青森大学(末永洋一学長)は14日、2008年4月から今月11日までに、通学実体のない140人(大学院生を含む)の留学生を除籍処分としていたと発表した。除籍となった学生の大部分が同大と提携を結んだ中国の学校からの留学生だった。仙台入国管理局は日本で働くのが目的の偽装留学の可能性が高いとみて除籍となった学生に国外退去を求め、ほとんどが既に出国している。末永学長は「留学生の受け入れ審査に甘さがあった」と陳謝し、留学生の受け入れ体制を見直す方針を示した。
同大では、06年ごろから、学生数確保のため、中国人留学生の積極的な受け入れを開始。提携を結んだ中国の日本語学校など3校を中心に学生を募集した。
入学を審査する際、現地に職員を派遣し、面接や学費の支払い能力があるかなどを書類で確認していた。除籍となった留学生のほとんどは入学金や1年分の学費約65万円を前納したが、徐々に通学実体がなくなり、連絡も取れなくなった。その後、除籍となった学生の書類を精査した結果、日本語試験で他人と同じ解答が複数あることや書類の偽造が次々と発覚。末永学長は「私たちの能力や知見では書類の偽装を見抜くことができなかった」と述べた。
除籍となった学生の大半が県外でアルバイトなどをしていたが、末永学長は「偽装留学ではないか」と問われると、「結果として利用された。甘さがあったことは認めるが、手助けはしていない」と語気を強めた。
末永学長は中国の学校との提携関係を解消したとし、当面中国人留学生を受け入れないと表明。また、19日にも調査委員会を設置し、今回の問題を調査していくとした。