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社説:政権に望む 国政安定へ力量示す時
今年こそは日本再生の足掛かりを得たいと誰もが願っているはずだ。景気回復や雇用創出につながる特効薬などないとは知りつつも、少なくとも去年のような「喪失」や「混迷」などの言葉に飾られない、安定感ある政治を国民は待ち望んでいる。
だがそんな期待とは裏腹に、政権は年明け早々からいきなり重大な局面を迎えそうである。今月召集される通常国会では、2011年度予算関連法案をめぐる与野党攻防が最大の焦点だ。「ねじれ国会」の下で、法案成立のめどが立たなければ政権の存続が危うくなる。
菅直人首相は苦境を乗り切るため、参院で問責決議を受けた仙谷由人官房長官を国会召集前に交代させ、内閣改造に踏み切る意向を固めたもようだ。だが政策判断を担う内閣の要を失えば、政権は一気に不安定化する可能性がある。
さらにこの政権の脆弱(ぜいじゃく)さに拍車を掛けているのは、小沢一郎元代表の国会招致問題で表面化した民主党内の対立である。一応「挙党態勢」を装っているが、その実は違う。「脱小沢」の急先鋒(せんぽう)である仙谷氏の交代は小沢派も望んでいる。起訴を控えた小沢氏の処遇問題などを引き金に、政権は内部崩壊を引き起こす恐れすらある。
自民、公明などの野党は、問責決議を受けた馬淵澄夫国土交通相が続投しても国会審議を拒否する構えを見せている。まさに政権存亡の危機にある。政府、与党は、今ほど力量を問われる場面はないのだということを肝に銘じ、課題山積の日本のかじ取りに立ち向かうべきだ。
昨年退陣した鳩山由紀夫元首相の後継である菅首相は、総選挙で国民の審判を仰いだ後に選出されたわけではない。党代表選の形で党員総意で選ばれた。それにもかかわらず党内抗争に明け暮れるのでは、政権党の体をなしているとはいえまい。
むろん力量が問われるのは国会運営と党内融和についてだけではない。首相は1日付で発表した年頭所感で「平成の開国」「最小不幸社会の実現」など国づくりの理念をあらためて示した。それをどう形にし、実行に移していくかが重要だ。
首相は環太平洋連携協定(TPP)参加への意欲を強調し、貿易自由化と農林漁業の活性化を両立させる政策を今年前半までに提示すると述べた。日本再生のためにはTPPが有効な足掛かりになるという根拠と、派生する痛みへの対処法を示すことが大事だ。国民的議論を深めながら、丁寧に説明していく必要があろう。今年半ばまでと期限を区切った消費税を含む財政の抜本改革論議も同様だ。
4月には統一地方選が実施される。各党とも党勢拡大を目指して候補者擁立作業を進めている。党利優先ではない真摯(しんし)な政策論争が望まれるのは言うまでもない。候補者の話す言葉が本物か偽物か。有権者もそれを見分ける眼力が大事になる。
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