2010年12月19日2時17分
厚生労働省は、中学生までに支給される子ども手当(月額1万3千円)から、公立小中学校の給食費や保育所の保育料を天引きできる仕組みを設ける方針を固めた。給食費は、事前に保護者と同意文書を交わすことが前提。保育料については、自動的に徴収することも検討している。
給食費や保育料は、払えるのに滞納する家庭が多いことが問題化しており、徴収業務を担う自治体が子ども手当からの天引きを強く要望。厚労省は来年度からの実施に向けて通常国会に提出する子ども手当法案に盛り込む意向で、内閣法制局と協議している。
子ども手当には強い受給権が定められ、差し押さえが禁じられている。そこで給食費については、小中学校に入学する際にあらかじめ保護者から同意を得ることを条件に、天引きできる規定を法案に入れる考えだ。実施するかどうかは自治体の判断に委ねる。すでに滞納した分の徴収はできないが、新たな滞納の発生を抑える効果を期待する。文部科学省の推計では、2009年度の公立小中学校の給食費の滞納額は26億円に上る。
一方、06年度(厚労省調べ)で約8万5千人が総額83億7千万円滞納していた保育料については、強制徴収できる法的な規定があるため、子ども手当から天引きできるよう検討する。年金から保険料を天引きできる介護保険制度なども参考にして、法制化を目指す。
来年度の子ども手当をめぐる国と自治体との交渉では、厚労省が給食費や保育料の天引きを認めることで、引き続き自治体に財源の一部を負担してもらう考え。20日に開かれる子ども手当の関係閣僚会議で、天引きについて合意する見通しだ。(及川綾子)