SPECIAL VOL.13 闘・動物号 カリスマ獣医 野村潤一郎の人類最弱宣言!

ガンバレ人間! 真の地上最強動物は『OG』が決める

OG 野村先生! 今回は「自然界の中で一番強い動物は何か!?」という、日本を代表する超多忙獣医さんに失礼じゃないか!と怒られそうなテーマを掲げてやってきました。で、早速ですが、本当のところ人間って動物界じゃどんなもんなんですか?
momura 「人間は弱いですね。もう笑っちゃうぐらい弱い(断言)」
OG い、いきなりですか。でも、ちょっとはかなう相手もいるのでは?
momura 「う〜んそうですねぇ、チワワとかだったら、いや、勝てないかもなぁ」
OG チワワにも勝てませんか!
momura 「まぁチワワには勝てるかもしれないけど、チワワに勝ったところであまり自慢にはならないでしょ?」
OG た、たしかに。きっと笑われるだけですよね(苦笑)
momura 「でもね、チワワといえ侮れない。本気になった小型犬は恐ろしいよぉ。そうだなぁ、種類によっては勝てるのもいるけど、柴犬ぐらいになるともう人間は絶対に勝てないね」
OG 柴犬には勝てませんか。
OG独断認定 最強動物選手権ノミネートCREATURE 〜柴犬〜

momura 「勝てるわけがない。犬に噛まれたことってないですか? 犬に噛まれると戦意喪失するんですよ。どうしてかっていうと、犬の牙でもって噛まれると痛みというよりジ〜ンって痺れがくるんですよ。警察犬に噛まれた犯人が武器とかも持ってるのに倒れ込んじゃうシーンとか見たことあるでしょ? 」
og ありますあります。例えば『この犯人、刃物とか持ってるんだしどこでもいいから刺せばいいんじゃん』って思ってました。
momura「うんうん。で、どうしてかっていうと痺れちゃうからなんですよ。あんなにデカいシェパード犬に噛まれたらジ〜ンレベルの痺れじゃ済まない、もう失神ものですよ。しかも本気で噛んでこられたらもうひとたまりもない」
og え!? あれって本気で噛んでないんですか?
momura 「犬は本気で人間を噛まないんですよ。噛まれたっていっても歯を当てられてるだけ。本気でやられちゃったらタダで済まない、犬に本気で噛まれたら人間はおしっこを漏らしちゃうんです」


野村潤一郎
og お、おしっこですか!?
momura 「体中がクニャクニャってなって、頭のてっぺんからつま先までビビーンときちゃって、力が抜けておしっこが出ちゃう。別にね、犬の牙からそういう毒が出るわけじゃないんですけど、ヤツらの牙にはそういった何か不思議な力があるんですね」
og恐縮ですが、先生もおしっこを漏らされたりとかは?
momura 「おしっこの部分は閉口させていただけますけど、野良犬同然で育てられた犬にやられたことはありますよ。もうバックリいかれちゃいますから、で、体中がジ〜ンっときちゃう(なぜか悩ましげに)」
og 先生もジ〜ンっとされましたか(笑)
momura 「まぁ、さっきの人間VS犬でしたっけ? 人間はもちろん素手でしょうし、犬に勝つのは無理ですね。もちろん金属バットなんか持ってる設定だったらわかりませんけど 」




og 今回のお話上では人間も動物ということで体一つで勝負させます(苦笑)
momura 「そういえば、旧ドイツのナチス政権のときの話なんですけど、ナチスは人間を使っていろいろと研究をしてたみたいなんですけど、その中に人間VS犬っていう実験もあったそうですよ。」
og うわぁ、ボクらが抱いているアニマルロマンとはまったくベクトルが違う凄惨な話ですねぇ・・・・・・。で、結果は?
momura「もちろん人間は勝てなかったそうです。体重10キロくらいの成犬は成人男子よりも強いって結果が出たみたいですね」
og 実験ってことになると統計を取るわけですから、犬との死闘を余儀なくされた人間がたくさんいたということですね。
momura 「悲惨ですよねぇ、聞くに耐えない。まぁ、この話は人間は犬に勝てないという話を立証するひとつの事実として話させていただいたのですが、多分流れとして、ライオンVS人間とか、虎VS人間、はたまた熊VS象だとか、そういうドキドキワクワクな話がしたいんでしょうけど、犬どころか猫にだって人間は勝てませんよ」


OG独断認定 最強動物選手権ノミネートCREATURE 〜野生のねこ〜
og ね、猫にも勝てませんか!
momura 「猫は強いですよ! 野生の猫の本気はハンパないですから、絶対無理。猫と人間が野生の世界で勝負したとして、まずスピードについていけないですから。で、猫にも鋭い牙がありますし、もうパンパカパンパカ噛まれまくりです。で、その傷が膿んじゃってね、リンパ腺もボール大に腫れちゃって、熱が出て、そのまま死にますね」
og家で飼ってる猫を今日から違う目で見ちゃいそうですよ。
momura 「野生の猫にはもう絶対無理です。で、猫といえばネズミですけど、種類によったらネズミにも人間は歯が立たないですねぇ」
og ネズミにもですか!
momura 「えぇ、ドブネズミなんてのはホントに強いですよ! バイ菌だらけだし、おもいきり噛まれたら確実にアウトでしょう。子供だったら襲われたらひとたまりもない、へたしたら頭からガリガリ喰われちゃいますよ。海外のネズミには逆に猫なんかを襲って食べちゃうバカデカい種もいますから、もちろんハツカネズミなんかには勝てるかもしれませんけど」

og チワワ同様自慢にはならないですし、勝っても戦績には入れたくないですよね。
momura 「ネズミといえど戦闘能力はかなり高いですからね。いつかボクがね、喫茶店でコーヒーを飲んでたら、トイレからギャーって悲鳴がして、若い女の子が●●●●丸出しで飛び出してきたんですよ、下水から女子トイレの便器に上がってきて●●●●を眺めてたそうですよ、ネズミが(笑)」
og そりゃいいもん見ましたねぇ! (笑)。しかし、人間がそれほどまでに弱いとは正直思ってもみませんでした。
momura「人間は弱いですし、体ももろい。すぐ壊れちゃう。例えばブタ」



負けるな人間! 凄惨、槍ドリル回転ちんこロケットの恐怖


OG ブ、ブタにも勝てませんか?
momura 「勝てるわけないですよ。ブタの雄はね体重が200〜300キロあって、金玉なんてフットボールぐらいあるんですよ!」
OG フットボール大!同じ男としてリスペクトせずにはいられない大きさではありますが、人間VSブタには思い入れがあるんですよ。ボクは「あしたのジョー」信者でして、人間とブタといえばジョーと力石徹が出会うの強烈なシーンなわけなんですが。
momura 「ジョーがブタの大群に乗って少年院を脱走しようとしたところに力石が立ちはだかるというシーンですね」
OG はい。暴走するブタを力石が片っ端から殴り倒してジョーの脱走計画をぶち壊すっていうアレです。
momura 「たしかにボクサーのパンチは強烈な威力を持っていますが、実際の豚に人間のパンチをブチ込んだところで、ブタはビクともしないですよ。無論、力石も同様です」
OG 力石の殺人パンチをもってしても無理ですか。そういえば、空手家であり元K−1代表の石井和義元館長が若かりし頃、「俺の正拳の破壊力はどれくらいだろう」と思ったらしくて、修行と称してバイト先の養豚場のブタに挑んだそうなんですけど。
OG独断認定 最強動物選手権ノミネートCREATURE 〜ブタ〜

momura 「へぇー!! それは実に興味深い。 極真の大山倍達さんの『牛殺し』やウィリー・ウイリアムスの『熊殺し』は有名ですけど、『ブタ殺し』は初耳ですよ! で、どうなったんですか?」
og 石井元館長が空手の極意のひとつである正拳突きを何発も何度もブタの額にブチ込んだそうなんですけど、ブタは平然と餌を食べ続けていたと聞いています(苦笑)
momura「そ、そうなんですか・・・・・・。と、とにかくですね、雄ブタには鋭い牙があるんです。もちろん、養豚場なんかにいる雄ブタなんかは去勢されて牙も折られているから性格も温厚なんだけど、野生のブタはかなりヤバい、牙でちょこんとさわられたら人間の筋肉なんてスパッて切れて、中味がドロドロと出てきますよ。しかもね、その雄が種ブタだったりしたら大変ですよ! 犯されちゃいますから」


野村潤一郎
og ブタに負けるどころか犯されちゃうんですか!
momura 「種ブタってのは人間にとって美味しい肉の子供を産ませる能力がある雄豚ですから大事にされてましてね、エアコン装備の厩舎で金玉を冷やされて、いい餌ばかり食べさせられて、いびきかいて四六時中寝てるんですけど、『おい、出番だぞ』っていうと、ブヒブヒって出てきてね、雌豚の臭いを嗅がせて射精させるんですよ。なんとその量一升瓶1本!」
og い、一升瓶1本ですか!
momura 「それをメスのブタに人工受精していくわけなんですけど、メスの臭いを嗅がされて興奮している種ブタに戦いを挑んで、グラウンドの展開になって四つん這いの体勢になってみてごらんなさいよ」
og  総合でいう4点ポジションですね(笑)
momura 「総合格闘技的には比較的防御力が強い体勢かもしれませんけど、ブタには通用しません。もうそのままガツンと犯されますね。雄のブタの性器はものスゴく鋭くて先っちょは槍みたいになってて、側面がドリルになってるんですよ。でね、勃起というよりも、ズコーンと体内から強烈な勢いで飛び出してくるんです。しかも回転しながら」

og 槍ドリル回転ちんこロケットですか・・・・・。そんなもんがケツに(怖)
momura「ジーパンなんかねじ破って、ケツの穴からブタの槍ドリル回転ちんこロケットがガツーンって入ってくるわけですよ(震)!もうこれは確実に長期入院コース、もしくは死にますね」
og 想像しただけで恐ろしい。とにかく、人間がとんでもなく弱いということはわかりました。では、最強の動物っていうのは? 例えばライオンは「百獣の王」なんて呼ばれてたりしますけど?
momura 「強い! ライオンは百獣の王と呼ばれるだけの強さはありますよ」
og でも、実際に獲物を襲っているのはメスのライオンですよね?
momura 「疑問に思ってらっしゃる部分はわかりますよ。パッと見、雄はまったく働かないし、狩りもしません。でも、あれはあれでしっかりと王の仕事をしているんです」
OG独断認定 最強動物選手権ノミネートCREATURE 〜ライオン〜
og 具体的にどんな仕事なんですか?
momura 「『私はこの人のために、ボスのために狩りをしているのよ!』っていうメスのプライドを維持させているんです。まず、雄は強くないとメスを得られない、だから誰よりも強い必要があるんです。でね、ボスでもない若いライオンの雄は、ボスの群れを奪おうと、ライオンではありますが虎視眈々と狙ってるんですよ」
ogボスライオンは若いライオンからのプレッシャーと常時戦わなければならない?
momura 「その通りです。で、時々挑戦してくる若造ライオンを血だらけになりながら毎日のようにブッ飛ばしてるんです。しかも、王である限り勝ち続けなければならない。人間の格闘技みたく敗者に対する尊敬、安っぽいドラマなんてないんです。もう負けたらぜーんぶ終わり!」
og ちなみに負けたらどうなっちゃうんですか?
momura 「悲惨ですよ。群れを乗っ取られると、まず新ボスが負けたボスが作った子供をみんな喰っちゃうんです。負けたボスの目の前で」


og えぇ〜!
momura 「それだけじゃありませんよ。元妻達は我が子を喰い散らかす新ボスを見て『新しいボス、いい喰いっぷりですね』って。『あんな負け犬の子供は強くなれない、喰われて当然。今度はあなたのように強い子を生みますわ』って。これにはもう同じ動物のオスとして負けたボスに同情するしかないですよね(苦笑)。しかも、その元妻達や娘たちはぜんぶ負けたボスの目の前で犯されるんですから」
og ・・・・・・、もし生まれ変わるならライオンのオスだけは絶対にイヤですね。
momura「でしょ? 急に現れた若造ライオンに自分の子供や赤ん坊が喰われてるのを遠くから見てなきゃいけないんですよ。急に現れた若造ライオンに自分の娘たちや奥さんたちがガンガンと犯されているところを遠くから見てなきゃいけないんですよ。だからね、『動物になれるとしたら何になりたいですか?』とか、そんな質問がよくあるじゃないですか? で、『ライオンになりたい』とか言う人って多いでしょ? ボクは思うんですよね、『じゃあなってみろよって。ライオンは大変なんだよ、ライオンは案外キツいぞー』って」
og アハハハハ! そんなプレッシャーと日々戦うなんてボクは絶対に耐えられないですよ。

momura 「それよりも、カモシカになった方が絶対に楽だと思うなぁ。もちろん食物連鎖という自然界の掟では”喰われる方”の代表なわけですけど、カモシカたちは何万頭の群れなわけですし、実際にはその中の数頭が餌として毎日死んでいくだけ。人間界に例えたら事故みたいなもの。もちろん、事故で死ぬのはイヤだけど、毎日『今日事故っちゃって死んじゃうかも』なんて思いながら生きてないじゃないですか」
OG たしかにライオンが背負っている現実と比べたらカモシカの方が楽そうですね。
momura 「餌は葉っぱだからいくらだってあるし、ライオンとかの天敵から逃げるために神様が脚力というものを与えて下さってるし、もう言うことないわけですよ。群れの中で常に何頭かだけが犠牲になるってわけでもないんです。喰われちゃうカモシカってのは寿命的なもので弱ってるとか病気で弱っていたりとか運動神経の悪さなどなど様々な理由がある。もちろんこれは自然界の話ですけど、そういった理由があるものは種として生きてちゃいけないってことだったりするわけです。現役バリバリのカモシカならライオンに追いつかれたりすることはめったにない、食われる心配はまずないんですよ」
野村潤一郎

og ちなみにカモシカがライオンに勝つことってのは・・・・・・。
momura 「(遮って)ないですね」
og ないですか(苦笑)
momura「でもシマウマだったらあり得るかも。シマウマは脚力が強いですし、逃げてる時の後ろ足の蹄がライオンの顔面にヒットしたりしたら、ライオンの顎はひとたまりもなく割れちゃいますね。で、あごが割れちゃったらもう飯も食えなくなるわけだからライオン業は廃業ですよね。で、餓死してアリにむさぼり喰われてオシマイ」
og シマウマが勝利することもあったりするんですね。
momura「あんまりないですけどね。で、まぁ彼らからしたら天敵の生命を奪って勝つというよりも追われて逃げ切るってことが勝利なわけです。勝利し続ければライオンも飯が喰えなくなって、結局は命が絶たれるわけですから」
og なるほど、深いですね。
momura「まぁ取材の趣旨とはやや違う話になっちゃってましたけど、でもやっぱりね、『動物で何が一番強いのか!?』ってものスゴくおもしろそうな話ですけど、生息しているところやサイズだって違うわけだし、時と場所にもよるし、格闘技みたいに同じ階級とルールでって考えるのはちょっと難しいですよね」
ogじゃあ単純な感じで、野村先生が考える強い動物を教えていただけませんか?
momura「順位を付けるのは難しいんですけど、やはり一番怖いのはバカですよね」

どうした人間! バカが強いのは人間界だけじゃなかった!

OG独断認定 最強動物選手権ノミネートCREATURE 〜ホオジロザメ〜
og バカですか
momura 「ホオジロザメっていうバカがいるんですけど」
og映画『ジョーズ』のモデルにもなった最大の肉食魚類ですね!
momura 「ヤツらはね、もう何かを超越しているというか、戦うとかそういうのじゃなくて”喰う”という本能だけで生きてるんですよ。要するに喰うことしか考えてないんです。だから怖いし、しかも強い」
og 目に入るすべてのものを食い物か食い物じゃないかって部分だけで判断してるということですか?
momura 「そうです。もうどっちかなんです。サメはもう果てしなくバカなんです。魚ってのは元来利口な生き物なんですけど、例えばピラニア。アマゾンにこんな童歌があるんですよ。『返してくれー♪返してくれー♪ でももう何も戻らないー♪』って」
og え、えらくバーボンが似合いそうなブルージーな童謡ですねぇ。

momura 「実はこの歌の由来はピラニアなんですよ。夫婦で暮らしていたピラニアがね旦那だけ釣られちゃうんですよ。で、奥さんが『返せー、旦那を返せー』って小舟を追いかけてくる、いつまでもいつまでも釣られた旦那を取り返すために追いかけてくるって話なんですけど」
og なんだか泣けますねぇ・・・・・・。
momura「でも、この歌は案外ピラニアの特徴をよくとらえたものなんですよね。ピラニアもサメと同様に映画の印象で凶暴な魚として認知されてますけど、ホントのピラニアは意外に賢くて、本当にこれは餌なのかなって考えますし、しっかりと認識するまでは何もしないし、自分より弱いものでないと襲わないんです」
og へぇ、もっと凶悪かつ残忍な肉食魚かと思ってましたよ。
momura 「もちろん、これは襲うべきものだと認識したとたんに何百匹という集団で襲いかかってきますよ。それこそ映画同様にものの数分で子牛ぐらいなら骨だけにしちゃいますから。でもね、ホオジロザメは同じ肉食凶暴魚といってもまったく違う」
og もうやたらめったら襲いかかるわけですね。映画の中じゃ人間をヨットごと喰ってますから。
momura 「あれはあり得る話ですよ。ホオジロザメの噛む力ってたしか何十トンとかなんですけど、そんな力で噛まれたら人間なんて一瞬で噛み切られちゃうし、へたしたら車だってペチャンコですよ。でね、ヤツらってとにかくなんでも噛んでみて『硬いな』と思ったら1回放すんですけど、それが普通の岩だったりするんですよ(苦笑)」

OG アハハハハ。バカもそこまでいくと快感ですよね!
momura 「で、さすがに『こりゃ食えないな』と思って放すんですけど、また何かを見つけて襲いかかったら、それが珊瑚だったりで、また『硬いな』って放す。死ぬまでそれを繰り返してるんですからいくらなんでもバカですよ! そのまま珊瑚食っちゃってたら、サメは浮き袋がないから沈んじゃいますからね」
OG  死ぬまで泳ぎ続けなきゃいけない生き物ですもんね(笑)
アニマルボーイくん見参!

momura 「ピラニアですら餌を前にして躊躇するのに、ホオジロザメはまったくそれがないですからね。例えば、ボクたちがカステラを食べるとき、なにか躊躇することがありますか? もちろんカステラは餌なわけだし、 戦うわけもないし、良心の呵責なんかもないじゃないですか。でも、ホオジロザメは違う」
og サメには目に映るすべてのものがカステラに見えてると?
momura 「見えちゃってるんですよね(苦笑)。サメって共食いするんですけど、興奮すると友達も噛んじゃって、傷口から血が出ると餌だと思って食べちゃうんです。もうなにもかもがカステラ。これがライオンだったらね、ガッーって暴れたら少しひるむかもしれないとか思うじゃないですか。相手が海のギャングって恐れられてるシャチだったりしても、多分無理でしょうけど、なんか話せばわかってもらえるかも的な期待感があるじゃないですか」
og 世の中が食べ物天国に見えているバカには期待できそうにないですね。では野村先生が考える最強の動物とはホオジロザメと?
momura「いやいや、海の中じゃ最強ですけど、例えばホオジロザメがライオンと戦うと仮定して、戦場がサバンナの真ん中だとしたらジタバタしてるだけでしょ?」

いけいけ人間! 魅惑のワクワク動物大戦争、勃発!!


OG たしかにそうですよね(苦笑)。じゃあ陸上生物では?
momura 「陸上で怒らせたら恐いのは間違いなくホッキョクグマでしょうね。あれもね、もしかしたらホオジロザメと同じで人間もターゲットのひとつに入ってるかもしれない」
OG 天敵が存在しないといわれている地上最大の肉食動物ですね!
momura 「知的な動物っていうのは戦闘能力が高くてもあんまり恐くないんですよ。ホッキョクグマはもちろんサメよりはかなり利口ではあるんですけど、北極という餌に乏しい場所にいる連中っていうのは、結構サメみたく食い物に関して見境いがないんじゃないかなって思うんですよね。食えるもんは食わないと自分が死にますからね。ホッキョクグマはペンギンだってアザラシだって喰っちゃうわけですし、人間が北極をよちよち歩いてたら多分餌にしか見えないですよね」
OG いっつも飢えてるわけですしね、しかもデカい!
momura 「大きいのじゃ全長4m、体重は800キロくらいありますからね。もしね、魅惑の動物戦争みたいなのがあったとしたら、ホッキョクグマはいいとこいくかも、へたしたら最強かもしれないなぁ」
OG独断認定 最強動物選手権ノミネートCREATURE 〜ホッキョクグマ〜


OG 足も速いですよね
momura 「時速50キロは軽いでしょ! あの長い前足でフックなんてされたら、人間の首なんて一瞬でもげますよ」
OGでもサメが海の生き物という問題と同様で、ホッキョクグマは氷上の生き物じゃないですか?
momura「これもまた戦場がサバンナだったら暑くてのびちゃいますね(苦笑)」
OG暑いの苦手そうですもんね。でも、夢があるなぁ。ホオジロザメやホッキョクグマやライオンなんかが最強を争って戦う姿(うっとり)
momura「その夢にはあいつも必要だなぁ!」
OGあいつとは?
momura「イリエワニというアマゾン最”凶”のワニ、しかも世界最大のワニです」
OG今度は世界最大のワニですか! いやぁますます夢が広がりますよ!!
momura「こいつは強いですよぉ! しかもデカいし、人間を含むあらゆる動物を襲う最悪なヤツですし、サメと同じくらいバカです」
OGでもワニってノロノロしてますし、絶対に人間は勝てないでしょうけど
、攻撃も受けなそうかぁと思うんですが?
momura
「逃げられる気がするんでしょ? そんなの無理無理。ワニが何であんなにノロノロしてるかっていうと、獲物や敵がいないところをすばしっこく動いたってエネルギーの無駄だからですよ。獲物を捕る時はものスゴく早いですから!」

野村潤一郎

og 人間なんてすぐに追いつかれちゃう?
momura「人間どころじゃないですよ。成長しきったイリエワニなんてのはね、イノシシとかスイギュウみたいなのまで平気で襲いますからね。水 中で待ち伏せて、水を飲みにきた獲物が水辺に近付いた瞬間、その巨体からは想像できないほどのスピードで川から飛び出てきてカブリと噛みつきますから。で、水中に引きずり込んで、獲物が完全に息絶えてから丸呑みにするんですよ。丸呑みできないようなサイズだったら、獲物を咥えたまま暴れるように体をローリングさせて肉を引きちぎるんです」
OG独断認定 最強動物選手権ノミネートCREATURE 〜イリエワニ〜
og噛みつかれたら一瞬でもってかれますね。もしイリエワニと戦うなら気をつけるポイントなんかは?
momura 「う〜ん、いかにして噛みつかれないようにするかってとこでしょうけど、ヤツらはしっぽをいれて7〜8メートルあるんですよ。しっぽも強烈な殺傷能力を持ってますから、まったく隙がないね」
og ちなみにしっぽの殺傷能力ってどんなもんなんですか?
momura 「ボクは比較的小さなアメリカンアリゲーターってワニを飼ってるんですけど、頑丈な部類に入る水槽を中から叩き壊しますからね。それがイリエワニのしっぽだったと考えたら、もし人間の腹にヒットしたら人間なんて真っ二つでしょうね」
og 一撃で真っ二つですか!
momura「イリエワニこそが動物界最強かもしれませんよ。ん!? 待てよ・・・・・・。アナコンダがいたなぁ」


やれるか人間! 地上最強動物5強がとうとう決定!!


OG おぉ、次はアマゾンの大蛇ですか!
momura 「そういえば、アナコンダはイリエワニを含むワニ全般が餌のターゲットなんですよ」
OG ということはイリエワニの天敵ということですか?
momura 「もちろん個体差にもよりますよね。アナコンダの大きさがイリエワニよりデカければイリエワニが負けるだろうし。アナコンダよりイリエワニの方がデカければその逆もあり得ます」
OG でも、イリエワニって8メートルあるんですよね。それより大きいアナコンダなんているんですか? 『グラップラー刃牙』の東京ドーム地下闘技場で開催された最大トーナメントには体長25mを越す巨大なアナコンダがたしかに出てきましたけど?
momura 「そりゃそのぐらいはいるでしょ(即答)」
OG えぇ!! シベリアの鉱山で永久凍土にトラック2000台分の大きさのクレーターを2年で掘り上げたという世界最強のレスリング選手、アレクサンダー・ガーレンと死闘を繰り広げたあの大蛇は本当にいたんですか!
OG独断認定 最強動物選手権ノミネートCREATURE 〜アナコンダ〜

momura 「その大蛇のことは知りませんけど、なんでもとんでもなくデカいヘビらしき影が衛星写真に写ったって話を聞いたことがありますね」
og アマゾン恐るべし! そんな大蛇がいればイリエワニなんてイチコロですよね。
momura「まぁ、アマゾンがらみの話はオーバー極まりないんですけどね、例えばアマゾンの長老がね『俺が若いとき見たアナコンダは、尻尾の先っぽが大木よりも太かった』とか、で、また他の長老なんかが『頭の方は丘の頂上で霞みがかって見えなかった』なーんてことばっかり言ってるから、情報がこっちまでに下りてくる頃にはもうとんでもないことになってるんですよ。でも、最近になって『これは本当かな』って情報が入ってきたんですよ。なんとその全長は12メートル!」
og 全長12メートルですか! それなりの太さもありそうですよね。
momura 「大木とまではいかないにしろ、ドラム缶くらいは余裕であるでしょうね! で、困ったことにこいつも相当なバカなんですよね」
野村潤一郎
og バカは強者の証みたいなもんですね(笑)
momura 「ヘビ全般の武器っていったらとにかく絞技なんですよ。絞技で相手を殺すタイプのヘビの代表格をあげていくと、まずはボア・コンストリクターかな、もういかにも大蛇ってルックス。『コンストリクター』の意味は”絞め殺す者”ってだけあって、相手に噛みついたとたんその太い胴を瞬時に絡めてね、ギュって絞め殺すんです。でも、こいつですら大きいもので3メートルしかない」
og 3メートルでも十分スゴいですけどね(苦笑)
momura 「で、次にモルルス・ニシキヘビってヤツ。こいつは5〜6メートルくらいあってですね、なんとシカ級の動物を絞め殺して丸呑 みしちゃうんだから! で、その次がアナコンダなんですよね。しかも12メートルのアナコンダにイリエワニが絞められたらって考えたら、イリエワニも窒息するはずですよ」
og イリエワニが最後の力を振り絞ってアナコンダを水中に引き込んだとしたらどうでしょうか?
momura 「全く意味がないですね。だって、アナコンダは水の中でも鼻を出して呼吸できちゃいますから、グルグル巻きのまま川の底でイリエワニを絞め殺すでしょうね。うん、ライオン、ホオジロザメ、ホッキョクグマ、イリエワニ、そして巨大アナコンダという面子は動物界最強に最も近い位置にいる種かもしれないですね」
og なるほど! でも、かなり攻撃的な種に偏ってる気もしますが、防御能力がすこぶるスゴい動物も実はスゴいんじゃないでしょうか? たとえばサイとか。
momura 「あいつはもう装甲車みたいなもんですよ、時速50キロで突進してきますからね。たしかにあの鋭い角と硬い皮膚は脅威ですね、ヤツはカッとなると頭を下に向けて角を突き出してタックルしてくるんですよ。でも、多分ライオンとかには当たらないかもなぁ。サイは目がとても悪いんですよ、近眼なの」



OG サイって近眼なんですか! それは最強を決める上でかなりのハンデですね。じゃあゾウとかは?
momura「ゾウは動けるスーパーヘビー級ですよ、巨体で時速60キロぐらいで走りますからね。もう装甲車を通り越して重戦車みたいなもんですよ。あの鼻で殴られたりしたら殴られた方はかなりのダメージを喰らうだろうし、踏みつけられたりしたらもうひとたまりもないだろうし、たしかに強いですよ。でも、ゾウが最強になり得るのか!?ってなったらそれはちょっと疑問が残りますね」
OG  ゾウは動物界最強の位置から遠いと?
momura 「遠くはないですけど近くもないですね。ゾウが最強を目指す上で最大の武器はあの巨体をいかした攻撃とやはりあの鼻だと思うんですが、実はですね、ゾウの弱点はその鼻だったりするんですよ。鼻を怪我したらゾウはご飯が食べれませんからね、たとえ最大の武器であろうとも、そんな大事なものを無闇に突き出すわけにはいかないんです」
OG でも、それは戦いの後の生活があることを前提にしてますよね。

OG独断認定 最強動物選手権ノミネートCREATURE 〜アフリカゾウ〜

momura 「もしゾウが明日をかえりみずに動物界最強を決める場に出場しようものなら一気に優勝候補に躍り出るでしょうね。ゾウの鼻は200キロぐらいのものなら平気で放り投げるし、あの牙は10トン近いものを持ち上げますからね。そしてやはりあの体重ですよ。しかもゾウ自身が自分の体重は武器になると熟知してますからね、防御力も高いし、ゾウも先ほどの面子に加えてもいいでしょうね」
OG独断認定 最強動物選手権ノミネートCREATURE 〜今川焼き〜
og 今さらですが、人間なんて歯が立たないですよね?
momura 「ゾウから見たら人間なんて今川焼きですよ」
ogい、今川焼きですか!
momura 「重戦車VS今川焼きですよ。今川焼きが勝てる見込みなんてまったくないでしょう。重戦車に踏みつぶされて中のあんこがグチュって出ておしまいです。まぁ万が一というか億が一というか兆が一というか、重戦車が今川焼きを踏んだ瞬間にABSが誤作動して、キャタピラがスリップして崖に落ちるとかいう展開も考えられますけどね」
og かなり確率が低そうなシュミレーションですね。でも、それって今川焼きが死ぬことにはかわりないじゃないですか(苦笑)
momura 「勝つことなんてあり得ないということです」

ドンマイ人間! 最強動物への近道は中国武術にあった!!


OG 先ほど、犬や猫の話で人間は弱いってことはわかりましたけど、自然界で人間が勝てる動物っているんですか?
momura「う〜ん・・・・・・、ハエとか」
OG ハ、ハエまで落ちますか(ガックリ)
momura 「いや、待てよ。ハエにも強いのがいるからなぁ」
OG まさか人間はハエにも負けちゃうんですか!
momura「まぁここまでくると勝ち負けってレベルではなくなってくるんですけど、熱帯地方にメマトイってハエがいるんですよ。こいつはね、人間の目ん玉に幼虫を産みつけるんですよ、しかも直接寄生虫や病原体もくっつけてね」
OG えぇ〜! じゃあ目の中でメマトイがふ化しちゃうんですか?
momura 「瞳の中でね、メマトイの幼虫が泳いでるんですよ。もうここまでくるとね、人間VSハエという話じゃないですよね」
OG メマトイからすれば、人間は単なるゆりかごですもんね
momura 「そうそう、メマトイにとって人間は敵にすらなれないんですよ。人間は自分の子供を育てるゆりかごなんだから。だからね、人間はもう戦う前からメマトイに負けてるんですよ、完敗!」
OG独断認定 最強動物選手権ノミネートCREATURE 〜メマトイ〜

og ハエ畜生にも人間様は勝てませんか・・・・・・、では鳥類はどうでしょうか?
momura「土俵があまりにも違いすぎますからねぇ。でも、種によってはどうにかなるかもしれませんね。そもそも鳥っていう生き物はそのほとんどが空を飛ぶじゃないですか。空を飛ぶためには自分の体を軽量化しなきゃならないわけです。飛行機なんて鉄が飛んでるみたいに見えますけど、実際は軟らかい金属を繋ぎ合わせたハリボテです。もうペッコンペッコンです。つまり、鳥もそうなわけです」
og 空を飛ぶためには頑丈な体が必要かと思ってましたよ。
momura「実際はとても壊れやすいもろい体なんですよ。だからヘタにケンカして翼でも壊されたりした日にゃもう終わりです」
og タカとかワシとかなんて強そうに見えるんですけどね。
momura「ヒットするかしないかは別として、蹴りの一発でも喰らわせれば多分簡単に骨折すると思いますよ。まぁ、こちらも相当な致命傷を負うでしょうけどね」
og やはり気をつけるべきはくちばしですか?
momura「いや、肉食系の鳥はくちばしで相手を攻撃することはまずないんですよ。くちばしはあくまで獲物の肉を喰いちぎるためのものなんです。気をつけるべきは爪ですね。ヤツらは爪で殺しにきますね。あと死肉食いの鳥もなかなか手強いですよ」
OG独断認定 最強動物選手権ノミネートCREATURE 〜鶴〜
og 死肉食いってなんだかイヤな響きですね。
momura コンドルとかが代表的ですけど、ヤツらはタカやワシなんかとは違ってくちばしが凶器なんですよ。ものスゴく鋭くて、こう切符をパチンってやる感じで肉をバチンバチンとえぐり切りますからね。人間の体なんてあっというまにえぐられまくって切り刻まれますよ。あと意外なところではツル」
ogツルも怖いんですか!
momura ご存知の通り優雅な鳥ですよ。普段はドジョウとかを食べて生きている静かな鳥です。でも、親ヅルが子供を育ててるときに変にいたずらをしようものなら、怒り狂ってくちばしで突っついてくるんですよ。あのくちばし、人間の頭蓋骨なんて簡単に貫通するんですよ」
og えぇー! ツルのあのステキなくちばしは凶器なんですか!!
momura 凶器の中の凶器ですよ。ツルは鳥類の中では最強に近いですね。拳法にも鶴拳ってあるでしょ、ツルの構えみたいなやつ。ツルが一本足で立ってるかっこうで、羽で威嚇して、最後にくちばしで突いてくるような攻撃方法なんですけど、まさにそれなんですよ」

og 中国武術の五獣拳ですね。竜拳、蛇拳、虎拳、鶴拳、豹拳とありますが、『なぜこの猛者どもの中にツルが?』ってずっと疑問に思ってたんですけど、答えはそういうことだったんですね。
momura「単純に強いということじゃないですかね」
og そういえば南斗六聖拳にもツルが! 最も美しく輝く星・天をも動かす美と知略の星。南斗六聖拳『妖星』の男、南斗紅鶴拳の使い手のユダです!
momura「はぁ、そうですか(呆)」
og (無視して)南斗紅鶴拳の特徴は拳速と斬撃ですからね! まさにツルですよ。でも、実際に中国武術の分類、門派を調べてもツル以外の4つ、竜拳、蛇拳、虎拳、豹拳という派は見当たらないんですよね。派に名を残しているのは南派武術の中にある白鶴拳(はっかくけん)だけなんですよ。これはもしやツル最強説が新たに浮上ということですかね!
momura「たしかにツルが強いということは中国武術の歴史も証明していますけども、中国武術の中にはもうひとつ、とある生物の生態、動作に着想を得て創始したと伝えられる武術があるんですよ」
og なんですかそれは?
momura「カマキリです」

さよなら人間! 弱きものは自然界で生きる資格なし!!


OG カ、カマキリですか!?
momura 「蟷螂拳(とうろうけん)っていうんですけど、カマキリの特徴を見事に取り入れたスピード感あふれる独特の拳法です」
OG 別コーナーで関根勤さんのインタビューもやっているんですが、ぶっちゃけ関根さんのカマキリ拳法しか頭に浮かばないですねぇ。実際、カマキリって強いんですか?
momura 「今回のテーマは『最強の動物』ってことでしたけど、昆虫も可なんですか?」
OG さっきハエの名前も出たんで、昆虫もありで大丈夫です。
momura 「昆虫の場合はサイズに相当なハンデがあるんで、格闘技でいう同階級と想定してお話ししても?」
OG NO問題ですよ!
momura 「そうですかぁ・・・・・・(溜息)。そうなると、今までの話は全部無駄になりますね」
OG え!? 無駄とはどういうことでしょうか?
momura 「だって、昆虫に勝てる動物なんていませんから」
OG独断認定 最強動物選手権ノミネートCREATURE 〜カマキリ〜

og動物は昆虫に勝てないんですか?
momura 「勝てません。昆虫の”作り”はもう生体として完璧どころか究極に近いんです。しかも心なんてものは微塵もない、相手を殺すことになに何の躊躇もない、冷酷非情な究極のバカですからね。先ほどカマキリは強いのか?っておっしゃてましたよね、カマキリが仮にですよ、身長185センチ・体重90キロくらいの格闘家として理想的な人間と同じ階級になったとしましょう。人間はカマキリに瞬殺されます。他の動物も同様ですよ」


OG それはボスライオンでも?
momura 「勝てません」
OGバカサバイバーよろしくなホオジロザメでも?
momura「水の中であっても絶対に無理」
OG腹を空かせたホッキョクグマでも?
momura「殺されたことも気づかないでしょうね」
OG明日をかえりみずに最強へと立ち上がったゾウでも?
momura「残念ですけど」
OGイリエワニや巨大アナコンダでもですか?
momura「100%勝てませんね」
OGじゃあ動物地上最強はカマキリってことになっちゃうんですか!?

野村潤一郎

momura 「いえ、それはまだ早いですよ。カマキリと同等の強さを誇る昆虫はたくさんいますからね」
og じゃあ地上最強はカマキリをはじめとする昆虫が決めちゃうってことですか?
momura 「悲しいですけどその通りです。先ほどもいいましたけど、昆虫に勝てる動物は存在しません。例えばノミ」
og ノ、ノミですか。ノミには勝っときたいんですけどねぇ・・・・・・。
momura 「ノミなんてものスゴいですよ。理想的人間と同階級のノミがいたら、ジャンプ一発でエンパイアステートビルを軽くひとっ飛び ですよ。それぐらいの比率でやつらは普通にジャンプしてるんです。その脚力で蹴られたりしたらもろい人間なんて粉々ですよ。昆虫が人間大の大きさになったら勝てる動物なんていないんです。
og ノミでそこまでいきますか(苦笑)
momura 「ノミでそうなんですよ、カブトムシなんかがもし同じサイズになってたら大変ですよ。大型バスなんか100台くらい引きずられちゃうんじゃないですか。あとアリですよアリ。アリが人間大だったらかなり怖いですよ。仮にこちらの攻撃がヒットしたとして、アリの足が1本もげたとしても、アリは表情一つ変えずに襲いかかってきますよ。だって痛くないんですから」
OG独断認定 最強動物選手権ノミネートCREATURE 〜アリ〜
og めちゃくちゃ怖いですね、それ・・・・・・。
momura 「で、こっちが泣き叫んでも命乞いをしてもおかまいなしに噛みつかれて、内蔵を喰い荒らされて、うつろな意識の中で体をバラバラに解体されて、頭や足や腕や胴体を頭にかかげて巣に戻っていくんですよ。かなりイヤですよね」
og血も涙もないですね。
momura 「そう、血も涙もないことが恐いんですよ。昆虫なんてのはもう殺人マシンみたいなものですから。例えるならば、殺人鬼がナイフを掲げてるのと、でっかい時計台の歯車のところに縛られて、カチカチって自分の胴体が歯車に挟まれるのを待つのとどっちが恐いかですよね」
og それはどっちも恐いですけど?
momura 「(遮って)殺人鬼はまだ言って聞くかもかも知れないじゃないですか。でも、時計の歯車が話を聞くわけないでしょ。殺人鬼にいきなりお母さんの話とかをしてホロッとさせたりとか可能性があるかもしれないじゃない。なんか手があるかもしれないじゃない。逆転があるかも知れないでしょ」

og 昆虫にはそんなのないですもんね?
momura「ゼロです。だって心がないんだもの。昆虫っていうのはね、ひとつの使命を成し遂げるためには、自分の体が半分にちぎれてしまってもその使命を全うしようとするんですよ。そんなヤツに知性がすこしでもある生き物は太刀打ちできないですよ、心が折れますもん。昆虫にとって自身を含めた個体の死なんてまったく問題じゃない、種を守るという使命だけで生きてますから。昆虫の世界はホントに恐ろしいですよ。もう最後は結局ムシキングになっちゃうんですよ(苦笑)」

OG ここまで話してきて、結果は昆虫最強ってことになっちゃうのはかなり寂しいですね。
momura 「しょうがないですよ。実際ね、地球は昆虫に支配されてるんですよ。どこもかしこも昆虫だらけですよ。ほ乳類なんてのは、生き物の数%なわけ。地球上の生き物のほぼ9割は昆虫ですから。地球は昆虫の星なんです。人間もほ乳類だし、地球はほ乳類の惑星のように見えるけど、実は違うんです」
OG 昆虫の星で昆虫以外の生物が勝手に地上最強なんて決めてるんじゃねぇと?
momura 「その通りですね。人間が格闘技かなんかの大会でですね、地上最強なんてものを決めてますけど、あんなものは結局自然界のなかではなんの意味もないんですよ。そもそも、人間にとっての”強い”ってのものは価値の一つでしかなくて、自然界の強さっていうのは生きていくため、子孫を残すために不可欠なものなんです。弱いものは生きる権利も血を後世に残す権利もないということなんですよ。ぶっちゃけ言いますと、人間って生き物はとっても暇なんですよね。日々生きていくのが当たり前だと思っているから、暇なんです」
OG独断認定 最強動物選手権ノミネートCREATURE 〜人間〜

og 動物たちはいつ死んだっておかしくない状況で生きてますからね。
momura「人間は普通に明日があると思ってますから。生き物として甘いんですよ。例えば人間の”食”は生きるためのものじゃなくて楽しみのたひとつになってますよね。で、デブになってるでしょ。人間にとっての交尾は、次世代を生み出すものではなく、挨拶代わりになっちゃってる。快楽になっちゃってるわけでしょ。そうするとですよ、『食べる』と『生む』という生き物の本能が快楽になってるということは残る一つは?」
og 「殺す」ですか?
momura「その通りです。もう人間にとって『殺す』っていう本能までもが快楽になっちゃってるじゃないですか。生き物は本来、生きるために食べる、次世代を残すために交尾する、そして自分の身を守るためだけに殺すんです。または自分が生きるために食べなければいけないから殺すんです。でも人間は違う。ニュースなんかでも頻繁に『口論の末、殺害した』とかね。『バカじゃないの?』って。忙しい生き物はそんなことやらないですよ」
野村潤一郎
og 人間は暇でしょうがないから霊長類ヒト科としての本能を快楽化していると?
momura 「その通り。だって、他の動物がクマとライオンはどっちが強いんだろう? なんて考えないでしょう。暇なんですよ、人間は」
og まぁそうおっしゃられてしまうと今回の取材の根底がひっくり返っちゃうんですけどね(苦笑)
momura 「でも、これでオチがつくかどうかはわからないですけど、『こいつは最強だ』って言い切れるヤツはいますよ」
og おぉ! 最後に是非そいつの名を教えてください!!
momura 「ゴキブリですね」
og ゴ、ゴキブリですか・・・・・・。
momura 「核戦争が起きても生き残るといわれるほどの生命力に加えて、走る、泳ぐ、そして飛ぶという抜群の機動力。そして特筆すべきは恐竜の時
代からモデルチェンジしていないということです。つまり生きていくための進化がまったく必要なかった。つまり種が誕生した瞬間から完成形だったということです」

og ほぼ全ての種が絶滅したといわれている氷河期をも生き延びたということですからね。
momura「つまりさ、良いものっていうのは、最初っから全力で良いんだよね。完成型。ゴキブリはいつの時代にも通用するポルシェ911みたいなもんですよ! ゴキブリ最強!!」
og はぁ、最強が決まったのはいいんですが、さすがにゴキブリは写真入りで紹介できないなぁ(苦笑)。本日はお忙しい中、大変興味深い話をありがとうございました!!
野村潤一郎
profile

野村潤一郎 (のむらじゅんいちろう)
1961年、東京都出身。1980年、北里大学獣医学部獣医学科に入学。1991年、30歳で東京・中野に「野村獣医科医院」を開業。97年に野村獣医科Vセンターを設立し、優秀なスタッフとともに、これまでの日本獣医業界では考えられなかった入院設備、最新の機器を備えたハイテク医療を開始。犬や猫をはじめ、あらゆる動物の診療するに至り、全国に存在が知られる。現在、患者は全国に6万件を超える日本で最も多忙なスーパー獣医師。自身も120頭を超える動物を飼育する動物好きである。

<野村獣医科Vセンター公式サイト> http://nomura-v.com/ente

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