【東京】菅直人首相は20日、2011年度の沖縄関係予算が前年度を下回らないよう野田佳彦財務相に指示した。同日午後、官邸で首相と会談した野田氏が明らかにした。首相は17、18日に沖縄を訪問し、仲井真弘多知事に米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設受け入れを要請したばかり。知事は県外移設を求め、協議は平行線に終わった。政府は、全国的に公共事業費などを削減する方針だが、沖縄だけ手厚く配分することで米軍普天間移設問題の打開を図る狙いがあるとみられる。
内閣府は概算要求で、11年度の沖縄関係予算は、特別枠を含め前年度予算比0・3%増の2304億500万円を要求。ほぼ満額が確保される見通しだ。野田財務相は「(首相から)沖縄振興予算は減額しては駄目だという強い指示があった。それを踏まえ対応したい」と述べた。
政府は11年度から実施する一括交付金の配分に当たっても、沖縄だけ高率補助制度を維持し、人口比などで不利にならないよう別枠で配分する方針を示すなど沖縄を“優遇”する姿勢を鮮明にしている。沖縄関係予算は、1998年度の4713億円をピークに徐々に減少。政権交代後初の予算となった10年度分は2297億円で、ピーク時の半分以下にまで落ち込んでいる。
(琉球新報)
2010年12月21日