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[25259] 【習作】オリ主?いいえ脇役です【現実→なのは】
Name: 観光◆6a663401 ID:0f8bca7b
Date: 2011/01/12 21:01
オリ主?いいえ脇役です。



はじめまして、観光です。

これは魔法少女リリカルなのはの二次創作ものとなります。

タグをつくるなら、

”なのは” ”オリ主” ”脇役” ”非最強系” ”Noハーレム” ”アンチ怖い”

となります。

作者は初心者なので設定に矛盾が生じたり、キャラがすこしおかしくなるかもしれませんが、ご指摘していただけるとうれしいです。

また話の展開が気に入らない、おもしろくねぇ、という方もいらっしゃると思いますがご了承ください。

*タグとスキルで使えそうなものがありましたら教えてください。











ーーーーーーーーーーーーーーーーー


まだ日もでていないころ

ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ!

耳元の時計から聞き慣れた電子音が鳴り響くと共に、時計の主人はゆっくりと眼を開ける。

規則正しい生活を送っているので俺に眠気は無い。
鳴り響く轟音の中、いまだ起きない少女に苦笑しながら、布団から出る。

「姉ちゃん、朝だよ。起きろー」

声をかけても返事は無い。

「ああ、もう。おーきーろーーっ!!」

きっとまた夜遅くまで起きていたんだろう。
起きるのはいいが、見た目を裏切る年齢なのだからキッチリとした時間に起きて欲しい。

「姉ちゃん起きろよ?先に下行ってるからな?」

一応声をかけておくが起きてくる事は無いだろう。
そのことにため息を吐きつつ、朝食の用意を始める。
今日の朝食はご飯に大根のお味噌汁、胡瓜の塩ずけと焼きジャケだ。
子供が作るものにしてはかなりのものだろう。

鮭を焼き終えるころに二階から姉がおりてきた。
眠いのだろう。目がトロンとしている。

「姉ちゃん、起きたらまず顔洗ってきなよ」
「…ん……わかった……」

眼をゴシゴシしながら睡魔と戦ってるところが我が姉ながらキュートだ。

実の姉の姿に少しだけ思いをはせていると、洗面台から姉が戻ってきた。
いけないいけない、これでは危険人物のようではないか。自重しなくちゃ。
自分にそう言い聞かせていると、姉と目があった。

「おはよー、和人(カズト)」
「ん、ああ、おはようお姉ちゃん」

これが家の朝の光景。

そろそろ紹介しよう。

我が姉、内田 美琴 (ウチダ ミコト)

類稀なる美貌と才能を持つ、まさに神に愛された女性にして――オリ主

弟こと俺、内田 和人 (ウチダ カズト)

双子の弟なのに普通の人。
姉に似ているのは、容姿だけ。かなりの劣っているが…
役所は――

「――ただの脇役だよ」




プロローグ 「脇役だよ」



少し昔のことを話そうか――

あれは三年くらい前のことだ。俺がこの異世界にやってきたのは。
ジャンルとしては憑依ってコトになるのかな。

特になんでもない高校生の俺は突然こっちにつれてこられた。
病室で目が覚めた当時の俺はかなりあせっていた。

縮んだ体。見覚えのない場所。知らない言葉。見知らぬ人。

俺は怖くて怖くて、布団に閉じこもり一人震えていた。
そこに現れたのがお姉ちゃんだ。

俺は唯一日本語の通じるお姉ちゃんにしばらく依存するのだが詳しくは語るまい。
姉に依存する高校生とは・・・これいかに?

とにかくだ。
このあと少し先にこの世界にきていたお姉ちゃんからここでいろいろなことを聞けた。
姉がオリ主として転生したこと。
ここは元の世界とは別物であること。
もうもとの場所には戻れないこと。
姉がこっちに来たのは一年ほど前のこと。
当時は生きていた両親は爆破テロに巻き込まれて死んでしまっていること。
いろいろなことを聞いた。

内容に一喜一憂しながらも俺はだんだんと覚悟を決めた。
俺も男だ。
漫画のような内容の状況にはあこがれる。
どうせおまけだ。
やることもたいしたことじゃないだろう。
言っちゃ悪いがラスボス戦は姉任せになる。
俺はそこらの雑魚なぎたおして、サブにもならないようなキャラとしてここは俺に任せろっとかやりたい。



それが三年前。
そしてとうとう俺たちは物語に手を出す。

魔法少女リリカルなのは
始まります。




[25259] 第一話 「全然歯がたたねぇ」
Name: 観光◆6a663401 ID:0f8bca7b
Date: 2011/01/04 23:22
右手の人差し指と中指を合わせて、軽く斜め下にふる。

和人の目の前に半透明のディスプレイが現れた。

暇になるたびに画面を開くのが癖になってる。
中身を確認しつつ、今後の状況に思いを馳せる。

今日、俺は今後のことについて保護者と交渉しなければならないのだ。
保護者は偉く強くて何度も何度も叩きのめされたものだ。
おかげで接近戦の基礎は出来上がったと思う…が……いまなお勝ったことがない。
オリ主特典の能力使っても勝てない化け物の名前は――高町士郎








第一話 「全然歯がたたねぇ」









鈍い剣線が俺を襲う。
横なぎに振るわれた小太刀を身を伏せることで回避する。
しかし後先を考えない回避に躊躇ない蹴りが襲う。

とっさに腕を交差させ急所を守るが、若干12の体は軽々と吹き飛ばされる。
受け身をとるも、その衝撃をすべて逃すことはできない。
体内を駆け巡る衝撃は肺から酸素を吹き飛ばす。

「かはっ……」

一種の呼吸困難に陥り、体がいうこときかなくなる。
蹴りを見舞った男は、そのわずかな時間にカズトまでの距離を詰める。
カズトは体勢を立て直そうとするが―――

「遅い」

男の放った左の一閃に切り伏せられ、もう一度吹き飛び壁に叩きつけられた。

「ッッ!!」

あまりの激痛に悲鳴をあげそうになるが、こらえる。
痛む体を悲鳴を意図的に無視し立ち上がり、男を睨む。

わずか三合。
それだけで満身創痍になってしまった。
それを行った男――高町士郎――は未だ傷一つない。

化け物か、こいつは。そう心のなかでカズトは悪態をつく。
事実、対峙するだけでチクチクとさすような威圧感を感じる。
威風堂々と立つさまは歴戦の戦士を彷彿とさせる。
その双眸に宿る殺気で体が硬くなるのがわかる。

このままではいけない。
体に渇を入れようとしたその時、なんの予備動作もなく、フッと士郎の体が視界から消える。

―――神速かっ!!

脳のリミッターを外すことで限界を超えた速度を生み出す御神流の奥義の一つ。
熟練の戦士が使えばその速度は常人に見切れるものではない。

カズトは自らの直感スキルが鳴らす警鐘に従い、右側に飛ぶ。
わずかに遅れて風を切る音が聞こえる。

「ほう…これをよけるか……」

そこには小太刀を振り切った体勢の士郎が。

「だが…後先を考えない行動は―――」

士郎が再び消える。
さっきは見えなかったが、今度はかすんで見える。
低く飛ぶ燕のように、その表現がいちばん近い。

「―――死を招くぞ!!」

だが、見えるのならやりようはある。
カズトは構えた姿勢から少しだけ切っ先を下げる。

そしてそのまままっすぐと突く!

肩から肘、拳までの形を極力崩さずにつくことで、相手にとって事前動作が察知することが非常に困難となる。

しかし士郎はこれを半歩横へずれることで、ひらりとかわす。
かわしながら右の小太刀を振りかぶり―――

「―――しっ!」

閃光とかした一撃を振り下ろした。











「つう~~っ!!」

カズトは頭部へと放たれた一撃の激痛に頭を抱える。

「くっそ、全然歯がたたねぇ」

士郎が会いに来るたびに行う模擬戦だが、何もできなかった。
姉のミコトはオリ主としての特殊能力のおかげである程度は拮抗できるが、俺は能力などというものなどないので、地道に鍛えるしかないのだが一向に進歩がない。

「そうでもないぞ、咄嗟に回避することにかけてはなかなか筋がいい。だが、後先を考えないのはいただけないな。いつも言っているが、次にどうするかを読むことは戦闘ではとても大事だぞ。回避はできるようになったんだから、成長はしているよ」

「いや、回避だけ褒められても…なぁ」

回避に関して優れているのは、直感スキルによる部分が大きいので褒められてもあまりうれしくない。
本来、直感スキルは自らの危機に対して最適な展開への道筋を感じ取る能力であるが、ランクが低いため、自らの危機を察知する程度の能力しか保有してないのだ。
とはいえ、回避不可能である攻撃を察知できるのは戦闘で非常に役立つ。
自分がその危険を回避できるのであればの話だが・・・

「ほかに褒めるところがないわけではないが、まだまだ熟練度が足りないな。特にあの突きとかだな。あれは察知が難しいが威力が乗らない剣だから、連続して使うことで真価を発揮する。刹那の切り合いでは攻撃面積の大きい振り下ろしのほうが避けにくかったな」

「でも、振り下ろしは動作が大きいから簡単に剣筋読まれるし・・・」

「違うぞ。避けられないにこしたことはあるが、避けられた後にどうするかが重要なんだ。まぁそのあたりは次までの課題だな。よく考えておくように。ほかにも―――」

摸擬戦用の小太刀をしまいながら今回の戦闘の批評を下していく。
こういったところに士郎は容赦がない。それでも次こそはと思えるのは、士郎の育て方がいいからか。
カズトが一撃入れることは当分ないだろうが、一歩ずつ進んでいるのは確かなのだ。

こうして士郎に戦闘訓練を頼んで早数年。
物語の登場人物の一人である士郎とこうして交流を深めているのは一種の強制力が働いているからなのかは、わからない。

思い返せば士郎さんとの付き合いも奇妙なものだ。
聞いた話によれば五年前の両親が死んだ日にさかのぼる。
父さんは士郎さんと士郎さんが護衛していた人とは長年の友人だったそうで、ある日パーティー会場で面会していたそうだ。
しかしそこを狙った爆破テロに巻き込まれ父さんは死んだ。
正確には、ボディーガードである士郎さんをかばって。

詳しい状況は知らない。
ただそのとき父さんは士郎さんに子供と妻のことを頼むと遺言を残し、士郎さんはそれを了承した。
そのときから士郎さんは家をよく気にかけてくれるようになった。

家はそこその富豪だ。
昼ドラじゃないけど父さんが死んでからは遺産目当てのやつらがたくさん来た。
母さんはそういったのものを一手に引き受け、心を病んで、ある日ポックリと逝った。

そうして当時7歳の俺達の周りには醜い大人たちだけになった。
どんどんともっていかれる遺産。
もう転生を完了していた姉がいくら訴えかけようとしようが所詮7歳の子供。
止めることなどできはしない。

だけど士郎さんだけは味方になってくれた。
遺産の管理から、親戚の連中の相手までを一手に引き受け俺達を守ってくれた。
起動に乗り始めた喫茶店と、まだ幼いこどもがいたのにも関わらずだ。

それから俺は、たまに来る士郎さんに頼んで戦闘訓練を頼んだ。
俺達を直接狙うやつがいるかもしれなかったからだ。
もちろん子供が大人に勝てるわけがない。
だがこちらにはオリ主としての能力がある。
これさえうまく使えれば勝ち目はあった。
それゆえの戦闘訓練。

最初は反対されたが、何度も頼みこんで教えてもらうことになったのだ。
数年たっても、三合と持たないのだが……

「いつになったら勝てるのやら……」

「あと五年は修行して来い」

「手厳しい」

本当に勝てる気がしないのが嫌なところだ。

「それで、あの話を受けてくれる気になったかい?」

「それは後で姉ちゃんに聞いてくれ…」

最近、喫茶店が軌道に乗り、余裕ができたのか、俺達を日本に引き取ろうとしているのらしい。
俺としては一軒家に子供二人で暮らすのは厳しいので、この話には乗り気なのだが、姉には姉の考えがあるらしく原作が始まるまではなるべく介入したくないらしい。

こうして士郎さんが元気に暮らしているだけでもかなりの違いなので意味がないと思うんだけどな。

そうしてみるか、と呟きながら家の中へと士郎は入っていく。






「はぁ…………」

姿が見えなくなると、息を吐き、仰向けに倒れる。
何度も言っているが、一度も勝てないのは悔しいのだ。

カズトはその右手を振り、ウィンドウを表示させる。

軽快な効果音とともに手のひらの下に半透明のメニューが表示される。
右半分には所得スキル一覧とその習熟度。
左側にはHPとEXP。それに筋力と俊敏、防御と魔力の数値が描かれている。
今回の摸擬戦により少量の経験値が増加していた。

このオンラインゲームのステータス画面のようなものが俺と姉ちゃんの能力≪ステータス・コントロール≫だ。

能力は、レベルUPごとにもらえるポイントを割り振り自らのステータスを強化するもの。
オンラインゲームのステ振りのようなものだと思ってくれてかまわない。

俺は五年もの歳月をかけ、19まで上げることができた。
その際に手に入れたポイントは俊敏:防御:攻撃=7:2:1となっている。

だってほら、何よりも早さが足りない! とかやってみたくね?

さっきの直感スキルは右側に表示されているスキルに属するもので、これは前世で見ていたフィクションの能力が使えるようになるというもの。
最初はチートきたこれ、とか思ったがそんなことはなかった。

なにせ、ここに登録できる能力はその使用される世界で修行すれば万人が使えるようになるものだけだからだ。

つまり幻想殺しやスタンド、死神の刀や写輪の眼みたいな主人公が使う能力は何も使えないのだ。
それらは明らかに個人の資質に作用される能力だからだろう。

姉が言うには、オンラインゲームみたいに成長する能力をくれるっていってたからこうなったらしい。

オンラインゲームで技を所得するとき、ジョブやら条件とかがあるが基本的にとろうと思えば誰でも取れる。
能力がこれを模している以上、一部の人間しか取れない特殊スキルは存在していないのだろう。

他にも熟練度が関係していることもある。
登録したスキルがすぐに使えるようにはならないのだ。
スキルを何度も何度も使用することで、熟練度がたまり、一定を超えることでスキルLVが上がる。
LVがあがることでスキルの性能が上がるのだが・・・・

正直な話、めんどい。
さらには、原作を忠実に再現しているところがうざい。

例を挙げてみよう
たとえば、ネテロ会長の百式観音。
気を整え、拝み、祈り、構えて、突く。
これらの動作を七~八秒かけ行う。
ひとつLVをあげるのに一万回行わなければならない。
LV1だと、ただの正拳突き。
あげてはいないが、おそらく二十年近く使って、ようやく戦闘で使える物となるだろう。
そこまでして使いたくないもが本音だ。

たとえば、瞬動。
足に魔力もしくは気を集中させ地面を押し出し消えたように移動する歩法。
ネギまでは達人との戦闘では必須の基本スキルなんていわれてたが、LV1だとただのジャンプ。

たとえば、士郎との模擬戦でお世話になった直感。
自らの危機に対して最適な展開への道筋を感じ取る能力であるが、ランクが低いと命の危機のようなものにしか反応しない。
百式観音と違い自ら発動するアクティブスキルではないので、スキルが発動する状況にならないと熟練度が上がらないのも辛い。
つまり直感をあげたければ、命の危機があるような場所に進んで赴化なければならないというわけで……

このように俺たちの能力は育てば強いが、やたらと育ちにくい能力なわけだ。

「はぁ…………」

今度は違う意味でため息が出る。

これからを思うとため息が出るのも仕方ないだろ?
だってボルケンリッターとかプレシアとか無理すぎじゃね?





ーーーーーーーーーー

現在のカズトのステータス。

LV  19
EXP 16690

HP  6000   (2900+3100)  *初期値1000+LV×100+DEX×50
MP  4100   (2900+1200)  *初期値1000+LV×100+INT×50
STR 43     (24+19)    *初期値5+LV×1+ポイント 主に筋力に影響
DEX 62     (24+38)    *初期値5+LV×1+ポイント 主に防御に影響
LEG 157    (24+133)    *初期値5+LV×1+ポイント 主に俊敏に影響
INT 24     (24+0)     *初期値5+LV×1+ポイント 主に魔力に影響






保有スキル

スキルスロット数 12 *初期値10+INT÷10(端数切捨て)=増加スキルスロット数




パッシブ系(常時発動型)

*(熟練度/1000) パッシブ系は上限が1000のLV10となっている。

・直感: LV2 (153/1000)

自らの危機を察知する程度の能力。
高LVでは、戦闘で自らに有利な展開を引き寄せる。

・心眼(真):LV2 (187/1000)

修行・鍛錬によって培った洞察力。
窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”
逆転の眼が半分もあれば、作戦を実行に移せるチャンスを繰り寄せられる。

・矢よけの加護:LV4 (311/1000)

飛び道具に対する防御。
狙撃手を視界に納めている限り、弓矢による攻撃を肉眼で捕らえ、対処できる。
また、あらゆる投擲武器を回避する際に有利な補正がかかる。
ただし、超遠距離からの直接攻撃は該当せず、広範囲の全体攻撃にも該当しない。

・気配遮断:LV3 (243/1000)

自らの気配を絶つ。隠密行動に適している。
ただし、自らが攻撃態勢に移ると気配遮断は解ける。

・気配察知:LV2 (172/1000)

敵の気配を察知する才能。
周囲の生命体、鬼などの異端、霊的存在の位置を捕捉可能。
このスキルレベルならば数mの範囲をカバーする。
気配遮断で存在を隠匿していても判定次第で見破る事が出来る。

・自在法ー達意の言:LV7 (613/1000)

人型をとるあらゆる生物の言葉を理解することが出来る。
高ランクになれば無機物から言葉を読み取ることも可能となる。

・戦闘時回復《バトルヒーリング》:LV2 (118/1000)

自らが戦闘中であると認識している間HPが回復していく。
十秒ごとに一定の割合が回復し続けるが部位の欠損等は直すことが出来ない。
回復する割合は、スキルレベル×1%とする。






アクティブ系(非常時発動型)

*(熟練度/スキルによって上限値が異なる) スキルLVの最大値は存在しないものは”~”で表す。

・瞬動:LV3 (231/1000)

HPまたはMPを30消費して使用可能。 *LV×10

魔力または気を足に集中されることで高速で移動することを目的とした歩法。
このスキルレベルでは3mの範囲で移動可能。
速度はLEGに依存する。
ただし続けて発動することは出来ない。

・月歩:LV3 (201/1000)

HPまたはMPを30消費して使用可能。 *LV×10

空中で移動することを可能とする歩法。
このスキルレベルでは落下方向を変えることが出来る。
速度はLEGに依存する。
ただし続けて発動することは出来ない。

・空間湾曲:LV5 (469/~)

MPを100消費して口を開けることが出来る。

空間を湾曲させ、ポケットのようなものを作る技術
このスキルレベルでは5kgまでの重さのものが収納できる。

・霊銃《レイガン》:LV1 (57/~)

一日に一発だけ撃つことが出来る。
威力は込めたHP量に依存する。

とある霊能力者が開発し、弟子が好んで使ったといわれる技術。
非常に高密度の霊力(HP)を指先に集中。拳銃に見立てた手の指先から放つ技である。
高レベルとなればいくつかの派生技が使用可能となる。

・北斗破流掌:LV1 (79/1000)

1/10HPを消費することで発動。
自分が動いていない状況で、相手が正面から格闘戦を仕掛けてきたときのみ使用可能。

あらゆる格闘技を跳ね返す返し技である。
もともとは一子相伝の秘奥であり、病人なのに動き回る男が得意とするわざとして一部に知られている。



[25259] 第二話 「気分よ」
Name: 観光◆6a663401 ID:0f8bca7b
Date: 2011/01/15 21:04
「行くわよ!! 我が魂のふるさと、日本へ!!」

今となっては懐かしい日本語を叫びながら、ドアを蹴破ってくるのは親愛なる姉。
精神年齢は20を超えているんだから、落ち着いて欲しいと思う。

「お姉ちゃん、毎回ドアをけりながら入ってくるのはやめてくれ! オーダーメイドだから高いんだぞ! それに前に来た士郎さんには日本に行かないとかって言ってただろ? いきなり予定変えるなんてどうしたんだよ……」

三ヶ月前にきた士郎さんが肩を落して帰る様をみていたので、てっきり断ったと思ったのだが。

「だって、士郎さんについていったら絶対なのはに紹介されるでしょ? 私はね、原作の名シーンをみてうっとりしたいの。わかる? だからなるべく話の流れを変えないために接触は控えるべきなのよ!」

いや、そんな理由かよ。
もっとこう、このタイミングじゃないプレシアは救えない!みたいな理由がよかったよ。

カズトは小さくため息をつくと、とりあえず話しに乗っていく。

「今は日本でいう四月前だろ? そんなに始めるの早かったっけ?」

「さぁ? 少なくとも原作が始まったのがいつかは詳しく明記されて無かったと思う。だ・か・ら、早めに行って準備しておくのよ」

「住むところはどうするつもりだよ」

「ふふん、万事抜かりは無いわ。適当な空き家を使えばいいのよ」

「明らかに不法侵入だろ。それに鍵はどうすんだよ。壊したら明らかにバレんだろ。――って、ああそうか。だからあのスキルかぁ~」

「そうよ、この日のためにあのスキル育てておいたんだから」

カズトは思わず頭を抱えて座り込む。

別に日本に行くことは反対では無いが、犯罪は避けたい。
いくらアニメの世界といえど、ここに住んで生きている以上新しい現実だ。
もう一度転生できる保障が無い以上、前科は避けたい。
繰り返そう、前科はいやだ。

が、貴重なスキルスロットを使ってまで準備している姉を見ると、一人でも日本に行ってしまいそうだ。
目の前の選択肢は二つ。
付いて行くか、行かないか。

行かないならば、俺は原作に巻き込まれずに暮らすことになる。
財産はそこそこあるから、普通に働き、結婚して終わり。

付いて行くならば、犯罪に加担することに。
もし、警察に捕まったら前科持ちに。
つかまらなければ原作にかかわり波乱万丈の人生へ。

でも猪突猛進ぎみな姉ちゃんのことだから捕まっても魔法で逃げればいいや、と思ってるかもしれん。
いや、思ってるだろうなぁ・・・
地球で前科があっても、管理局行けば大丈夫くらい考えてそうだ。

「なに悩んでんのよ。一生に一度ないようなことになってんだから、楽しく行きましょうよ」

「むしろ俺からすると、なぜ簡単に犯罪という選択肢が選べるのか知りたい」

「気分」












第二話 「気分よ」










あのよくわからない問答からはや三日。
カズトは海鳴市の空き家の前にいた。
狙う家は町から少し離れたところにある、売りにでている中古のものになった。
マンションならば管理人が掃除に来るが、一軒家ならその心配も少ない。
長期旅行中の家とかがあればいいんだが、そんなものが都合よく見つかるはずもなく無難に選らんだのだ。

「なあ、ほんとにやんの?」

未だにやめるように言うカズト。
認めないが、基本的にカズトはビビリである。

「いざってときにしり込みするなんて情けないわね。男なら胸張ってなさい!」

「犯罪行為に胸を張るようじゃ終わりだよ、姉ちゃん!」

「だから見つかんなきゃいいのよ! 一軒家なんだから誰も来ないし見つからないんだから大丈夫よ!」

「いや、ここ売りに出てるから! 不動産がお客に見たいって言われたら普通にくるよ!? あのスキルで開くとは限らないし……やっぱり士郎さんところに――――」

「ああもう、あっちで黙ってなさい!」

ミコトは左手をかかげ魔力をくみ出す。

「あっ、ちょっ、ここ住宅地だ――――」

カズトが、だから魔法は使うなと言おうとするも、間に合わず。
左手を振り下ろしながら、ミコトは意味をもつ言葉を放つ。

「エア・ハンマー!!」

選択されたスキルに必要な魔力が放出されると、システムが自動的にミコトの動きをアシストし、魔力の形を変える。
空気が圧縮していくと鉄槌の形をとり、振り下ろされた左手の先にいたカズトへと直撃した。

「ふべらっ!!」

いいところに入ったのか、カズトは痛みでのたうち回る。

「~~~~ッッ!!」

反対にミコトは汗をぬぐう動作をする。
こころなしかスッキリした表情をしてなくもない。

ミコトはのたうち回るカズトを一瞥したあとドアへと向き直り、

「Alohomora(アロホモーラ)開け!}

簡単な開錠呪文を発動させる。
カチャンと音がかすかに響く。
ミコトは恐る恐るドアノブに手を出し、まわすと――

「やったーー!! ほらみなさい。ちゃんと開くわよ!」

嬉々とした表情で言うと、ミコトは入っていく。

「これで俺も犯罪者……いや、もう何も言うまい」

のた打ち回っていたカズトも立ち上がり、広い青空を眺めたあと家の中へはいっていく。
もう青空のしたを気ままに歩けないのか、と若干誇大妄想が入った思考かも知れないが、気分はそんなかんじである。

何もない玄関で靴を脱ぎ、奥へと進むと、リビングの真ん中でぽつんとミコトが立っていた。

何か問題でもあったのか?

ぱっと周りを確認するが特に問題はなさそうだった。
むしろ建築年数の割りに綺麗だ。
前に住んでいた人の手入れがよかったのだろう。

壁が黒ずんでいるわけでも無いし、動物臭さもない。
四隅にカビも生えていない。

ごく普通の空き家だと思うんだけど?

しかし未だミコトは突っ立ったままだ。

「姉ちゃん、なんか問題でもあるの?」

振り返る姉の顔には困惑と焦燥、不安がごちゃ混ぜになって浮かんでいた。

「カズト……どうしよう…………」

めったに見ない姉の様子にカズトもあせる。
頭をフル回転させ、ミコトの不安の原因を探す。
が、カズトにはただの空き家にしか見えない。

なんだ? 何が原因だ? そういえば間取りが生前すんでいた家に似てい――――

「家具が……ない……」





「……は?」

「ほんと、どうしよう。まさか空き家だからって家具をきれいさっぱり盗んでいくやつがいるなんて……」

目を丸くして首をかしげる。
家の姉は何をおっしゃってるんでしょう?

「結構条件よかったんだけどな。他のところをもう一家探さなきゃいけないかぁ」

「…………」

「次は中身も確認してからにしよっと」

「……ちょっとまて」

一人納得するミコトにカズトが言葉をかける。

「ん? どうしたの?」

「空き家ってどんなものか知ってるか?」

「人が住んで無い家のことでしょう。なに当たり前のこと聞いてんのよ」

ミコトが俯く俺の顔を覗き込もうとする。
視界に写ったミコトを見れば、笑みが浮かんでいる。

つまり――なんだ?
家具がない?
いや、空き家なんだから当たり前だろう。
人が住んで無い家のことでしょう?
人が住んでなくても空き家には家具があるもんだと思ってる?

「お~い、カズト?」

何の反応もないカズトの前でミコトが手を振るも、思考の海に潜ったカズトは反応しない。

「とうとうボケちゃった?」

――もう、家の弟はだめな子なんだから
と小さく嘆息するが、

「ダメな子はお前だあああああああ!!」

ダメな子(仮)から、ダメな子(真)へ渾身のチョップが入った。











「いいか、空き家に家具がおいてあるなんてことは無い! 普通に考えて引っ越すときに家具を置いていくアホはいないだろう!家具ってのは言い換えれば財産だぞ。なのに置いていって、引越し先で新しい家具買ったら余計に出費がかさんで大変だろうが! 何が万事抜かりないだ。準備不足どころか常識不足じゃねえか!」

不法侵入程度だが犯罪に加担させられた鬱憤を、ここぞとばかりに吐き出していく。

「な、なによ……知らなかったんだからしょうがないじゃない」

だめだ、こいつ。
もしかしたら、空き家にはなにがあると思う? 空気!と元気良く答えてくれる小学一年生と同レベルなのかもしれない。

「常識ってのは誰もが知ってるから常識なんだよ。そしてこの話は常識の範囲内に含まれてる。知らないじゃすまねぇ……」

「いいじゃない、非常識。転生した私たちを表すのにこれほどふさわしい言葉はないわ」

泣きたくなってきた。

「そこで開き直ったらダメ人間だぞ、姉ちゃん……とりあえず使えるものがあるか確認しよう」

これ以上ミコトをせめてもどうにもならないので、現状を確認するために空間湾曲を発動。
収納しているものを確認していく。

一覧として、アイテム画面のようなものが現れる。

「やっぱ洋服と武器に金だけかぁ。そっちは?」

「加えてお菓子ってところよ」

「だよな。使えそうなものはなし、と」

記憶能力はいいので持ち物は覚えていたが、もう一度見ればなにか役立つものがあるかも知れないと思ったがそんなことはなく、現実がそこにはあるだけだ。

「どうするかな……まずは寝るところだよな……よしっ、姉ちゃんホームセンター行くぞ!」

意気込んでアイテム画面から顔をあげる。
なぜか割きイカを食べながら持ち物を確認していたミコトも顔を上げる。

「そうね。寝袋とガスコンロ、調理器具一式は必須だし、他にもいいのがあるかもしれないから私もそこでいいと思うわ」

「ん。じゃ行くか」



結局、生活するのに必要なものを一式そろえるのに夕方までかかった。










ーーーーーーーーーーーーーーー

現在のミコトのステータス


LV  32
EXP 122760

HP  4200   (4200+0)  *初期値1000+LV×100+DEX×50
MP  20200  (4200+16000)  *初期値1000+LV×100+INT×50
STR 37     (37+0)    *初期値5+LV×1+ポイント 主に筋力に影響
DEX 37     (37+0)    *初期値5+LV×1+ポイント 主に防御に影響
LEG 37     (37+0)    *初期値5+LV×1+ポイント 主に俊敏に影響
INT 357    (37+320)     *初期値5+LV×1+ポイント 主に魔力に影響






保有スキル

スキルスロット数 35 *INT÷10(端数切捨て)=増加スキルスロット数


まとめ
パッシブ系(常時発動型)
・矢よけの加護:LV3 
・気配察知:LV5 
・自在法ー達意の言:LVMAX 
・黄金律:LV4 
・高速言語:LV8 
・分割思考:LVMAX 
・魔力的ダメージ:LV9 
・魔法障壁:LV6 

アクティブ系(非常時発動型)
・戦いの歌《カントゥス・ベラークス》:LV10 
・メラ:LVMAX 
・メラミ:LVMAX 
・メラゾーマ:LV1 
・ケアル:LVMAX 
・ケアルラ:LV5 
・ザオラル:LV-- *LVは存在しない。
・雷の暴風《ヨウイス・テンペスタース・フルグリエンス》:LV1 
・マホトラ:LV2 
・バイキルト:LV1 
・ピオラ:LV1 
・スカラ:LV1 
・ルーラ:LV2 
・リフレク:LV3 
・ヘイスト:LV1
・Alohomora(アロホモーラ)
・エア・ハンマー:LV4
・ライブラ:LVーー
・浮遊術:LVMAX




パッシブ系(常時発動型)

*(熟練度/1000) パッシブ系は上限が1000のLV10となっている。

・矢よけの加護:LV3 (231/1000)

飛び道具に対する防御。
狙撃手を視界に納めている限り、弓矢による攻撃を肉眼で捕らえ、対処できる。
また、あらゆる投擲武器を回避する際に有利な補正がかかる。
ただし、超遠距離からの直接攻撃は該当せず、広範囲の全体攻撃にも該当しない

・気配察知:LV5 (430/1000)

敵の気配を察知する才能。
周囲の生命体、鬼などの異端、霊的存在の位置を捕捉可能。
このスキルレベルならば10mの範囲をカバーする。
気配遮断で存在を隠匿していても判定次第で見破る事が出来る。

・自在法ー達意の言:LVMAX (1000/1000)

生き物であるならば、形体を問わず会話することが可能。
また、強い思いの篭もったものであるならば無機物から意思を読み取ることも出来る。

・黄金律:LV4 (327/1000)

身体の黄金比ではなく、人生において金銭がどれほどついて回るかの宿命。
このレベルでは少しだけお金に恵まれる。
散財のし過ぎには注意が必要。

・高速言語:LV8 (756/1000)

呪文を必要とする魔術を発動するまでの時間を短縮する。
このレベルならば大魔術以外なら1/3の時間で起動させられる。
高レベルであれば大魔術も高速で発動可能。

・分割思考:LVMAX (1000/1000)

自らの思考を複数に分けことで、並列的に考察することを可能とする。
このレベルならば、完全な思考を可能とするものを5つ。
簡単な思考ならば25まで展開できる。

・魔力的ダメージ:LV9 (815/1000)

魔力を用いて行った行動全てに、魔術的保護を施し、相手を非殺傷で確保する技術。
このレベルならば限界を超えた魔法以外の全てに適用可能となる。
また、任意にスキルを使うか選択できる。

・魔法障壁:LV6 (547/1000)

魔力を用いて編んだ障壁を体の周囲に展開する。
常に身にまとうため、最大魔力値がその分減少する。
また瞬間的に魔力を込めることで強化可能。
このレベルならば常時上限値ー3000となる。






アクティブ系(非常時発動型)

*(熟練度/スキルによって上限値が異なる) スキルLVの最大値は存在しないものは”~”で表す。

ただし上位のスキルは下位のスキルを必須とする。



・戦いの歌《カントゥス・ベラークス》:LV10 (957/1000)

使用時間と、出力に応じた魔力を消費する。

自らを魔力で包み、肉体を強化する魔法。
反射神経、筋力、防御能力、速度、神経伝達速度などの戦闘に関する能力が上昇する。

・メラ:LVMAX (1000/1000)

MPを100消費し発動可能。

指先から小さな火球を生み出し相手にぶつける。
対象は一体。

・メラミ:LVMAX (1000/1000)

MPを300消費し発動可能。

指先から拳ほどの大きさの火球を生み出し相手にぶつける。
対象は一体。

・メラゾーマ:LV1 (23/1000)

MPを1000以上、消費し発動可能とする大魔法。

指先から直径15cmほどの火球を生み出し相手にぶつける。
対象は一体。

・ケアル:LVMAX (1000/1000)

MPを500使用して発動可能。

魔力を癒しの力と変え、対象者を癒す。
このレベルならば対象者のHPの5%を回復可能。
ただし部位の欠損は回復しない。

・ケアルラ:LV5 (461/1000)

MPを2000消費し使用可能。
このレベルならば対象者のHPの10%を回復可能。
ただし部位の欠損は回復じない。

・ザオラル:LV-- (ー/-)*LVは存在しない。

自らのMPを全て使用する。
一度使用するたびに、LVが5下がる。

瀕死の重傷を回付させることが出来る。

・雷の暴風《ヨウイス・テンペスタース・フルグリエンス》:LV1 (5/~)

MPを3000以上消費し使用可能。

強力な旋風と稲妻を発生させ、敵を攻撃する大魔法。

・マホトラ:LV2 (143/1000)

対象者からMPを吸収する。
このレベルならば自らのMPの2%吸収できる。

・バイキルト:LV1 (89/1000)

MPを消費して使用可能。
使用するMPは効果に依存する。
最大で1.1倍までとする。

対象者の筋力を上げる。

・ピオラ:LV1 (75/1000)

MPを消費して使用可能。
使用するMPは効果に依存する。
最大で1.1倍までとする。

対象者の素早さを上げる。

・スカラ:LV1 (92/1000)

MPを消費して使用可能。
使用するMPは効果に依存する。
最大で1.1倍までとする。

・ルーラ:LV2 (115/1000)

MPを一人あたり2000消費して使用する。

一度行ったところで、かつ300km内に瞬間移動する。
このレベルならば一日に5回だけ使用可能である。

・リフレク:LV3 (214/1000)

MPを消費して使用可能。
一度だけ魔法を反射する壁を作る。
反射する魔法以上のMPを消費することで反射可能。

・ヘイスト:LV1 (12/1000)

MPを10000消費して使用可能とする大魔法。
ただし、自分以外を対象としたときは二倍のMPを使用する。

このレベルならば2分間、二倍の速度で行動が可能となる。

・Alohomora(アロホモーラ):LV1 (32/1000)

MPを50消費し発動可能。

簡単な鍵ならば開けられる。
魔法学校で教わる基礎魔法のひとつ。

・エア・ハンマー:LV4 (312/1000)

MPを100消費し使用可能。

空気を魔力で圧縮、鉄槌の形を作り、対象者にぶつける。
このときの動きは使用者のどちらかの手と連動しているため、方向の修正が必要となる。

・ライブラ:LVーー (ー/-)

対象者のLV×10の魔力を消費し発動

対象者の基本ステータスを見ることが出来る。
このレベルでは、対象者に触れていなければ見ることが出来ない。

・浮遊術:LVMAX (1000/1000)

MPを消費して使用可能
時間と速度、重さにより消費魔力が計算される。

???

ーーーーーーーーーーーー
あとがき

´ω`)ノ こんにちは
作者の観光です。


基本的にこの程度の量で更新させて行きます。
今回姉のミコトが出てきますが、アホの子ではありません。
むしろ頭はいいほうです。
ただ日常はまったりしてるようです。

スキルのほうに黄金律がありますが、LV4では黄金律(笑)程度の能力しかないようです。

それとカズトとミコトの経験地をくらべて差が開きすぎじゃないかと思うかもしれませんが、スキルをひとつマスターするたびに経験地ボーナスがもらえるという設定があります。
この小説には、オンラインゲームで言うクエストに該当するものがないのでこうなりました。

感想でご指摘がありましたが、主人公の魔導師ランクはまだ秘密です。

ちなみにSランク魔導師がLV80以上になるように設定していこうと思っています。



以上でこの場は失礼します。感想ありがとうございました。大変参考になりました。

*タグとスキルで、使えそうなのがありましたら教えてください。


2010/1/15 ステータス修正



[25259] 第三話 「八方塞がりとは、このことか」
Name: 観光◆6a663401 ID:0f8bca7b
Date: 2011/01/12 19:56
「だぁぁあああああーーーー!!!」

とある管理外世界。
まだ太陽も出始めたころ。
人のような知的生命体のいない星の手がつけられていない草原のなか、カズトの叫び声が響き渡る。

「無理無理む~~り~~~っっ!!」

俊敏度パレメータに物をいわせて、草原を疾風のごとく駆け抜けていく。
逃げるカズトを追うは、巨大な体躯に二つの首をつけた魔獣。
三つ首ケロベロスに近い生き物であるオルトロスである。
オルトロスは逃げ回るカズトを獲物と認識し、後方から追いかける。

「ちょっとカズト!! ちょっとでいいから!! ほんのちょこっとでいいから足止めして!」

「だから無理だっつってんだろっ」

「何言ってんのよ、あんた前衛使用でしょうが! さっさと本懐はたしなさいよ!」

確かに前衛使用にしてある俺としても役目は果たしたい。
後ろを少し振り返る。

全身を使い飛ぶように駆けるオルトロス
その体は縄のような筋肉に包まれている。
皮膚の色は深い青、引き締まった体の上に載った野獣のような頭は二つ。
そのどちらからも鋭利な牙が顔をのぞかせている。

俺の頭なんて一飲みできるだろう。
いやその前にあの豪腕でHPが丸ごと吹っ飛ぶだろう。
あらためて考えて血の気が引く。

「ばっかやろっ、俺は俊敏特化の紙使用だ! というか自分は空中で安全とはいい身分だな、おい!」

ミコトはカズトが全力疾走している間空を飛び続けているのだ。
翼無き身であるオルトロスがミコトを狙うことはない。

考えると腹が立ってきた。

「ああもう! このままじゃいつか食われる。姉ちゃん! 十秒後にあいつの足を止める!」

HPが減るわけではないが、運動していれば疲れるのは条理。
姉が言うには、隠しステにスタミナでもあるんじゃないか、とのことらしいが。
ともかくこのままじゃ速度を落としていって最後は食われる。

どうやらこのオルトロスは火に強い耐性があるらしく姉の主力魔法のメラ系がきかないのだ。
他のオルトロスに聞きそうな魔法なんてひとつしかない。
しかしそのためには詠唱が必要なわけで……

俺は急激に制動をかけ速度を落す。
オルトロスが猛スピードで突っ込んでくるが、それを瞬動で左に回避する。
首は俺を追うも、体は慣性の法則により、前へと引っ張られる。
オルトロスはそのまままっすぐ進むが、、速度を落さず半円を描きながらもう一度突っ込んでくる。

オルトロスの巨体と今の速度で突っ込まれれば俺の防御じゃ死ぬ。
あくまで突っ込まれればの話だか。
わざわざバカ正直に食らってやる気もない。

右手を上に、左手を下にし前に突き出す構えを。
地にどっしりと腰を落ち着け、不動の体勢を。

これからすることは一発逆転の方法だ。
ゆえに失敗すればそれなりのペナルテイがる。
今回は死ぬかもしれない。
緊張した体に反応し、心臓の鼓動は際限を知らず、何処までも高くなっていく。

どこまでも時間が引き伸ばされる感覚と共に、オルトロスが突っ込んでくる。
俺は意を決し、そのスキルを発動し、オルトロスに手を伸ばす。

――瞬間、あらゆる物理法則を無視しオルトロスの体躯が静止する。


「北斗――」


困惑の表情を浮かべる顔面に、ニヤリとわらいながら右の裏拳を叩き込む。


「――破流掌!!」


まるで巻き戻しをしたかのようにオルトロスが吹き飛び、地面にぶつかると、こまのように空中で二転、三転回り、落ちる。
ドスンと、落下音を響かせると同じくして、ミコトの魔法が完成する。

「時間には少し早いわ。まぁ、遅れるよりましね」

空を飛ぶ魔法使いの手には光り輝く球がひとつと、周囲の荒れ狂う風。
時折、雷がバチバチと光瞬く。
その様子はさながら嵐のようだ。

「いくわよ。雷を纏いて吹きすさべ南洋の風!!」

左手の輝く雷球はここにきて最大の大きさへ。
大魔法を使用するとき特有の感覚がミコトの頬に弧を描かせる。

盛大に地面へと叩きつけられる形となったオルトロスは未だ立てない。
それを視界の中心へと収め、弓を引くように腕を胸の前で引き絞る。
硬く握り締めた拳の前には雷球が浮き、高速回転を始める。
吹き荒れる風の力がまたひとつギアをあげる。
これでスキルの準備は終了した。


「さぁ、これでしめよ――雷の暴風《ヨウイス・テンペスタース・フルグリエンス》!!」


力ある言葉と共に魔法が開放された。
突き出された腕の先で雷球は数十倍の大きさまで拡大する。
雷球は周囲の風を巻き込み魔獣へとまっすぐに突き進んむ。

着弾。
轟音とともに光り輝く光柱が大地に起立した。
圧縮された雷の魔力が地面を焼き、蒸発させる。

ゴクッ、っとあまりにも日常とかけ離れた光景に思わず息を呑む。
同時に魔法の余波がカズトの肌を焼く。
生み出された雷に影響され高温の風が吹き荒れたのだ。
とっさに眼を焼かぬために腕で隠し、余波が収まった頃にどける。

そこには穏やかな草原はなく、だたひとつのクレーターが出来上がっていた。







「うん、上出来♪」

「いや確かに倒しただろうけど……やりすぎな気もする」

「死ぬよりはましでしょ。それにこれ作ったの何回目よ。いまさら遅いわ」

確かに死ぬよりはましだが……
反論が出来ないので何も言わないでおこう。

ふと視線をクレーターに向ければ、五体満足のオルトロスが。
あれだけの規模の魔法を受けていながら死んだ様子はない。
普通ならば肉片も残らないと思うんだが、ミコトの魔力ダメージのスキルのおかげだろう。
しばらくは起きないだろう。

「しっかし、相変わらずスキルってのはどういう仕組みで動いてるのか分からないよなぁ」

「私からすればあんたの北斗破流掌のほうが意味不明よ。何あれ、スキルが成功したとたん、明らかに物理法則無視してるでしょ。しかも顔面に裏拳かましただけで吹っ飛ぶし……」

確かに魔力ダメージのスキルも不明な点が多いが、北斗破流拳も意味のわからんスキルだ。
スキルが成功したとたんに対象者の運動が完全に停止するのだ。
物理学者がこれを見れば、必ず俺に問い詰めてくるだろう。
その運動エネルギーは何処へ行ったのか?と。
使っている本人の俺もわからないのでこう答えるしかない。

「北斗ゆえ仕方なし」

とはいえ、かなり使いどころが限られるスキルなのが実態なのだが。

北斗破流掌は、真正面からきた近接攻撃を受け止め跳ね返すカウンター技の一つだ。
その発動条件は結構厳しい。
自分が完全に受けの構えをとりかつ相手が近接攻撃をしてきたときに、相手の攻撃に手で触れることで発動する。
言葉にすれば簡単に発動できるように聞こえるが、そうでもない。

まず構えの独特さと、成功したときのインパクトがあげられる。
初見の相手ならばいいだろう。
だが、成功したときの明らかに物理法則を無視した行動。
あれを一度でもみれば嫌でも覚える。
ゆえに一度でも見たやつが、あの構えをした俺に突っ込んでくることはないだろう。

あの構えをしないと発動しないのがきつい。
一瞬のミスが死につながるコンマ数秒の世界。
その近接戦で動きを止め、あの構えを突然取るなんて不可能だ。

次に、相手からすれば俊敏特化の俺が足を止めたら何かあると勘繰って、慎重になる。
様子見のために射撃魔法なんてされたら最悪だ。
あくまで近接攻撃を返すのであって、遠距離攻撃は跳ね返せなず、その時点でスキルは失敗扱いとなり発動準備に払ったHPが無駄になる。

俺としては、この発動準備に1/10のHPを消費するというのが痛い。
HPとはいわば俺の命で、それが一気に減るのは、俺の精神力をかなり持っていく。

考えて欲しい。
俺の視界の右上に視線を向けると自然と出てくるHPとMPの残量。
これはまさしく俺の命の残量を示すものなのだ。
0になったことがないから推測になるが、普通に考えて0になったときに訪れるのは”死”だ。
その大事なHPが十分の一も一気になくなるこの恐怖は何度使っても慣れることはない。
HPが減るたびに背後から死神が近づいてくるように錯覚すると気だってある。
このスキルが絶対に成功するならばまだいい。
しかし、成功するかもわからないのだ。
使うたびに死神の鎌の元へと一歩踏み出すことと同意であるHPの消費は、俺の勇気を大量に刈り取っていくのだ。

成功するかわからない要因に跳ね返せる範囲というものも存在する。
縦には範囲が存在しないが、体の正中線を中心とした横120°の範囲が該当しこの範囲であれば跳ね返せる。
しかし、それ以外は範囲外とし跳ね返せないのだ。
たとえば鎌状の武器があったとする。
それを横なぎに振るった場合、まず体に接触するのは先端だ。
先端は横なぎに振られるため体のほぼ真横から襲いかかった来る。
真横からということは120°の範囲に当てはまらず発動しない。
このとき、スキルの不動という制限から俺は避けることができず串刺しにされるだろう。

ほかにも欠点はある。
相手の攻撃に手で触れなくてはいけないのだ。
逆に触れなければ発動しない。
もし相手が居合切りの達人なら?
俺が刀に触れることはできないだろう。

そういった理由から使いどころが難しいと言ったわけだ。

「わたしも懐に入られたときのために入れておこうかな」

しかしこれらの理由は実際に使ってみないとわからないだろう。
事実俺も使ってからわかった。
いくつもの失敗の上で使えるようになったスキルを便利だからの一言で入れられてはたまったものじゃない。
それに魔法使いはHPが少ないのが普通だ。
こんなスキルでHPを少なくするのは自殺行為だ。

というか姉ちゃん。
魔法使いが懐に入られた時点でチェックメイトだと思うぞ。

「姉ちゃんの場合、短距離転移とかがあったほうが便利そうだけどな。心当たりは?」

姉弟でスキルが被るのもつまらないので、他のスキルで対処してもらうようにそれとなく誘導する。

「ないわね。空間系の能力は大抵、特殊スキル扱い(個人の資質に依存するスキル)で習得不可」

が、失敗。
俺たちが知っている転移で特殊スキル扱いにならないものは今のところない。
そもそも、特殊スキル扱いでないもののほうがすくないのだから。
あるものの中で、使えるものを探すのは楽しみのひとつである。

それでも――瞬間転移はあきらめたほうがいいかなぁ

「だよな。いざとなったら、姉ちゃんも特殊スキル使えばいいだろ。あれなら避けられるやつはほとんどいないし」

なくても姉ちゃんは困らない。
正式なオリ主であるミコトには特殊スキルが有るのだから。

「そうね。今は広域魔法の習得とLVあげにいそしむとしますか」








あれからは、誰もいないことをいいことにスキルの熟練度あげにいそしんでいた。
いままで場所の関係でできなかった広域魔法系スキルの練習ができるので、ついやりすぎてしまう。
帰りの分の魔力が気になり始めたころ、ふと太陽を探せば真上に来ていた。
わたしはぐっと腕を伸ばした。

「ん~~。遅くなってきたし、そろそろ帰ろうか?」

この世界ではまだ昼過ぎだが、地球に時間を合わせた時計を見れば18時を指している。
未だ成長期の体のために、そろそろ帰ったほうがいい時間だ。
前世よりも身長が伸びてほしいので、体調管理には気をつけているのだ。

「そうすっか」

「カズト? 今日何日だっけ」

「4月24日だけど」

「じゃあ、もう14日になるのね。カズトはいくつ上がった?」

「11ってところだな。魔獣は経験値がうまい。命の危険がたっぷりだが」

やれやれと、肩をすくめる弟。
転生してから、ため息や皮肉が多くなった気がする。
そんなに落ち込むことが多いとは思わないんだけど、カズトにはカズトの考えがある。
私は魔獣と戦うことは怖くないし、むしろ楽しいとさえ考えている。
前世なら絶対に体験できないようなたくさんの出来事。
それを経験できている私はめぐまれているのだろう。

それは横においておいて、後から来たからせいでレベルが低いのは仕方ないが、ここまでレベルが上がる速度が違うのは少しイラッとくる。
同じ経験地をもらっているはずなのに、少しのレベル差でここまで上がり方が違うとは……

「いいわね、そんなにあがって。私なんか5よ。オンラインゲームを模しているからか、一気に上がりにくくなるわ」

「スキルボーナス狙いに行けるだけ俺よりいいと思う」

INTの値でスキルスロット数が決まるなんて間違ってるだろ、とぼやくカズト。

私たちの能力はオンラインゲーム風になってはいるもののクエストのようなものがない。
そのためかスキルをLVMAXまであげるとボーナスで経験地がもらえるのだ。
しかもこの経験地量がバカにならないくらい多い。
生き残ることを優先しているカズトはパッシブ系のスキルが多く、ほとんどのパッシブスキルはアクティブスキルよりレベルが上がる速度が遅い。
自然とカズトはスキルボーナスが狙いにくくなるのだ。

そのことに私は思わず苦笑してしまう。
魔力極振り魔法特化としては、どんどんスキルスロットが増えるのでパッシブとアクティブの両方を育てられるのだが、魔法を捨てたカズトのようなタイプはスロットのやりくりが大変なのだ。
それはそれで楽しそうだが、これは持てる者の余裕というやつだろうか。

「落ち込んでないで、帰るわよ。ほら、元気出して。今日はシチューだから」

シチューと聞いてすこし顔をほころばせるカズト。
こういうところはかわいい。
精神年齢は20を超えたのにこういう所はまだまだ子供だな。

カズトの笑顔につられこっちも頬を緩める。

しかしそれを悟られるのもいやなので、あさっての方向を向きながら、地面に魔法陣を展開。
魔力を注いでいく。
徐々に強くなる光。
ぼんやりとした光は、目にさすような光となり、魔法陣への魔力供給が一定を超え安定すると薄い黄色になる。
なのはが使っていたのを見てから使えるようになった魔法の一つ。
異なる次元間を飛び、行き来することを可能とする転移魔法。

本来は物理学やら、魔法学なければ使えないようだが、そこはオリ主のいいところ。
理論が分からずとも使うことができた。
初めて使ったとき、適当に飛んだらある次元世界のはるか上空でビビったのはいい思い出だ。
カズトはひもなしバンジーだったが。

「よし、準備完了。行こう?」

振り返ればもうすでに魔法陣の中に入っているカズト。
しっかりと確認した後、魔法陣を発動させる。

まばゆいばかりの光が噴出し私とカズトを包み、空へ昇って行った。






第三話 「八方塞がりとは、このことか」







なぜ俺たちが原作に介入せずにLVあげに盛を出しているのか。
それは4月9日までさかのぼる。

このとき俺たちは二人してテーブルの上で頭を抱えていた。

「なあなあ姉ちゃん」

「なんだい弟」

「いまジュエルシード何個目だと思う?」

「さぁ? むしろ私が教えてほしいわ」

このとき俺たちはまだ原作が始まっているか分からなかったのだ。
始まっているのは分かっていたがいつから始まっていたのかわからなかったのだ。
もし、近所の掲示板で海鳴りの道路が破壊されていると書かれてなければ気が付きもしなかっただろう。

「最大の誤算は俺たちに―――」

「まさか私たちに―――」

「「リンカーコアがないとは思わなかった」」

ふたりして一斉に溜息をつく。
俺たちとしては、ユーノ君の無差別爆撃改め念話がくるのを契機に活動を開始しようとしていたのだが、これが聞こえなかったのだ。
魔力値の低い俺は別としても、姉ちゃんは聞こえると思っていたのだ。

けれども待てど暮らせど音沙汰なし。
もしかして……と思ったがそれ以上の行動を起こすわけにもいかなかった。

原作が開始されているかを確かめる方法としてもっとも簡単なものは、高町なのはの近くにフェレットもどきがいるか否かである。
しかしこれを確認するのが存外難しい。

翠屋と高町家を監視するという案が出たが、即刻却下。
あそこは士郎がけがをしなかったことにより、原作以上の人外魔境となっているのだ。
監視中に気がつけば首に刀が……なんて状況はさすがにイヤだ。

では学校はどうか?
それも無理だった。
なのはが学校にフェレットを持ち込むわけがないし、マルチタスクを用いて日常生活と並行して魔導師の訓練をしている以上、頭の中をのぞく方法がない俺たちに魔法とかかわっているかの判別はできない。

夜の探索中はならば?
その場合、家からの監視が不可能な状態なので、町を見て回るときのなのはを見つけなければいけない。
一応いっておくが、地方都市のひとつとはいえ、海鳴市は結構広い。
その中から探すのはよほど運が良くなければ無理だろう。

少し話が脱線するが、作品によっては少しだけ運があがる魔法やら、ものが探しやすくなるような技術があるが、そういったスキルは習得ができなかった。
いろいろ試したのだが、自らのステータスは変化できても確立を変化させるスキルは習得ができないのではないか? という結論に落ち着いた。

結局、原作が始まってはいるけど、それを確認することができていないのだ。

そしてリンカーコアが存在しないことにより生まれた問題で最も大きいのは結界内に入れない。
これに尽きる。

基本的にユーノが使用する結界魔法は関係のない人を巻き込まないようにというコンセプトによるものだ。
その判別方法は、安易だと思うが、リンカーコアの有無。
なのはしか海鳴市で反応した人がいなかったからできる方法だが、これが厄介極まりない。
コンセプトゆえに、関係のない人には結界があることにすら気がつけない代物なのだから。

姉ちゃんとしては、原作の名シーンが見たい。
が、そのほとんどは結界内で行われるもので、俺たちからすれば、まさしくいつの間にか終わってる。
対策を練ろうにも、張られたことに気がつかないんじゃどうしようもない。

「八方塞がりとは、このことか」

「まさかこんなことでつまずくなんて……原作にはかかわるだけなら簡単って固定観念ああったわね。ぬかったわ」

「どうせなら結界かけないで戦闘してくれないかな……」

「ないない」

希望的展望を口にするが、力なく振られる腕で否と返される。

「だよなぁ〜、女の子とお風呂入るのはOK。でも結界は張り忘れない!……ってどんな価値観もってんだよ」

「結界魔法は張れるのに、元の姿に戻れないって明らかにおかしいでしょ。あれは絶対役得(笑)って笑ってるわね」

「汚い。さすがユーノ汚い」

どう考えても解決策がない。
いや解決方法はリンカーコアを手に入れることだが、あいにくそんなスキルはない。

堂々巡りをする会話。
次第にわき道へとそれていくのも仕方ないかもしれない。

「姉ちゃんさぁ、なんであんなにスキルの所得があんなにばらばらなの?」

「ん〜?」

机の上にあるさきイカをひとつ口に運んだミコトが生返事を返す。

「いや、普通攻撃スキルはあのゲームから、補助スキルはあそこからとか統一しない?」

「ああ、そういうこと。そういえばいってなかったわね。」

またひとつさきいかを口に運ぶ。

どうでもいいが、食うペースが若干俺より速い。


「簡単に言うと、ネタよ。」


「やっぱりか。」

あまり反応が良くなかったからか、ミコトが憮然とした表情をつくる。

「やっぱりってなによ」

予想と違う反応、乾燥した答えに少しミコトの空気が冷たくなる。
それでも兄弟として生きた年数は伊達ではない。
二人の間の空気が悪くなるなんてよくあることだ。

カズトは少し不機嫌になったミコトの疑問に簡潔に答えて行く。

「メラ系を練習してる頃からもしかしてっておもってたんだよ。どうせシグナムあたりに、これは余のメラじゃ、とかいいたいんだろ?」

細めていた目で見ていたミコトがうめく。

「うっ・・・」

カズトの答えはかなり図星をついていた。
事実、ミコトの保有しているスキルは補助を抜かせばほとんどがネタから来ている。
補助魔法だってカズトに頼まれなければいれもしなかっただろう。
基本的にミコトはしっぽをふるや、にらみつけるはやらないタイプだ。
付け加えるなら、一度やれば満足するタイプ。
今まで2、3回使っただけで満足して消した魔法が山程あるのが、その事実を物語っている。

「どうせそうだとおもったよ。補助魔法だって言わなきゃいれてくれなかっただろうし」

「べ、別にそれだけじゃないわよ? 時間がなくてあんまりたくさん攻撃魔法が練習できなかったっていうのもあるのよ。いろんなのに手を出すと熟練度が下がって攻撃力が上がらないし、時間かかるから一つに絞ってやってたら、メラ系だけ上がっちゃったのよ」

テンパっているのか、手を胸の前でワタワタさせる。

「じー」

ジト目で見つめるカズトの目が暗にいっていた。
本当かよ? と。

「なによ」

「いやーべつにー」

ブスっと唇を細めるミコト。
こういう時の姉はいじりがいがあって気に入っていたカズト。
顔がニヤニヤしている。

「きょ、今日はずいぶん突っかかってくるわね? 何かあった?」

このままではいけない。
そう判断したミコトは強引に話を変える。
カズトも話を変えようとするミコトの様子がわかっていたが、あえて話にのる。
いい加減この生産性のない話を終わりにしたかったのだ。

「特にはなにもない。けど、焦ってんのかもね。原作が見れないなんておもっても見なかったし。」

現実はそこまで甘くない。

俺たちははじめからかなり安直的だった。
このままならいつか怪我するかもしれないよな。

いやな光景を思い浮かべてしまい、眉を寄せた。

少し気をつけたほうがいいな。

カズトは1人で、少しだけ気を引き締める。

「こりゃ無印諦めたほうがいいかもな。たしか途中から次元航行船を中心に話が進むようになるだろ? そうなったら完全に手だしできないし」

「それは・・・そうだけど・・・」

結局そうなるか?

そんな考えがミコトの頭をよぎる。
たしかに、原作を見なくていけない理由はない。

でも無印の名シーンは見たいのだ。
諦めきれず現実から目を背けるように外をながめた。
すると世の中には、捨てる神あれば拾う神あり。

「・・・・・・ほえ?」

目を向けた窓の外にはとんでもない光景が広がっていた。
ミコトは唖然とした表情で外を見ているが、カズトはそれに気がつかず話を進める。

「そうなると介入できるのは無印終わってからだな。顔合わせは空白期になりそうだな。でもA'sの展開崩さないためには、接触控えた方がいいのかな・・・って姉ちゃん聞いてる?」

今後の展望について語っていれば、何時の間にかミコトが外を向いて話を聞いていないことに気がついた。

「・・・カズト、あれ」

半ば呆然とした顔で窓の外を指差す。

「あ?」

震える指が指す方向を見れば町中のど真ん中に馬鹿でかい樹が立っていた。
鬱蒼と生い茂る樹がゆらゆらとうごいていた。
その周りを見れば小さい木もいくつか見える。

「・・・は?」

あんなもの五分前には生えていなかった。
断言できる。

「もしかして・・・」

「これって・・・」

「「ジュエルシード!!」」

椅子を蹴っ飛ばす勢いで立ち上がる。
この千載一遇のチャンスを逃すつもりはない。
やっときた原作拝見のチャンスなのだ。

二人のテンションが一気に最高値まであがる。
いままで細かいことを考えていたが、そんなものは気にしないと言わんばかりだ。

「カズト、いくわよ!!」

立ち上がりざまに机に上に置いてあったさきイカを一気に口に流し込む。

「おう!! ってそのさきイカ俺まだ食べてない!!」

空になった袋を投げ捨て、ミコトは玄関へと足を向けると浮遊術を発動し、滑るように移動する。

「あっ、逃げんな」

「うっさい。お菓子ごときでギャーギャー抜かすな! そんなことよりさっさといくわよ! 原作通りならなのはの葛藤が見れるはずなんだから!」

「お菓子ごときって何だよ! 俺には大事なことだ!・・・あっ先いくなよ! くそ、本当に待たずに行っちゃったし! 」

カズトが靴を履いている間にミコトは行ってしまった。
あわてて追いかけるが、空を飛べるミコトのほうが基本的に速い。
しかし、俊敏値に7割振っているカズトの速度もなかなかのものだ。

一歩一歩を踏みしめ、自動車並みの速度で駆けていく。
事件の中心の大きな樹は幸いにもかなり近かった。
到達するのにあと一分もかからないだろう。

人の波を縫うようにして樹の近くまで近づくと、すぐ隣の車の後ろにミコトが隠れているのを見つけた。

ミコトもカズトを見つけるとすごい勢いで手招きをする。

「ほら、あんたも隠れなさい!」

ミコトは特等席で見る気満々だった。
その顔は期待に満ち溢れて、ワクワクしているのが一目瞭然だ。

「わたしはあっちからくると思うのよ。だからカズトは反対側を見張ってて? 見つけたら教えてね?」

あんまりにも嬉しそうだから、カズトもまた楽しみになってきた。

さっきまでは待っていたことが起こったという理由から上がっていたテンションだが、異なる方向へ変化していく。

もともとカズトが原作に介入する理由はない。
前世でも見てはいたがそこまでファンではないからか、いまいちやる気が出てこなかった。
でもたった1人の家族がこんなに楽しそうに笑っているなら、介入するのも悪くないんじゃないか。

心の隅でそんな考えが頭をもたげてくる。


「みて!! こっちからきたわ!!」

楽しそうな横顔に見とれていたのは、ほんの数秒。
あわててミコトの視線の先を追う。


そこには純白のスカートをためかせている正義の魔法使い(ヒーロー)がいた。







[25259] 第四話 「私がそうしたいの」
Name: 観光◆6a663401 ID:0f8bca7b
Date: 2011/01/15 18:27

閑散とした町並みを魔力光が桜色に染め上げる。

突然、平和な町のど真ん中に巨木が現れる――本来ならばあり得ない出来事。
それを人は非日常とよび、住人はそこへその足を向けることはなかった。
本能が警鐘を鳴らすのだ。
これを前にできることは何もない。
死を回避しようとする、ごく当たり前の衝動に動かされ、人は逃げる。
大人も子供も関係ない。
だれもが必死に自分だけのことを考え走る。
ここからどこか遠くへ、遠くへ。

しかし、すべての生き物が脅威を前に逃げることしかできないというのに、たった一人の少女だけは立ち向かう。

――自分ならこれを止められる

――私がこの町を守る

その意思を不屈の心に納め、少女は空を舞う。

手に入れてから、まだほんの一か月もたっていない。
これらの技術を本来持つもの達からいえば、無謀としか言いようがないだろう。
日常的に魔法に触れ、扱う世界の人間ですら命の危険があるというのに、わずか九歳の女の子がその脅威に抗おうというのだから。

意思を持つ大樹。
何人も近づかせない、その願いを受けて生まれた大樹は、その存在意義を満たすために近づくものすべてを吹き飛ばそうとする。
現に桜色の魔力を瞬かせながら高速で飛来する魔導師の魔力弾をものともせず、逆にその太くしなる樹を魔導師に叩きつけ、吹き飛ばした。
その剛腕を振り切った際、隣のビルにぶつけるが、砂の城だったかのように崩れおちていった。

多少の衝撃などものともしない作りになっているビルが一撃で崩れるのだ。
その威力は人間が受け止められる限界を超えていた。
それを受ければ、四肢はつぶれ内臓は破裂する。
人と形容するよりも、肉片といった方が正しい状況にすらなる。

しかしただ一人立ち向かっていった少女は、それを受けて尚、立ち上がろうとしていた。

純白の防護服――通称バリアジャケットはぼろぼろだ。
衝撃を緩和するといってもすべて無くなるわけじゃない。
九歳の身に余る激痛が、彼女の体を駆け巡っているだろう。
事実、少女の足は震え、立っているのがやっとだ。
泣き叫んでもおかしくはない。
むしろ褒められるだろう。
よく生きていてくれた、と。

だがそんな言葉がほしくて立ち上がったわけじゃない。
彼女はこの町を守りたくて立ち上がったのだ。

――もう誰にもけがをしてほしくないから

その思いが彼女を動かす。
その瞳に決意を込めて。

感情なき大樹も、彼女から目をそらすことができない。
小さき体からあふれ出る不屈の意志が、その目を捕まえて離さないからだ。

大樹からあふれる魔力もまた密度を増やす、彼女を打倒するために。
あふれ出る大樹の魔力の増加の意味をどう受け取ったのかはわからない。
だか彼女もまた空へその身を浮かべる。
ビル風が吹く空中で彼女は堂々と胸を張り、立っていた。

彼女は少しだけ笑う。

その笑みに頭の中にあった疑問がどこか遠くへ消えていく。

――彼女の魔力弾は効かないのにどうして立ち向かえるのか?

――彼女は大樹の攻撃を避けられないのにどうして向かっていけるのか?

――彼女は負けることが怖くないのか?

その疑問の数々は彼女にとって侮辱でしかない。

その姿を、顔を、笑みを、見た瞬間に確信した。
この戦いは彼女が勝つ。
たとえ何があろうとも大樹ごときが彼女に勝つことはあり得ない。

戦いに絶対などない。
だがこの戦いにおいてだけは彼女が勝つと確信できる。
否、そう思わさせる何かが彼女から感じられた。

その笑みを残したまま、杖を胸の前まで持ち上げ構える。
マスターの意思を受けて、杖――レイジングハートも姿を変えた。

金の短い杖状の形態から、身の丈ほどの長さへとのび、先端は金の意匠がより豪勢なものへと。
砲撃モードと呼ばれる、今のマスターに最も適した形態だ。

「いくよ、レイジングハート」

彼女の口から、鈴の音のような音が響く。
デバイスはマスターの声をうけ、チカチカとコアを明暗させた。
その足元には魔力で編まれた魔法陣が展開する。
転嫁した魔法陣はすぐさま回転を始める。
繊細な模様を写しだされたそれが、回る姿は一種の芸術に近い。

「ディバイン――――」

唐突にでる言葉。
わずか一言で彼女にリンカーコアから膨大な魔力が吹き出る。
あふれ出た魔力すべてがデバイスを解しその先端に集中する。
まばたきの間に、当たり前のように彼女は魔力を引き出し、圧縮し、操る。
より一層強くなった魔力光が再び周囲を染め上げる。

「――――バスター」

静かに、しかしはっきりと、彼女はトリガーワードを放つ。

瞬間、指向性をもたされた魔法は、桜色の奔流となって大樹に襲いかかった。
今まで彼女の魔法を防いできた障壁も奔流の前に意味はなく、割れるときの独特の音を響かせ消失。
大樹もまた、奔流の前に塵になるしか、選択肢はなく、完全な非殺傷設定が守るべき町に傷一つ付けることは無かった。

無人による沈黙の中、彼女の息遣いだけが音を作る。
すると、大樹がいた位置に空色の宝石が落ちてきた。

彼女はそれを見るとハッとしたような表情で近づき、レイジングハートの中へと収納した。

それを契機に息を大きく吐いた後、周りを見渡す。
崩れたビル。
ひび割れた道路。
視界には映らないもののけがをしたであろう人たち。

思いをはせる彼女の感情をその表情から読み取ることはできない。
目を閉じ、再び開いたとき、そこにいるのは覚悟をきめた一人の少女。
もう一度あたりを見回した後、何かをつぶやき、飛行魔法を用いて飛んで行った。

風に流された言葉は、誰に伝えるつもりがなくても、しっかりと届いていた。


――決めたよ。私、この町を守るから。ユーノ君のお手伝いじゃなくて、私がそうしたいの。




これが、俺たちが彼女――高町なのはを初めて実際にみたときの出来事である。






第四話 「私がそうしたいの」







「……」

「…………」

たっぷり十分は呆然とし、人波が閑散とした道を埋めるころ、ようやく二人は再起動をはたした。
カズトは恐る恐る右手を上げると、ミコトはどこからともなくメガネを取り出しかける。
これはデフォ装備だ。

「はい、ミコト先生。魔法少女の定義についてご教授ください」

ミコトにカズト君と指名されると、やや濁った目で発言を始める。
ミコトは質問に対し、大仰に頷き、腰に手を当てる。

「なるほどカズト君、これは良い質問です。本来魔法少女とは読んで字のごとく、魔法を使う女の子――ただしロリに限る――のことを指してきました。しかし、魔法を使うという点に着眼点を当てたとき、いくつかのグループに分けることができるでしょう。ひとつ目に魔法を使って人助けをするということでしょうか。これに当てはまる人の魔法は、まさにほとんどなんでもできます。またこの力を使うことによる人間関係の構築とその変化に物語の中心を当てているといってもいいでしょう。このタイプの魔法少女は前世でいう昭和タイプといってもいいかもしれません」

「つまり一般的に考えられるふあふあの服をきて、ステッキを振り回し、マスコットキャラクターと一緒に事件を解決するというイメージがあてはめられる方いうことですね?」

「そうとも言えますが、その認識はもう一つの魔法少女――これは近未来型といいましょうか――にも当てはまります。そもそもあなたのいうイメージは魔法少女の最低条件といってもいい」

「では昭和タイプの条件とは?」

「そうですね、昭和タイプの条件をあえて一言で表すならば――一話につき一回しか魔法が使われないということでしょう」

「おおなるほど」

「もうひとつ、これが本題ですが戦いが派手じゃない」

「つまり、近未来タイプの魔法少女は戦いが派手だと?」

「ええ、近未来タイプの魔法少女は、小さな子どもから大きな子供までをターゲットに、わかりやすくも作りこまれた設定と明らかに狙ってるとしか思えない年齢が特徴です。さらに言うならば、登場人物ごとに得意不得意が存在し、魔法は一種の技術として考えられています」

「ですがそれだと昭和タイプと大した違いがないような?」

「いいえ、大きな違いがちゃんとそんざいしてます。大きな子供をターゲットに含んでいるということが重要なのです。大きな子供は人生経験が豊富ですから、わかりやすい展開を予想してしまい飽きがきやすいのです。そのための作りこまれた設定です。これがあることで人間関係に深みを持たせ、戦闘を論理的に、または派手にすることができるのです。とはいえその道の専門家でもないので、物理などの方向から見れば、実際に考えてみるととんでもないよねー、なんて事態が発生するのですが。そこは置いておきましょう。とにかく近未来タイプの魔法少女は戦うんです。そりゃもう派手に」

「なるほど、大変参考になりました。ところで姉ちゃん、もう俺のいいたいことわかるよな」

「……」

「あの子――――強すぎじゃね?」













先ほどの戦闘を俺たちの視点から見てみよう。

まずなのはは飛んできた。
これはいいだろう。
このときの速度も姉ちゃんより少し早い程度で、予想の範囲内だ。

次になのはが様子見で撃ったであろう魔力弾。
アクセルかディバインかはわからないが、とにかくシューターを五つ。
四方八方から全く違う軌道を描き大樹へと突き刺さっていった。
おしくも魔法障壁の前に砕けたが、その速度はとんでもないものだった。
遠くから見ていても、一瞬のできごとだったのだ。
五つのシューターというのがわかったのも、なのはがしばらく様子見に徹していたからだ。
俺にはあれを撃たれて避ける自信が全くなかった。
もしなのはと戦うことになれば、空中を攻撃する手段のないカズトはリアルSRG――なぶり殺しだ。
お話なんてあったときには、バリアジャケットを着れない俺の命が危ぶまれる。

三つ目になのはを襲った大樹の剛腕?による叩きつけ。
あれだけの質量をもつ物体を飛んでいるなのはにぶつけたときのエネルギーはバカみたいな桁になるはずだ。
それを受けて五体満足?
あり得ない。
どれだけ頑丈なバリアジャケットを着ているのだろう。
現段階で一番防御力をあげた状態の俺と姉ちゃんでは一発でKOだが、なのはは耐えきっている。
相手がどうにか砲撃の雨を抜けて攻撃をしたというのに、ダメージ1。
それなんて無理ゲー?

最後のディバインバスターも二人からすれば鬼畜性能すぎる。
わずか壱秒ほどのためで、高威力の集束魔法。
姉ちゃんの雷の暴風≪ヨウイス・テンペスタース・フルグリエンス≫だってこんな威力はない。
付け加えるなら雷の暴風は詠唱込みで10秒は必要だ。
そんなものをホイホイ撃ちそうななのはの総魔力量はどんなものなのだろうか。
知るのが怖くて堪らない。





「つまりまとめると――なのはに勝てる気がしない。というより原作に出てくるキャラ全員に」

我に帰ってから、いったん拠点まで帰還し、現段階で集まった情報をまとめて、考察した結果、俺たちには勝てないということが分かった。
姉ちゃんは認めてくれないので、淡々となのはの魔法のどこが優れているのかを説いていたら、うつむいてしまった。
しかし、自分としては事実を述べただけなので悪気はない。

はっきり個人的意見をいうならば、アースラの武装隊にも勝てるか怪しいとみてる。
よくて互角くらいか?
まぁ、フェイト相手なら瞬殺だろう。
もちろん俺が。
原作では防御が薄いとか言ってたが、それすら破れるか怪しい。
付け加えて、リインフォースあたりが出てきたときはおとなしく天才たちに任せようよ――とあの戦闘を見た後ではいわずにいられない。

「……」

「姉ちゃんそろそろ認めようぜ。あれは規格外だ。俺達凡人に入り込むすきは無いってことを」

しばらくしゃべっていたので、口がさびしくなる。
視線を動かせればさきいかの空き袋が。
そういえば姉ちゃんが全部食ったんだっけ。

「……」

「考えてみろよ。プレシア救出なんて夢のまた夢さ。傀儡兵=Aランクって聞いたことあるから、今のまんまじゃ瞬殺――」

「……う~っ」

う~?
かすかなうめき声を不思議におもい見れば、ミコトの眼もとにはキラリと光る涙が。

「――されるのがオチ……って、なんで泣いてるの、姉ちゃん!!」

目元の涙はどんどん大きくなり、今にも零れ落ちそうだ。
姉ちゃんの顔はゆがみ、不安そうな顔をしていた。
震わせる肩がその雰囲気に拍車をかける。

「ぐすっ…だって、カズ、カズトが……」

話し方は完全に駄々っ子。
見た目相応の泣き方になっている。
精神年齢は20をとうにすぎた。
これは俗にいう、肉体に精神が引っ張れれるというやつなのか。
泣かせたな? と頭の中に俺をやたらと責めるやつが出現。
そのうち先生に言っちゃうぞと言いそうだ。

いやおれはなにを言っているんだ。
頭の中にだれかいるはずがない。
完全にパニックになってやがる。

「いやいや、俺も姉ちゃんも肉体に引っ張られすぎでしょ!! ああ~もう!!」

予想外の事態に頭をかきむしる。
最後の悪態を怒っているとおもったのか涙があふれ、とうとう頬を流れおちていく。

「だって…だって…私、原作見たいのにカズ、カズトが、無理だって、ぐすっ、いうから……」

その理由にあきれ返ってしまう。

まさかその程度の言葉でなくとは……

今まで親の財産問題とかそういう外敵からの悪意には泣いたことなんて一度もないのに、兄弟から諦めろと言われただけで泣く。
今気がついたが、相当精神年齢が若くなってる。
体に精神が引っ張られるというのは意外と正しいのかもしれない。
俺達ふたりとも明らかに子供っぽくなってる。

「無理っていうのは”今は”だって!」

「今は?」

「そう! 考えてみろよ、今の俺たちじゃ明らかに足手まといだろ? このままじゃ、原作の足引っ張って最悪な展開になるかもしれないだろ?」

「……うん」

「だから、も~っとLVをあげてから介入しようって言いたかったんだ」

ごめん、嘘。
介入なんてしたくないです。

しかし泣く子には勝てないのが世の道理。
俺の本音を知ってか知らずか、姉ちゃんを泣きやますために、思ってもいないことを口走っていた。

姉ちゃんは俺の答えを聞くや、笑顔になる。

「そっか……そうよね。原作の流れを悪くするわけにもいかないもんね……」

何度か一人頷いたあとに、俺を見つめ返す眼には、何やら怪しい炎が。
というかおい、感情の入れ替わり早いな。

「行くわよ、カズト! この際山籠りしてLVあげよ!」

立ち上がるや叫ぶ。
周りが何だこいつ、と眼を向けるがお構いなしに俺を引っ張っていく。

そうだよね、もっと強くなる=修行フラグだよな。

こうして俺はLVあげの旅にでたわけだ。






追記


「私なんで念話を受け取れないのか不思議に思っていろいろ試したんだけど、スキルに念話って入れないと受信すらできないみたい」

・念話:LV―― (――/――) *レベルは存在しない

魔力を用いたあらゆる会話を使用可能にする。

「ん? なるほどね。これがないと念話の受信ができないわけだ。とはいっても結界のほうの解決策がない限りはいれないぜ?」

「そうなのよ。とりあえずあと一回は介入できるチャンスがあるからそれにかけましょう。」

「介入できるチャンスなんてあったか……?」

「時の庭園」

「いや、アースラと協力体制とってんだから、結界くらいかけてんだろ」

「べつにかけてあってもいいのよ。かけてあるなら、結界内に傀儡兵が取り込まれてて外は安全でしょうし、まぁリンディ提督がそんなこと見逃すとは思えないからかけてるとは思えないけど」

「なるほど。そう考えてみると、結界って結構便利だよな。犯罪者とか閉じ込めたりできそうだし」

「それもあるでしょうね。」

「ああ、でも待てよ。もし結界を這ってるとしたら、リンカーコアを持ってないアリシアがいるのっておかしくないか?」

「たしかに。でもそういう設定の結界だって言われたらおしまいだけどね」

「とりあえずは介入できそうって理由はなっとくした。そもそも結界内でなのはのスターライトブレイカーよりもはるかに魔力量が大きいジュエルシードが七か八位きどうして、結界が壊れない理由がわからんしな」

「そうね。魔力量云々は賛成だけど、スターライトブレイカーの認識間違ってるわよ。あれは無印とA`sの間でなのはが改良した結果、結界破壊能力が加わったわけだし」

「まじ?」

「まじ」

「オチ?」

「なし」










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