菅再改造内閣が発足した。参院で問責決議を受けた仙谷由人官房長官と馬淵澄夫国土交通相を交代させ、仙谷氏の後任には枝野幸男氏を起用した。仙谷氏は党代表代行に回り、党側から政権を支える。
昨年9月に菅改造内閣が船出してから、まだ4カ月しかたっていない。野党側が仙谷、馬淵両氏が交代しなければ、次期通常国会の審議に応じない姿勢を崩さなかったため、再改造に追い込まれた形である。
仙谷氏と親しい枝野氏は「脱小沢」路線の急先鋒(せんぽう)だ。参院選大敗の責任を取って、昨年9月に幹事長から幹事長代理に降格された。その枝野氏が官房長官の要職についたことに、党内からは異論も出ている。46歳と若く、調整能力は未知数だ。枝野氏を補佐する官房副長官に、78歳の藤井裕久元財務相を充てる異例の布陣となった。
今回の改造の最大の話題は、たちあがれ日本を離党したばかりの与謝野馨氏を経済財政担当相に起用したことだ。与謝野氏は社会保障と税制の一体改革も担当する。財政再建派の政策通だが、民主党の経済政策を厳しく批判してきた。年金制度については、現行の社会保険方式を維持すべきだとの考えを示している。
だが民主党は「消費税を財源とする最低保障年金の創設」などの改革案を公約しており、与謝野氏との隔たりは大きい。菅直人首相は記者会見で年金改革について、民主党案をベースにしつつ「他の考えも含めて議論されることは十分あってよい」と語った。与野党協議を始めるためにも、首相や与謝野氏は社会保障改革の具体案を早く示すべきだ。
与謝野氏が経済財政相に就任したことによる玉突き人事で、海江田万里氏が経済産業相に、大畠章宏氏は国土交通相に横滑りした。経産相は環太平洋経済連携協定(TPP)参加に慎重だった大畠氏から、推進派の海江田氏に代わったが、農相は慎重派の鹿野道彦氏が留任した。
12日の両院議員総会などでは、消費税増税やTPP参加への慎重論が目立ち、党内対立が鮮明になった。首相は不退転の決意で民主党内をまとめ、税制の抜本改革やTPP参加への道筋をつける責任がある。
今回の改造は、問責決議を受けた閣僚が辞める事例を増やす結果となった。法的拘束力のない問責決議で閣僚の辞任が相次ぐのは望ましくない。民主、自民両党はともに与党と野党を経験し、衆参ねじれ国会の難しさを痛感しているはずだ。問責決議をどう扱うべきか。与野党が冷静に話し合うときである。
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