JAXA再仕分け:宇宙予算「維持」判定

2010年11月18日 11時41分 更新:11月18日 15時51分

JAXAに関する事業仕分けで枝野幸男幹事長代理(手前)の質問に耳を傾ける宇宙飛行士の山崎直子さん(奥左端)ら=東京都品川区で2010年11月18日、佐々木順一撮影
JAXAに関する事業仕分けで枝野幸男幹事長代理(手前)の質問に耳を傾ける宇宙飛行士の山崎直子さん(奥左端)ら=東京都品川区で2010年11月18日、佐々木順一撮影

 政府の事業仕分け第3弾最終日の作業が18日午前、東京都内のビルで始まり、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「運営費交付金」などが対象になった。13年までの資金計画で事業費が増え続けているのは問題だとして見直しを求め、来年度の予算要求は「今年度当初予算の水準を維持」と判定した。ただ、小惑星探査機「はやぶさ」後継機の「はやぶさ2」など個別プロジェクトの是非には踏み込まず、間接経費を中心に効率化を求め、宇宙予算に配慮する形になった。

 ◇「はやぶさ」快挙前に仕分け人追及鈍る?

 この日の議論では、10年度に1800億円の事業費が13年度に2660億円に膨らむJAXAの資金計画が中心に議論された。

 JAXA側の林久美子文部科学政務官は冒頭、「はやぶさなど多くの成果でJAXAは世界の科学技術の発展に大きな役割を果たしている」と強調。そのうえで「新規プロジェクトは、はやぶさ2を除いてすべて見送っている」とけん制した。説明者席には今年4月に国際宇宙ステーション(ISS)で作業をした宇宙飛行士の山崎直子さんを座らせるなどした。

 これに対し、仕分け人側の民主党の枝野幸男幹事長代理は「間接経費は徹底的に縮減してもらいたい」と研究開発以外の分野の縮減を求めたが、「宇宙開発の重要性は理解している」と繰り返した。財務省の担当主計官が「私も宇宙のロマンにあこがれを持ち、研究の人類社会への重要性を理解する一国民」と述べると会場内に笑いが広がった。

 山崎さんに発言の機会はなかったが、記者団に「宇宙開発の意義を(仕分け人も)共有していたのは、現場で働く者としてうれしい。削減の努力は継続するが、現場はギリギリのところで頑張っている」と理解を求めた。

 昨秋の仕分け第1弾では、はやぶさ2の開発費を含む予算に「縮減」判定を下し、中型ロケット「GX」計画も予算計上見送りと判断。次世代スーパーコンピューターの開発費用を縮減と判定したこともあいまって、「民主党は科学技術を切り捨てようとしている」との批判を招いていた。【青木純、倉田陶子】

 ◇はやぶさ2◇

 はやぶさが小惑星イトカワに到着した翌年(06年)に計画が始動し、14~15年の打ち上げを目指す。有機物や水を含む鉱物に富むとみられる小惑星「1999JU3」(直径約900メートル)に探査ロボットを着陸させるほか、人工クレーターをつくって地下の物質を採取し、20年に地球に持ち帰る。開発・打ち上げ費用は約264億円。10年度予算の概算要求に開発費17億円を計上したが、政権交代で3000万円に減額。来年度に予算化されなければ、14年打ち上げは困難とみられている。

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