おがさわら丸(東京〜父島)
 【小笠原海運株式会社】
 評価:★★★
船でしか行けない小笠原への定期船


          おがさわら丸(父島二見港)
空港がないため船でしか行けない小笠原へ行く定期船。おおよそ月5便くらい運航される。小笠原旅行には往復の船中泊を含めて基本的には5泊6日を要する。この航路には高速船TSL(テクノスーパーライナー)が就航する予定だったのだが燃料油価格高騰の影響により採算が取れない事が確実で、税金による援助もできないという事で中止され、本船がしばらく残ることになった。離島航路の為か運賃がべらぼうに高いのだが、シーズン中はたいへん混雑して予約も取りにくいらしい。

平成9年就航。総トン数6600トン。
(利用時期:平成18年2月)
 Cabin〜船室は快適か?
等 級  設備・感想など
特 等 ・シャワー、トイレ(温水便座)、空の冷蔵庫、テレビ、ビデオ付きのツインルーム。
・スリッパ、バスローブ、洗面セット(タオル、歯ブラシ、せっけん、剃刀、くし、シャンプー、リンス)、お茶セット、紙おしぼり、テッシュペーパー、船内案内冊子が備わる。
・普通の洋室タイプ(右舷側)と、靴を脱いで上がる和洋室タイプ(左舷側)がある。和洋室はとても快適。
・ベッド幅は90cmで、寝具は清潔な布団カバー付きの布団で気持ち良い。
・放送音量の調節可能、空調の調節も可能。
・スナックでの喫茶券(コーヒー又は紅茶)がプレゼントされる。
・芳香剤の香りがきつかったのでビニール袋で包んでシャットした。
特1等 ・特等に順ずる部屋で、やや面積が狭くなり、冷蔵庫が無いらしいが、実際には見ていないので不明。
・中途半端な存在で意味不明?特等ではなく1等のイイ部屋が必要な事情でもあるのかな?
1 等 ・2段ベッドの4人部屋で和洋室タイプ(Bデッキ左舷)と洋室タイプ(Aデッキ両舷、Bデッキ右舷)と、窓の無いツインルームの3種類の部屋がある。
・テレビ、ビデオ、スリッパ、紙コップ、お茶、ポット、紙おしぼり、船内案内冊子あり。
・ベッド幅は80cm。寝具はタオルケットでシーツは衿元の小さなもののみで清潔感に欠ける。
・高額な運賃の割には洗面所もなく、アメニティーグッズもなく、ぼったくり感が強い。
・相席を強調する割には4人部屋にロッカーが2つしかなく困ったもの。
・部屋に灰皿があり、相席の場合の喫煙は相手の気持ちを考えてという曖昧な表現の掲示あり。
特2等 ・2段ベッドの寝台。窓あり。スリッパ付き。
・寝台幅80cm、寝具はタオルケット、柔らかい枕。小さな棚とハンガー1本有。ベッドランプにコンセント無し。
・何故か不思議な場所にテレビがあるが、チャンネル権や睡眠妨害のことを考えると無い方が良いのではないかと思う。
・わずか28席しかないので予約は早めに!
2 等 ・枕、毛布がセットされた指定席。繁忙期はものすごく狭いらしい。
・窓口で乗船の組番号を指定(100人ずつ)されて列に並び、乗船してから係員から席番号の書かれた紙を貰いようやく席が指定される。
・閑散期にはファミリールーム、レディースルームの設定がある。
特 等(和洋室) 1 等(洋室4P) 1 等(和洋室4P)
1 等(洋室2P) 特 2 等 2  等
 Public Space〜営業施設・公室は充実しているか?
公室名  設備・感想など
案内所
売店
エントランス
・案内所と売店が隣接しており、深夜は閉鎖される。
・売店については昼間にごく一部閉店している時間帯があるがほぼ夜間以外は利用可能。小笠原のお土産、カップ麺、お菓子、日用品、小笠原関連の書籍、雑誌など広くて浅い現実的な品揃え。
・エントランスには暗証番号式の無料の貴重品ロッカーあり。
・東京出港便に限り、新聞のサービスあり。(エントランスの他、サロンにもある)
・本日の天気図、日出没の時刻の掲示、小笠原に関するパンフレットや書籍が用意されている。
自動販売機 ・ジュース160円、ビールは(小)のみで300円。
・カップラーメン、洗面具やお菓子の自販機あり。
レストラン ・食事時以外にも、喫茶や居酒屋タイムとしてかなり長い営業時間を設定しているのは好感。
・カフェテリア式で、時間がかかるものを頼むと番号札を渡されてあとからマイクで呼ばれる。
・店内は禁煙。  ・調味料類は各テーブルにあり。
・食器の返却はセルフサービスで、食器とトレーを分別させられる。返却コーナーが狭くて返却しにくくて面倒。
・夜の営業終了後は朝までフリースペースとしてテーブル席が開放されるのは夜更かし派には嬉しい。
・客数の割には利用者が少なく感じた。もう100〜200円安ければ割高感がなくなると思うが。
・生ビールは530円なのだが、紙コップでしかもかなり量が少ないのでがっかり。
・メニュー例:カレーライス700円、おが丸ラーメン680円など。詳しくは小笠原海運HP参照
スナック ・食材はほとんど冷凍なのだが、夜間以外は長い営業時間で便利。
・ここで缶ビールを買うとなぜか自販機より60円高くて360円。(場所代?)
・メニュー例:生ビール530円、おでん520円、コーヒー260円など。
サロン ・特2等以上の指定席を利用する乗客のためのサロンなのだが、窓がない。
・いつでもOPEN。テレビあり。喫煙可。土足禁止(2等として定員を確保)。
ラウンジ ・いつでもOPEN、ゆっくり座れるリクライニング席が5席ある。
・譲り合い、1人2時間程度で!と強調しているが、いつも一杯で、実質2等から逃げてきた人の寝床状態。
シャワー
ルーム
・各デッキの客室の近くにシャワールームがある。(浴室は客室区画にはない)
・水圧、水温は安定していた。洗面器があるので便利。せっけん等は一切無い。
・鍵のかかる、しっかりと独立したブースがあり、中で着替えるので安心して利用できる。
・以前は時間制限があったが、現在はいつでも使用可能。(荒天、残水が少ない場合は制限あり)
トイレ ・洋式のみで真空式。1ヶ所詰まると全てのトイレが使用不能となる。シートペーパー等は無い。
公衆電話 ・テレホンカード専用のみ。
給湯・冷水 ・給湯器、冷水器あり。共用のコップがあるが、紙コップなし。
※その他の設備:
ゲームコーナー、チルドレンルーム、カラオケルーム(1時間2000円)、ビデオライブラリー(1本1000円)
エントランスホール 案内所・売店 レストラン
サロン(指定席専用) ラウンジ シャワールーム
 Infomation〜船内案内・感想など
本船に乗船しようと会社に電話したところ、電話予約はできないとの事。2週間前迄だったら電話で受け付けてくれるが、指定の口座に代金を振り込み、切符が郵送されてくるという面倒なシステム。HPやコンビニでは2等のみの扱い。(2等なら繁忙期以外は予約しなくても十分!)旅行会社か海運の窓口でなら予約即発券で予約可能との事。前近代的で厳しくてややこしい予約システムに唖然・・・!詳しい話を聞こうにも旅行会社と話をするような用語ばかり使っており、一般の人にはわかりにくいかと思う。繁忙期なら無断キャンセルを防ぐ為に厳しくせざるを得ないと考えるが、超閑散期にまでこんな面倒臭い事を強要しているお役所的な船会社は他にないと思う。(窓口でのやりとりで、どうも島の住民は予約のみでOKのような感じだが、これは当然の措置かと思う)

乗船方法も前近代的。2等の場合はまず窓口で搭乗券を受け取り、搭乗券の番号ごとに乗船の列(100〜150人毎)に並ばされる。乗船が始まり、船内でようやく席指定の整理券を渡される。結果、窓口と乗船列で2回も並ばされて待たされることになる。しかも早く並んだり乗船したからといって良い席を選べるわけではなく、ただ順番に機械的に番号札を配っているだけなので、壁側の端の席が欲しい等の希望は一切聞いて貰えない。(ってか対応不可能)2等も予約時又は窓口で席を指定すれば早く来た人には希望がかなうと思うし、長々と乗船の列に並ばずにすむと思うのだが。

2等は最後に乗船すると席が余って広く使えることもあるという噂が広まっているので、わざと最後まで乗船しない人も居る。すいている時は、どこの部屋の何番以降は余ったので好きに移動してもいいよと放送で案内していた。

特等、特1等は1人の場合は事前予約できないのだが、出港後船内で空室があれば割増なしで切替可能。1等は混雑すれば相部屋になる可能性がある。(詳しく聞いても4名様で相部屋ですという模範解答しか聞けない。) 高額な運賃にもかかわらず、飛行機が無いので客層が高いようで、企業や役所の出張者等が利用するのであろうか、意外に入っているようだ。

上等級の割高感がものすごく強い。その割には設備や備品が貧弱。特に1等!寝具に全面シーツを取り付けたり敷きシーツを綺麗に敷き込んだり、洗面セットを用意するなどの改善を強く望みたい。停泊時間に余裕があるので、仮に清掃業者が来ないにしても可能であると思うが。(東京でも最低1泊はある) 2等との運賃差をよく考えてほしい。2等にプラス2万円以上払ってあの1等ではお粗末すぎると思うが。

喫煙について、2等と特2等の室内は禁煙。1等は相部屋の場合は相手の気持ちを考えて喫煙しろと曖昧な表現で禁止はしていない。相部屋の場合は禁煙とはっきり決めるべきと思うが、如何?(ついでに相部屋はレンタルビデオも禁止すべし) 公室については喫煙コーナーを除いて禁煙なので妥当かと思う。

航海中、船橋と機関室の見学ツアーを行っている。レストランの出口の防火扉に掲示があるだけで、放送によるお誘いは一切なく、案内所で予約した人限定となる。(PRすると希望が殺到するからだと想像する) 出港後しばらくしたら受付開始され、ノートに名前を書いて予約する。実施は翌日9時からだった。当たり前のことだがスリッパ履きは禁止。特にリスクの高い機関室の見学ができるのは日本の定期船ではここだけかと思う。

夜22時になると外部デッキへの扉が閉鎖され、無視して出て怪我しても責任取らないぞ!との札をかけている。昼間でも風が強い風上側の舷の扉は同様に閉鎖されていた。と、安全に厳しいなと思っていたら、いるか や くじら が見えたと放送案内が何度かあり、客が一斉にデッキへダッシュするので階段やドアを見ているとヒヤリとすることも・・・。

船内至る所に白いビニール袋が吊り下げられているので、突然気分が悪くなっても大丈夫?ごみ袋としても重宝する。(船とは関係ないが小笠原の景勝地や公園には環境のためという名目でゴミ箱が一切ないので何枚か貰っておくと重宝する)

個室にはビデオデッキがあるのだが、持込のテープを巻き込む等のトラブルがあったらしく、船内のレンタルビデオ専用との事。Aデッキのビデオライブラリーは1回500円なのだが、個室のレンタルビデオは200円と安くて良心的。(どちらも2時間半を過ぎると延滞金) 他に船内ビデオ放映もある。また、テレビでは船位を緯度経度も表示して案内している。

ダイヤは基本的に父島3泊、東京1泊となる。(今年の夏は着発が予定されている) 父島3泊だけでは普通の観光客にとっては長い休暇が必要となるし、逆に島の人が本土に用事があって出かける場合は東京で1泊もしくは1週間以上滞在という極端な選択肢となってしまう。父島2泊や東京2〜3泊などのダイヤを時々組み合わせてみてはどうだろうか?
  船 室 構 成 合計
特  等  洋室2名×4室 8名
特 1 等  洋室2名×2室 4名
1  等  洋室2名×9室  洋室4名×35室 158名
特 2 等  洋室14名×2室 28名
2  等  大部屋 833名

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