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[25447] 【ネタ】【習作】【憑依】 夢見た先は
Name: 玉露◆218a0977 ID:b2bed6fb
Date: 2011/01/16 21:31
 これは本来進めている小説が一向に進まない作者が息抜きと文章の練習のため、書いたものです。
内容を簡単に言うと、オブリビオンの世界に行ったプレイヤーが日々を淡々と過ごす話です。プレイ日記に近いと思いますが、おそらく本編クエストには関わらないと思います。
といっても、規模が規模だけに巻き込まれるのは必至なのですが。(そこまで話が続いたら、だけど)
不定期更新&だらだら進行でプロットなしに書いています。
よってかなり行き当たりばったりで進みます。
もともとどうしようもないほど低い質がさらに低くなっていると思いますが、ご容赦ください。
最後に、読んでくださった方へ。
ここはこうしたほうがいいのではないか、などのアドバイスをいただけたら嬉しいです。





[25447] プロローグ 
Name: 玉露◆218a0977 ID:b2bed6fb
Date: 2011/01/16 19:08
 目が覚めた。
いつになく、すっきりとした目覚めだ。
頭が冴えわたっている。まるで世界の深淵を覗き込んだような―――深淵?
なにかがおかしい。どうしようもない違和感を感じた俺は目を開けた。
そこにはいつもと同じような、な、な?

「……どこだここは?」
瞼をしっかりと開き、周囲を見渡す。
周りにあるものは見慣れた俺の部屋……ではなく、ヨーロッパあたりにありそうな内装の小屋、だった。

「……えーと」
なんだこれは。
たしか俺は昨日、いつも通り自分の部屋のベッドで寝たはずだ。
決してこんな、中世といっても通じるような部屋ではなかったはず。
ましてやヨーロッパ風の、など。まずありえない。

「いや、落ちつけ。焦ったところでなにひとつ変わりはしない。まずは深呼吸を――」
そう思い、息を大きく吸おうとした瞬間、ドアがぎぃ、という音を伴って開いた

「おーい、ラルー、起きてるー? もう朝よー!」
少女(俺の目が狂っていない限り、年齢は俺とそこまで変わらないだろう)がそんなことを言いながら部屋に入ってきた。

「あ、起きてる。珍しいわね。いつもはまだ寝てるのに。これは雪でも降るのかしら?」
冗談交じりにくすくすと微かに笑いながら声をかけてくる彼女は、親愛が籠もっているであろう笑顔をこちらに向け―――

「いや、まて。君はだれだ?」
ちょっと待ってほしい。
俺と目の前の少女は初対面のはずだ。少なくとも、俺が覚えているかぎりは。

「へ? だれって。いやだわ、ラル。もしかして寝ぼけてるの?」
彼女は訝しげな顔をする。

「俺は寝ぼけているつもりもないし、君のことも知らない。俺の記憶が正しければ君とは初対面のはずだが?」
少々失礼な物言いだが、俺の言っていることは間違っていないはずだ。―――俺が記憶喪失でもない限り。

「え……なにを言ってるのよ。私はイリアよ? あなたと幼馴染のイリア。もしかしてからかってるの? だとしたら面白くないし、良い趣味でもないわよ」
さらに訝しげな色を強くした彼女は、何かに気付いたようなはっとした顔をした後、怒りの色を浮かべた。
だが、

「そう言われてもな。君のことは知らないし、俺はラルという名前でもない。そもそもここはいったいどこなんだ?」
俺の言葉を聞いた彼女はいきなり表情を険しくして、腰から剣を抜き俺に突きつけ………は?

「ちょ、ちょっと待て。いきなり刃物を、というかそれは本物の剣なのか? 一応この国には銃刀法という法律が……」
目の前に剣の切っ先を突き付けられる。その剣呑な輝きを目にして、思わず言葉に詰まってしまう。

「もう一度聞くわ。―――あなたはだれ?」
今にも突き刺さりそうな、顔から1cmにも満たない距離に剣を突き付けて、彼女は問う。
――やばい。目の前にいる少女がだれなのかはわからないが、一つだけいやが応でも分かることがある。
彼女は本気だ。このままもごもごしていたら本当に殺されるかもしれない。

「え? いや、待て。なんな、」
落ち着け。落ち着け。落ち着いて考えろ。彼女はなにを聞いている? ――俺がだれか、だ。
そんなこと考えるまでもない。当たり前に、空気を吸うかのごとく当たり前に答えられる質問のはずだ。
そう、俺の名前は■■■■だ。
……あれ? 俺の名前は■■■■のはずだ。■■■■? なんだこれは。あ、れ………………
「これで最後。答えなければ拘束する。―――あなたはだれ?」
しんとした、息のつまるような緊張感の中。だが俺は目の前の彼女の言葉に。その手にある剣にすら反応することができなかった。
「って、え? ちょ、ちょっと、大丈夫なの? 目の焦点が……って、あっ!」
何を言っているのかわからない。
体の重さを認識できない。
ただ、頭の中だけがぐるぐると、ぐるぐると回っていく。
俺は、俺は、俺は


「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………おれは、だれ、だ」










 運命の扉が開く音がする。動くことをやめた時計がまた動き始める。
第三紀432年。後にオビリオン・クライシスと呼ばれることになる騒乱より1年前。
この時からすべてが始まる。
定命の者も。永遠を生きる者も。等しく巻き込まれることになるだろう、ラル―――ラルク・スプラーゲンの物語は、このときから始まった。








[25447] 第一話  『幼馴染』
Name: 玉露◆218a0977 ID:b2bed6fb
Date: 2011/01/16 21:18
夢を見た。
あやふやで、靄がかかったように不鮮明で。
―――でも、とても大切な。
そんな夢を見た気がする。

「………ここは」
目が覚めた。
頭の奥が少し重い。
少しもやもやしたものを抱えながら、瞼を開ける。
目の前に映る光景は………見慣れた自分の部屋ではない。

「………どこだ、ここは」
周りを見渡す。記憶に―――あった。
そうだ、たしか俺はさっき、

「目が覚めたのね」
後ろから女の声が聞こえる。
鈴の音のような、美しいこの声を、俺は聞いたことがある。
ついさっきなどではなく、ずっと、ずっと昔から。

「…………イリア?」
そう。この声は俺の幼馴染のイリアだ。………幼馴染?
声はなおも続く。
「良かったわ。いきなりばたん、って倒れて。倒れる前の様子も変だったし、病気かなにかかと心配しちゃったわよ」
からかっているようなのに、幾許の安堵が混じったその声は、たしかに聞きなれた幼馴染の声だ………聞きなれた?

「すまんな。心配をかけて」
相変わらず見た目に似合わず心配症なイリアに、いつも通りの返事をする。

「相変わらず、偉そうな返事ね。まぁいいわ。いつものことだしね」
そう。いつも通り。いつも通りのはずだ。
いつも通りのはずなのに、なぜか頭の中にある靄が消えない。
なにかとても違和感がある。

「それで、さっきはどうしたのよ? さすがに寝惚けていたというには無理があるわよ? ……まさか、また無理な実験でもしたんじゃないでしょうね」
イリアは小さくため息をついた後、どこか怒ったような声で俺を問い詰めてきた。

「またとはなんだ。またとは。俺はそんなに無理な実験をした覚えはないぞ? 人聞きの悪いことを言うな」
そう、俺はいつも無理なことはしない。できる範囲のことを、できる限りやっているに過ぎない。
失敗したこともままあるが、あくまでそれは実験だからだ。失敗のない者には成功もまたない。
うむ。昔の偉人はよく言ったものである。
俺の心の中の言葉が通じたのか、イリアは少し肩を竦めて、

「……はぁ。人聞きの悪いもなにも、事実そのものじゃない。ラミナス先生が聞いたらきっと呆れて言葉も出ないわね」
訂正。かけらも通じていない。
その仕方ないわね、とでも言いたそうな顔をするのはやめろ。

「そういうイリアも、よくその腕白ぶりを師匠に呆れられていなかったか?」
せめてもの反撃をする。イリアは昔――今もという説もあるが、それを言うと殴られるので。昔、よく同年代の男をいじめて泣かせていた。
かくいう俺もその一人ではあったのだが、今はどうしたことか、こうやって仲良くしている。
かくも人生とは不思議なものである。
さて、イリアはどういった反応を返すか―――
「なっ、何を言っているのよ失礼ね! その話はやめなさいといつも言っているでしょうに!」
怒られてしまった。しかもこれはだいぶ怒っている。ささやかな反撃が逆鱗に触れてしまったらしい。
慌てて謝る――周りから言わせると非常にゆっくりとえらそうにらしいが。まったく失礼な話だ。

「すまない。どうにも記憶がぼやけていてな。いつもは気をつけているのだが……」
俺の言葉を聞いたイリアは少し心配そうな声で、

「ほんとに大丈夫なの? 医者に診てもらったほうがいいんじゃない?」
またもや心配させてしまった。気遣いの足りないところはまったくもって俺の悪い癖である。
ともかく、さっさと返事をしよう。

「いや、心配はいらない。それより、なにか用があったのではないか? こんな朝早くから俺の家を訪ねてくるなど珍しいだろう」
昼からだと入り浸りになっていることがよくあるあたり、なんとも言えないが。
そう俺が返すと、イリアはぽかんとした顔でこちらを見た。

「えーと、ラル、本気で言ってるの? 今日は卒業式よ、魔術大学の。今日から先輩方のように実践的な魔術の修行に出るのだ~ とか、毎日言ってたじゃない」
いやなものまねである。妙に似ているあたりなんともいえない。
……にしても、卒業式だと? そもそも大学は来年で、今は受験ではな………あれ?

「ん、そうだったか。いや、そうだったな。どうにも頭がぼけている。いかんな」
そうだった。たしか、そうだったはずだ。そうだったはずなのだが……

「気の抜けた返事だこと。卒業式に遅れるとかはやめなさいよ? 私が恥ずかしいから」
そういったイリアはくるりと扉のほうを向き、部屋から出て行こうとする。

「お、もう帰るのか?」
首だけをこちらに向けたイリアが口を開く。

「私もまだ準備が終わってないからね」
そういった後、少し恥ずかしそうに頬を染めながら、小さく。


「ラル、少し早いけど卒業おめでとう……これからも、よろしく」


そしてそのまま扉を開けて、去って行った。




 彼女が去って静かになった部屋の中。
しんと静まった空間にいると、いままで流されていた疑問が再び首を擡げてくる。

ここはどこだ――――――シロディールの帝都にある俺の家だ(知らない。ここは一体どこなんだ)
今はいつだ――――――――第三期432年 Rains Hand 25th(20XX年四月25日)
俺はだれだ――――――――ラルク・スプラーゲン。周りからはラルと呼ばれるブレトン人(俺は■■■■。極々平凡な日本の高校生)

俺はラルクでラルクは■■■■。
ラルクは俺で■■■■は―――



「記憶が、二つ……?」



                                                                        ~To Be Next~


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