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[25319] 【ネタ】普通少女ほのぼのなのは
Name: MRZ◆a32b15e6 ID:c440fc23
Date: 2011/01/14 16:55
この物語は、なのは達の平凡な日常を淡々と描くものです。過度な期待はしないでください。
後、この作品を読む時は心を広くして、原作から3メートル……いや3マイルは離れて見てください。



[25319] 【ネタ】普通少女ほのぼのなのは 1
Name: MRZ◆a32b15e6 ID:c440fc23
Date: 2011/01/14 16:35
 高町なのはは朝が弱い。正確に言えば早起きが苦手だ。だが、最近はそれをせざるを得ない状況に陥っている。原因は、同じ部屋で過ごしている双子の妹。

「……起きたのですか?」

「……起こされたの間違いだよ、ほのか」

 高町ほのか。なのはの双子の妹で、口調は丁寧なのだが、どこか配慮に欠ける部分が見える少女。そして、性格は一言で言えば……

「そうですか。では、私は母さんの手伝いをしますので」

 冷酷。優しさがない訳ではない。だが、冷酷。誰が相手でもそれは変わる事がない。士郎や恭也はそれさえも可愛いと溺愛しているのだが、なのはにはその可愛さがいまいち理解出来なかったりする。
 ほのかは、小学三年になったのをキッカケに家の手伝いを活発にするようになった。なのはもしない訳ではないが、どうしてもほのかには負ける。何せ、こうして早起きをして、母である桃子の手伝いさえするのだから。

 着替えを終えて部屋を出て行くほのかを見つめ、なのはは仕方なく眠い目を擦りながら伸びをした。そう、こうしてなのはも早起きを半ば強制的にさせられているのだ。なのはとほのかは同じベッドで寝ている。そのため、どちらかが起きると否応無く目が覚める。
 最近、二段ベッドにしようと案も出たのだが、それをほのかは拒否したのだ。理由は簡単。なのはと共に寝られないのは、ほのかにとって寂しい事なのだからだ。無論、それをほのかは正直に告げた。

―――それでは、朝が苦手ななのはを不可抗力で起こしてしまうという楽しみが無くなってしまいます。なので、それは困ります。

 こう言って。それに士郎達は素直じゃないと笑って済ませたが、なのははそれが本音だと知っている。でも、ちゃんとその根底にあるほのかの気持ちも分かっているので、なのはも特に何か文句は言わなかった。

(ほのかは嫌なんだよね。私と別々に過ごすのが)

 学校に行く事になった時、いつも落ち着いているほのかが、一度だけ大きくうろたえた事があった。それは、クラス分けを見た時。なのはと別のクラスになると知った瞬間、ほのかは無表情で職員室へ乗り込み、なのはと同じクラスにしろと直談判しに行ったのだ。
 それをなのはは聞いて、苦笑いすると同時に嬉しくなったのだ。普段、ほのかはなのはをあまり大事に思っていないような節がある。だが、その奥底では自分と同じように愛する家族と考え、離れたくないと思ってくれているのだと分かったから。

 そんな事を思い出し、なのははふと携帯を見つめる。その電源を入れ、メールの受信をチェック。すると、予想通りいつもの三つ子からメールが一件ずつ入っていた。

「アリシアちゃんに、フェイトちゃんと……ライカちゃん、また漢字間違えてる。どこ燃やすつもりかな……」

 テスタロッサ家の末娘。ライカ・テスタロッサからのおやすみメールを見ながら、なのはは苦笑。その文面はこう。

―――じゃ、また明日学校で。おやすみなのは。あ、明日の放火後ゲームやろ。

 その誤字を気付かないライカの駄目さ加減に、なのはは苦笑しつつ着替えを始める。自分もほのかのように母の手伝いをしなければ。そう思いながら、なのははパジャマを脱ぎ出すのだった……



 同時刻、テスタロッサ家。フェイトは、まだ日が昇ってそう時間は経ってないだろう空を見つめて頷いた。この時間なら、まだアルフもプレシアも寝ているだろうと。父を物心つく前に亡くし、以来母であるプレシアと助手のリニスが二人でフェイト達三人を育ててきたのだ。
 幼いフェイト達の相手はリニスの妹であるアルフがし、三人はすくすくと育った。若干、長女と三女が天然で頭の出来が少しと言われるようになってしまったが。

「リニスはもう……起きてるや。着替えてランニング行ってくるって伝えないと」

 フェイトは運動が得意。中でも速さを競う競技が好きだった。このままいけば、オリンピックにも出られるかもしれないと、なのはの父である士郎に言われた程だ。そのため、フェイトはこうして毎朝士郎達のランニングに付き合う事にした。
 だが、プレシアとアルフはそれに猛反対。いくら何でも時間が早すぎる。大人のペースに合わせるなんて無茶だ。そんな事を言われたのだ。故に、フェイトは二人が寝ている時間に動き出し、阻止されないようにする事にしたのだ。

 素早く出来るだけ音を立てずに着替えを終え、フェイトは部屋を出ようとする。その途中、ライカの布団がはだけていたので、掛け直してやるのも忘れずに。アリシアも寝乱れてはいたが、そのままにした。アリシアは意外と感覚が鋭く、下手に何かするとそれで目を覚ましてしまうのだ。
 故に、フェイトは申し訳なく思い、小さくゴメンと呟いた。部屋のドアを開け、キッチンで朝食の支度をしているリニスに向かってフェイトは小さい声で挨拶した。それにリニスは気付き、その手を止め振り向いた。

「おはようございますフェイト。ランニングですか?」

「うん。いつもと同じで母さん達には内緒にして」

「ふふっ、分かってます。気をつけて」

「うん。じゃあ、行ってきます」

 リニスへ手を振り、フェイトは玄関へ向かった。その背に軽く手を振りながら、リニスは見送る。そして、その姿が完全に見えなくなったのを確認し、小さくため息を吐いた。
 そのままの表情で、リニスは隠れてそれを見ていたプレシアへ視線を向けた。そう、プレシアはフェイトが自分に隠れて早朝ランニングをしている事を知っているのだ。にも関らず、こうしてフェイトを止める事なく見つめるのみ。

「……いい加減、面と向かって許してあげたらどうです?」

「駄目よ。そうなったら、フェイトは無茶し始めるもの。今は何かあったら、私達に怒られると思って加減してるだけだから」

 プレシアはそう言って、ベランダへ向かう。その背を見つめ、リニスは苦笑。何故なら、その行動はフェイトを見るためなのだ。プレシアはベランダに出ると、下の様子を見つめる。そこには、マンションから出て高町家を目指して走り出すフェイトがいた。こうやって、毎朝フェイトをベランダから見送るのが、最近のプレシアの日課。
 その表情はどう見ても微笑ましい母親のもの。リニスはそれを見つめ、笑みを浮かべつつ支度を再開。研究者であるプレシアは、機械工学の隠れた天才と名高い月村忍と共同研究をするため、この海鳴を訪れた。それがキッカケで三人娘が友達を得る事になり、リニスとアルフも、忍や美由希を始めとする同年代ぐらいの友人知人を得る事が出来たのだ。

(……あ、そういえば今度の日曜は、シャマルさん達と買い物に行く約束がありました。着る物を選んでおかないと……)

 そう考えながら、リニスはハムを人数分切り分ける。それを焼く匂いでアルフが目を覚まして、キッチンへフラフラと現れるのだった……



「……今日は少し遅いな、シグナム」

「ああ」

「……おはよう」

「おはようふうか。今日は早いな」

 リビングで眠そうな目を擦りながら、朝の国営放送を見つめている少女へ、シグナムはそう答えた。はやての双子の妹であるふうか。彼女は、実はこの八神家の表向きの最高権力者である。
 性格は唯我独尊といった印象が強いが、自分よりも年下の者や格下と感じた相手には慈悲(と言う名の優しさ)を見せる。逆に格上と感じた相手には反骨心を見せ、何とか負かしてやろうとする傾向がある。
 だが、姉のはやて曰く「ふうかはただ不器用で素直になれへんだけや」という結論に達しているので、全員がそう思っているためそこまでどうこう言われる事はない。

 シグナムとふうかが話すのを聞きながら、ナハトは顔を上げた冷蔵庫へ再び視線を戻す。そして、シグナムは周囲を見回し、本来ならいるであろう者の姿を捜した。

「ザフィーラはどうした?」

「今日は走ってくると言っていた。おそらく町外れまで行っているのだろう」

「そうか」

「飽きぬものよ。何が楽しいのやら」

 そう会話しながら、ナハトは再び冷蔵庫の中身と睨めっこ。シグナムはその傍へ近付き、牛乳を取り出した。ふうかはアナウンサーがいつ原稿を噛むか待っている。噛んだ瞬間、それみろと嘲笑うつもりなのだろうか。ともあれ、これも八神家の朝の光景。だが、ここ八神家では意外な光景だ。
 ここにふうかがおらず、ザフィーラがいて、普段の朝の光景は完成するのだから。ザフィーラがいない今、これは地味に珍しいものだと言える。後、ここに稀にシャマルかはやてがいる事もあるのだが、その場合は確実に朝食準備へシャマルを加えないよう、シグナムかザフィーラが奮戦する事になる。

「今日は和食か?」

「ん? 洋食ではないのか」

「……決めかねている。どちらがいい?」

 そう言いながら、ナハトは冷蔵庫の中から味噌を取り出す。それは、早目に言わないと和食にするぞと言う無言の発言。それにシグナムは苦笑しながら、和食がいいと返す。ふうかもそれに異論はないと答え、それにナハトは頷いて、献立を決めようと考え出したのだが、そこへシグナムがどこか楽しそうに告げた。

―――ああ、それと澄ましが飲みたいな。

 それが、味噌汁を作る気でいたナハトに対する軽い悪戯だと分かり、味噌を手にしていたナハトが少しだけ笑みを見せるが、シグナムはその視線を何処吹く風とばかりに庭へと向かって歩き出す。そして、愛用の竹刀を片手に日課の素振りを開始するのだった、
 それを眺め、ナハトは気を取り直して味噌をしまう。そして、シグナムの要望を叶えるべく再び考え出す。ふうかはそんな中、ようやくアナウンサーが噛んだのを聞き、嬉そうに口元を歪める。そんな八神家の朝の一幕だった……



 聖祥大付属小学校。なのは達が通う学校である。下駄箱まで大勢で歩くなのは達。それは当然と言えた。なのはとほのかの双子と、アリシア、フェイト、ライカの三つ子。はやてとふうかの双子とヴィータとリインの四姉妹に、すずかとアリサを加えた十一人で歩いているのだから。
 やがて、それも分かれる事になる。なのは、フェイト、はやて、すずか、アリサの五人が同じクラス。ほのか、ライカ、ふうかの三人で別のクラス。アリシアは一人と孤独だが、クラスにいけば友達は多いので関係ない。ヴィータは二年生でリインは一年生のため階自体が違うのだ。

「じゃあなはやて、ふうか……それとその他大勢」

「ヴィータちゃん、その言い方はどうかと思うですよ」

 まずヴィータとリインがなのは達と別れて歩き出す。それを見送り、なのは達も動き出した。話題としてなのはが朝見たメールを話し出すと、アリサとほのかが呆れた表情を見せ、すずかとフェイトが苦笑。ふうかはライカを見てどこか哀れむような視線を送る。
 アリシアとはやてはそれに素直に笑い、なのははライカへ、もう一度文字を読み直す癖つけた方がいいとアドバイス。それにライカは頷くも、笑っているはやて達二人に怒りを見せる。そんな楽しげな雰囲気のまま、少女達は歩く。今日、この日常に加わる事となる者と出会うとは知らずに。

「あ、じゃ私はここで」

「アリシア、今日の帰りは一緒で大丈夫?」

「う~……今日は止めとく」

 フェイトの問いかけにそう答え、アリシアは自分のクラスへと入っていく。その瞬間、聞こえる多くの朝の挨拶の応酬。アリシアが人気者だと良く分かるというものだ。それを聞いて、なのは達はまた少し歩き、今度はほのか達が……

「では、私達はここで」

「うん。じゃ、放課後迎えに来るね、ほのか」

「なのは、今日の放課後に僕とゲーム対決だ!」

「廊下で騒ぐな馬鹿者。ほら、行くぞ」

「何を! バカって言った方がバカなんだ。や~い、バ~カバ~カ!」

「貴様も言っておるではないかっ!」

 ライカとふうかが喧嘩しながら教室へ入って行くのを見送り、フェイトとはやてが、ほのかの手をそれぞれ掴みながら告げる。

「ほのか、今日もライカを頼むね」

「ほのかちゃん、今日もふうかを頼むな」

「……いつもの事ですが、私ばかり負担が大きいですね」

 二人のやや疲れた顔にほのかはそう不満そうに答える。それになのはとすずかが揃って苦笑。アリサは諦めなさいとばかりにその肩に手を置いた。それにほのかも頷き、教室へと入っていく。
 そこから聞こえるライカとふうかの漫才のような会話。それに的確且つ鋭い突っ込みを入れるほのか。それに五人は困ったような表情を浮かべて歩き出す。

「何だかんだで仲良いわよね、あの三人」

「わたしらと同じ顔しとるけど、性格全然違うのにな。何でやろ?」

「でも、結構見てると似てる時もあるよ。特にフェイトちゃん達」

 すすかの言葉にフェイトが不思議そうに首を傾げるが、なのは達は何となく分かるのか頷いていた。そう、ライカとフェイト、そしてアリシアは基本的に素直。言われた事を鵜呑みにする傾向が強いのだ。
 そのため、よくアリサとはやてのからかいの被害を受けている。まぁ、フェイトとアリシアは少しずつ学習しているので、最近はそうでもないが、ライカだけは一向に変化がなく、未だにやれば必ず引っかかるのだから。

 その後も教室で五人は話し続ける。話題は今日の放課後の事。なのはとライカはゲーム対決をする事となっているので、おそらくそこにほのかも加わって、ライカが高町姉妹にボロボロにされるのは確定している。
 問題は、そこにフェイトが援軍として参加するか否かだ。アリサはすずかと共にバイオリン教室。はやてはふうかと家で読書をする事に決めていて、アリシアは多分クラスの友人達と遊ぶだろうと判断された。

 正直、フェイトもそこまでゲームが得意ではない。超必殺技や逆転ばかり狙うライカよりは強いぐらいだ。それでも、たまにそれがはまるとライカは無類の強さを発揮するのだが。
 そんな事を考えながら、フェイトは仕方なく後で助けを求める事にした。それは、近所に住む年上の中学生と高校生。クロノ・ハラオウンとエイミィ・リミエッタだ。クロノは真面目な少年で、将来は父親のような立派な警察官になるために、勉強に励んでいる。エイミィはそのクロノの父であるクライドの知り合いの娘で、国際交流で海外に行く事になってしまった両親が、高校受験を控えたエイミィを託したのだ。
 以来、クロノの事を弟のように思い、よくからかっていた。そして、現在も高校卒業までハラオウン家で過ごす事になっていて、フェイトもたまに会った時には色々と話す事もある相手である。

「……クロノ達を誘ってもいいかな?」

「クロノ君かぁ……ほのかがいるけどいいの?」

 クロノはほのかに苦手意識を持っている。それは、ほのかのスタンスがどこかエイミィに通じるものがあるから。人をからかって楽しむというその一点において、ほのかとエイミィは意気投合するのだ。
 実際、フェイトを通じて初めて会った際、二人はほんの少し会話しただけで同志と呼び合ったのだから。それを思い出して、なのはは苦笑い。フェイトもそれを思い出したのか、軽く悩んでいた。

 そんな時、チャイムが鳴った。それを聞き、クラス中が慌しく動き出す。それぞれの席に戻る中、なのははぼんやりと考える。いつか大人になった時、自分は何をしてるのかと。翠屋を継ぐのもいいし、まったく別の道を行くのも悪くない。
 ゲームが好きだし、理数には自信がある。プログラマーとかも楽しいかもしれない。そんな風に考えていると、教室のドアが開き、担任の教師が現れた。ただ、その横には見慣れない少年がいた。

(……転校生、かな?)

 色白の肌。金色の髪。顔立ちは中世的で、どちらか分からない。なのはと同じようにざわつく教室。それを教師が鎮め、黒板にその少年のものと思われる名前を書いていく。

「ユーノ……スクライア?」

 その文字を見て、なのはは変わった苗字だと感じていた。フェイト達に続いて、外国人の同級生がまた増える事になるのかと考え、なのはは話す事を少し楽しみにした。外国の話は色々と楽しい事が多いのだ。
 風習、文化、マナー等どれを取っても興味深い事だらけ。唯一の例外は、フェイト経由で知り合ったハラオウン家だけだろう。クロノ曰く妙な日本かぶれをしているため、日本に対しおかしな知識を持っていたのだ。その家の中に在るリンディの部屋は、混沌としていたのをなのはは今でも鮮明に思い出せるのだから。

「はい、静かに。今日から、皆さんと勉強する事になったお友達を紹介します」

「ユーノ・スクライアです。好きなものは考古学や遺跡調査。とは言っても、想像したりするだけですけど。あ、オカルトは守備範囲外です。よろしくお願いします」

 それに男子が興味深そうな声を上げ、女子は意外と大人っぽいユーノの喋り方に軽くざわつく。それを聞きながら、教師はユーノを空いている席へと向かわせようと教室を見回し……

「じゃ、高町さんの隣に座ってくれるかな」

「はい」

 指差された席を目指し、歩き出すユーノ。そして、なのはの隣へ座り、ユーノは視線を向けて止まった。顔に赤みが差し、なのはの方を見て戸惑っているのだ。なのははそれに疑問を感じながらも、初対面で緊張しているのだろうと思い、笑顔で挨拶をしようと決意。

「初めまして。私、高町なのは。なのはって呼んでくれていいよ」

「……え、あ、ぼ、僕はユーノ・スクライア。ユーノでいいから」

 これが、ユーノとなのはの出会い。まさか、これが将来を決める出会いだったとは、この時誰も予想しなかった……




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タイトル通り、マジカルはないです。リリカル要素もなし。ただ、なのは達を使っての平和な話を書きたかっただけです。超不定期に更新するかもしれません。

……気紛れに書きたくなったんです。許してください。



[25319] 【ネタ】普通少女ほのぼのなのは 2
Name: MRZ◆a32b15e6 ID:c440fc23
Date: 2011/01/14 16:14
 転校生が来た時、朝のホームルームが終わった後待っているのはただ一つ。

「ね、どこから来たの?」

「スクライア君って兄弟とかいる?」

「日本語上手だね」

「え、えっと……」

 質問攻めである。教師が去った瞬間、飴に群がる蟻のようにクラスメイト達が大挙して押し寄せる。なのははそれを察知し、既にその場から離れていた。薄情と言うなかれ。それをしなければ、なのははその大群に押し潰されていたのだから。
 しかし、そのなのはの動きを見ていたアリサがどこか呆れるように呟いた。

「……あんた、普段からそれぐらい素早く動きなさいよ」

「あぅ」

「あ、アリサちゃん。なのはちゃんも必死だったんだよ」

 アリサの言葉になのはが小さく呻くのを聞き、すずかがそうフォローする。フェイトは、そんななのはへ気にする事はないと声を掛けるが、はやてはそれを横目にしながらユーノの方へ視線をやり、ため息一つ。
 フェイトがクラス替えで自己紹介した後の時を思い出したのだ。あの時もフェイトの容姿の愛らしさなどで大勢(主に男子)が同じように押し寄せたのだから。その時は、男子顔負けの迫力を持つアリサがそれを制御(従わせたとも言う)し、フェイトは事無きを得た。

 だが、ユーノに群がっているのは女子が多い。女子七、男子三といった割合だろうか。それもはやてのため息の理由の一つ。

(あの子、このままやと男の子から軽く浮いてまうな……)

 学級委員をしているはやてにとって、クラス内の不和は出来れば避けたい。なので、ユーノが同性から疎まれるような事にはしたくないのだ。そのため、はやては視線をアリサへ移す。どうやらそれをアリサも考えていたらしく、視線がかち合う。
 そして、互いに頷く。視線のみの会話。アリサが男子を、はやてが女子を抑えてユーノへの質問を制御し、嫉妬を最小限に留めるべく動き出した。それを見て、なのは達三人は苦笑。

「息ピッタリだね、はやてちゃんとアリサちゃん」

「さすが学級委員と副委員」

「……でも、たまにアリサの事を番長って言う子がいるよ?」

 フェイトの呟きになのはとすずかは苦笑い。確かにアリサはそういうイメージがあるからだ。搦め手のはやて。正攻法のアリサ。そんな二つ名が密かに付けられる程、二人は色々と学年では有名な存在だったりするのだから。
 今も二人が息を合わせてユーノの周囲を整理している。アリサが質問を受け付け、はやてがそれをユーノへ尋ねる。まるで外国のタレントへのインタビューみたいだとなのはが言えば、すずかとフェイトが同意するように頷いた。

 通訳をはやて、マネージャーがアリサといったところだろうか。ともあれ、なのはのクラスに現れた少年は、こうして同性から疎まれる事もなく、無事に転校生としての通過儀礼を終えたのだった……



「さっきは本当にありがとう。八神さん、バニングスさん」

「ええよええよ。あれも学級委員の務めや」

「ま、そういう事よ。あ、後名前でいいわ。アタシもユーノって呼ぶから」

 昼休みになり、ユーノは律儀にも真っ先にはやてとアリサへ礼を言いに来た。何しろ、あの質問攻めの終わりは授業開始だったのだ。それまではやてとアリサは、ユーノのために生徒達の質問を処理していた。その事をについての礼が言えずじまいだったので、ユーノはこうして二人へ感謝を告げたのだ。

 丁度、二人はなのは達と共に、昼食を食べるため屋上へ移動しようとしていた。それを引き止める形になり、ユーノはどこか申し訳ないように感じるが、なのは達もそれに気にした様子もなく、むしろそんなユーノの反応に好感を抱いたぐらいだ。

「じゃ、行こう。ライカ達も待ってるだろうし」

「そうだね。ほのかちゃんが苦労しないように早く行かないと」

「ユーノ君、また後でね」

「あ……うん」

 五人はがやがやと話しながら歩き出す。その後ろ姿を見つめ、ユーノはため息。言い出せなかったのだ。自分も一緒について行ってもいいかと。確かに先程の質問攻めを受けたため、友人は出来た。
 しかし、それとは別に親しくなりたいと思う相手が、今のユーノにはいたのだ。それは、俗に言う一目惚れ。出会った瞬間、ユーノはなのはに恋をした。最初は可愛いと思い、戸惑った。しかし、次の瞬間に見た天使の笑顔に完全にやられたのだ。

(高町なのは、か……。なのはって呼んでいいって言ってたけど……)

 そこまで考え、ユーノは頭を勢い良く左右に振った。

(そんな風に平気で呼べる訳ないじゃないかっ!)

 ユーノ・スクライア、今年で九歳。早くも恋の悩みを抱く年頃になった瞬間だった……



 お昼休みの屋上は、多くの生徒で賑わう憩いの場となっている。なのは達も晴れた日はここで昼食を取るのが決まりになって久しい。ここは、色々となのは達にとっては思い出の場所でもあるのだ。
 それは、なのはが小学一年生の頃。まだクラスとそこまで馴染めず、ほのかと二人で昼食を取っていた時だ。隣のベンチで座っていたすずかのヘアバンドをアリサが強引に奪ったのだ。それを見ていたなのはとほのかは即座に行動した。

 まず、アリサをほのかが無表情で見つめ、なのはがすずかの傍へ。そして、突然の乱入者にどこか驚いたようなアリサを見て、ほのかが一言。

―――人の物を強引に奪うとは……下品ですね。

 その言葉にアリサが激怒。ほのかへ殴りかかろうとして、その手を止めた者がいた。それはふうか。そして、はやてはその後ろから苦笑いでほのかへ近付き、注意した。

「あ~、気持ちは分かるけど、言い方を少し考えよか」

「……反論はありますが、助けてもらった事には礼を述べましょう。確か八神でしたか? 手助け、大儀」

「何が大儀だ! はやて、だから言ったのだ。こやつを助けるのは早計だと」

「け、喧嘩は止めて!」

「そうだそうだ。ケンカはりょ~せいばいなんだぞ!」

「むぐむぐ……お腹空いてるから怒るんだよ。みんな、ご飯食べよ?」

 ほのかとふうかが言い争うような雰囲気を出した瞬間、それをフェイトとライカが止めに入った。アリシアは一人お弁当を食べながら、全員にそう告げた。そのある意味で空気を読まない発言に、アリサもふうかもほのかも戦意喪失。
 それを見て、なのはが言い出したのだ。仲直りもかねてみんなで昼食を共にしようと。それにすずかとフェイト、はやてが賛同。ライカも大勢で食べる事に異議はなく、ほのかとふうかは互いの姉が言うのならと渋々頷き、アリシアはそれを聞いて嬉しそうに場所を確保した。
 唯一、アリサだけがどこか呆気に取られていたが、それを見たすずかとなのはがその目を見つめて告げたのだ。

「「一緒に食べよ?」」

 それにアリサは一瞬何か言おうとしたが、手に持っていたヘアバンドをすずかへ返して頭を下げた。それにすずかは嬉しそうに笑顔を見せると、それを受け取り礼を返す。それにアリサが余計に気まずくなったのか、戸惑うのを見てほのかが呟いた。

「怒ったり、うろたえたり……忙しいものです」

「それには我も同感だが、貴様が言うと何故か反発したくなる」

「あ、僕知ってる。それ、天邪鬼って言うんだよ」

 そんなやり取りをするほのか、ふうか、ライカ。それを見つめ、苦笑するなのは、はやて、フェイト。すずかとアリサはそれに取り残されたような印象を受けるが、そこへアリシアがニコニコと笑いながら声を掛けた。
 二人の弁当の中身が知りたいらしく、見せてくれとせがんだのだ。それに呆気に取られる二人だったが、アリシアの優しい雰囲気に心が穏やかになるのを感じて、自身の弁当を取り出し見せる。

 そして、それをキッカケになのは達は昼食を共に取るようになり、次第に仲を深めていったのだ。当時、なのはとすずか、アリサが同じクラス。ほのかとふうか、ライカはその頃からの付き合い。まだ当時はフェイトとはやての二人が同じクラスで、アリシアが一人違うクラスなのは今と一緒。
 だが、三年生になってクラス替えがあり、なのは達三人とフェイトとはやてが同じクラスになり、若干の変動があったのだ。

(……あれから、もう二年近く経つんだ……)

 ふとそんな懐かしい記憶を思い出し、なのははぼんやりと周囲を見渡す。ほのかの弁当の卵焼きと、自分の弁当に入っていたピーマンの肉詰めを無理矢理交換しようとするライカ。その隣では、アリシアとフェイトがのほほんとその肉詰めを食べていて、それを見て、どうしてライカだけは苦手なのかとはやてとすずかが不思議顔。
 アリサはふうかと今度のテストで勝負しようと持ちかけていて、その互いの視線は火花を散らしていた。そんな光景を見て、なのはは思う。これが自分達の平和なんだと。

「あ、なのはが隙だらけだ」

 そんな風にしみじみと日常を噛み締めていたなのはの弁当から、卵焼きが一つ消えて、代わりに鮮やかな緑色が姿を見せる。
 そう、ほのかの鉄壁のディフェンスに根負けしたライカが、ふとなのはの様子に気付き、これ幸いとばかりに強制交換をやってのけたのだ。

「……その抜け目の無さは誉めてあげますが、なのはを巻き込んだ覚悟は出来ていますか?」

 だが、それは眠れる魔神を目覚めさせるキッカケ。なのはに迷惑を掛ける時、この者を忘れてはいけない。隠れた危険人物ナンバー1。座右の銘は”全力全壊”。なのはをいじめていいのは私だけ、を地で行く高町ほのかである。

「あ~、ライカ? アタシ達助けないわよ」

「ほのかちゃん、なのはちゃんに手を出すと末代まで祟るって言うもんね」

「しかも、ほのかちゃんが言うと意外と洒落にならんからなぁ」

「なのはにちょっかい出していいのは自分だけだもんね。ほのかって、なのは大好きだから」

「アリシア、それぐらいにしてね。下手するとライカの次に標的にされるよ」

 口々に言い合う友人達の言葉を聞きながら、ふうかが小さくなのはへ問いかけた。

「止めなくて良いのか……?」

「えっと、ほのかの気持ちが嬉しいのと、ライカちゃんには少しお灸を据えた方がいいかなぁと……」

 そう答えてなのはは小さく笑う。それに頷いてふうかも笑う。その次の瞬間、ライカの絶叫が屋上全体に響き渡るのだった……



 その頃、ヴィータとリインは中庭で仲良く弁当を食べていた。はやて達と共に屋上で食べてもいいのだが、二人の教室からはこちらの方が近いため、良く中庭で食べていたのだ。二人もクラスに友人はいる。だが、どんなに仲が良くても、やはり家族と共に食べる食事には勝てないのだ。

 実は八神家は複雑な家庭。はやてとふうかは八神夫妻の実子だが、後は皆孤児だったのだ。子沢山を願った八神夫妻だったが、中々子供が出来ずに、孤児院から何人も子供を引き取る事にした。ナハトとシグナム、シャマルにザフィーラの四人をまず引き取ったのだが、すぐにはやてとふうかが生まれた。しかし、その後も大家族に憧れる夫妻はヴィータとリインを引き取ったのだ。
 こうして大家族となった八神家だったが、悲劇が起きた。双子を産んだため、妻は徐々に体が弱り、はやて達が四歳の時に死去。夫はその精神的ダメージから体調を崩すようになり、はやて達が五歳の時にこの世を去った。しかし、夫妻は揃って後の事をナハト達に託し、多額の生命保険を残してくれたのだ。そのため、現在八神家は一致団結して堅実な生活を送っている。

 ちなみに、八神家の弁当は基本全て長女であるナハトの手作り。次女のシャマルは料理が絶望的で、三女シグナムは家事が苦手。四女はやてはナハトから色々と教わり、家事が得意。五女ふうかは出来ない事はないが、進んでやろうとはしない。

 そして、ヴィータとリインは共にお手伝いレベル。皮むきなどは出来るが、何か料理を作る事は出来ない。長男ザフィーラは典型的な昔気質の男性で、家事は出来ないどころか台所に入ろうとさえしない。
 だが、家事をする者へは最大限の敬意を払うので、ナハトはそれにとやかく言う事はない。しかも極稀に掃除や洗濯を手伝ったりするので、もうナハトの中でザフィーラ株は鰻上りだ。以前から割りと本気で……

―――何故兄妹になってしまったのだ……

 などと呟いていたぐらいなのだから。その意見にシャマルとシグナムも頷いていたので、きっと二人もそう思う事があるのだろうとヴィータは思っている。実は、義理ならば兄妹でも結婚出来ない事はないのだが、それを幸か不幸かナハト達はまだ知らない。
 それを知った時、ザフィーラに恐ろしい事が起きるのかもしれない。そんな事も知らないヴィータとリインは、弁当を食べながら楽しく会話をしていたのだが、話題がふと途絶えてしまったため、軽い静寂が訪れる。
 すると、リインが突然何か思い出したように話し出した。本人としては、単なる会話のキッカケのつもりだったのだろう。何か話題をと思っての発言。それが、二人に微かな不安を与える事になる。

「そういえば、この前ザフィーラがリニスさんと一緒に歩いてるのを見たです」

「あたしはアルフと手合わせしてんの見た」

 瞬間、気まずそうな空気が流れる。何故かは分からない。だが、何故かこの話題は、あまり深く語り合わない方がいい気がした。と同時に絶対ナハト達には言わないでおこうとも。ヴィータとリインはそう判断し、話題を変えるべく必死に記憶を呼び起こし、同時に同じ事を思い出した。

(今度の休みに、おっちゃんが来るな……)

(今度のお休みに、おじさんが来るですよ!)

 それは、八神家が世話になっているギル・グレアムの事だ。彼はイギリス出身の男性で、元警察官の経歴を持つ国際弁護士。今は、この海鳴に事務所を構え、そこの受付としてシャマルは働いている。
 秘書として、グレアムが引き取った双子の姉妹も働いていて、名を姉がリーゼアリア。妹がリーゼロッテという。二人は、グレアムが弁護士になる決意をした、とある事件で出会った被害者の娘なのだ。

 リーゼ姉妹も八神家とは付き合いが長く、ナハトとアリアは幼馴染にも近い。ロッテもそうなのだが、よく二人に怒られていたためか、どうもナハトの事は苦手だったりする。それよりかはシャマルと仲が良いのだ。
 だが、実はロッテが一番仲が良いのはザフィーラ。共に格闘技を得意とするため、意気投合するのが早かった。以来、時間を作っては二人で手合わせをしているのだ。現状では所謂男女の仲ではなく好敵手という間柄なのだが、周囲からはどこかで疑われているのをヴィータは知らない。

「今度の休みだけどよ」

「リインは、おじさんに遊んでもらうですよ~!」

 ヴィータの言おうとしている内容を先読みし、リインはそう答えた。それにヴィータは苦笑しつつ、ちゃんとある言葉を添えるのを忘れない。

「……はやてとふうかも一緒にな。あたしはアリアに美味いお菓子作ってもらお」

「あ、いいですね。なら、ナハトお姉ちゃんにも手伝ってもらってケーキ焼いてもらうです」

 そんな会話で盛り上がる二人。だが二人はある事を忘れていた。そう、昼食を食べる事を。それに気付いたのは、昼休みが終わる五分前。無論、二人が残すという選択肢を選ぶはずもなく、早食い競争のような状態で胃に流し込んだのだった……



 海鳴で知らぬ者はいない有名喫茶店。それが翠屋だ。美味しいケーキとマスター自慢のコーヒーが売りの、お洒落で優しい雰囲気の店。そこの自慢はそれだけではなく、働いている店員にもある。

「はい、ケーキセットで~す」

 エプロンドレスに身を包んだアルフは、そう言って笑顔と共にブレンドコーヒーとガトーショコラをテーブルへ置いた。その後ろではナハトが同じ格好をしてオーダーを聞いている。二人は、ここ翠屋の看板娘。
 活発で元気が売りのアルフと、清楚で物静かなナハト。二人が働き出したのは、なのは達が関わりを持って暫くした後の事。アルフはフェイト達が学校に行くようになったため、する事をなくしていて、ナハトは家の事ばかりではなく、実入りがある事もしなければと考えていた。
 そこへなのはの家がバイトを募集しているとフェイトとはやて経由で聞き、二人は応募。結果、研修を乗り越えて店員となったのだ。以来、アルフはほぼ週五日。ナハトは週三日から四日の割合で翠屋で働いている。

「今日は比較的暇だな」

「だねぇ。ま、桃子さんやマスターもいるから忙しくなっても平気だけど」

 同時期にバイトとして働き出した事と、フェイトとはやてが同じクラスだった事もあり、アルフとナハトは仲が良かった。更に美由希やたまにバイトとして来る忍とも知り合い、今や翠屋四人娘と呼ばれる程仲を深めていた。

 そんな風に二人が話していると、珍しい客がやって来た。ザフィーラである。しかも、その隣にはアリアがいた。どうやら買い物帰りに偶然出会い、立ち話もなんなのでと、ここへ誘われたようだ。
 だが、そんな事は二人にとって意味はない。二人にとって大事なのは、想いを密かに寄せる男が女と共に現れたという事実のみ。先程までの和やかな雰囲気はどこへやら、どこか剣呑な雰囲気さえ漂わせ、二人はザフィーラ達へ近付いて行く。

「いらっしゃいませ……」

「ザフィーラ、アリアとデートか?」

「で、デートなんて……ねぇザフィーラ」

「ああ。偶然会ったのだ。そして立ち話も何だからと思って、ここを、な。それにお前達が働いている姿は、いつ見ても心が和む」

 何かを期待したようなアリアの言葉に、ザフィーラはあっさりと答えた。そして、その後半の言葉に険しかった二人の雰囲気がたちまち霧散する。それとは対照的にアリアは残念そうな表情。そんな周囲の変化にも気付かず、ザフィーラはメニューをアリアへと手渡す。
 自分はコーヒーだけでいいと告げて。それにアリアが苦笑し、頷いた。そして、ケーキセットを注文した。勿論、飲み物はザフィーラと同じコーヒーだ。

 それを聞いた瞬間、アルフとナハトは同時に悟る。アリアは間違いなくザフィーラを意識していると。些か早計と思う者もいるだろう。だが、これは女の勘という奴だ。故に理由も根拠もなく、それが彼女達の中では絶対の結論となる。
 特にアリアと仲が良いナハトとしては、これは由々しき問題だった。アリアは自分よりも女らしく、明るい性格をしている。簡単に言えば、男に好かれそうな家庭的な女性なのだ。それに引き換え、ナハトは自分を魅力がないと考えていた。

(私は家事しか取り柄のない女だ。アリアと違って明るくなど出来ないし……)

 そんな風に考えながら、ナハトは士郎の淹れているコーヒーを眺めた。その物鬱げな表情を見て、士郎は小さく笑みを浮かべてコーヒーを一杯多く淹れた。それに気付き、ナハトが不思議に思って士郎を見た。
 そんなナハトへ士郎はウインク一つ。これは、桃子には内緒でと告げて、ナハトへそれを差し出した。そして、アルフへザフィーラ達の分のコーヒーを運んでもらうように頼み、視線をナハトへ向けた。

「何か悩み事かい?」

「……分かりますか」

「まぁ……伊達に長く生きてる訳じゃないよ」

 士郎はそう言ってナハトに問いかける。溜め込むよりも誰かに言った方が楽になる事は意外と多いと。それにナハトは小さく笑みを見せ、頷いて話し出した。自分に自信が持てないのだと。取り立てて美人ではないし、女らしい部分もない。そんな風にナハトは告げた。
 それを聞いて、士郎は静かに諭すように言い聞かせた。ナハトは自分を貶め過ぎだと。現に、そんなナハトを見て士郎はとても魅力的だと思っている。そう本心からの言葉を告げると、ナハトは少し驚いたようだが、嬉しそうに笑みを見せた。

「そんな事言って、桃子さんが怒りますよ」

「その時はその時さ。俺は、自分に嘘は吐けないからね」

 そう言って士郎は笑顔でナハトを送り出す。仕事に戻って欲しいと告げて。それにナハトも苦笑しながら頷き、動き出した。それを見つめる士郎の後ろへそっと桃子が近付く。士郎はそれを気配から察しているが、何も言わない。

「さて、どう怒ろうかしら?」

「小遣い系じゃないのなら、いくらでも」

「クスッ、いいわ。ナハトさんが元気になった事でチャラにしてあげます」

「さすが母さん。妻の鑑」

「おだてても何もあげません」

 共に笑みを見せ合って言い合う高町夫妻。その様子はどこからどう見ても仲睦まじい。万年新婚と言われる所以がそこにはあった……



 月村家 忍の研究室。そこで忍とプレシアは、つい先程完成したばかりの互いの研究成果を見つめていた。

「……これで、いいはずだけど」

「起動……しないわね」

 二人が作ったのは、人工知能。次世代型のコンピュータを動かすためのシステム。それを制御し、活用する事の出来るAIを作ろうとしていたのだ。だが、完成したはずのAIは無反応。起動するそぶりが一向にない。
 パスワードを入力しても、何故かエラーと表示される。それを見て、二人は考える。何が原因か、どうしてパスを受け付けないのか。その理由をひたすら考え、それを解決する行動を実践していく。しかし、どれも意味を成さない。

「こうなると……失敗ですかね?」

「いえ、確かに試験段階では動いたわ。なら、何かキッカケがいるのよ」

「キッカケ?」

「ええ。……もしくは、私達じゃ気付かないような何かがあるのかも……」

 そう言って、プレシアは調整台に載せられている紅い宝玉を見つめる。それこそ、二人が共同で作り出した次世代型演算システムの核。

―――何とかして、目覚めさせないと。この、レイジングハートを……




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ナハトについて、説明が全然なかった事をお詫びします。お気付きの方も多いでしょうが、彼女は初代リインフォースです。名前がツヴァイと被るとややこしいと思い、夜を意味するナハトと名付けました。

原作要素が欲しいと言う方がいましたので、レイジングハート達を出します。今は彼女(?)だけですが、追々彼(?)も出そうかと思います。



[25319] 【ネタ】普通少女ほのぼのなのは 3
Name: MRZ◆a32b15e6 ID:c440fc23
Date: 2011/01/14 16:35
 多くの学生が歩く中、一組の男女がいた。それは、女子高生と男子中学生という珍しい組み合わせ。周囲を行くのは高校生ばかり。そう、彼はわざわざ彼女を迎えに高校まで来ていたのだ。無論、それは彼が望んでではない。
 彼女に要求されていたのだ。最近ある男子生徒に付き纏われて困っているから助けて欲しい。そんな風に言われ、将来警察官になろうと志す少年が断れるはずはなかった。

「いやぁ~、ホント助かるよ。クロノ君が来てくれてさ」

「……エイミィ、本当に付き纏われているのか?」

 明るく笑うエイミィへ、クロノはそう疑うように尋ねた。学校が終わるや否や、クロノはクラスメイト達へ挨拶もそこそこに、エイミィが通う風芽丘学園へ向かい、その校門前で律儀に待ったのだ。
 しかし、その間彼は周囲に妙な目で見られ、かなり恥ずかしい思いをした。エイミィが出てきた後も怪しい人物はおらず、至って平和そのものだったのだから。

「そうだよ。クロノ君が無理なら美由希ちゃんに頼もうかと思ってたんだからさ。でも、美由希ちゃんもいつもって訳にはいかないからね。クラス違うし」

 エイミィはそう言って困った顔で一人頷いた。同学年で友人の高町美由希。彼女が強い事はエイミィも良く知っている。一度見せてもらったのだその実力を。美由希はどこかでそれを嫌がったが、エイミィのどうしてもとの言葉に折れ、御神の技を見せた。その動きや技術にエイミィは純粋に凄いと思い、そう美由希へ告げたのだ。
 その自分の言葉と眼差しに美由希は何故か涙した事を思い出し、エイミィは小さく笑みを浮かべた。今では良い思い出だと感じた事に、年寄りみたいだと思ったからだ。

クロノはそれを見てどこか不思議に思うものの、エイミィの言葉を信じる事にした。歩きながらエイミィはクロノの誠意に感謝を述べる。その言い方はどこかでクロノをからかうものがあったが、その感謝を感じ取り、クロノも満更でもない様子を見せた。
 エイミィがクロノと出会ったのは、もう二年以上前。当時中学生だったエイミィを見た時、クロノは年上という事で敬語を使おうとした。だが、その堅苦しさを嫌ったエイミィによって、現在のような話し方へ変えられたのだ。
 以来、二人は姉弟のような関係を続けている。しかし、時にそれが逆転する事もあるなど、その関係は酷く曖昧だったりするが。

「……あ、そうだ。ね、クロノ君は今度の日曜空いてる?」

「空いてるが……どうしたんだ」

「いやね、映画のチケットを貰ったんだよ。ほら、これ」

 そう言ってエイミィは二枚の映画鑑賞券を見せる。それは、現在放映中のテレビで話題になったドラマの一作目の映画版。タイトルは『とらいあんぐるハート The MOVIE 1st』だ。ドラマ・映画共にこの海鳴を舞台に作られた作品だったため、クロノとてそれは良く知っている。何せ、父達警察も撮影などで仕事が増えたと苦笑していたのだから。

「……僕に恋愛ドラマを見ろ、と?」

「分かってないなぁ。映画は恋愛だけじゃないんだよ。主人公を巡り、葛藤する女性達。それを知り、自分が結論を出さなきゃと思うも、悩み迷う主人公。そこに、謎の組織の影がちらついて……っていうエンターテイメントなんだよ!」

 そう力強く断言するエイミィを見て、クロノは小さくため息を吐いた。もう、おそらくエイミィの中では、自分が参加する事は決まっていると悟ったのだ。それが決まったのは、クロノが予定がないと言った瞬間。
 故にため息。エイミィの性格を知りながら迂闊にも即答した自分の至らなさに。そして、どこまでもマイペースなエイミィの生き方に。そして、その視線を映画の魅力を語るエイミィへ向け、告げた。

「とりあえず、一作目の再構成って事は、またあの女性的な顔の主人公が悩むんだろ? 自分にコンプレックスを持つ気持ちは分からないでもないが、持って生まれた体に不満を持つのは間違ってる。僕は、そんなところが嫌いだ」

「クロノ君、厳しいねぇ……」

「それに、男らしさは顔や声じゃない。その生き方や在り方にあるはずだ。少なくても、僕は父さんを見てそう感じた。まぁ、あの主人公も最終回でその辺りを分かったみたいだったしな。映画はその辺りを詳しく描写す……待てよ? あれだけを二時間弱にするとなると……かなり大事な部分が省略されるのか……」

「……何だかんだで見てたんだね、とらハ」

 やや熱っぽく語るクロノを見て、エイミィは苦笑しつつ小さく呟くのだった……



 授業も終わり、なのはは帰り支度を開始しようとして、ふと隣へ視線をやった。するとユーノと視線が重なる。その瞬間、ユーノは弾かれるように視線を外す。そんな反応になのはは不思議顔。

(あれ? 何か私嫌われるような事したかな?)

 そう考え、今日の事を簡単に思い出すなのは。まだユーノが教科書などを持っていなかったため、二人で一つの教科書を使い過ごしたり。不意に当てられた問題の場所をユーノに教えてもらい、窮地を脱した事に笑顔で礼を述べたりと、そんな事を思い出し、どこにも視線を逸らされる要因はないと判断した。

 だが、そこでなのはは気付いた。一つだけユーノが自分の視線を逸らす理由があると。それは、ユーノの性格。人見知りだとすれば、納得がいくのだ。きっと、見つめられる事に慣れてないのだろうと、なのはは判断して、軽く笑う。
 それを横目で見ながら、ユーノが可愛いなぁと思っていたりするとは、なのはは欠片も分からない。そして、自分の中で答えを出したなのはは、ユーノへ向かって明るく告げた。

「じゃ、また明日ね。ユーノ君!」

「う、うん。明日もよろしく、な……高町さん」

 その言葉にフェイト達へ向かって走り出していたなのはは急ブレーキ。それにバランスを崩しかけるも、何とか体勢を立て直し、ユーノの方へ向かって少し疑問を浮かべて尋ねた。何故自分は名前で呼んでくれないのかと。
 そう、ユーノははやてやアリサをもう名前で呼んでいた。それに付随してすずかとフェイトさえ名前で呼んでいたのだから。それを例に出され、ユーノはやや慌てながらこう返す。

「あの、その……ホントに、いいの?」

「うん。仲良くなりたいし、私はもうユーノ君って呼んでるんだよ?」

 何も問題はないと言わんばかりのなのはの言葉に、ユーノは小さく唾を飲んで意を決して呼んだ。

「じゃ、じゃあ……また明日会おうね、なのは」

「うんっ!」

 満面の笑み。それをユーノへ見せて、なのはは今度こそ教室を出て行く。その後姿を見送り、完全にそれが見えなくなったところで、ユーノは小さくガッツポーズ。周囲、いやなのはにしてみれば何でもない事だったが、ユーノにとっては大きな一歩。
 初日から名前で呼ぶ事が出来た。次は、なのはと共に遊ぶ事だ。そう考え、ユーノは少しだけ頭を抱えたくなった。自分は何をしにこの学校へ来たのだろうと思ったのだ。実は、彼の両親は共に様々な遺跡を調査する考古学者。故にユーノは今までまともな教育を受けていなかったのだ。
 それを不憫に思った両親は、彼を知り合いに託して教育を受けさせる事にしたのだ。

(とりあえず、今日はもう帰ろう。レティおば……レティさんも今日は早く帰ってくるって言ってたし)

 自分の滞在先であるロウラン家。そこの最高権力者的存在である女性の顔を思い出し、ユーノは軽く表情を苦い物へ変えた。母の大学の友人であり、父の後輩であるレティは、現在敏腕検事として法曹界で活躍中。
 そんな彼女は、ユーノを預かった際こう告げたのだ。

―――決しておばさんと呼ばないように。

 その時の雰囲気を思い出し、ユーノは背筋を凍らせた。だが、すぐにそれから立ち直り、素早く動き出す。早目に帰り、明日に備えねばならない。それと、レティの息子であるグリフィスへ聞きたい事も出来たのだ。
 それは、翠屋の事。なのはの両親が経営している店だと本人から聞いたのだ。それは、軽く授業中に聞かれた雑談での事。家族は何人で何をしているかをユーノが答えた事に対するなのはの答えだった。

 その場所をなのはに聞く事は出来なかった。何故ならば、なのはが問いの回答者として指名されたのだ。結局その話はそこで終わり。後から聞くような勇気はその時のユーノにはなかったのだから。
 なので、この町に以前から住んでいるグリフィスなら知っているだろうと思ったのだ。どうも聞けば、翠屋は有名な店らしい。場所さえ分かれば、一度行ってみようとユーノは考えていたのだ。決して、なのはが休みの日に”エプロンドレス”で手伝ったりすると聞いたからではない。そう、断じてない。

(……け、ケーキが美味しいらしいから楽しみだなぁ)

 誰に言い訳しているのか分からないが、ユーノはそう思いながら教室を後にするのだった……



 同じ顔をした二人組が三組、仲良く歩いている。なのはの隣をほのかが、フェイトの横にはライカ。はやてのやや前をふうかが歩いている。六人の向かう先は、翠屋。はやてとふうかは、読書の前のおやつとしてシュークリームを望み、なのはとほのかもお小遣いから天引き(家族割りはある)する形でシュークリームを四人分貰おうと考えていて、フェイトとライカはその付き添い。

「ごめんね、なのは、ほのか。私達の分まで……」

「いいよいいよ。ただ、一人一つだからね、ライカちゃん」

「何で僕限定?!」

「……そう言わないと、貴方はフェイトの分まで食べるでしょうに」

 なのはの言葉に心外だという反応のライカだが、ほのかの突っ込みに小さく呻く。それを聞いてフェイトとはやてが苦笑し、ふうかだけは当然だと言わんばかりに頷いていた。
 本当はフェイトもお小遣いで買おうと思っていたのだが、ライカは既に今月分を使い切っていて、残金二十三円と哀しい状況。そのため、なのはとほのかが奢る形にしてくれたのだ。無論、シュークリームが食べたいと言い出したのは、そのライカ自身である事は言うまでもない。

「にしても、はやてちゃん達良くお金持ってるね?」

「あ~、みんなには秘密な」

「……たまに買い食いをするのが密かな楽しみなのだ」

 悪戯っぽく笑みを見せるはやてとふうか。その表情は鏡像のようにそっくりだった。その笑みになのは達は揃って笑った。ただ、ライカが自分も買い食いしてみたいと言うと、全員がまったく同じタイミングで、ばれるから止めた方がいいと言い切った。
 ここには居ないが、いればすずかとアリサも同じ事を言っただろうと誰もが思ったぐらい、簡単に想像がついたからだ。財布を落とす、もしくは誰かに見つかり没収からお説教のコンボを喰らうライカの姿を。

(……そして、何故かとばっちりで我を巻き込みそうだ)

 クラスが同じため、ふうかはライカの行動予測におまけがついた。それも、出来れば勘弁願いたい類のもの。故にライカが納得して、財布を学校に持ってこないようにしなければならないとふうかは思った。
 視線をはやてに向けると、どうやらはやてもその可能性に気付いたらしく、ふうかを見つめていた。共に頷く二人。そして、二人は揃ってどこかむくれるライカへ告げた。

「「計画的にお小遣いを使う事が絶対条件になるよ(ぞ)」」

「……僕には、無理だ……」

 その言葉に崩れ落ちるライカ。それを見てなのはとフェイトは苦笑い。何もそこまでと思ったのだ。はやてとふうかはそんなライカを見て、密かに手を合わせる。ほのかは一人そんなライカへさらりと……

―――いつまで道路に伏しているつもりですか。邪魔でしかないですよ。

 と、冷酷なまでに正論を告げた。その思いやりの欠片もない発言にライカが即座に再起動。ほのかへ怒りをあらわに向かって行く。それを口であしらいながら、それでもライカが止まらないと判断するや否や、ほのかは最後の手段に出た。

「そうですか。なら、私の担当である貴方の分は無しでいいのですね」

「な、なんだって~っ!?」

「おや? どうしました。先程までの勢いはどこへいったのです」

「ひ、ひきょ~もの! ケチ! バカ! えっと……ノー天気っ!」

「……最初の二つはともかく、後半二つは貴方自身にお返しします。それと、最後のは些か現状にはそぐわないですよ」

「なんだと~~~っ! ……そぐわないってどういう意味?」

 完全にほのかに翻弄されるライカ。二人はそのまま翠屋向かって歩いていく。それを眺め、なのは達は笑みを見せていた。何だかんだ言っても、ほのかがライカの分のシュークリームを買うと分かっているからだ。
 今も怒っていた事も忘れて、そぐわないの意味を尋ねるライカへ、ほのかは軽く呆れながらも丁寧に説明している。そして、やっと意味を理解したのかライカがほのかへ礼を述べ、それにほのかが気にするなと返していた。

 そんな光景を見ながら、なのは達も歩く。下校途中の些細な出来事。それさえも、思い出の一頁にして……



 月村家のリビングでリニスとノエルは静かにお茶を飲んでいた。忍とプレシアの研究の手伝いをしているリニスだったが、既にリニスの手が必要な状況ではなく、今は専らノエル達の茶飲み相手となっていた。
 それだけではなく、月村家の家事を手伝い、それを聞いた忍によって、専用メイド服さえ支給されてしまっていたのだ。なので、リニスは現在ノエルと同じ格好だったりする。

「……中々出てきませんね、忍さんもプレシアも」

「そうですね。後は最終確認だけと聞いたのですが……あっ」

 昼食後は意気揚々としていた二人。それが、未だに姿を見せない事に疑問を感じながら、二人は手にしたカップを置いた。ノエルの視線の先には、話題に挙がった二人がいた。しかし、その表情は冴えない。
 それを見て、リニスはすぐに原因を察した。実験に失敗したのだろうと思ったのだ。だからこそ、二人の表情が揃って曇っているに違いない。そう判断し、リニスはプレシアへ近寄った。

「気持ちは分かりますが、次があります」

「……リニス、違うのよ」

「そう、成功は成功よ。稼動はしてるから。でも、何故か現状では起動してくれないのよ」

 忍の言葉を聞き、ノエルが不思議そうに尋ねた。

「それは、失敗なのでは?」

「普通に考えたら、ね。でも、私達の作ったACS。オートマチックコントロールシステムとしては、失敗じゃないのよ」

 忍の言葉の意味を理解しかねたノエル。その顔がやや困った表情をしたのを見て、リニスが笑みと共に簡単に説明を始めた。二人が開発したシステムは、本来物言わぬ存在である機械に意志を与え、より高度な判断や行動をしてもらうためのもの。
 起動はしないが、稼動はしている。つまり、人間で言えば、起きれるのに起きたくないと駄々をこねている状態なのだ。何か目覚めるキッカケさえあれば、意志が起動し、意思疎通が可能になる。

 それを聞いてノエルも納得。要するに、何故か起動を拒否している。しかも、聞けば二人がどれだけ起こそうとしても、全て突っぱねているらしい。そのため、二人は今日のところは諦めて部屋から出て来たという訳だった。
 リニスが注いだ紅茶を飲んで一息吐く二人を見て、ノエルはふと気になった事があった。プレシアは主に専門はソフト面。忍は主にハード面のはずだ。なのに、忍が関わっている部分があまりに感じられない話だったのだ。

「お嬢様」

「ん?」

「一体、お嬢様は何を手伝ったのですか?」

 このノエルの問いかけ。それに忍は楽しそうな笑みを見せる。その答え。それは……




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今回はクロノとエイミィ登場。次回でレイジングハート関係話は一応のけりをつけようと考えています。

後、ここで皆さんにお聞きしたい事があります。レイジングハートなんですが、人間と同じようなボディを与えるか否かです。

こちらとしては、どちらでも構わないのでご意見を頂ければ幸いです。意見がなければ、書くのが簡単な従来と同じ待機状態の扱いでいきます。


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