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かるた名人位、川崎六段8日挑む 県勢悲願へ「無心で戦う」
(2011年1月2日午前10時30分)
名人位決定戦に向け、集中力を高める川崎文義六段=福井市高木1丁目の福井渚会道場
小倉百人一首競技かるたの第57期名人位決定戦(8日、大津市の近江神宮)に、福井県越前市出身で福井渚会の川崎文義六段(22)=立命館大4年=が初めて挑む。福井渚会所属選手の名人位挑戦は、前回の三好輝明七段(27)に続いて2年連続11回目。12連覇中の西郷直樹永世名人(32)=東京都、早稲田大かるた会=との対戦を控え、川崎六段は「無心で自分のかるたをやる」と慣れ親しんだ福井市内の道場で最後の調整に励んでいる。
北日野小1年のときに子ども会でかるたを始めた川崎六段は、早くから頭角を現した。小学3年から中学1年まで春の全国小中学生選手権で連続優勝。夏の中学生選手権は3年連続で制し、武生高時代は全国高校選手権で優勝した。大学生になった2008年には、A級選手の3大タイトル戦の一つである全国選抜大会で優勝した。
10年も、就職活動の合間を縫って出た公式戦で好調を維持した。福井渚会の同門対決となった3月の全国選抜大会で決勝を棄権、11月の名人位挑戦者決定戦(3回戦制)で1本目を落とした以外、すべてに勝利した。
「自分もこの大舞台で勝負したい、と本当に強く思った」。昨年1月の名人位戦。三好七段と西郷名人の歴史的な戦いを目の当たりにし、闘志に火が付いた。「お兄ちゃんみたいな存在」という先輩が残り1枚まで追い詰めながら惜敗した翌日、同じ会場で行われた高松宮杯大会で優勝。そこから集中力をキープし「物心ついたころから名人だった」という西郷名人への挑戦権を得た。
福井渚会会長の栗原績(いさお)九段(63)が「異質。いつ音を聞き分けたのか分からない」と表現するスピードが武器だ。大学進学後は関西の強豪と練習を繰り返す中、がむしゃらさだけではなく攻め方を工夫するようになった。得意札をつくらず、どの札にでも反応できる正攻法の「攻めがるた」に磨きがかかっている。
昨年唯一落とした挑戦者決定戦の1本目について「無心でやることの大切さを痛感した。同じ失敗はしない」と大一番への糧にしている。栗原九段は「大崩れしなくなり体力的にも問題ない。作戦うんぬんよりも、速さで押せば十分勝機がある。思い切って挑んでほしい」とエールを送る。
名人位は県勢が唯一手が届いていない悲願のタイトル。年末年始、福井渚会のメンバーと特訓を続ける川崎六段は「大舞台で西郷さんに挑戦できることはうれしい。でも、それ以上に自分のかるたを貫きたい」と集中力を高めている。