【国際】チュニジア政権崩壊、大統領サウジに亡命 騒乱拡大で「非常事態」2011年1月15日 夕刊
【ベイルート=内田康】チュニジアのベンアリ大統領(74)は14日、辞任して同国を出国、サウジアラビアに事実上亡命した。大統領退陣を求める市民の抗議デモを収束させられず、1987年から続いた事実上の独裁体制は崩壊した。ガンヌーシ首相が臨時大統領に就き、国営放送を通じて国民に「愛国心と団結を見せてほしい」と平静を呼び掛けた。 サウジアラビアは15日、ベンアリ大統領と家族の到着を確認し、歓迎すると正式に発表した。ロイター通信などによると、到着先は同国西部の港湾都市ジッダ。出国先は当初、関係の深いフランスが有力視されたが、サルコジ大統領が受け入れを拒んたという。 チュニジアの野党系新聞の記者によると、14日深夜になっても首都チュニスでは時折、銃声が響いている。商店で略奪が起きているとの情報もあり、治安状況は不透明だ。 政府は同日夜、首相の臨時大統領就任の発表に先立ち、全土に非常事態宣言を発令した。3人以上の集会が禁じられ、治安当局には、指示に従わない市民に対する銃使用が許可された。チュニス郊外の国際空港は軍が制圧し、閉鎖された。 政権への抗議デモは、失業中の若者が焼身自殺を図ったのを機に12月17日、中部シディブジドで始まった。高失業率や食料品価格の上昇、政府の腐敗に怒る市民のデモは全土に拡大した。 ベンアリ大統領は13日、2014年の大統領選に6選を目指して出馬しないと宣言したが、14日にはチュニスで、約8000人が大統領の即時退陣を求めてデモを展開した。これを受け、政府は首相以下の内閣総辞職と半年以内の下院選挙(総選挙)を行うと発表していた。 パリの人権団体の集計では、12月以降のデモ隊と治安部隊の衝突で計66人が死亡した。これに加え、13日夜の衝突でも十数人が死亡した。 PR情報
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