【コラム】韓国が核を持ってこそ、北は交渉に応じる(上)
韓国は再び北朝鮮の手口に引っ掛かっている。北朝鮮は対話・会談を行うと口にしながら、無理な条件を突きつけて交渉を決裂させ、姿をくらました後、核実験・銃撃・テロなどで緊張状態を高め、再び対話モードに復帰する振りをする。これが、過去20年間にわたって繰り返されたパターンだ。過去10年間の韓国左派政権時代に甘い汁を吸った北朝鮮は、李明博(イ・ミョンバク)政権になってカネとコメの供給が断たれると、核の脅迫や砲撃などの軍事的挑発で南を揺さぶり、今度は「対話」しようと言い寄ってきたわけだ。
その度に決まって登場する北朝鮮の強力な武器が、すなわち核だ。核実験に続いて濃縮ウランを公開し、新年の社説では「核の惨禍」に言及し、依然として韓国を脅迫している。6カ国協議にせよ、南北対話にせよ、キーワードはいつも「北朝鮮の核」だった。韓国は、北朝鮮の核放棄を前提に共栄を約束しており、米国も韓半島の非核化、北朝鮮による核のコントロールを6カ国協議の目標にしてきた。にもかかわらず、韓半島問題の専門家、北朝鮮研究者、学者や政治家の中に、北朝鮮が実際に核を放棄すると信じる人はほとんどいない。北朝鮮は、自分たちは核を放棄した日に崩壊すると信じていると考えられるからだ。言うなれば、韓半島の当事者をはじめ、周辺諸国すべてが「非核化は不可能だと分かっていながらも、口ぐせのように言っている」対北交渉の虚像にしがみついているのが、今の姿だ。いかなる境遇にあっても北朝鮮が核を放棄することはないと分かっていながら、口さえ開けば「北朝鮮の核の放棄」を叫ぶ、これほど自己欺瞞(ぎまん)で、二律背反はない。
こうした偽善の枠から抜け出し変化を模索する道は、韓国も核を持つというものだ。韓国が核を保有する日、南北の間にはようやく実体ある交渉の道が開ける。逆説的だが、南も核を保有することにより、相互けん制と核軍縮交渉を行うことで、韓半島の非核化が可能になる。韓国は、約20年間かけても北朝鮮の核問題を何一つ始末できない世界の大国の無能と限界に、自分たちの生命と国土の保全を委ねてきた。韓国は、置き去りにされている惨めな現実に、これ以上我慢できない。今こそ韓国自らが行動しなければならず、そのためには韓国が核を持たなければならない。