「タイガーマスク」の原作者である故・梶原一騎氏(1987年没、享年50)の実弟で作家の真樹日佐夫氏(70)が12日、児童養護施設に「伊達直人」の名で贈り物を届ける“タイガーマスク運動”についてデイリースポーツに激白した。真樹氏は閉塞(へいそく)した時代に風穴をあける連鎖行動と指摘する一方、児童虐待などで家庭から保護された子どもの増加が背景にあると“逆転の発想”を披露。返す刀で同名で、高校の後輩でもある菅直人首相(64)にタイガーマスクへの変身を促した。
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★『タイガーマスク』は1968〜71年に『ぼくら』『週刊少年マガジン』などで連載。同時期にアニメ化され、視聴率が30%を超えた。『巨人の星』『あしたのジョー』と並ぶ梶原一騎の代表作である。その主人公・伊達直人が約40年の時を超えて社会現象となっている現状を、真樹氏はどう考えているのか。
真樹日佐夫氏「最初に『伊達直人』を名乗った人物は団塊世代か、それに近い年代じゃないかな。『タイガーマスク』という存在自体は一般にも認知されているが、その正体である伊達直人までは原作を読んでいなければ知らないはずだからな。閉塞感に満ち満ちた今の世の中、伊達が1人歩きして増殖し、世間に広がっているということだろう」
★兄が造形したキャラクターが21世紀の世の中を動かしている。弟としてどんな思いなのか。
真樹日佐夫氏「梶原一騎が時代を超えて、あの世から伊達を遣わしているんじゃないかな。いずれにせよ、伊達を名乗るのに元手は掛からない。伊達を火付け役に、矢吹丈も登場。月光仮面まで出てくるんじゃないか」
★一方、今回の運動によって日本の社会問題が露呈したと指摘する。
真樹日佐夫氏「俺が一番驚いたのは児童養護施設が日本全国にこれだけあるという事実だった。伊達直人うんぬんよりも、俺は逆に施設の多さの方にびっくりした。昔は“孤児院”と呼ばれ、親のない子が生活したわけだが、今は虐待された子どもが親からエスケープして施設に入るケースが増えている。それは世界的な傾向で、米国では虐待の報告があれば、行政側が施設に連れて行く。日本でも虐待から守る施設が全国的に増えているという事実に考えさせられた」
★最後に意外な人物との関係を明かした。
真樹日佐夫氏「今回の件で菅首相が図らずも取りざたされている。名前が同じ“直人”というだけで引き合いに出されているわけだが、6歳下のカンちゃんは俺の高校の後輩なんだよ。都立小山台高。故・筑紫哲也さん、前日本経団連会長の御手洗冨士夫さんも卒業生だ。この春、OBで首相にもの申そうという集まりが計画されていて俺も誘われている。カンちゃんには同じ“直人”として政界のタイガーマスクに生まれ変わり、安心できる社会のために貢献してもらいたいよ」