入院患者の爪を切り、傷害の罪に問われたものの、裁判で無罪が確定した北九州市内の病院の元看護課長の女性に対し、福岡高等裁判所は、不当に身柄を拘束した補償として127万円余りを支払うことを決めました。
北九州市八幡東区の病院の看護課長だった上田里美さん(44)は、認知症の入院患者の爪を切り、傷害の罪に問われましたが、去年9月、2審で無罪が確定しました。上田さんは、逮捕されてから保釈されるまでの102日間の刑事補償を請求していました。これについて、福岡高等裁判所は、14日、「看護師としてのケアだと説明したのに、捜査機関は耳を傾けず、証拠を十分に吟味しないまま、『爪をはいだ』として起訴した。上田さんは病院を解雇されたうえ、大きく報道されるなど多大な精神的苦痛を被った」として、1日当たりの補償額を、法律で決められた最高額の1万2500円として、あわせて127万円余りを支払うことを決めました。決定について、上田さんは「裁判所が私の主張をすべて認めてくれたことを本当にうれしく思います」とするコメントを発表しました。