【社説】海兵隊に志願したヒョンビン、これぞ真のスター

 俳優ヒョンビンは現在人気絶頂のスターだ。ヒョンビンは今、SBSの週末ドラマ『シークレット・ガーデン』で視聴者を笑わせ、泣かせ、ため息をつかせる見事な演技で注目を集めている。そんなヒョンビンが海兵隊への入隊を志願し、昨年末に面接と体力試験を受けていたことが分かった。

 芸能界のスターが入隊する際、普通は広報部隊に配属され、慰問公演を行ったり、軍の広報映画を撮影する職務に就く。しかしヒョンビンは広報部隊勤務の道を選ばず、過酷な訓練と軍紀が厳しいことで名高い海兵隊に、自ら戦闘兵として志願した。ヒョンビンは、面接官が「芸能人は軍楽兵になれるのに、なぜ戦闘兵に志願したのか」と尋ねると、「ほかの(一般の)人のように軍隊生活を送りたかった」と答えたという。ヒョンビンは普段から、周りの人々に「堂々と軍隊に行きたい」と語っていた。

 北朝鮮による延坪島砲撃事件で、海兵隊の兵士2人が戦死し、16人が負傷した。この事件により、海兵隊での勤務は危険で過酷だということが改めて分かった。しかし、北朝鮮に攻撃され、民家に炎が上がる中、K9自走砲に乗り込み敵に向かって撃ち返す海兵隊員の後ろ姿は、韓国国民の心に誇りとして残った。この事件以降、海兵隊に志願する若者が集まり、入隊競争率は4倍にまで跳ね上がった。通常に比べ2倍近く増えたことになる。そしてヒョンビンも、そんな胸の内を熱くした若者の隊列に加わったのだ。

 芸能人やスポーツ選手、指導層出身者らが肩を脱臼させたり、歯を抜いたりして兵役を逃れようとあれこれ知恵を絞る姿を、韓国人はさんざん目にしてきた。政治指導者や高級官僚には兵役を済ませた人がまれだという事実に、むしろ韓国国民の方が赤面することもある。だが、ヒョンビンは俳優として見事な演技を見せたのに続き、韓国国民としても立派な姿を見せてくれた。

 世界的スターのエルビス・プレスリーは1957年に入隊した際、広報部隊に配属されることを拒否した。一般の兵隊と同じ訓練を受け、旧西ドイツの米軍基地で勤務した。当時の米国陸軍の文書は、「プレスリーにあこがれる多くの青少年が、プレスリーを手本にするだろう」と記録している。ヒョンビンこそ真のスターだ。ヒョンビンを愛し、ヒョンビンのようになりたいと思う若者たちが列を作る様子を想像するだけでも、気分爽快になる。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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