3月の本体工事着工が計画されている上野原市の新市立病院について、周辺道路造成予定地に水路を持つ地権者の上野原土地改良区(理事長・奈良明彦前市長)は12日、理事会を開き、市が造成工事で土地を使用することに同意した。造成工事は昨年11月に着手予定だったが、改良区の反対でストップしていた。周辺道路は本体着工に不可欠。今回の同意で、新病院建設が前進することになった。
奈良理事長は記者会見で「同意しないと、国の耐震化工事など補助金約10億円がもらえず、新病院が建設できなくなる」と説明した。補助金は3月末までに着工すれば交付される。
会見によると、理事会には江口英雄市長が出席し、奈良理事長に「新病院建設の諸手続きで、市の不手際から、多大なご迷惑をかけ、誠に申し訳ありません」とする文書を提出。文書には、奈良理事長が同意の条件とした上野原医師会との和解について「(医師会と)協議しているが理解をいただいていない。医師会の理解を得るよう鋭意努力を重ねる」と記されていた。
江口市長は「奈良理事長らに感謝する。医師会とも協調し、12年春の新病院開設を目指す」とのコメントを発表した。【福沢光一】
毎日新聞 2011年1月13日 地方版