はまなす・あかしあ (舞鶴〜小樽)
 【新日本海フェリー株式会社】
 評価:★★★★
画期的な推進システムを採用した高速フェリー


          はまなす(小樽港)
アジポッドという新しい推進システムを導入し、最高32ノットもの高速での航行を可能とした画期的な高速フェリー。全長200mを超えると海上交通安全法で「巨大船」に部類されて法的に面倒なので従来はそれを超えるフェリーは国内に無かったのだが、本船の全長は224.5mと国内最長を誇る。貨物輸送が中心の航路のはずで、RORO船との競合が激しいようだが、フェリー業界の流れに逆らうかのように、旅客設備を充実させた船を建造している。

平成16年就航。総トン数16800トン。
(利用時期:平成21年8月)
 Cabin〜船室は快適か?
等 級  設備・感想など
スイート
ルーム
・展望浴室、トイレ、冷蔵庫、専用テラス付きの2人部屋。利用していないので詳細は不明。
・ベッドはツイン形式のようで、部屋ごとに内装が異なるらしい。
・部屋の位置が船体中央あるのは、荒天時の揺れが少なくので良いと思う。
・グリルでの食事抱き合わせの運賃となっているのでかなり高額。
特等A ・バス、トイレ付きのツインルーム。専用テラスあり。テレビ、船内電話あり。
・ゆかた、スリッパ、据付型のリンスインシャンプー、固形せっけん、バスタオル、タオル、歯ブラシ、茶器セット、船内案内冊子が備わる。
・ベッド幅は90cm、寝具はふとんで全面にシーツがついており快適。
・放送音量の調節可能。空調は室温の設定、冷暖房の切替もできる完璧なもの。
・室内の配置が良くて、窓側のソファー、テーブルが快適。特等に無理矢理ソファーベッドを入れて使い勝手の悪いどこかの他社?新造船より絶対良いのでお勧め!(和室よりも船尾側の部屋は室内の配置が異なり、すずらんやあざれあの特等にテラスを付けたような感じ。個人的にはソファーの部屋が好き)
・カーテンの遮光性が良く、夜が明けてからの睡眠も快適。
・ユニットバスは韓国製で、浴槽は小さくて上げ底でかなり窮屈。水圧は良好なのでシャワーを使う際のストレスはなかった。(浴槽は1回使って懲りたので次はシャワーしか使わなかった)
・専用テラスへのドアのクレセント(鍵)の劣化が激しい。また、室内への塩害も気になる。
1 等 ・「ツイン」、「2段ベッドの4人部屋」、「和室」の3種類がある。ツインの一部は悪名高いインサイド。
・テレビ、洗面台、船内電話あり。備品はゆかた、スリッパ、せっけん、タオル、案内冊子がある。
・ベッド幅は80cmと狭い。寝具はふとん。
・放送音量の調節可能。空調は室温の設定、冷暖房の切替もできる完璧なもの。
・ツインは同一等級、同一仕様にもかかわらず、一部のみアウトサイドで、多くは採光用の吹き抜けに面した内側となる。(部屋番号が3桁ならアウトサイド、4桁がインサイドとなる。)外の光は入るものの、外の景色は見えないので最悪。同じ1等でも和室と4人部屋は全室アウトサイドとなり不公平もあるが、繁忙期以外はインサイドに当たる確率は低いと思われる。窓にこだわるならご予約はお早めに!椅子が1つしかないので、2人で使う場合は昼間の居所がベッドの上しかなく、かなり窮屈に感じると思う。
・4人部屋は2段ベッドにはなるものの、昼は窓側の絨毯敷きのスペースで寛げ、夜はベッドで寝れるので意外に快適だと思う。
S寝台 ・カーテンで区切る1段ベッドの1人用の区画。(部屋ではない!)
・寝台幅80cmで寝具はシーツ付きの毛布。
・パンフレットには1室のみとあるが、船内の案内図にはドライバー室の3室をS寝台と表示していたので、トラックドライバーの予約状況に応じて変更しているのかも知れない。
2等寝台 ・ごく普通の2段ベッドの20名部屋。一番奥の区画が向いがいないのでお得かも?
・寝台幅80cmで寝具は毛布。シーツ2枚と枕カバーのセットはセルフサービスとなる。
・各寝台にコンセントなし。室内にはあるが清掃用につき使用禁止とシールあり。
2 等 ・全室窓付きの12人部屋。箱型の枕と毛布1枚付。室内にテレビなし。
・1等の一部がインサイドなのに、相変わらず2等に窓がある新日本海式。
・客が少ないときは一部の部屋を閉鎖。少人数の相部屋は相部屋感覚が強くて辛そう。
特等A(洋室) 1 等(洋室) 1 等(和室)
1 等(和洋室4名) 2等寝台 2 等
(写真提供:RUMI様)
 Public Space〜営業施設・公室は充実しているか?
公室名  設備・感想など
案内所
エントランス
・貴重品の預かりやレンタル品の扱いを行う。
・椅子が少なく、くつろぎの場としては「すずらん」や「あざれあ」クラスより狭くなった感じ。
・大部分が禁煙で、隅のほうにガラスで区切られた喫煙コーナーがある。
・日の出、日没時刻の案内、記念スタンプ、記念撮影用の船長衣装の貸出しあり。掲示物やパンフレット類はとてもよく整理整頓されていた。
売 店 ・夏季なので朝から夕方まで営業していたが、その他の時期は営業時間がかなり制限されるのは有名な話。
・他の船に比べて面積が狭く、品数も少ないように感じた。
・食事に代用できるものとして、長期保存タイプの菓子パンあり。
自動販売機 ・ジュース120円、ビール(大)300円、ビール(小)230円。
・アルコール飲料は23〜5時まで販売停止で著しく不便。
・飲み物の他、お菓子、冷凍食品あり。カップめんは扱っていない。
レストラン ・季節によってカフェテリアだったりバイキングだったりセットメニューだったりと柔軟な営業を行っている。
・利用した日は、朝は1000円のバイキング。昼と夜はカフェテリア式。昼と夜でメニューは異なり、麺類は昼のみ。
・生ビールの自販機は通常は500円だが、夏休みキャンペーンとして400円。
・メニュー例:ライス中180円、みそ汁100円、肉じゃが420円、北海道ザンギ400円、マーボー豆腐330円、ドリンクバー200円など。
グリル ・ランチ2500円、ディナー5250円。予約制だが、乗船後でも可。
・冬季は営業していない。メニューは系列ホテルとの提携メニューなどで変更になる時期あり。
・利用した事がないので詳細は不明。
カフェ ・夏季なので朝から夕方まで営業していたが、他の時期は縮小(閉店?)される筈。
・きつねうどん600円、カレーライス700円、スパゲティー650円、ソフトクリーム300円など。
フォワード
サロン
・船の前方を見ることができるサロンで禁煙。1階下には喫煙可能な「スモーキングルーム」がある。冬季は窓が鉄板で塞がれるというのはあまりにも有名な話。
・夜間は閉鎖される。
・客が多い時期は個室でない乗客が居座ってなかなか動かない。
コンファレンス
ルーム
・要は従来の船のビデオシアターで映画を何本か流していた。
・「はまなす」では機関部乗組員によるサックスライブが行われていた。音楽の好きな有志によるボランティアによる運営との事で、そのサービス精神に感動。
展望大浴場 ・展望式。洗い場は11ヶ所。名の通ったメーカーのボディーソープとリンスインシャンプー備え付け。
・シャワーが勝手に止まるタイプのものなので使いにくい。
・脱衣所の壁にはビックリマーク入りのセンスの悪い掲示物がべたべたと貼られていた。
・脱衣所には100円玉返却式コインロッカー、ドライヤー、ティッシュペーパー、ベビーベッドあり。
・利用時間は出港後約1時間までと翌日は8時〜18時。以前よりも利用時間が拡大されて改善されていた。深夜閉鎖は安全上やむを得ないと思うが、入港前まで利用できたら嬉しいと思う。
トイレ ・全て洋式で温水便座が新設されていた。
・シートペーパーや除菌クリーナーなどが一切ないので、こちらも是非改善してほしい。
・真空式のトイレのため多量の物を流すと詰まるので分けて流してほしいと「お願い」の掲示がある。
ロッカー ・エントランスに100円玉返却式コインロッカーあり。
公衆電話 ・テレホンカード専用、新型クレジットカード式の両方あり。
給湯・冷水 ・給湯器、冷水器あり。氷も出る。紙コップなし。
その他 ・「マッサージルーム」は最近のフェリーの流行のようで、マッサージ機が10分100円。
・「コインランドリー」は旅の途中に洗濯ができる便利な設備。男女別になったので、特に女性には利用しやすくなったかと思う。洗濯は200円、乾燥機は30分100円、洗剤は別料金。
※乗船する時期によってはサービス体制が大幅に変更(夏季以外は大幅縮小)されることが予想されます。
エントランスホール フォワードサロン コンファレンスルーム
レストラン カフェ プロムナード
 Infomation〜船内案内・感想など
(NEW)相変わらず深夜消灯後のパブリックスペースが非常に暗くなるので雰囲気が悪い。特に案内所前のエントランスロビーまで限りなく真っ暗に近くなるので、備え付けの新聞やパンフレットすらまともに読めない。足元も暗くて揺れているときは危険。この会社はどうも真っ暗にしたがる癖があるみたいだが、明るくしていた方がソファーで寝る馬鹿者も防げるし、防犯面でも良いと思うものだが。全国の長距離フェリーでここまで真っ暗に近くするのはこの会社だけかと。

(NEW)2等区画の通路のタオル干しと通路のコンセントでの携帯電話等の充電はこの会社の夏の風物詩となっている。(あとカップラーメン臭も!)タオル干しについては乗船直後に1回だけ注意喚起の放送があったようだが、全く効果がない。コンセントも清掃用につき使用禁止とのシールが貼られているがお構いなし。他の会社でも少しは見かけるが、ここまでひどいのは珍しい。客の民度の問題なのだが、フェリー会社側も対策すべきと思う。「クルージングリゾート」ってコピーとは全く反対の客層だと思う。閑散期に乗ると最近は頑張っているなと好印象なのだが、夏季に乗ると客側の問題でこの会社へのイメージがどうしても悪くなる。

(NEW)舞鶴港には船長と機関長の顔写真と波と天気の予想の掲示物があったが、陸上の窓口に掲示しても、切符を買うときにしか見てもらえない。せっかく良い取り組みなのだから、航海中も見れるよう、船内の案内所前に掲示した方が良いのでは?

平成19年頃より繁忙期以外の個室の貸切料金が不要となり、どの部屋でもどの人数でも、相部屋の可能性なく、占有して利用できるようになった。利用者にとっては実質的な大幅値下げで嬉しいのだが、この会社の「客層」を考えたら個室の不正利用が多発しているのではないか?と余計な心配をしてしまう。また、部屋定員で使っている人から見ると不公平感があると思うので、建前として混雑すれば相部屋承諾扱いとするか、又は系列の関釜フェリーのように使わない席につき数千円程度徴収してもいいのでは?繁忙期は従来通りの50%貸切料金をきっちり取れば良いと思う。

スイートはグリルでの食事付き運賃となり大幅に値上げされている。船酔いなどで食べなかった場合でも払い戻しはないとの事。貸切料金が不要になったのでスイートも利用してみたいものだがグリルでの1人で食事は目立つので何だか嫌だなあ。(ヲタ1人でスイートを使わせないための策略か?)普通のレストランで使えるお食事券も選択できるように検討して欲しい。さらには食事の抱き合わせ販売は余計なお世話だから食事なしの運賃も選択できるように希望する。

車なしの旅客の利便を図るため、閑散期でも貸切バスをチャーターして舞鶴港と新大阪駅を結ぶ連絡バスを運行している。新大阪へは深夜到着となるので目的地によっては終電等の乗換えがかなりシビアになるケースもある。このバスを何度か利用したが、運賃の徴収は舞鶴港で発車前に社員の人が集めてまわるのだが、人数が多かったり、おつりが必要だったりすると意外に時間がかかり出発が遅れる。多くの人が少しでも早い発車を求めている筈だし、また座席の心配をしなくてもいいように船内で先着順で席を指定(購入時に自分で席を選べるようにして)した乗車券を発売すれば良いのでは?

自販機のアルコール飲料は23〜5時の深夜時間帯は停止されるように変更されていた。ということは乗客が乗船してから、一番お酒を飲みたいと思う時間帯の販売が停止されてしまう。売店での販売も行っているが、消灯時刻で終了。翌朝から入港までは購入可能と販売を中止する意図がわからない。飲酒運転の防止や未成年の飲酒防止には何も役にたたず、単に不便で売り上げが下がるだけだと思うが。

貨物輸送に合わせた夜型のダイヤだが、旅客にとっても北行なら小樽や札幌で宿泊して北の味覚を満喫したり、体力があるなら夜通し走行したり、徒歩なら道内各地への夜行バスに接続できるので便利だと思う。
従来の舞鶴便のように未明に起こされて下船、睡眠不足と時差ぼけに近い状態となることもない。南行も道内で夜まで滞在できて関西圏なら舞鶴着の日のうちに帰宅可能となるので便利かと思う。ときどき、’観光’に便利なように発着をもう数時間早くしろという意見が見受けられるが、貨物の集荷のためには遅い方がいいはずなのであり得ないかと。

高速で航行するため航海中にデッキに出るなという事で、外部へのドアを閉鎖している。(外部へのドアには大きく「立入禁止!」と掲示。)船尾のわずかなスペースのみ外部の空気を吸える場所となるが、その場所が狭いためかかなり窮屈に感じた。(すずらん・すいせん型では船尾のデッキが広かったのでさほど感じなかったことなのだが・・・。) どうしても外へ出たければ特等Aを購入すれば良いのだが、危険だから外に出るな!とテラス付き特等Aは相反するような気が・・・?実は特等A販売促進策だったりして・・・(爆)

客室のテレビはNHKの衛星放送の他、民間の衛星放送も受信できる。陸上からはるか沖に出て地上放送がほとんど受信できないと思われるこの航路には絶好のサービスかと思う。(ただ、リモコンの操作がいちいちCATVを押して番号を押さないとならず、面倒)

船内(船室・公室とも)は基本的に禁煙で各階に空港のようにガラスで隔離されたスモーキングスペースがある。公室と2等寝台以下は禁煙で良いと思うが、個室の中まで禁煙(室内に灰皿はない)は厳しすぎると思う。(その割には個室内での表示は目立たない。)実際は個室で黙って喫煙している人が多いと思われる。個室内で隠れて喫煙されると部屋に臭いが残って苦情の原因となるのではないか?現実的に禁煙ルームと喫煙ルームで区別してはどうだろうか。

新日本海フェリーのHPでインターネット予約が出来るのだが、割引があるわけでもなく、何のメリットも無い。強いて言うなら事前に決済が必要な繁忙期に限り旅行会社等でクーポンを購入しなくても自宅から決済できる事ぐらい。それ以外の時期は電話で予約して当日購入でよいので、インターネット予約でカード決済してしまうとキャンセル料のリスクが発生するので危険。わざわざ事前に決済するのだから、少しでよいので割引や食事券等の特典がほしいと思う。
   船 室 構 成 合 計
スイート  洋室2名×4室 8名
特 等 A  洋室2名×34室  和室3名×6室 86名
1  等  洋室2名×66室 4名×14室  和室3名×20室 248名
2等寝台  S寝台:14名×1室  2等寝台:洋室20名×8室 174名
2  等  和室20名×22室 264名
ドライバー室  洋室8名×5室 40名
 更新履歴
H20.03.29 評価を5点に加点、船内写真を追加しました。
H21.09.03 夏季の船内サービスの確認、評価を4点に減点。 

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