毒電波受信中~いろんな設定を詰め込んでごった煮にしてみた~
冬の空は雲ひとつなく透き通り、吐息は白く彼方へ消える。
澄み渡る快晴の下、今日も平凡な一日が始まる。
実に素晴らしく常識的な一日のスタートである。
俺の名前は、常識 陣<とこしき じん>
常識をこよなく愛する一般人だ。
日課は毎日の平穏な一日を日記に書くこと。
口癖は「常識的に考えて」
常考なんて略しちゃったりするスタイリッシュな高校2年生だ。
最近はちょっと常識的でない自分の名前にちょっぴり悩むお年頃。
そんな俺が暮らす町も極めて常識的。
俺はコンクリよりも木々のほうが多い、小さな町に住んでいる。
この町は決して常識はずれなことは起きない。
そう、某首都のように環状線の内側で悪魔が発生して封鎖なんてされないし、
街丸ごと異世界になって太陽が悪魔になったり、人間が修羅になったりすることなんて起こったりしない。
もちろん町の住人が皆ゾンビになって徘徊するなんてこともないぞ。
俺の住む町の事件なんてせいぜいが万引き程度だ。
素晴らしい。常識的だ。や、万引きもけっこうな事件だけどな。
そんな平凡な町を俺は愛している。
なんて、郷土愛的な思いを巡らせながら高校へ向かっていた。
実に常識的な一高校生だ!と、気分よく歩いていた。
・・・今日この日に自身の常識がぶち壊れるなんて知らなかったからな。
ケース1 唐突に始まる超能力バトル
「あ、常識君!」
高校へ向かう途中の交差点で名前を呼ばれる。
「おはよ!今日も寒いね。」
「ああ、おはよう、伊集院。」
彼の名前は伊集院レン。
どこぞの金持ちのような名前だが、実際は常識的な一町民だ。
もちろん見た目だって常識的だ。
髪は薄い茶色。
肌は白いが、日本人の範疇に収まるだろう。
体は随分と華奢で身長は150cmくらいか?
体育もよく休んでいるが、俺たちもまだ成長期だからな。未来はあるよ伊集院!
顔も目がぱっちりとして、学ランを着ていなかったらぱっとみ美少女だ。
が、こいつは男。ときめいたりしない。
はふぅ~、なんて手に息をかける様子を見ていると可愛いなんて言葉がよく似合う。
や、ときめいてないぞ。
伊集院とは高校に入学したときに知りあってそれからずっと同じクラスだ。
親友と言っても差し支えないぐらいの付き合いがある。
「なぁ。伊集院、今日の英語の訳やった?」
「やったけど・・・ふふっ見せないよ?」
「むぅ・・・」
実に常識的な高校生の会話を交えながら共に学校へ歩く。
「・・・みつけた・・・」
と、俺でも伊集院でもない声がした。
「ん?」
辺りを見回したが、周りには俺たち以外に誰もいない。
気のせいか?
「常識君!上!電柱!」
伊集院に言われ電柱の上を見上げると・・・
少女。少女がいた。
無表情なその少女は間違いなく美少女といっていい美貌を持っている。
なんだあれ、電柱の上に立ってなにやってんだ?とか、
わざわざ上ったのか?とか、
パンツ見えてるんですけど。とか、
突っ込みどころ満載だが、あまりに常識的でないその姿に呆然として何も言えなかった。
まず髪。青い。
次ぎ目。赤い。
次ぎ肌。白い。
次ぎ年。中学生?
次ぎ服。ゴスロリ。
最後パンツ。横縞。いや、すまん、見えた。
結論。非常識。パンツを除いて。
なんて非常識な!ええぃ、関りたくない!関りたくないぞ!けどちょっと得した!
「伊集院!さっさとがっ「やっとみつけたよ・・・3号・・・」校へ行こう。」
俺の声に被せるように少女が言う。
鈴のように響く声だが、聞こえた感じは氷のように冷たい。
「なんだよ3号って、言動までもひじょ「なんで君がここにいる!6号!」えー・・・」
ブルータス、お前もか。
まさかの伊集院の知り合いだった上に、彼の非常識的な返答に裏切られた気分の俺。
「・・・BF団はあなたをあきらめていない・・・」
ビッグ○ァイア?ビッ○ファイアなのか?ジャイアント○ボはどこだ。
「くっ!ビックフィアー団め!こんなところまで来るなんて!」
なにその安いパチモンみたいな名前。
「だが、僕はお前たちのところへは戻らないぞ!僕は3号じゃない!伊集院レンだ!」
盛り上がる伊集院。置いてきぼりの俺。
・・・うん、俺は学校へ行こう。がんばってくれ伊集院。
「・・・そう・・・従わない場合は・・・!」
手を上げて荒ぶる少女。
その指先は真っ赤な炎が燃え上がる・・・って!えぇぇぇぇぇ!?
「も、もぇ「ここで戦うつもり!?」てる!?」
またも被せられるセリフ。今日の俺の運勢はパンツところによりセリフ被りだな。
・・・じゃなくて!
「い、伊集院!にg「・・・そう、私の力、真紅の大気<クリムゾン・エアー>で塵にしてあげる・・・」ぶふー!」
急に飛びでた能力(笑)におもわず吹いてしまった。
「くぅ!逃げて!常識君!」
それはさっきから俺が言っているぞ伊集院。でも思い出してもらえてちょっと嬉しい。
「・・・逃がさない・・・」
そう呟いて、少女は燃え上がる炎を球状に丸め投げつける!
・・・俺にむかって。
なんで俺!?そこは伊集院だろ!さっき笑ったからか!?笑ったからなのか!?
「常識君!」
叫ぶ伊集院。
迫り来る炎。
飛び込んでくる影。
ありえない非現実に避けることさえ思いつかず、身構える・・・!
「うわぁぁぁ・・・ってあれ?」
恐怖した熱さは襲ってこず、炎は俺ではなく俺の目の前で別の何かを燃やしてる。
冬の寒さにありがたい・・・じゃなくて!!!
「伊集院!おい!大丈夫か!?」
そうだ、飛び込んできたのは伊集院だった!水!水は!?消さないと!
「くそっ!なんだよこれ!なんだってんだ!」
わけがわからない。今日も常識的なな一日であったはずだ。学校へ行って。
伊集院に宿題見せてもらって。一緒に弁当食って。帰りに遊びに行って。
俺はなにをしている?これはなんだ?思考がまとまらない。
学校へいかないと。伊集院はどこだ?
「ああぁぁぁぁ」
うるさい。なんだこの声は。俺の声真似かこのやろう。
さっきから顔が冷たいんだよ。なんだこの水は。雨か?ならなんで炎は消えない。
「・・・3号は消した・・・あなたも・・・」
少女がこちらへ近づく。なんだお前は。遅刻するぞ伊集院。
震える体。働かない脳。
俺が今、わかっているのは、
これが常識的じゃないってことだ。
その氷のような美貌に、正反対の炎をまとった少女が俺を見る。
「・・・燃え「そうはさせないよ!」!?」
少女の言葉を遮ったのは・・・伊集院の声!
「伊集院!?ぶじ「絶対なる刃<アブソリュート・ブレイド>!」ぶふー!」
またも飛びでた能力(笑)に吹いてしまった。
伊集院の叫びとともに炎がはじけ飛ぶ。
現れたのは、制服もシャツも燃えてしまったのだろう、
だが火傷ひとつない白い肌を露出させた伊集院。
まとっているのはややこぶりな胸をつつむ白いブラと白いパンツだけ。
制服が燃えたのに下着が残るところに少年誌的な何かを感じずにはいられない。
・・・って!?
「女ぁ!?」
「え?きゃぁ!」
きゃぁ!なんて可愛い声をだして体を手で隠そうとする伊集院。
伊集院という名前は男装女性であるという呪いでもあるのだろうか。
「・・・み、みた?」
「・・・すまん。」
うー!とか唸りながら涙目で睨む伊集院。ときめいた。
じゃなくて、とりあえず俺が着ているコートを渡す。
「ほら・・・この寒いのにその格好はつらいだろう。」
「あ、ありがと・・・」
ほんわかした空気のなか、二人でみつめあって苦笑する。
「・・・なぜ・・・?私の炎は確かにあなたを燃やしたはず・・・」
忘れてたぁぁぁぁ!!
まだいたよ!元凶!死ぬ!今度こそ死ぬ!
「忘れたの?僕の能力は真空を操る。真空は熱を通さない。だから君は僕に勝てない!」
ならなぜ燃えた。お前の制服。そして名前(笑)からまったく想像できないなお前の能力。
「・・・くっ・・・そうだった・・・」
忘れてたのか、少女よ。どじっこ?・・・ときめいたのは秘密だ。
「常識君を巻き込んだ君は許さない!」
伊集院の指パッチンにパンと乾いた音が響く。
と、同時に少女のゴスロリが細切れに!?
おまえ絶対十傑集だろ。素晴らしき伊集院て呼ぶぞ。
「っ!?」
倒れこむ少女。乙女座りで体を隠すが、下着姿は心のアルバムに永久保存した!
ちなみにブラも横縞でした!サイズは伊集院と同程度!年下ど同じくらいってドンマイ伊集院!
こちらを向いて正面から俺の瞳を伊集院が見つめる。
・・・いや、うん、何でもないよ。ホントダヨ。
心の中で言い訳をするも、その澄んだ瞳に汚れた俺は耐えれない・・・!
「ごめんなs「・・・ごめん・・・常識君・・・君を巻き込んでしまった・・・」ん?」
・・・今日の俺は最後まで喋れないのだろうか。
とりあえず謝ろうとした俺に被せて唐突に語りだす伊集院。
「僕は、僕はもう、君といっしょに、学校へは、いけない。」
可愛らしい顔をつらそうに歪め、語る。
ちなみに少女はまだいる。
少女は服がなくなっただけでまだ闘えるだろ。
まだエンディングじゃないぞ伊集院。
「・・・僕は、BF団と闘わなくちゃいけないんだ・・・!」
悲壮な覚悟を語るが、そんな設定を急に言われても反応に困る。
「わかってる、君は優しいから、いっしょに来ると言うんだろ?・・・嬉しいけど、だめだよ・・・」
なんか伊集院の中では俺はいっしょに行くと言ったらしい。で、断れたらしい。
「僕は、君を、巻き込みたくないんだ・・・!だって・・・好きだから!
だから!僕は行く!さようなら・・・!」
え?なにそれ怖い。
人間ではありえない速度で走っていく伊集院。
急に告白されて、もう振られた。いや振られたわけじゃないが、そんな感じ。
伊集院はまさしく美少女だったが、1年以上男だと思ってた奴に急に告白されても・・・ちょっとときめいた。
走り去った伊集院。
取り残された俺。
と、少女。
まだいたのか。
がっくりとうなだれたまま動かない。・・・下着姿で。
まぬけな姿だが殺されかけたたので、正直怖い。
・・・が、この寒空の下にさすがにそのままにしてはおけないか。
学ランの上着を脱いで少女に渡す。
「・・・ほら、そのままじゃ風引くだろ。これ、着ろよ。」
「・・・あっ。・・・うん・・・」
ありゃ、以外に素直?
「・・・ちょっと・・・匂う・・・?」
悪かったな。
「・・・でも・・・いやじゃない・・・」
ときめいた。
「・・・わたしは・・・もう・・・帰れない・・・」
唐突に語りだす少女。BF団は人を無視する奴しかいないのか。
「・・・あなたは・・・きっと・・・狙われる・・・」
なぜに!?急に立った襲撃フラグに愕然とする。
「・・・あなたは・・・3号といたから・・・」
律儀に説明する少女。ありがとう、お前は俺を無視して進めないんだな。
「・・・でも、大丈夫・・・私が守るから・・・」
前言撤回。意味が分からないでござる。
「・・・こんなに、優しくされたのは、初めてだから・・・」
そういって風のように走り去る少女。
「・・・なにこれぇ。」
友人の秘密。能力(笑)。謎の組織(笑)。乱立するフラグ。
わずか、10分程度の間に起こったイベントの嵐に、俺は・・・!
学校へ行った。
だって遅刻寸前だから。遅刻はいかんよ常識的に考えて。
しかし、寒い。コートも上着も渡したから防寒具なしのこの状況はつらい。
冬の寒空の下、カッター姿の俺は非常にまぬけに見えるんだろうな。
~あとがき~
なんか毒電波受信した(ry
お読みいただきありがとうございます。
socom2と申します。
チラ裏で白騎士物語の二次を書かせてもらってるのですが、
白騎士かいてたらなぜかオリジナルができた。なぜだ。
せっかく書いたのでオリジナル板に載せてみましたが、ちょっと後悔。
構想10分。文字にすること40分の残念クオリティですので
誤字脱字があるかも。ごめんね!
このあとにも非常識的な設定が常識君を襲う予定なのですが、
やはり白騎士の妄想をメインにしようと思うので次話は未定です。
と、いいつつすでに半分ぐらいできてたりしますが。
作ったものをそのままにする気はないので、出来上がりしだい更新いたします。
それでは、また次のお話で~ありがとうございました!