菅直人首相は12日、仙谷由人官房長官を交代させ、後任に民主党の枝野幸男幹事長代理を充てる意向を固め、党大会翌日の14日に内閣改造を行う最終調整に入った。仙谷氏は党代表代行で処遇し、「ねじれ国会」対策の責任者として国対委員長を兼務させる方向。昨秋の臨時国会で仙谷氏とともに参院の問責決議を受けた馬淵澄夫国土交通相も交代させる。
昨年9月の内閣改造で民間から起用した片山善博総務相のほか、米軍普天間飛行場の移設問題など外交・安全保障政策の立て直しを担う前原誠司外相、北沢俊美防衛相の留任が固まり、党役員では岡田克也幹事長と玄葉光一郎政調会長(国家戦略担当相兼務)が続投する見通し。
首相は14日の内閣改造へ向け、馬淵氏が13日から予定していた訪米を中止させ、海外出張中の片山氏と自見庄三郎金融・郵政担当相にも途中で切り上げて14日までに帰国するよう指示した。前原氏は14日からの訪韓を1日遅らせる方向で調整している。
通常国会は24日に開会する方針で、民主党の鉢呂吉雄国対委員長は12日、内閣が召集日を伝えるための衆院議院運営委員会の理事会を14日に開催するよう自民、公明両党に申し入れた。両党は「問責を受けた官房長官が説明に来るなら応じられない」と仙谷氏の交代を条件とした。
菅政権の内政・外交を取り仕切ってきた仙谷氏は「影の首相」と呼ばれ、交代させた場合の打撃を懸念する首相はギリギリまで続投を模索。しかし、自民、公明など野党は「仙谷氏続投なら審議拒否」と宣告し、民主党出身の西岡武夫参院議長も「院の決議は重い」と野党に同調。通常国会に提出する11年度予算案の審議や、首相が「政治生命をかける」と意気込む社会保障と税の一体改革へ向けた与野党協議を進めるには、野党との協調を優先した方がいいと判断した。
臨時国会で野党に政策協議を呼びかけながら失敗した反省から鉢呂氏を交代させ、重量級の国対委員長として仙谷氏に代表代行と兼務させることで野党対策を強化。仙谷氏の「更迭」色を払拭(ふっしょく)するだけでなく、政策ごとの部分(パーシャル)連合や将来的な連立組み替えもにらんだ「攻めの国対」を打ち出す狙いがある。
ただ、自公両党は11年度予算案に反対する方針を示し、子ども手当法案など予算関連法案が成立する見通しは立っていない。自民党は予算審議を行き詰まらせる「3月危機」によって衆院解散・総選挙に追い込む構え。同党幹部は12日夜、「仙谷国対」について「仙谷氏には『ふざけるな』という感情がある。なかなか調整には応じられない」と拒否感を隠さない。
公明党は自民党とは温度差があり、山口那津男代表は11日、日本記者クラブの会見で「党の役職は何であれ、直接の問責の対象ではない。そこまで拡大して考えるべきではない」と述べ、仙谷氏が党の要職に起用されても反発しないことを示唆している。
首相は公明党との連携を期待しており、そのためにも民主党の小沢一郎元代表の「政治とカネ」の問題にけじめをつける必要があると判断。仙谷氏の後任に小沢氏批判の急先鋒(せんぽう)、枝野氏を充てることには「脱小沢」路線の堅持を明確にする意味がある。【須藤孝】
毎日新聞 2011年1月13日 東京朝刊