おーしゃん のーす/さうす (東京〜徳島〜新門司)
 【オーシャントランス株式会社(オーシャン東九フェリー)】
 評価:★★★
フェリー業界の新たなスタイル’カジュアルフェリー’


       おーしゃん のーす(新門司港)
従来の長距離フェリーでは常識であったレストラン営業を廃止し、旅客定員を148名まで削減、船室を2等寝台のみとし、’カジュアルフェリー’と銘打って、旅客サービスを徹底的に合理化した。RORO船との競争が厳しいフェリー業界の新しい営業スタイルとして注目され、追従する会社も現れた程で、旅客の少ない航路の新たな体制としてすっかり定着した感じ。以前は冷凍食品が無料で提供されていたが、冷凍食品の品目が変わり、格安な有料に変更された。

平成8年就航、総トン数11100トン。
(利用時期:平成21年11月)
 Cabin〜船室は快適か?
「2等寝台」のみの設定で、「旅客室」という表示となる。
等 級  設備・感想など
2等寝台 ・2人、4人、6人、20人部屋があり2段ベッド。2人部屋の一部に窓無しがある。
・テレビと小上がりのある1等並みの6人部屋があるが、通常はドライバー室として使用されているようだ。
・定員以下の少人数での部屋の占有は、当日空室がある場合のみ50%の貸切料金で占有可能。
・ベッド幅は80cmで毛布1枚、シーツ2枚、箱型の硬い枕付き。スリッパあり。ベッドメイクはセルフサービス。ベッドの読書灯にコンセント有り。室内は禁煙。
・放送音量の調整可。 空調は天井のつまみを回して調整。
・箱型の枕は疲れるし、不潔なので、お願いだから柔らかい枕と枕カバー(セルフサービスで十分)を設置を検討して欲しい。
・以前は敷き毛布と掛け毛布の2枚だったが、
新しくベッドパットが敷かれていたのは好感。
旅客室(2名部屋) 旅客室(4名部屋) 旅客室(20名部屋)
 Public Space〜営業施設・公室は充実しているか?
公室名  設備・感想など
案内所
売店
・案内所と売店は兼用。昼間に数時間の閉鎖があるが、あとは夜間以外利用できるのでとっても便利。
・お菓子、おつまみ、新聞、雑誌、洗面具など現実的な品揃えで好感。
・乗務員は男性2名のみ。
・航路図の表示と、日出没時刻の案内がある。
オーシャン
プラザ
・「オーシャンプラザ」は自販機とテーブルやいすが並んだレストラン的な場所で、各種自販機、電子レンジ、給湯給茶器、冷水器、紙コップ、紙皿、割り箸、調味料などが用意され、航海中いつでも利用できる。
・大手コンビニと提携した冷凍食品(ハヤシライス、生姜焼き丼、五目あんかけ炒飯など)が市価よりかなり安い200円で販売されている。
・他にもカップラーメン(これも市価より安い100円)、お菓子、長期保存のパン、アイスクリームの自販機あり。
とても珍しい冷凍寿司の自販機あり。最高級?との事で500円。おそらくここだけなので、是非試食を!
自動販売機 ・ジュース120円、ビール(大)350円、ビール(小)250円と良心的な価格。
・飲酒運転防止の為との事で23〜5時迄販売中止になる。
展望風呂 ・展望式。洗い場は5ヶ所。清掃状況は良好で、水圧も良いので快適。隣にシャワー室3区画あり。
・せっけん、ボディーソープとリンスインシャンプー備え付け。
・脱衣所には無料の鍵付きロッカーあり。(100円玉不要)
・男女とも航海中いつでも利用できる。(以前は女性用は夜間閉鎖だったが改善されている。女性用は防犯のため?ドアを開けるとチャイムが鳴る。) 但し、荒天時は閉鎖される。
フォワード
ロビー
・船首が臨める小さなロビー。ティーサーバーと紙コップあり。
・以前はこの場所にテレビがあり、近くの部屋は煩かったのだが、
テレビが撤去されていて改善されていた。
スカイ
ルーム
・2等の大部屋のようなフリースペースがあり、自由に足を伸ばしてくつろげる。室内は禁煙。
・親切にも毛布と枕もあり、仮眠もできる。
・この場所もいちおう16名の旅客定員を確保している。
トイレ ・和式、洋式とも併設。シートペーパーなし。洗面所にはエアータオル設置。
コイン
ランドリー
・長旅の途中には嬉しいコインランドリーが設置されている。
・洗濯200円、乾燥機30分100円、洗剤は無料。
ロッカー ・100円玉返却式貴重品ロッカーは案内所前に移設され、防犯カメラが設置されていた。
・女性浴室隣には有料のコインロッカーあり。(100〜200円)
公衆電話 ・テレホンカード専用のみ。クレジットカード専用は撤去されていた。
給湯・冷水 ・給湯給茶器、冷水器あり。紙コップは無料で豊富に山積みされている。
分煙の状況 ・部屋内は禁煙。スナックコーナーとオーシャンホールの一部に灰皿があり喫煙可能。
※その他の設備 ゲームコーナー
 デッキは船首にも出ることが出来、船を1周できる構造となっているのは良い。(接岸作業中は出入り不可)
 船内各所に防犯カメラを設置
エントランスホール オーシャン プラザ スナックコーナー
フォワードロビー スカイルーム 展望風呂
 Infomation〜船内案内・感想など
(NEW)燃料費高騰対策による減速ダイヤとなり、東京、新門司の早朝の入港時刻がやや遅くなったのに伴い、従来は徒歩客限定だが、船内休憩のサービスがあったのだが、廃止されてしまったようだ。しかし、入港前に闇雲に早く客を起こして部屋から追い出そうとするような放送等はなく、朝の放送は入港20分前。ぎりぎりまで客に眠ってもらおうという配慮を感じたので、印象はよい。未明の入港なのに1時間も前から放送や鍵回収で客の睡眠を妨害するようなどこかの他社はこの配慮を見習って欲しい。

(NEW)深夜時間帯の消灯は、部屋の区画は暗めに消灯していたが、公室については昼間同様に明るく点灯されていた。すぐ近くに部屋があるフォワードロビーは薄暗く消灯されていた。寝る人にも、夜更かししたい人にもとても理にかなった良いやり方だと思う。夜間になると公室までも薄暗く消灯して客に不便をかけているどこかの他社はこの配慮を見習って欲しい。

(NEW)冷凍食品が有料になったのだが、市価よりもかなり安い価格で提供されているので満足できる。カップラーメンも市価以下での販売で、大変好印象。ただ、さすがに冷凍食品やカップラーメンだけで全区間乗船は辛いと思うので、お気に入りの弁当やパンを少し購入してから乗船した方が良いと思う。

船室の貸切制度が改善され、従来は75%だった貸切料金が50%に値下げされている。2人部屋を1人で貸切してもスタンダード船の1等寝台よりも安い。ただ、他社とはちょっと制度が異なり、事前に貸切での部屋予約はできず、あくまでも部屋定員ぴったりで利用する人が優先で、貸切は当日空室がある場合に50%支払うことによって部屋占有できるとの事。(電話で質問したらより多くのお客様にご利用頂くという観点からとの事。) 定員ぴったりでの利用なら窓付き2人部屋等を指定しての予約も可能。

船内には接続交通機関の時刻や地図、船内の案内など親切な掲示物が多数ある。各ベッドの照明にはコンセントが付いているのだが、気付かない人が多いのか、100Vのコンセントがある旨、小さくシールが貼られていた。

船体動揺が10度を越える時化に遭遇したら、お見舞い?なのかクオカードが乗船客全員にプレゼントされるユニークな企画をやっている。その判定のためにか案内所に傾斜計が設置されている。

各港とも徒歩客の交通機関を確保している。新門司のタクシー運転手に聞いたところ、フェリー会社とタクシー会社が契約をしており、客から回収するタクシー運賃の不足分はフェリー会社が負担しているそうだ。貨物中心の航路なのだが、趣味的で儲けの少ない徒歩客への特筆に価するサービスだと思う。

グループで乗船して4人部屋を占有できた日は、ルームキーまで渡してくれ、2等寝台ながら1等並みでとても快適であった。20人部屋と同じ運賃では申し訳ないと思う位。いっその事、2人部屋と4人部屋を「A寝台」とかの別の名前を付けて別等級としていくらか高い運賃を取り個室として販売してはどうだろうか?いびき、歯軋り、子連れなどの理由で個室でないと嫌という客層もあるので、個室を設定すればもっと広い客層に利用してもらえると思う。

オーシャンプラザ他、公室の椅子が全てターンバックルで床に固定されているので正直言って座りにくいのだが、床が全てツルツルで滑るため、海上荒天となった場合、椅子があっさりと動いてしまう筈。荒天時のみ固定しようにも客室担当の乗組員が少ないので負担が大きい。乗客にとっては不便でも航路事情を考えるとやむを得ないと思う。

案内所が深夜、閉鎖される前には案内所係員がトランシーバーを携行のうえ、ごみ箱が溢れていないか、ベーシンが汚れていないかなど、不具合がないか入念な巡視を行っていた。ごみ箱があふれても知らん顔をしている他社フェリーさんも見習ったらどう?

配船は基本的にカジュアルとスタンダードが交互になる。以前は偶数日、奇数日で基本パターンがあったのだが、最近はあまり気にせずに交互に配船している感じ。連休などに休航日もある。(連休は貨物需要が低く採算が取れないので船体メンテナンスの為にも船を止める。観光に便利なように運航しろという要求はナンセンス!)最近、会社のHPで配船表を見れるように改善されていて乗船計画を立て易くなった。

船とは関係ないが、この会社は千葉〜徳島間のオーシャンフェリーと東京〜北九州間の東九フェリーが合併してできた会社。しかし徳島の街では「オーシャン東九フェリー」の「東九」という文字はほとんど見られず、どこも「オーシャンフェリー」。公共性の高い市営バスですら「オーシャンフェリー」であった。
   船 室 構 成 合 計
2等寝台  洋室2名×8室 4名×4室 6名×3室 20名×4室 身障者2名×1室
 スカイルーム16名×1室
148名
 更新履歴
H19.10.07 旅客室2人用の写真を掲載、他サービス体制の確認と若干の加筆
H21.10.02 船内休憩中止の追記
H21.12.09 冷凍食品の体制変更等についての修正、加筆

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