朝鮮半島“深入り”まずい?
2011/01/16 08:54更新
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【から(韓)くに便り】ソウル支局長・黒田勝弘
先ごろ北沢俊美防衛相がソウルを訪問し、金寛鎮国防相と会談した際、韓国メディアに面白い論評が出ていた。会談は、物資の相互提供や軍事情報保護協定の締結など軍事協力拡大に向けたものだったが、論評は「日本と韓国の“軍事協力”は1300年ぶりだ」という。「はて?」と思ったが、663年の「白村江の戦い」以来というのだ。
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記事本文の続き 「白村江の戦い」は日本の歴史教科書には必ず出ている。当時の朝鮮半島には統一国家はなかった。これは新羅・唐の連合軍と百済・日本の連合軍の戦いだった。
日本からは百済支援のため3万人もの大軍が派遣された。現在の韓国・中西部の忠清道と全羅道の境の錦江河口で決戦となり、百済・日本連合軍は大敗した。
韓国の歴史教科書には「倭の水軍が百済復興軍を支援するため白江の河口まで来たが敗れ追い払われた」(高校国史)とさりげなく出ているだけだが、日韓の軍事協力はそれ以来というのだ。
新羅はその後、北方の高句麗も滅ぼし朝鮮半島初の統一国家になる。新羅は唐つまり中国の支援で国家統一に成功し、日本が支援した百済は滅亡というわけだが、この史実は現在を考える時、興味深い。
今も朝鮮半島は南北に分かれて対立しお互い「統一」を叫んでいる。北朝鮮は中国の支援を受け、南の韓国は米国の支援に加え日本の“協力”も受けようというわけだ。
中朝対日米韓という対立構図である。ただ1300年前と異なるのは、統一に向けては中国が支援する北朝鮮より、日米の支援を受けた韓国が優勢に見える点だ。
中国は60年前の朝鮮戦争の時、北朝鮮を支援し南北統一寸前までいったが、現在は逆に韓国主導の統一に危機感を感じている。韓国による南北統一は朝鮮半島全体が日米の影響圏に入ることを意味する。
そこで中国はそれを阻止しようと“死に体”に近い北朝鮮を懸命に支えているというのが、現在だ。
朝鮮半島への中国介入の歴史は長く深い。「白村江の戦い」のほか、高麗を支配したモンゴル人の「元」は元・高麗連合軍として日本に侵攻(13世紀後半の元寇)している。16世紀末の日本の秀吉軍の“朝鮮出兵”には「明」軍が対抗して救援にかけつけ、19世紀末の日清戦争では「清」軍が出兵し、20世紀の朝鮮戦争は前述の通りだ。
朝鮮戦争だって、日本の後方支援がなければ韓国・国連軍は中朝軍の侵攻を押し戻せなかっただろう。
こう見てくると日本も随分、介入したり介入させられたりしているのだが、その基本的動機はやはり北方大陸からの“脅威”に対する日本の安全保障だった。日本が20世紀前半の一時期、朝鮮半島を“併合”のかたちで支配したのも、当時のロシア(後のソ連)という北方の脅威から日本を守るためだった。
日本は「白村江の戦い」の敗戦後、唐・新羅連合軍の日本侵攻を恐れて九州に「防人」を置くなど備えを固めた。今また中国の脅威が語られるが、その分だけ朝鮮半島の“値段”が上がることになる。
だから中国とうまく付き合わないとその値段はつり上がる。昔から日本にとって朝鮮半島は重要だからいつも介入せざるをえないが、歴史的経験からすれば、海を渡って単独ないし直接介入などといった“深入り”は避けたい?
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