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ヒット作生んだ故郷の「土気」 竜騎士07さんに聞く

2011.1.11 10:52
「もの書きになるには、社会に出て、人間観察をして、経験を積むことも大事。公務員時代の経験が役に立った」と話す竜騎士07さん=都内の事務所「もの書きになるには、社会に出て、人間観察をして、経験を積むことも大事。公務員時代の経験が役に立った」と話す竜騎士07さん=都内の事務所

 趣味で制作したノベルゲーム「ひぐらしのなく頃に」の作者で、小説やアニメ、CD、ゲーム、実写映画などメディアミックスを展開して若者に絶大な人気を誇る「竜騎士07(りゅうきしぜろなな)」さん(37)。幼少期を過ごした千葉に対する思いや、今年の抱負を聞いた。(三宅令)

 音楽と小説をミックスさせたノベルゲーム「ひぐらしのなく頃に」を発表したのは平成14年。同人誌などを販売するイベント「コミックマーケット」(コミケ)で第1話を並べたときは、50部しか売れなかった。しかし、リピーターがつき、半年後のコミケで第2話が100部、その次の第3話が200部と売れ出し、口コミやインターネットを通じ、人気に火がつき出世作となった。

 作品は、ある村落で発生した連続怪死・失(しっ)踪(そう)事件の経緯を描いた連作式のミステリー。鬱(うっ)蒼(そう)と生い茂る裏山の森や眼前に広がる田んぼ。カエルの声が鳴り響く中、駆けずり回った少年の日々。これは、竜騎士07が育った約30年前の千葉市緑区土気の風景だった。

 「舞台の一部は土気がモデルです。今は東京暮らしですが、制作にあたり、弟に土気まで写真を撮りに行ってもらいました。ストーリーの前半は幼い頃の思い出が詰め込まれています」

 彼が書く物語は自費制作分だけで、これまで約100万部の売り上げを誇る。 美術系の専門学校を卒業後、憧れのゲームクリエイターではなく、就いたのは都内の地方公務員だった。

 「将来、自分や家族の生活を考えたとき、安定した職につこうと思った。苦渋の決断でした」

 定年まで勤めようと考える一方で、子供の頃から抱いていた「表現」への情熱は高まり、趣味で戯曲やゲームの制作を始めた。自費制作としては異例の1万部数に届きそうになり、心の中で何かが吹っ切れた。

 「公務員との両立が難しくなり、もの書きとして生きていく覚悟を決めた」

 昨年12月31日には、4年越しの長編ノベルゲーム「うみねこのなく頃に」が完結した。

 「今は放心状態ですが、また題材を見つけて別の物語を書きたい」

 観光立県・千葉への飛躍のヒントを聞くと、こう答えが返ってきた。

 「東京で開催されているコミケは以前、幕張メッセ(千葉市美浜区)で行われていました。3日間で国内外から約56万人を集めるイベントで影響力は大変なものです。幕張ではゲームショウも開催しているし、若者を中心にサブカルチャーのイベントを開く下地はあるはず。コミケ開催を検討する価値はあると思います」

 〈りゅうきしぜろなな=本名非公開〉昭和48年生まれ。専門学校卒業後、公務員を経験し独立。現在、同人サークル「07th Expansion」代表。自費出版したノベルゲーム「ひぐらしのなく頃に」がインターネット上で話題になり大ヒット。同作や第2作「うみねこのなく頃に」はマンガ、小説、アニメ、劇場公開映画、ゲームなど多方面にメディアミックス展開されている。

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「もの書きになるには、社会に出て、人間観察をして、経験を積むことも大事。公務員時代の経験が役に立った」と話す竜騎士07さん=都内の事務所

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