きょうのコラム「時鐘」 2011年1月15日

 真打ちが少なく、修行中の二つ目や前座がやたら多い。菅内閣の再改造から見えるのは民主党のコマ不足である

老壮青のバランスがとれた実務型と自画自賛するが、見慣れた顔ぶれがポストを替えただけの印象である。与謝野氏入閣に「党内に人材がいないと言っているようなもの」と自嘲気味の声が漏れたのも当然だ

政権を取ってまだ1年4カ月。過大な期待はできないのだが、かつての「滞貨一掃内閣」という言葉が懐かしい。もっとも「滞貨」そのものが存在せず、真打ちの少ない党である。若手を抜擢して新鮮さをアピールするチャンスを逸した

見習い1年、前座3年、二つ目10年を経て真打ちになるのが落語界の修行期間だという(落語無学・江國滋著)。民主党の前座、いや、中堅議員はどうか。「小沢氏は敵か味方か」「敵から味方を守れ」と議員総会で叫んでいるようでは心もとない

政治とは権力争奪に向けて敵と味方を峻別すること。昨日の敵は今日の友と心得ぬ甘さでは「党内に人材なし」と自ら言っているに等しい。党内内紛のせいで落選のピンチというのではオチにもならない。