がんばれ!旅客フェリー |
平成14年5月4日 |
さて、最近のフェリー業界、あまり明るい話は出ておりません。 東日本フェリーが5月下旬で大洗〜室蘭航路を休止、6月上旬から商船三井フェリーと大洗〜苫小牧間を共同運航する方向で調整中との事です。大洗からの船が2社6隻から2社4隻となる見込みでこれを書いている日にはくわしい情報は入手しておりません。 新日本海フェリーも新造船就航で一見華やかにも見えますが、「フェリーらいらっく」の売却が上手くいかず、第2船「ゆうかり」就航が大幅に遅れるようです。現在「ニューはまなす」を係船しておりいろいろな噂もありますが、詳細は不明です。近海郵船のRORO船が敦賀〜苫小牧間に就航するとの事で、日本海航路のフェリー独占は崩れてしまいます。日本全国でRORO船との競争が激しくなるわけで、新日本海だけでなく東日本、九越にも影響が予想されます。 琉球海運も近いうちに「わかなつ おきなわ」の旅客扱いをやめ貨物輸送に特化する見込みです。 そういえばブルハイ西日本、ダイヤモンドフェリーに移籍して宮崎に寄港するとかいう話もありましたが、その後どうなっているのでしょう?宮崎港の岸壁、宮崎県とマリン社の関係・・・難問がたくさんあったようですが、この辺も不明です。 フェリー業界の業績を考える場合、RORO船との競争、つまり貨物の確保という問題は避けて通れません。ここをご覧の皆様は、すでにご存知かとは思いますが、長距離フェリーというものは貨物の収益なしには成り立ちません。華やかな船室の下にある、薄暗いカーデッキに積まれるシャーシや有人トラックなどの貨物輸送によって採算が取れるものです。旅客に関しては、会社や航路事情にもよりますが、乗ってくれたら儲け といった位置付けになるかと思います。 RORO船とフェリーの違いは、客室の有無(ROROにもたいてい12名は旅客定員を取っている)ということになります。客室がない=旅客を扱わないということは接客要員が不要 運航部に関してもフェリーよりはかなり少ない人数で運航されてます。また、客室にかかる費用、救命・消防設備なども安く済みます。貨物を輸送するという事だけを考えればRORO船の方が安くて有利です。 まして、この不況の世の中。トラック業者も荷主から運賃を値切られ、現在では運転手もむやみに高速道路やフェリーを利用できないのが実情のようです。運転手が疲れてもいいから、陸上しかも極力一般道を走れ!ということです。こういう状態なら、トラック業者が少々の欠点(遅い、定時性に欠ける)があっても急ぎの荷物でなければフェリーでなくRORO船にシフトするのはごく自然な事でしょう。 という訳で一部のフェリー会社は、儲けにならない旅客に見切りを付け、大幅に旅客サービスを合理化したフェリーを就航させるようになりました。旅客サービス合理化によってコストを削減して競争力を付けようという作戦です。これからフェリーが生き残っていく為には、旅客サービスの合理化は避けて通れない面もあるかと思います。 しかし、これは私個人の希望的観測ですが、収益を少しでも改善する可能性を秘めているのも旅客区域ではないかと思います。閑散期に空気を運んでいる船室に1人でも多くの旅客を乗せたらそれだけでも運賃収入となるのです。旅客サービスを合理化して、かつ少しでも多くの旅客に乗ってもらう。この相反する2つの課題を解決できればフェリーにも勝算はあるのではないか?と思います。船を豪華にして人件費を掛けて乗客を集めても意味がありません。 残念ながら、現在の合理化されたフェリーの一部は、可能性のある旅客需要も捨ててしまっているような気がして残念に思います。具体的には船室の2等寝台モノクラス化ですが、これは船のメリットを捨てているとしか思えません。たしかに閑散とした航路では個室のニーズは少ないし、部屋清掃やメンテナンス等の手間がかかるかもしれませんが、幼児のいる家族、熟年夫婦など、個室でないと嫌だという客層は、たとえ乗船したくても、2等寝台のみではほぼ乗船を諦めてしまうかと思います。もし合理化船にもゆったりと寛げる個室がほんの数室でも用意されていたら・・・・。せっかくの旅客ニーズを捨ててしまっているかと思います。 (川近のフェリーはうまくバランスが取れている。航海時間も短く、食事は1回しかあたらないので自販機のみ。しかし夜行便もあるので個室もある。上得意様であるドライバー室は1人部屋。) また、運賃の安さを追求する客層にもフェリーの安さ、快適さなどPR次第では高速バスや青春18切符から取り込めるのではないかと期待もできます。また、船内営業に関しても、カップめんや弁当持ち込みの客層に、太平洋フェリーのような割安な朝食付き企画切符や、また他に食事付きプランを企画することで船内営業に取り込めるかもしれません。(例:航海中の食事全てをメニューは選べないが割安に提供するなど、ただし乗船前の予約時に勧めておかないと食料を持ち込まれてしまう。) 主体である貨物が増えない以上、RORO船にはない「客室」に1人でも多くの旅客を集めて業績を改善できれば・・・と思います。それとも逆に開き直って近海郵船のように旅客輸送から撤退するのも1つの方法でしょう。(船旅マニアとしては残念ですが・・・)旅客がフェリーに何を求めているのか、それにどこまで対応出来るのか?航路事情や時期によって異なるかとは思いますが種々検討し、RORO船に負けずにがんばってほしいと思います。 ※単なる一個人が船旅マニアの視線で書いたもので、誤りや見苦しい点もあるかと思います。 最後までお読み頂きありがとうございました。 |
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