遠忌渋滞、回避へ躍起 東西本願寺・知恩院ピリピリ

1961年の親鸞700回遠忌法要では西本願寺近くの堀川通を一部通行止めにしてバスを駐車した(京都市下京区)=西本願寺提供
1961年の親鸞700回遠忌法要では西本願寺近くの堀川通を一部通行止めにしてバスを駐車した(京都市下京区)=西本願寺提供

 数百万人規模の信者を擁する浄土宗や浄土真宗の本山が、今春に京都市内で営む宗祖の遠忌法要中の渋滞対策に神経をとがらせている。全国から訪れる団体参拝のため、期間中は連日100台前後の大型バスが各本山に立ち寄るからだ。

 京都市は「市民には遠忌法要が十分知られていない。交通事情などが『いつもの春とは違いますよ』と広めなければならない」と他の観光客や市民生活に影響が出ないよう広報を強める構えだ。

 50年に一度の遠忌法要を営むのは、浄土宗総本山の知恩院(東山区)、浄土真宗本願寺派本山の西本願寺(下京区)、真宗大谷派本山の東本願寺(同)など。法要期間は4、5月に集中し、高齢者が多い団体参拝はバス利用が中心となる。

 東本願寺の団体参拝者は15万人の予定。平均で1日あたり約4千人、バス約140台に上る。担当者は「絶対に地域に迷惑をかけたくない」と気を引き締める。1998年にあった浄土真宗中興の祖・蓮如の500回遠忌法要では10日間で10万人が参拝した。周辺でバスが連なり、住民から苦情を受けた。

 今回は、国体など大型イベントでバス輸送を担う大手広告代理店の社員が境内の一室に常駐して「作戦」を練っている。高速道路の出口から寺に向かうルートを21本設定し、バス駐車場としてJRA京都競馬場(伏見区)など計11カ所、約300台分を確保した。

 知恩院の法要は桜の見頃と重なる。団体参拝は5万人でピーク時は1日100台近くのバスが三門前まで来る。西本願寺でも28万人の団体参拝を見込む。それぞれ周辺の神社に協力を求めたり市有地を借りて備える。

 100年前の遠忌では今の梅小路公園(下京区)近くに鉄道の臨時停車場が設けられ、50年前は西本願寺前の堀川通の一部を駐車場にした。かつては参拝者への対応が主だったが、ある本山の関係者は「50年前よりも宗教への目線は厳しい。法要で渋滞ではイメージが悪くなる」と市民の目を意識する。

   ◆遠忌法要の期間◆

 知恩院(浄土宗) 3月27日~4月25日

 東本願寺(真宗大谷派) 3、4、5月の19~28日と11月21~28日

 西本願寺(浄土真宗本願寺派) 4、5、6、9、10、11月の9~16日と2012年1月9~16日

【2011年01月14日 09時33分】