河北春秋
天神様は鳥のウソと縁が深い。各地の天満宮の中には「うそ替え」という祭事を行う所もある。境内で求める木彫りの縁起物「うそ鳥」は、身辺に起こる悪い事をすべてうそにして、良い事に変えるとのいわれがある▼そもそもは老若男女がうそ鳥を持ち寄り、「替えましょう」と声を掛けて交換し合ったのだとか。福岡の太宰府や東京の亀戸が有名だが、東北ではここだけという福島市の高畑天満宮ではちょうどあすまで催している
▼替えて、吉を呼び込みたい。まさに菅直人首相の胸の内だろうか。再改造内閣がきのう発足した。「改革を推し進める最強の態勢に」と意気込んでみせたが、仙谷由人官房長官らへの問責決議に追い込まれての、余儀ない選択だ▼屋台骨として取り仕切ってきた仙谷さんが閣外に去って、新たな入閣は4人にとどまり、11人が留任する小幅改造だ。果たして「最強」は本当か。どう見てもうなずけず、うそ鳥に頼りたくなる
▼前日の党大会の様子からして、身内に吹きすさぶ内紛の嵐を印象づけた。地方組織からは危機感の寒風が吹きつける。人事への反発もくすぶる▼間もなく召集される通常国会。私たちの暮らしに直結する予算の審議に滞りはないのか。とにもかくにも願いたいのは、うそ偽りなく粛々と政策を推し進める誠実だ。
2011年01月15日土曜日
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