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【激突2011】残った禍根 党内外に火種 党大会は紛糾 無念にじます仙谷氏 (2/2ページ)
首相が仙谷氏を交代させるのは野党対策の意味合いが大きい。後任に枝野幸男幹事長代理を充てる狙いは脱小沢路線の継承にある。「対野党」と「脱小沢」。この2つの連立方程式を解くのが今回の人事の要諦だといえるが、13日には新たな要素が加わった。
たちあがれ日本の与謝野馨共同代表だ。与謝野氏は13日に記者会見で離党表明し、「私にできることがあれば、陰ながらお手伝いしたい」と語った。首相はこれを「私や民主党の考えとも大きな流れの中ではかなり共通性の高い政治家だ」と語り、税制・社会保障改革での「助っ人」の出現を歓迎した。
だが、こうした動きに国民新、社民は敏感に反応した。
民主党大会に来賓として招かれた国民新党の亀井静香代表はこう言い放った。
「市場原理主義と決別し、元気な日本を作ろうとともに戦った。あの時の約束が間違っているならば政権の座を去らなければならない。今の民主党はみっともない。みっともない…」
続いてあいさつに立った社民党の福島瑞穂党首は「自民党政治に戻してはならない。皆さんどうですか」と問いかけ、自民党の経済政策の司令塔だった与謝野氏の起用にあてつけた。
与謝野氏と同じ東京1区で戦ってきた海江田万里経済財政担当相は「(首相から)一切相談がない。どこが方向性が同じなのか首相に聞いてみたい」と不快感を示した。
「バカじゃないかね。これで彼は終わりだ。何で沈みかかった船に乗るかね…」
東京都の石原慎太郎知事は、抗争の火の手が党外に広がることを見透かしたように与謝野氏をこう酷評した。
党大会では、首相自らが禍根を残す発言をした。
「先送りされてきた大きな課題に取り組むことができるのかが問われている。もし、野党のみなさんが積極的に参加しないならば、そのこと自体が歴史に対する反逆行為だ」
発言を聞いた公明党幹部は「偉そうなこと言ってると協力する人がいなくなるぞ!」と吐き捨てた。自民党も反発した。首相は与野党協調のハードルを自ら上げてしまった。
「民主党の危機をどう乗り越えるかでなく、日本の危機をどう乗り越えるのかだ」
首相は党大会のあいさつで所属議員に奮起を促したが、党大会の締めくくりで音頭を取った石井一副代表はこう語った。
「わが党はまさに存亡の危機にある…」(船津寛)