菅直人首相 この間、民主党に対するバッシングのような雰囲気の中で、自信をお互いにやや失いかけていたように思ったので、私たちがこの1年半やってきたことは、大筋において間違っていなかったし、来年度の予算に盛り込んだことは、国民の皆さんに伝えれば、理解いただけると申し上げてきた。多くの仲間が、しっかりと言うべきことを伝えていけば道が開けると認識いただいたように感じた。
同時に野党時代というのは時の政権を批判する立場であったので、いろいろなことを文書にすることができやすい。与党になった民主党としては、(政府方針の決定を)主に内閣でやっているので、党への説明が十分でなかった。そういった反省も含め、予算審議と並行して、統一地方選の準備が進むので、待機児童ゼロ作戦、新卒者雇用の特別チーム、子ども手当など、積極的に全国にも訴える態勢を作っていただくよう、指導性を発揮したい。
--内閣支持率がものすごく低いが。
首相 ものすごくとは受け止めていない。ダメだダメだと繰り返されると、ダメでなくてもダメなのかなと。自民政権の時も、雰囲気が下り坂になっていくと、何も聞いてもらえなくなるという現象があった。メディアも野党もイメージを壊していく攻撃をしているが、政策の中身で、大きな問題できちんとした反論はほとんど出ていない。
--内閣改造では、問責決議を受けたかどうかを考慮しない考えか。党役員人事で重視するのは国会対策か、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)、税制改革なのか。
首相 日本の危機をいかに越えていくかに対して、民主党が何ができるかという姿勢で臨みたい。多くの課題を、民主党政権が最も強力に立ち向かって、越えていける態勢を作る。
--たちあがれ日本の与謝野氏が政権入りすれば、野党時代から与謝野さんの政策を批判してきた首相の政治信条と矛盾しないか。
首相 財政のあり方、財政健全化、社会保障のあり方に対しては非常に熱心な方。私なり民主党の考え方ともかなり共通性の高い政治家と認識している。
--積極的にTPPを推進しようとしているが、地方によっては反対の意見書を採択している。
首相 農業改革が必要だということを一番強く言っている。このままで、元気な農業として成り立っていくかを多くの方が心配している。農業改革を実現することに全力をあげ、日本の農業再生の道筋を、今年前半くらいまでにはまとめて提案していきたい。
--米軍普天間飛行場移設問題は期限を決めずに交渉するのか。
首相 日米合意では辺野古沖への移転が軸。同時に沖縄の皆さんに理解を頂かなければならない。時限を切って理解を頂くことはなかなか難しい。期限を切った目標は定めていない。
--仙谷官房長官の今後の役割は。
首相 あす新しい内閣を含めて改造をしたい。明日以降にお答えしたい。
毎日新聞 2011年1月14日 東京朝刊