2011年1月16日9時0分
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■通信網は限界?膨張に壁も
ただ、動画配信の膨張には壁もある。ネット接続を提供している通信業界の反発だ。
米国では、ネット接続料は定額制が一般的。そのため、通信インフラを多額の投資で構築しているネット接続業者は、情報量が膨大な動画配信に「ただ乗りされている」と批判を強めている。
有力なネット接続業者でもあるケーブルテレビ会社にとっては、本業である番組放送が動画配信に押されている、との事情もある。トラフィックの多い一部配信サービスの利用を制限するネット接続業者も現れ始めた。
このため米連邦通信委員会(FCC)は昨年12月下旬、番組素材の内容によって、ネット利用を制限する行為を原則禁止する決定をした。オバマ大統領は「ネットの自由と開放性を保証した」とこの決定を評価した。
しかし、米メディアの試算によると、このままではトラフィックの急増にネット接続業者の設備投資が追いつけず、14年には接続業者の事業モデルが行き詰まるという。ブロードバンド網が破綻(はたん)したり、それを回避するために業界がデータ通信量に応じた従量課金制度に移行したりすれば、動画配信事業はいまのような急伸を続けられなくなる恐れがある。
大手テレビ局も、グーグルの基本ソフトを積んだネットテレビに対し一部番組の配信を停止するなど、警戒感は残る。だが、米ITアナリストは「利用者の要請は止まらない。ゆくゆくはネットがCDにとって代わった音楽業界と同様、動画もネット配信が主流になる」とみている。(ニューヨーク=山川一基)