かすみ日記

インターネットトラブル

投稿日:2005/02/01/ | カテゴリー:日記

弁護士 河野 浩 「インターネットトラブル」
 
 
当HPを立ち上げてはや2か月余り。
立ち上げ前は、HPなんか作って誰が見るの?と懐疑的だったのも事実。 ところが先日、当HPの管理をして頂いている 株式会社インターセクトのSさんからアクセス状況についての報告がありこれに仰天。
確かに、知人からの反響やHPを通じた仕事のご依頼も何件かあったが、2か月間で数万件、 1日あたり数百件のアクセスと予想以上のアクセス数に、マメに更新を重ね、 また訪れていただけるHPにしていこうと事務所一同、固く誓ったのでありました (その割に更新が遅いのはもっぱら今回の筆者の遅筆によるものである)。
 
ところで、IT化なんてどこ吹く風だった我々の業界でさえ、法律事務所のHPは今や珍しくないし、 インターネット登記情報サービス、 裁判所のBITシステムなど役所の方も力を入れ始めた。
訴状、準備書面等をオンライン提出できるようになるのもごく近いと思う。遅れている我々の業界ですらこうなのだから、 世間の状況は推して知るべしであり、それに伴いインターネット上のトラブルも当然増加の一途である。
 
これまで受けた相談では、ネット上の掲示板における名誉毀損、オンライン店舗上の契約トラブルなど多種多様であるが、 今なんといっても多いのがネット上の利用代金に関する架空請求、不当請求の類である。これら架空請求はとくかく無視、 何があっても(実は何も起きない)無視が鉄則である。
それでもご心配な方は国民生活センターのHPをどうぞ。
 
ただ、相談を受けた中で放置できない件が1件あったのでこれを紹介してみたい。依頼者Dさんは、 いわゆる出会い系サイトを利用していたが利用料金7万円の支払いが遅れていたところ、ある日、 債権回収業者から利用代金7万円に事務手数料10万5000円、調査料2万円の合計19万5000円分の請求書が自宅に届いた (従って本件は架空請求というより不当請求の事案である)。
Dさんは債権回収業者に電話を架け 「利用代金7万円は支払うがこの事務手数料は何ですか」と聞いても払えの一点張りで取り合ってもらえなかった。 話が平行線をたどると債権回収業者は自宅にやって来て、金を払えと大声を出し、 Dさんが出会い系サイトに貼っていたDさんの顔写真とDさんが出会い系サイトを利用し料金を未払である事実、 サイトで書き込んだ言葉(当然、他人には読んでもらいたくない言葉である)が記載された紙をDさんの自宅玄関ドア、 近所の電柱に貼り付けるなどしたため、Dさんの母親は心労の余り倒れてしまったというものだった。
 
Dさんの相談を受け、所轄の警察署に被害の事実を申告しておくようアドバイスするとともに、 債権回収業者に対する警告書を内容証明郵便で送り、何度も交渉をし、いろいろと紆余曲折はあった (なかなか威勢のいい業者で簡単には諦めなかった)もののDさんは1円も払うことなく一件落着となった。
ちょっと悩んだのは、本件は純粋な架空請求ではなくDさんは7万円分サイトを利用していたこと。 利用代金債務が存在することは事実であり、最後は業者も7万円だけは払えと言ってきた。
いろいろ意見のあるところだと思うが、法律的には業者の名誉毀損行為、違法な取立行為についてのDさんへの 慰謝料は少なく見積もっても7万円はあるはずだ、よって相殺により支払う必要はないとの結論に達した。
 
最初に話は戻るが、Sさんよると閲覧者が当HPに辿り着いた際の検索ワードの第1位は「弁護士費用」 とのこと。幾ら請求されるかよく分からない、それで弁護士に依頼するのに二の足を踏んでいる方も 多いのではないかと思います。
そこで、本件でDさんから頂いた弁護士費用をそっと公開すると、 10万5000円でした。勿論、事務所によってはこれより高いところもあるでしょうし安いところもあるかもしれません。
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