2011年1月14日0時18分
介護が必要な母親(当時80)に食事を与えず死後も放置し、年金など106万円を不正受給したとして、保護責任者遺棄や死体遺棄、詐欺などの罪に問われた、次男で三重県熊野市木本町、無職桐本行宏被告(57)の判決公判が13日、津地裁であった。村田健二裁判長は「1カ月以上も世話をせず放置した犯行は、生命への危険性が高く、冷酷かつ卑劣だった」と述べ、懲役2年(求刑懲役3年6カ月)を言い渡した。
判決などによると、桐本被告は、2008年11月から認知症と心臓病を患い歩けなくなっていた母・千代さんにパンなどの食事を与えなくなった。死亡を確認した09年2月以降、遺体に布団をかぶせて放置し死亡届を出さず、老齢基礎年金など約106万円を詐取し、パチスロやカラオケなど遊興費に使った。
村田裁判長は「(死亡届を出さなかったのは)実母の年金受給を継続し、遊興費に充てるためと、母の死亡と保護しなかった事実の発覚を免れるためで、利欲的かつ自己中心的だった」と指摘した。
桐本被告側は、公判で起訴内容を認め、執行猶予付きの判決を求めていた。桐本被告は判決言い渡しの前の意見陳述で、「必ず一生懸命働いて、真人間になることを誓います」と話した。(斉藤佑介)