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『著作権の世紀』の著者、福井健策弁護士に聞く 「疑似著作権」広がり懸念 (1/2ページ)

2011.1.10 09:34
『著作権の世紀』(集英社新書)の著者、福井健策弁護士『著作権の世紀』(集英社新書)の著者、福井健策弁護士

 記者活動をしていると、参考文献の引用や画像の扱いをめぐって判断に迷うことがある。著作権の問題が生じるからだ。ルールに基づく正当な範囲での引用は別として、著作物の使用には原則許諾が必要だが、中には「相手の了解が要るのだろうか」と首をかしげる例もなくはない。デジタル時代の著作権問題について書いた話題の『著作権の世紀−変わる「情報の独占制度」』(集英社新書・756円)を読んで、そんな疑問が解消された。法的根拠は怪しいのに、あるかのような扱いを受けている「疑似著作権」の例が増えているという。著者の福井健策弁護士に実情を聞いた。(堀晃和)

 「疑似著作権」は福井弁護士が名付けた言葉。「理論的には著作権ではないが、社会で事実上、それに近いような扱いを受けているケースをさす」という。

 建築物の写真の例が分かりやすい。建物の撮影は、著作権法の第46条で許諾不要が認められている。雑誌への掲載など写真の利用方法も原則自由だ。

 しかし、例えば、寺社の中には「撮影禁止」のところも。さて根拠は? 福井弁護士は「建物の外観は場合によっては著作物だが、仮にそうだとしても寺社の大半は保護期間が切れているはずだし、46条の規定がある。だが、著作権に準じる権利があるかのように、所有者がふるまうケースが多い」と指摘する。「敷地内に入るかわりに撮影は不可」と言える権利はあるが、外からなら問題はないはず。それなのにクレームがつく場合もあるという。

 取材で同様の経験をして戸惑ったことがある。ある美術館の外観を敷地外から撮るさい、許諾に加え、写真掲載の際に館側のコピーライト表記まで求められたからだ。通常は撮影者に権利が帰属する。結局、写真は撮らず、取材先にこちらの違和感を伝えたが、怪訝(けげん)な顔をされた。これも「疑似著作権」の一例だろう。

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『著作権の世紀』(集英社新書)の著者、福井健策弁護士

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