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菅再改造内閣:「このままでは戦えぬ」 統一選控え、道内の民主関係者

 野党から「たらい回し」と批判も出ている菅再改造内閣。4月に統一地方選を控える北海道内の民主党公認立候補予定者の不安はぬぐい切れず「このままでは戦えない」との声も聞かれる。

 道議会民主党・道民連合会長の三津丈夫道議(64)=帯広市=は「菅さん中心の仲良し内閣とみられても仕方がない」と指摘。藤井裕久元財務相の官房副長官起用などを念頭に「終わった人たちの印象はぬぐえない。(官房長官に起用された)枝野(幸男)さんには、ねじれ国会を作った責任があり、どう党をまとめてコントロールしていくのか。(統一地方選は)率直にしんどい」と不満を漏らした。

 札幌市豊平区から道議選に立候補を予定している新人、松山丈史氏(36)は「(顔ぶれは)これまでより増税路線、経済路線にシフトしたのかなという印象を受ける。国政と地方は別だとは思うがTPP(環太平洋パートナーシップ協定)参加に傾けば、道内の選挙情勢にも影響が出るのではないか」と懸念した。

 佐々木邦男・旭川市議(70)は「党派にこだわらず実務をやりたいという与謝野(馨)さんの入閣も、理解できないことはない」と一定の評価をする。ただ「党や内閣への批判は、国民にまだ党の考え方が十分理解されず、政治とカネの問題を今も引きずっているからだ」とも述べ、党内対立を残したままの改造では政権浮揚に直接つながらないとの見方を示した。【三沢邦彦、横田信行、岸川弘明】

 ◇農業関係者はTPP危機感

 今回の内閣改造では、経済産業相をTPP参加に慎重な大畠章宏氏から推進派とされる海江田万里氏に交代させるなど「平成の開国」を唱える菅直人首相のTPP積極姿勢に傾いた。道内の農業関係者には警戒も広がっている。

 TPP反対派の松木謙公・農林水産政務官(衆院北海道12区)は同省の政務三役人事について「(政権内で)TPPに賛成できない人は代わってもらうという話がまことしやかに出ている」と述べ、菅首相の姿勢を暗に批判。JA北海道中央会の幹部は「菅首相が自ら6月をめどに方向性を示すと表明している。TPPは社会の仕組みを根底から覆すと訴えていくのみだ」と危機感をあらわにした。【鈴木勝一】

 ◇「簡単に変わらぬ」有権者冷めた見方

 有権者からは冷めた意見が多かった。千葉市中央区の無職、石田信夫さん(81)は「仙谷(由人)氏と馬淵(澄夫)氏を外したのは他党に許してもらうためとしか映らない」と否定的。岐阜市の派遣労働者、西尾和実さん(49)も「変えようとする姿は見えるが、簡単には変わらないだろう」と期待感は薄い。中には解散を求める意見も。熊本市の会社員、村上勲さん(52)は「菅さんは小手先に走らず、総選挙で国民の声にしっかりと耳を傾けるべきだ」と語った。一方で札幌市中央区の会社員、小砂志津子さん(34)は「目先の支持率に振り回されず、(内閣が)やろうとしていることに目を向けたい」と今後を見守る意見。

毎日新聞 2011年1月15日 北海道朝刊

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