日本球界のスーパーエースと列島注目のゴールデンルーキーの初共演に、無数のカメラのフラッシュが光る。親会社の日本ハムグループ商品展示会のセレモニー。ダルビッシュと斎藤が同じ壇上に並ぶ。公の場では初対面だ。
立ち位置も離れ、残念ながらツーショットは実現しなかったが、斎藤はダルビッシュの圧倒的な存在感を肌でヒシヒシと感じ取っていた。
「昨年末に一度(ヤクルトの)青木さんを通じてお会いしましたが、すごく体が大きくて、雰囲気があるというか…。目指すべきところはダルビッシュさんなんだなと改めて感じました」
斎藤が目を輝かせる一方、ダルビッシュは大物新人の人間性を絶賛。「ボクとは人間としての質が違う。自分はムチャクチャなことを言っていたし、態度も違った。結局、キャンプでも“やっちゃって”ますから。それとは全然、違う」。
な、なんと、ダルはプロ1年目の2005年に起こした沖縄春季キャンプ中のパチンコ&喫煙事件とドラフト前の喫煙騒動を引き合いに出し、斎藤が品行方正な青年だと太鼓判を押したのだ。
パチンコもやらずたばこも吸わない斎藤だが、「自分もけっこうムチャクチャですけどね」と苦笑い。それでも「キャンプで一緒に練習させてもらえたら、全部聞きたい。ウエート(トレーニングの方法)や食生活を含めて勉強したい」と意欲満々。筋量を増やして脂肪を削り、体重を100キロ超にしたダルのトレーニング法などを学ぼうと必死だ。尊敬する先輩との“飲みニケーション”も「新人ですが、誘われたら行きたい」と楽しみにしている。
新人時代はやんちゃだったダルビッシュも、今や投手では球界最高年俸の5億円プレーヤー。昨年末に斎藤と初対面した際は「自分の理論を持て」とアドバイスしていた。この日はほとんど会話できなかったが、「(早大同期の)大石君が気になると思うけど西武は走らせるチーム。日本ハムは練習スケジュールが軽いけどベスト。やりすぎないようにすれば問題ない」と気遣った。
片や早大野球部主将も務めた優等生、片や私生活も波瀾万丈−。一見、対照的な2人だが、投手として目指すところは同じだ。「チームメートだから見られるところもある。早く生で投げるところが見たい」と斎藤は熱望。2月の沖縄・名護春季キャンプでダルと佑ちゃんが合体すれば…。さらなるパワーアップ、日本一奪回を目指すチーム力の底上げにつながる。(吉村大佑)