きたかみ (名古屋〜仙台〜苫小牧)
 【太平洋フェリー株式会社】
 評価:★★★★
古くてもサービスが良いので快適!


            きたかみ(苫小牧港)
高い旅客サービスで知られている太平洋フェリーで最も古い船となる。新造船「きそ」や人気の「いしかり」と比べれば設備的には若干見劣りはするかもしれないが、他のフェリー会社が豪華と主張する船よりよっぽど高いサービスを提供していると思う。新船との格差を是正するために平成17年1月のドックで「スターダストの詩(うた)」をテーマに公室を中心に大規模な改装を行った。ちなみに同社の船名の由来は寄港地の「河川名」で本船は北上川から命名されている。

平成元年就航。総トン数13900トン。
(利用時期:平成21年12月)
 Cabin〜船室は快適か?
等 級  設備・感想など
スイート ・バス、トイレ(温水便座)付きのツインルーム。
・テレビ2台、応接セット、バーカウンター、冷蔵庫、ナイトウェアー、サンダル、歯ブラシ、かみそり、ドライヤー、バスタオル、タオル、バスローブ、据付のシャンプー及びボディーソープ、粉末のお茶、ドリップ式コーヒー、船内案内冊子、テッシュペーパー、オリジナルゲロ袋が用意されている。
・放送音量、空調調節は可能。
・ベッド幅は110cmで寝具は布団だが、進行方向に直角に配置されており、部屋が船首にある事も含めて荒天航海時には辛いかと思う。
・乗船時は案内所からおねいさんが荷物を持って部屋まで御案内してくれる。
・航海中の全食事(バイキング)の食券が付いている。利用しなくても払い戻しはない。
・部屋の質としてはこの会社3船のスイートの中では一番良いと思う。
セミスイート ・設備や備品はスイートに準ずる。就航当時はスイートだったが、角部屋ではない船首に面した中央の部屋と、角部屋だがやや狭い部屋をセミスイートとして値下げした。本船の場合はスイートとの大きな差を感じるのでスイートの方がお勧めかなと。
特 等 ・バス、トイレ(温水便座)付きのツインルーム。
・衛星デジタルテレビ、空の冷蔵庫、案内所とのインターホンが備わる。
・備品は ナイトウェアー、サンダル、バスタオル、ドライヤー、据付のシャンプー・ソープ、せっけん、かみそり、歯ブラシ、粉末のお茶、船内案内冊子、テッシュペーパー、オリジナルゲロ袋が用意されている。
・放送音量、空調調節は可能。
・ベッド幅は90cmで寝具は布団。
・以前は椅子とテーブルだったのだが、ソファーベッドとテーブルに改装されていた。また絨毯の張替え、壁の一部張替え、鏡の新設、テレビを置く台が交換されていたような感じ。「きそ」の特等より広くて使い勝手は良い。
・何故か船首の部屋のみ若干面積が広い。(船内テレビで流れる部屋写真は広い部屋のもの)
1 等 ・2段ベッドの「洋室2人部屋」 「和洋室4〜6又は8人部屋」 「和室」の3種類がある。
・シャワー、トイレ付きで、テレビ、インターホン、ゆかた、サンダル、タオル、歯ブラシ、せっけん、据付のシャンプー・ソープ、ドライヤー、ティッシュ、粉末のお茶、オリジナルゲロ袋、船内案内冊子がある。
・放送音量と空調の調節は可能。
・ベッド幅は90cmで、寝具は以前は毛布だったが布団に変更されている。
・「洋室2人部屋」は室内の照明が薄暗く、船首に位置するので夜間カーテンを開けられず、しかも下の階なので船首の景色もあまりよくなかった。
・「和洋室」は2段ベッド2つとじゅうたん敷きの広間のある部屋でとても快適。
・「和室」は和室というものの畳敷きではなくじゅうたん敷き。寝具はマット、枕、布団。
A寝台 ・カプセルホテル同様の寝台。それぞれのカプセルにテレビ付きとの事。
・寝具は1等と同じ布団。
B寝台 ・一般的な2段ベッド。ベッド幅は80cmで、枕は普通の柔らかい枕。ベッドランプにコンセントなし。
・室内のデザインは木目調で、ちょっと一昔前の雰囲気。
2 等 ・マット、枕、毛布付き。最近からマットが追加されたので快適になった筈。
※A寝台以下は禁煙。1等以上の個室での分煙は行われていない。
※以前、個室に備えてあったビデオデッキは衛星デジタルテレビ導入に伴ってなくなった模様。
スイート
特 等(洋室) 1 等(洋室)
1 等(和洋室) B寝台
2 等
 Public Space〜営業施設・公室は充実しているか?
公室名  設備・感想など
案内所
エントランス
・案内所は深夜は緊急用インターホンを残して閉鎖となるが、裏に人が居る模様?
・乗船時は本日の空室状況の案内板が出ている。陸上の窓口での案内と異なる場合もあるので、希望の部屋が取れなかった場合でもあきらめずに声をかけてみると良い。
・BSデジタル放送の番組(持ち帰り不可)や、様々な案内用のチラシ、パンフレットが充実。
・昼間は船長の制服のコスプレで記念写真も楽しめる。
売 店 ・案内所に隣接しているのだが、合理化のためか?、どこかの他社の真似をしたのか、深夜以外でも閉店している時間帯があるので、やや不便になった。
自動販売機 ・ジュース120円、ビール(小)250円、ビール(大)330円。
・アイスクリームあり。煙草は成人識別対応済み。
・カップめんや冷凍食品など食事になるものは扱っていない。
レストラン ・3食ともバイキング方式となっている。朝は1000円、昼1000円、夕は2000円と値上げされた。
・レストラン内は禁煙。
・以前は夕食のメインがステーキだったのだが、飽きるという声が多かったのか、「にぎり寿司」が追加された。
・寿司はわさび抜きで自分で付ける。醤油が普通のものしかなく物足りない。寿司そのものは・・・以下省略。
・品数は年々しょぼくなるけど値上げされており、積極的に利用したいか?と聞かれたら利用微妙な感じ。(以前は冷凍紙皿と嫌われた某西社の方がまだ印象がよい。)
・ドリンクコーナーとアイスクリームの位置がわかりにくく、存在を知らずに帰る人もいるようだ。
・テーブルクロスが布製なので、客が帰ったあと、濡れたり汚れた部分を従業員が必死で拭き取っていた光景が印象に残った。手入れが簡単なビニール製にしない’こだわり’なのだと思う。
スタンド
コーナー
・喫茶コーナー。レストラン時間外でも軽食や飲み物を販売。
・バイキングばかりでは食べすぎで辛いという場合はこちらで軽食を注文すると良い。
・営業時間は、名古屋〜仙台間で昼間にも閉店時間が設けられており、合理化されている。
・営業中は船旅系の雑誌を閲覧できる。
・冷水器、紙コップが夜間も含めて自由に利用できる。
・メニュー例:モーニングセット500円及び700円、カレー500円、コーヒー350円など。
ラウンジ ・毎晩ショーなどのイベントを行っている。船員が片手間にやるといった中途半端なものではなく、専門の人間が乗船してイベントを行っているようだ。客が少ないとロビーに変更になることも。
展望室 ・船首には「展望室」がある。「いしかり」や「きそ」では船首側を全て船室としてしまったのでこの場所の存在は貴重。乗船等級による利用制限はないが、長時間占拠して飲酒したり勉強している奴がいて迷惑。深夜は閉鎖。
展望通路 ・大きな窓が並んだ広い通路に、ソファーとテーブルが並んだスペースで、自由にくつろげる。
・社船行き会いの時は、ここから見えるように左舷対左舷になるように調整しているような感じ。
展望大浴場 ・展望式。洗い場は9ヶ所。
・せっけん、リンスインシャンプ、ボディーソープ完備。
・脱衣所には腕時計式の100円玉返却式コインロッカー、ドライヤー、綿棒、ティッシュペーパーあり。
・入口に監視カメラがあり、脱衣場にはわざと監視、録画中ということを威嚇するために某スーパーのようにモニターにその映像を流していた。
・入港30分前から清掃のため閉鎖されるが、深夜も利用できるのは嬉しい。
・浴室の前にマッサージ機(5分100円)あり。
トイレ ・エントランス近くを「きそ」同様の洋式、温水便座に改装していたが、和式も1ヶ所ぐらい残してほしかった。便座除菌クリーナー付き。他の場所は和式、洋式とも併設の従来型。
・歯磨き用にか?紙コップがある。
・男性用にもベビーベッドあり。
ロッカー ・女性用の浴室の前にコインロッカー(有料200円)あり。
公衆電話 ・クレジットカード専用のみ。なぜかFAXもあるので忙しいビジネスマンも安心?
給湯・冷水 ・給湯器、冷水器あり。紙コップ無料で豊富。
分煙の状況 ・エントランス(3階)と展望通路に空港のようにガラスで隔離された「スモーキングルーム」があり、優先席以外は椅子がなく、持込も禁止でとても厳しい。
※その他の設備 「ゲームコーナー」 「宴会場」 「カードルーム」 「ミーティング ルーム」 「ミニシアター」など
エントランスホール スタンド フェリカクラブ 展望室
スターダスト ラウンジ 展望通路 展望大浴場
 Infomation〜船内案内・感想など
(NEW)評価を4点に減点しました。
高い旅客サービスで定評のあった会社なのだが、レストランの大幅値上げや売店、スタンドの営業時間短縮など、不況の影響が出てきて、サービスが低下しているように感じた。西の方では高速道路値下げに対抗するために各社サービス改善に努力しているなか、必ずしもこの会社が「断トツで日本一のサービスを誇るフェリー会社」とまでは言えなくなったような気がする。

(NEW)詳細は差し控えるが、乗客の目に付く場所で作業に従事する人(荷役業者ではない)のなかに、保護具をきちんと着用していない人が見受けられた。本人はそれが格好良いと思っているのかも知れないが、乗客の目から見るとだらしなく、企業イメージを悪くするだけでなく、万一の事故の時にも労災にならない筈なので、本人にも不利だと思うものだが・・・。

季節を感じさせるかわいい飾り付けが船内各所にある。女性従業員が多いからこそなせる業かと思う。儲けの少ないはずの旅客サービスに人件費をかけているこの会社ならではのおもてなしだと思う。

個室の茶器セットが粉末(ほうじ茶、煎茶)のものにグレードダウンしていた。試しに1回飲んだら個人的には美味しく感じなかった。ついでに言うと電磁サーバー式の湯沸器、小さすぎて不便。電動ポットの方が便利だと思う。

以前、大馬鹿者の格好の寝床となっていたロビーや展望通路にあった大型のソファーが、深夜閉鎖されるラウンジへ移され、かわりにラウンジの1人掛けのソファーと入れ替えられていた。公室で寝る奴がいると、他の乗客が迷惑するので、公室への居座りや睡眠を防ぐための良い改善であると思う。また、公室を深夜でも消灯しないので明るくて良い。そもそもこの会社では臨時席とか席なしはやらないのでソファーで寝る必要はない筈。

パブリックスペースでのカップめんについては遠慮してほしいとの事。閑散期で客が少ないにもかかわらず、レストラン営業時間帯に、他にも場所はたくさんあるのに、よりによってレストランの入口すぐそばのテーブルで臭いのきついカップ焼きそばを食べていた迷惑なグループがいた。遠慮というあいまいな表現では禁止ではないからOKと解釈する人もいる。完全に締め出すのは無理だしやり過ぎかと思うが、場所を限定するなど、もっと踏み込んだ対策が必要かと思う。

船尾デッキに「ドッグハウス」という小屋があるが、「夜間巡回時にペットがいなかったらお部屋を確認する」という掲示があった。飼い主にとっては家族同然のペットでも客室持ち込みができないのは社会の常識。夜中にばれないだろうと部屋に持ち込む大馬鹿者が多いのであろう。こんな手間のかかるペットを無料で預かっているようだが、有料にすべきかと思う。現状ではペットハウスの清掃コストは他の利用者に転嫁している訳でしょう?(有料にしたらペットの生死についてのトラブルが怖いからだと思うが、あくまで場所提供だけとの誓約書を書かせれば良いと思う。)

「きそ」就航にあわせて、新船との格差を是正するために、公室を中心に大規模な改装が行われた。天井や絨毯に赤を多用しており、ちょっと派手な感じで、個人的には前のクラシカルな内装の方が好きだが、この不況の時代に古い船を改装してサービスを向上しようとする会社の姿勢はすばらしいと思う。

「きそ」就航と人気が定着した「いしかり」の影に隠れて嫌われる存在になりそうな雰囲気なのだが、船首の展望室の存在意義は大きく、公室の改装も施され、他の2隻に比べて劣るということはないと思う。船室もスイート系や特等洋室なら「きそ」よりも良いと思うし、1等も全室海側で、広い小上がりで寛げる和洋室など良い面もある。

乗船開始時刻が名古屋と苫小牧の場合、出港1時間30分前と、早めに設定されている。汚い待合所で長く待つことなくはやめに乗船でき、入浴や食事でくつろげるのは嬉しい配慮。
  船 室 構 成 合計
スイート  スイート:洋室2名×2室  セミスイート:洋室2名×4室 12名
特  等  洋室2名×14室 和室2〜3名×2室 34名
1  等  洋室2名×7室 和洋室4〜8名×23室 和室4〜5名×6室 188名
寝  台  A寝台 カプセルベッド48名  B寝台 10〜30名×12室 266名
2  等  和室16〜24名×6室  他(宴会場・ミーティングルーム) 262名
ドライバー室  2段ベッド 60名
 更新履歴
H19.01.29 船室、公室の写真を追加、差し替え。サービス体制の確認など。
H20.01.18 船体写真、客室写真を一部差し替え。他、サービス体制の確認。
H22.01.19 評価を4に減点。スイートルームの情報を追加。船室写真の一部を差し替え。

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