開閉するだけ。まさに巨大蛇に睨まれた金魚。この時、車が瓦礫に乗り上げなかったのは奇跡に近い。

「ちょ、まって……そんなことが…!?」
「あ、パンツも」

さらに、間髪入れず弾けるメリヤス編みのブリーフ。中から飛び出すのはシンジの艶々とした【検閲されました】である。その先から尋常ではない量の【検閲されました】が飛び散り、いや、違うコレは【検閲されました】だ。そして不幸なことに、その透明な飛沫の一滴が、見開かれていたミサトの眼に直撃する。その粘液はアルカリ性。目には勿論良くない。

「ぎゃあああああああああああああああああ! 目がぁああああああああ!」

女性らしくない声をあげてミサトは目を瞑る。とても痛い。涙があふれて止まらない。
この時車は――――時速300kmでかっ飛んでいた車は、ついに瓦礫に乗り上げ、まるで1ループ目を再現するように空中へと飛び出した。直後、使徒にN2爆弾が着弾したらしい。後ろからの爆風が押し寄せ、ルノーは地上5メートルほどを回転しつつ吹っ飛んでいく。ああ、恐ろしい。どんな遊園地のアトラクションよりも恐ろしい。

「ほぁああああああああああああッ!」
「目がぁあああああ!」

錐揉みに回転する車は、水面を切って飛んでいく平たい石のように、何度も跳び跳ねながらアスファルトの上を進んでいく。一時停止の標識を吹き飛ばし、ガードレールを巻き込んで、最後は地面と垂直のまま、電柱に天井をへこまされて止まった。いや、数秒して電柱のめり込んでいた車は、天井は置き去りにしてゆっくりと剥がれ、ドスン、と着地した。奇跡的に、4つのタイヤが接地している状態であった。
シンジはぺたぺたと体を触る。目も鼻も口も腕もある。ついでに脚もある!

「生きてます? ミサトさん、僕生きてますか?」
「ええ……多分ね」

シンジは、とても有意義な体験だったかもしれない、と考えた。走馬灯が3周り位見えたのだ。シンジ(元おっさん)は、元のシンジの記憶をつぶさに見ることができた。結構陰惨で、そりゃあ人見知りにもなるわ、という過去だった。二度と見たいとは思わないが。
流石に、彼の股間の起き上がりこぼしも立ち上がる気力を無くしたようで、しんなりとしている。

「生きるのって……大事ですね」
「そうね…」

シンジとミサトはお互いに死地を乗り越えたことによる絆ができたことを感じた。
特に、これまでは使徒殲滅こそが我が人生、と考えてきたミサト嬢であったが、生きるのって大事! と認識を新たにする。使徒殲滅と同じくらいには大事であると格上げされた。

ミサトはシンジと音高くハイタッチをし(天井が無かったのでやりやすかった)、その後、ジオフロントへと向かって車を急がせたのだった。










前回ジオフロントを訪れた時の碇シンジは、脱出不能のERROR祭りで気分が大貧民だったために周りのことを見る余裕はなかった。がしかし、少し目を向けてみればどうだ。世界は、とても美しい。とくに女性。

「私は赤木リツコよ」

白衣に水着という奇天烈なファッションの女性が、前と同じくジオフロント内で迷いまくっているミサトさんとシンジの前に現れた。前回も会っているはずなのに、全然思い出せない。それはさて置き。

『キリリとした麗人が目の前に現れた! しかも巨乳だ! どうしますか?』


一.告白する
二.勃起する
三.攻撃する
四.光の速度で勃起した


「碇シンジと言います! 好きな人は赤木リツコさんです!」


まさかの 一 である!


「そ、そう」
「でも、ミサトさんのことも好きです!」
「まぁシンちゃんたら……」

それにしても、この人も大変けしからん格好である。そしてけしからん体型をしている。ミサトさんだけでもはち切れそうだったシンジのハートは成す術もなく爆発した。それが先の返答である。出会って10秒で告白は、きっとネルフにおけるレコードだろう。それでも、多分勃起よりはましだったとシンジは思っている。

赤木さんは顔を引きつらせていたが、ミサトさんは赤くなっている頬に手を添えて、ほぅ、とため息をついていた。エロい。
お陰で、せっかく爆発せずに済んでいた股間がファイナルフラッシュを放ちそうになり、彼は慌てて目を逸らした。




碇シンジは、リツコさんに連れられて薄暗い部屋にやって来た。

「汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオンよ」

そして、ライトアップされた紫色のスマート体型なロボットの顔を見せられる。肩から下は水につかっているがかなり大きい。これに乗って使徒と戦えよ、ということである。たいがい無茶な要求ではないかと思ったが、体験してみた身からすれば、そんなチャチなモノでは無かった。ただの無理ゲーであった。前回など出撃後10秒で死亡である。

「人類の技術の粋を集めたこのエヴァンゲリオンはうんたらうんたら」

リツコが滔々と説明してくれるのだが、シンジとしてはどうでもいいという気持ちの方が強かった。そんなことより早く乗せてくれたまえよ水着様、と思った。どうでもいいが服の内側は蒸れないのだろうか。

ズシン、と巨大な質量が移動している振動が、エヴァンゲリオンの浸っている水を揺らす。ゼルエルさんが近付いているらしい。

ことここに至れば、時間は金よりも貴重である。シンジは余計な問答をなくすために、模範的な回答をした。

「わかったよリツコさん! こいつに乗って、世界を救うというわけだね! ヒュウ! そいつはとってもファンタスティック! テンションあがって来るね! よーしやるぜぃ! さぁ、さっさと乗せてください! 僕の冴えわたる操縦管裁きで使徒をギッタンギッタンにしてやりますよ!」
「そ、そう…やる気があるのはいいことね」

リツコさんは引きつった顔をしていたが、問題はないだろう。でも、彼女はもっと笑顔になれば、とっても綺麗だろうと思いました。まる。





ただいまシンクロ中……
■■■■□□□□□





「シンクロ率19%! 何故か初号機起動しました!」
「……低くない?」
「低いわね……」

ポッと出の素人中学生がエヴァンゲリオンを動かせる可能性は、0.000000001%である。起動自体が奇跡のようなものだから、もちろん喜んでもいいのだが、あまりに低いシンクロ率は勝敗の趨勢を既に決めてしまったようなものだった。有体に言えば人類終了のお知らせである。

しかし、絶望的な表情のリツコはともかく、ミサトはあのチンコがやたらアメリカンサイズな少年を信じてみようと思った。勝ったら御褒美あげると約束したら、やたら鼻息を荒くしていたし、きっとやってくれるはず。くれるといいなぁ。

無事帰ってきたら、キスしてあげる。だから、頑張って。
エヴァンゲリオンを見つつ、ミサトは思った。







さて、本物(?)の碇シンジ君は、アニメでゼルエルを倒す時、母親の力で勝った。この元おっさんにもできるだろうか。魂、と言われるモノでシンクロするのであれば、別物に置き換わっているこの身では到底無理そうである。そのようなことを、シンジはエントリープラグの中、LCL漬けにされながら考える。
しかし、母の匂いがする、とアニメで言っていた主人公の気持ちは、エセ中学生のこのシンジにも理解できた。
むしろ、彼の方が深くその存在を感じ取っただろう。何故なら、彼の股間のセンサーは、精度が高すぎて日常の些細な出来事で容易にオーバーフローするほど敏感なのだから。

(熟れた女性の匂いがする!)

彼は深く眠りについている、熟女の匂いをかぎ分けた。アラフォーの匂いがプンプンする。状況によっては名犬パトラッシュ並みの嗅覚を発揮する自分の鼻を、碇シンジは信頼している。これが恐らく、主人公の言う母だろう。シンジは一応呼びかけてみた。

(貴様の息子は人質にとったぞ!)

だめだった。残念ながら返答なし。
今回は時間も無いので、自分の力だけで戦う必要がある、とシンジは判断した。
でもその前に。

(やっぱりATフィールドを張る練習がいると思う!)

【ATフィールド】:人であればだれでも持つ、他人を拒絶する心。バリアー以外にも、形を変えれば攻撃に転用できたり、空に浮いたり、大気圏を突破したり、手裏剣ごっこして遊んだりと、用途は広い。

碇シンジは全神経を集中し、叫ぶ。心のままに叫ぶ!

「ほぁあああああああああッ! 私は拒絶する! 私は拒絶するッ! 私はきょぜちゅッ……噛んだよクソぁ!!」
『シ、シンちゃん何言ってるの!?』

練習していると、通信でミサトさんの突っ込みが入る。地味に心をえぐってくる。しかし、時間がないのだ。全然ないのだ!

(くそう駄目か! 他者を拒絶するイメージだったと思うんだけど……。ハッ! まさか!)

その時シンジの頭に天啓が閃く。もっと気だるい感じはどうだ。いや、もうこれしかない気がする!
脳内会議で即決された行動を、シンジはすぐさま取った。

LCLの中で、シンジは手を投げ出し、足を投げ出し、もう全てを投げ出して、だらんと椅子に腰かけ、口をあけるのも面倒そうに言った。

「人と関わるのって、マジだりぃ」

なんか出た。

ほわんほわんほわーん。

体の奥から出てくる気だるいオーラ。突如として現れたそれは初号機を包みこみ、ロックボルトを破壊する。司令部の壁を破壊する。射出機功を破壊する。それを見た、技術部の人が涙する。
体から出たほわほわするオーラを見て、これは心を燃やす『煩悩』とは対極にあるものだとシンジは確信した。

「しょ、初号機からATフィールドが発生!」
「なんですって!?」

ネルフ本部は喧騒に包まれる。しかしそれだけでは終わらない。
LCLの中で、声が響いた。

『シンジッ!『関わるのがイヤ』だなんて、そんな悲しいことを言ってはいけません!』

なんか出た(二回目)。
LCLから浸み出すようにぬるんと出てきたのは人である。どう見ても人のように見える。とても肉感あふれる美しい女性に見える。ついでに言えば全裸。
つまりシンジの息子が危険で大変。ハンサムキッドが今にも大砲を撃ち放ちそうだ。退避退避ぃ! 決壊するぞぉ!

(いつもいつも、我慢できない僕ではない! うぉおおおおおおおお!)

シンジはプラグスーツの前面を大変な状況にしながらも、耐えた。コメカミに浮かぶ青筋が彼の尽力を物語る。なんとか臨界状態に留まった。成功だ!
そしてシンジは女性と向き合った。少し冷静になった頭で見れば、なんだか見たことのある顔をしている。具体的に言えば、駅のホームで見た幽霊少女。
これはもしや例のあの方、碇ユイ嬢ではあるまいか。もしかして、覚醒を飛び越えてサルベージしてしまったのではないだろうか。ふと司令部を見れば、強化ガラスに張り付いてひげ面のおっさんが何かを必死に叫んでいる。案外予想は外れて無いかもしれない。

「あの、ええと、もしかしてお母さん?」

恐らく彼の母親であろう人物は、LCLの中を漂いながらシンジへと視線を向ける。仏さまのような優しい瞳である。

「はい、私はお母さんですよ。シンジを一番愛しています。あなたはシンジですか?」
「まぁそうですけど」
「嘘おっしゃい!」

途端、鬼のような表情になる碇ユイ。キレるアラフォー。とても怖い。激昂したユイは、シンジの頭を上からばしばし叩いてくる。乳揺れに萌えた。

「お尻をペンペンしますよ偽物め! 贋作の匂いがプンプンするわ! ちょっとはそのおちんちんを隠しなさい!」
「キャラを安定させてくださいお母さん」

あとおちんちんはごめんなさい。僕は母親の体でも余裕で興奮できる悪い子のようです。そもそも僕の母親じゃないしね。

碇シンジが母親といちゃいちゃ(?)していると、司令部がまた騒ぎだす。今度はシンジは何もしていないので、きっとゼルエルさんが何かしたのだろう。そろそろジオフロントの特殊装甲を抉りだしたとか。
その予想は悪い方向に当たっていた。
ロン毛のオペレーターが叫ぶ。

『ジオフロント内に侵入されました!』

え、もう? 早くない?

『シンジ君なんとかして! 初号機、発進!』

無茶振りきたコレ!

きっと司令部の人たちも理解しがたいことが起こって、考えるのが面倒くさくなったのではないだろうか。そうだといいな。
シンジが気持ちを整える暇もなく、碇ユイとシンジを乗せた初号機は、ジオフロントへ撃ち出されていくのだった。






放り出された初号機の中、ミサトさんの声が聞こえる。

『いい、シンジ君! まずは歩くことだけを考えるのよ!』
「いや無理でしょ! 死ぬ死ぬ! うぉあ!?」

地面に着地するや否や、シンジは横に跳んだ。直後、空気を切り裂いてゼルエルの腕が飛来し、エヴァンゲリオンの肩をえぐる。動かなければ頭が飛んでいただろう。

「痛い! と思ったけどあんまり痛くない!」
「私はすごく痛いわ! どうかATフィールドを張って欲しいの!」

後ろで母が喚く。シンクロしているというか、この初号機そのものである碇ユイは、きっととてつもなく痛いのだろう。それは理解できるので、シンジは頑張ってATフィールドを張ることにした。

「ふぅ……だりぃ……」

究極の脱力から何かが生まれる。
直後飛来したゼルエルの腕は、初号機から発生した良く分からないスモークガスのようなものに阻まれた。パリーン! しかし一撃で破れる。これが彼のATフィールド。激しく他人を求める衝動を持つ彼に、ATフィールドは張りにくいのであった。むしろ最強の使徒ゼルエルさんの、伸びるカッターパンチを一撃だけでも受け止められる方が驚異的である。きっと母の覚醒が関係しているに違いない。違うかもしれない。

それはさて置き、ゼルエルの攻撃の前に一発で霧散するATフィールドだが、別に回数制限はないようだ。

「既にコツは掴んだぞぉおおおお!」

次の攻撃が来る前に、彼はATフィールドを形成する。直後にカッターパンチで破壊されるが、懲りずにまた形成する。

「ふぉおおおおおおおおおッ!」

パリーン!パリーン!パパパパパリーンッ!
張って破れて張って破れて。高速で繰り返されるサイクルの中、ジリジリと初号機はゼルエルへと距離を詰める。
もうちょっと。あと少し! もう少し行けば、シンジは煩悩を燃やし、一秒以内にゼルエルをミンチにするつもりであった。できるかどうかは別にして。
しかし彼の誤算は、10年ほどアレが御無沙汰であったアラフォー、碇ユイが誘蛾灯に誘われる虫の如く、いつの間にかシンジの剛力バズーカ砲に接近していたことを見逃していたことであった。気づけばしゃがんだ彼女の顔とアレの距離が10㎝ほどしかない。そんな状況であった。
碇ユイは目の前にそびえる血と肉の柱に熱い息を吐く。彼女は戦闘中に会っても自己主張するこれが気になって仕方なかったのだ。

「とっても逞しいわ……! 素敵……」
「おほぅ!」

碇ユイがしたのはそれに微かに触れただけである。しかし、こらえ性のない彼の肉体にとっては、それで十分だった。
暴れる股間。プラグスーツの中で、飛び散る大量のネバネバ白濁液。
スーツの中はあっという間に地獄絵図である。

「気持ちわるぅううううううううううううう!」

思わず少年は空に向かって絶叫していた。史上稀にみる最悪の状態である。彼とって、肥溜めにダイブと同じくらいの苦行であった。
もちろんそれは決定的な隙であり、ゼルエルは見逃さなかった。
ゼルエルの二本の腕が連続してエヴァンゲリオンの胸に突き刺さり、さらに使徒の、その髑髏のような顔の部分に光が収束し、一拍を置くこともなく放たれる。
光線は二体の巨体の間を一瞬にして駆け抜け、腕の刺さっているエヴァンゲリオン初号機の胸部に直撃した。
音にして言えばザク!ザク!ドキューン!

衝撃で胸に刺さっている腕の抜けた初号機はこの葉の如く吹き飛び、ジオフロント内にある自然を盛大に削り取りながら停止した。あれだけ苦労して詰めた距離は、今は何倍にも膨らんだ。

母の悲鳴が聞こえる。彼女ほどではないが、シンジも痛い。
胸がやけるように熱い。肺が悲鳴を上げ、LCLの中で気泡が生じる。
ぼこり、と彼の口から出た泡は、LCLに溶けて消えた。

(待てよ)

シンジは激痛に苛まれながらも、LCLの泡を見て重要なことに気付いた。
このLCLは、彼の母が溶けていた。ならば、これらは「体液」とみなせるのでは……?
つまり。

「ステータス!」

左手首の痣を触りつつ彼は叫ぶ。
出現したステータス板を確認すれば、彼のSPは予想通り、しっかりと満タンになっていた―――――――。



<つづく>





前回の煽り文句のことをまるっと忘れてました。結合しませんでした。ついでにご都合主義が入りました。ごめんなさい。
SPはスケベポイントでもいいと思います。なんでもいいと思います。
感想いっぱいありがとうございます。こんなドイヒーな話を読むなんて、この物好きさんたちめ!
m(_ _)mアリアントス!




[25438] 五話
Name: 大豆◆c7e5d6e9 ID:2e564c12
Date: 2011/01/16 14:46



LCLは、碇ユイの体液も同然である。そしてエントリープラグの中はLCLで満たされている。
つまりSP回復のための体液交換は、図らずしも条件が満たされていたのだった。
よって、シンジのテンションはうなぎ上りである。

「ぉおおおおおおおおおおっしゃああああああああああああッ!」

彼のテンションは、乗り物にも伝染した。
エヴァンゲリオンの瞳が光る。敵を屠れと真っ赤に燃える!

――――――――ルォオオオオオオオオ!

エヴァンゲリオン、開☆眼!(目が光っただけ)。
突然目を光らせて叫んだ初号機に怯むこともなく、ゼルエルはカッターパンチを繰り出してくる。
しかし、ゼルエルビームであおむけに倒れていたはずの初号機は、既にそこから消えており、パンチはむなしく地面を抉るだけであった。

LCLの中で、シンジは叫ぶ。

「煩悩変換・速!」
「ちょ、偽物さん! そんなとこ触ったら……ァン!」

煩悩の補充は十分だ!
初号機は既に空高く、ジオフロントの上部特殊装甲に、上下逆に着地している。速度についていけなかったアンビリカルケーブルが途中で断裂している。

――――――速い! 初号機は音速を突破し、衝撃波と轟音をまき散らす!

そして碇シンジは止まらない。シンジの思考は加速している。否、エヴァンゲリオンの中はすべて加速している!

「駄目、そこは駄目よ偽物さん…! だめぇえっ!」
「煩悩変換・重ッ!」

初号機はジオフロントの上部特殊装甲を蹴り砕きつつ、光る眼の残像を残しながら、ゼルエルへと突撃する。激突の瞬間、互いのATフィールドが甲高い音と閃光をまき散らし、ゼルエルを地面へとめり込ませる。

――――――重い! 初号機は、まるで女性とマッスルドッキングした時の碇シンジ君のアレの存在感(推定)のように、重いッ!

両者ぶつかり、しかし砕けたのは初号機のATフィールドのみである。ゼルエルの拒絶ぶりは半端ではなかった。速さと重さでは、だめらしい。碇シンジは判断する。今の初号機には―――――――堅さが足りない!
碇シンジは、右手から伝わるパラダイスに鼻血と液体Xを噴き出しながらも、お子様には見せられない楽園で無限軌道を描いている右手に、さらに力を込める。

「だ、だめぇええええええええ………! ああああ――――――ッ!!」
「煩悩変換・堅ッッ!!!!」

――――――堅い! 初号機はまるでガチガチにそそり立つ【検閲されました】!

碇シンジはゼルエルを蹴ってもう一度空高く跳びあがる。ジオフロント内の最上部、特殊装甲の内側へ蜘蛛の如く着地した初号機は、間髪入れずにもう一度そこを蹴って、最強の使徒へと飛びかかった。速くて、堅くて、重い、最強の砲弾と化した初号機は、ゼルエルの多層に張られたATフィールドを次々にガラスのように粉砕し、顔にアンパンチをめり込ませた。

「ぅおおおおおおおおおおおおおおッ!」

――――――カッ!

閃光と爆発が起こり、あとにはクレーターと、勢い余って腰まで土に埋まった初号機が残されているのだった。



ネルフ本部内一同は呆然としていたが、やがてオペレーターが職務を思い出した。

「え、ええと、使徒、完全に消滅しました! パイロットの体調も特に問題ありません!」
「すす、すごいわ! シンちゃん格好いい! キャー!」
「……」

飛び跳ねるミサトの横で、リツコは開いた口がふさがらない。何があったのか、速すぎて全然わからなかったのだ。これは、後で問いただす必要があるだろう。碇シンジは……一体何者なのだ?



ポコポコと、LCLの泡が浮かんでは消えていく。
気づけば、彼の腕の中でぐったりしていた母親は実態を失い、LCLへと溶けて行こうとしていた。
頬を触ると、薄く眼を開ける。

「母さん」
「偽物さん……すごかったの。また、来てくれる?」
「う、うん、勿論! 綺麗な母さんの頼みとあらば!」
「もう………ありがと。またね」

満足げな表情で消えていく碇ユイ。喜んでもらえたようでなによりである。戦いのために利用する状況になってしまったが、彼女は言うまでもなく魅力的。できれば戦いのことなど忘れてネチョネチョしたいところなのだ。次があるというからには、きっと素晴らしい体験が待っているに違いない。想像するまでもなく、愚息が乱れてしまう。
だが、この、絶え間なく暴発しまくって中がヌルヌルなプラグスーツは気持ち悪い。改良が必要だろう。次からはそれでいいとして、これは一体、いつ脱げるのだろうか。憂鬱な気分になる碇シンジである。あと、若干の貧血。鼻血の量も馬鹿にならないのでフラフラする。

シンジがぼんやりする頭を押さえていると、彼の目の前にウインドウが現れる。


『ゼルエルを倒したことにより成長ポイントを獲得しました。ここまででチュートリアルは終了です。セーブなさいますか?』

YES
NO


(なん……だと……!)

驚愕に包まれた碇シンジの前で、選択ボタンが、軽やかに点滅する。呆然としていたシンジだが、やがて意を決したように、YESボタンを押したのだった。



『これまでの戦いをセーブしました。このままゲームを続けますか?』

YES
NO






『ERROR。ゲームを終了できません。ゲームを続行いたします。』









シャワーを浴びてさっぱりしたシンジの前に水着では無くなった白衣の美人が現れた。
険しい表情である。

「シンジ君、少しいいかしら。話があるわ」
「はい、構いませんけど……その前に食事をいただいてもいいですか? ちょっとまずい感じにお腹が減っていて……」

リツコは剣呑な雰囲気だったが、シンジはそれどころではなかった。
脱水症状レベルの量の液体(?)を放出したので、我ながら立って動いていることが不思議である。それが緊張が途切れたためか、一気に来た。喉の渇きと飢餓感がすごい。
リツコはため息をつき、踵を返す。

「じゃあ食べながらでいいわ。食堂はこっちよ……そんな顔しなくても奢ってあげるわよ」

財布がないことが顔に出ていたらしい。どんな顔をしていたのだろうか。頬を触るが、そこには10代の肌があるだけである。

「そうね、そのあたり、衣食住の話もしておこうかしら。ホントはミサトの仕事なんだけどね……」

憂鬱そうにしているリツコに連れられて、シンジは食堂へと向かう。彼も、空腹も問題だが、それ以外に考えることが多くて、彼女と同じくらいは憂鬱なのだった。








掃除機のように食物を吸い込んでいく少年を前に、リツコは再度ため息をついていた。
別に財布の心配をしているわけではない。彼女の親友と違い、お金に余裕はあるのだ。
そうではなく。

(まさか愛人をしている男の子供に、ご飯を食べさせる日が来るとはね……)

いや、愛人をしていた、かもしれない。最近はもうそのような接触はなくなっているからだ。
もしあの男との間に子供ができていれば、このように食事をさせることもあったのだろうか――――――。

(未練ね)

頭を振る。
先ほどの使徒戦のさなか、碇ユイと思われる人物と実の息子が繰り広げた痴態に、こめかみから血を噴き出して倒れたヒゲ面男のことを脳裏で切って捨て、リツコは口を開いた。

「ねぇ、あなた、ホントに碇シンジなの?」
「どぶふぉう!?」
「キャッ」

汚ッ!

白衣にミートソースが飛んできた。リツコは何度目かのため息を吐いた。これは捨てよう。
もろもろの事情が重なって、赤木リツコの碇シンジに対する好感度は限りなく低いのだった。股間の大きさだけは認めていたが、そんなもの、判断基準には微塵も影響しないのだ。



「で、結局あれは何なの? エヴァの運動能力を超えているわ」

白衣を脱いだリツコさんは、ため息とともにそう聞いてくる。到底答えられるものではない。自分でも説明できないのだ。敢えて言うとすれば、

「僕はエロいということですかね」
「撃つわよ」

間髪入れずに返される。そんなことは分かっているという視線であった。まああれだけ
流石に拳銃を構えはしないものの、彼女の視線は強烈で、思わず僕のハンサムボーイが「呼んだ?」と起き上がりそうになった。僕はMじゃない! これは食欲が満たされたから性欲が頭をもたげているだけだ!
というか、さっきから時間帯が微妙なためか食堂は貸し切り状態である。
その事実に気づいてしまえば、おまけにリツコさんからフワフワといい匂いが漂ってくるものだから、僕のハンサムボーイが筋肉ダンディーにジョブチェンジするのは一瞬であった。
これが、――――僕の速さッ!

「それはさて置き、僕はどこに住めばいいんですか?」

しっかりかけた筈のセーフティロックが弾け飛ぶ可能性があったので、シンジは話題を変えることにした。
リツコは少し不快な表情を浮かべつつ、きちんと答えてくれた。何だかんだ言っていい人である。

「ここの職員用の部屋があるからそこを使えばいいわ。一通りそろっているけど、足りないものがあれば世話係に言いなさい」
「世話係? だれですか?」
「それは…ああ、ようやく来たみたいね。ほら、あそこの―――――」

リツコはそのすらりとした指で、食堂の入口を指す。そこには、走って近づいてくる29歳の女性が居た。

「シンちゃああああああああああああああああん!」
「み、みっちゃん!?」

思わず出たその呼び名に、ミサトはぴたりとその足をとめた。シンジにぶつかる2秒前であった。

「…シ、シンちゃん……もう一回呼んで」
「……みっちゃん?」
「はうぅ…! もも、もう一回だけ……」「みっちゃん!」「ああ……! シンちゃん! 会いたかった!」「僕もだよ!」

チャ~ラ~、チャ~チャチャ~!

「私戻っていいかしら……いいわよね……副司令がシンジ君を呼んでいたけど、司令は気絶してるし、もうどうでもいいわよね……」

リツコはいつの間にか居なくなっていたが、ミサトとがっちり抱き合ったシンジには最早どうでもよいことであった。筋肉ダンディーは紳士的に頑張ったものの、ミサトのおなかの柔らかさは如何ともしがたく、敢え無く12秒でKOをくらい、チャンピオンベルトを置いた。しかし置いた後もリングから逃がしてはもらえない。何度も何度も嬲られて、彼は失意の涙に暮れたという。

思う存分ちゅっちゅちゅっちゅした後でシンジはミサトの家へと移住することになったと聞き、期待の高まり過ぎた碇シンジは、血涙血尿を流すこととなる。
それを掃除する食堂のおばちゃんは大層迷惑したそうな。「生理が始まったのかと思った」とは彼女の弁。

それはさて置き、使徒を始めて倒した碇シンジの物語は、ここでようやく一段落し、日常編へと突入するのであった!




<つづく>



大変だ! 綾波レイさんが放置Play! 御用だ御用だ!
読んでいて、これは18禁だろ、と思われたら即座におっしゃって下さいね。xxx板に行きますんで。今回はやばいかも知れませんが、自分では判断と踏ん切りがつきませんね。へへぇ。



感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.110486984253 / キャッシュ効いてます^^