【コラム】韓国が核を持ってこそ、北は交渉に応じる(下)

 全世界で今最も戦争の脅威が高まっている地域は、言うまでもなく韓半島と、中東・アフガニスタン地域だ。中東・アフガニスタン地域は、お互いの核がバランスを保っていることを知っている。ところが韓半島に限っては、北が核を使って脅迫し、大口をたたいている一方で、南は核を持たず、北の核の恐怖におびえているばかりだ。米国の核の傘がその「機能」を代行するというが、韓国の核保有と米国の核の傘は、本質的に異なる。延坪島事件一つで震え上がっている米国が、北朝鮮による核攻撃の際、中国との全面戦も辞さずに核の傘を行使する理は、万に一つもないからだ。それが核の傘の限界で、北朝鮮が核を捨てない理由がそこにある。核兵器は交渉の対象になるが、核の傘は交渉の対象にはならないというわけだ。

 韓国の「核」は、正確に言えば、攻撃用でも防御用でもない。南北のバランスを取るけん制用にして対北交渉用だ。冷戦時代に米国とソ連が核兵器交渉に成功したのは、まさに核のバランスがあったからだ。どちらか一方が傾いていれば、交渉は決して成功し得なかった、というのが専門家らの見解だ。

 ここには二つの前提条件がある。まず6カ国協議の当事国が、いつまでに北朝鮮の核を廃棄あるいは管理システムを作り出すのか、リミットを定め、それまでにいかなる回答も引き出すことができなかった場合、韓国が核開発に乗り出すという条件を設定する必要がある。もう一つの条件は、韓半島の緊張要因が永久に除去されるか、統一が達成される時点で、核を自発的に廃棄することを全世界に公表するというものだ。韓国は、全世界の懸念を無視し排他的権利として核保有に執着しないことを明確にしなければならない。

 全世界が北朝鮮の核に対し打つ手がなくなったことが明らかになった時点で、韓国の指導者らが、自分たちが核を持って初めて北朝鮮が譲歩し、歩み寄ることを韓国国民と世界に説得し、核保有を公論化する勇気と知恵を示すことを願う。それこそが、韓半島非核化の近道にして要諦だ。

金大中(キム・デジュン)顧問

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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