薬物を密売していたとして麻薬特例法違反罪(業としての営利目的譲渡)などに問われた笛吹市の無職、古屋博文被告(51)の裁判員裁判の判決公判で、甲府地裁(深沢茂之裁判長)は14日、「手っ取り早く生活費を稼ぐという自己中心的な考えで密売を始めた動機や経緯に酌量の余地はない」として懲役7年、罰金200万円(求刑・懲役8年、罰金200万円)の実刑を言い渡した。
判決によると、古屋被告は09年10月~昨年2月、営利目的で8人の男女に覚醒剤など約10・65グラム(65万円相当)を密売する薬物譲渡を業として行っていたなどとされる。
深沢裁判長は「約1年にわたって密売を繰り返し、専ら密売で得た利益で生計を維持しており常習的な犯行」と指摘し、「法を守ろうとする意識には相当問題があるといわざるを得ない」と述べた。
この裁判は県内初の薬物を巡る裁判員裁判。判決後に同地裁で開かれた記者会見には男性裁判員2人が出席した。古屋被告が元暴力団員であることについて、裁判員は「暴力団ということに怖さはあった」と話した。更生意欲については別の裁判員が「見極めるのはすごく難しかった。証人出廷した友人が支援すると言っていた点などを考えた」と振り返った。【水脇友輔】
毎日新聞 2011年1月15日 地方版