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あの日その時:取り押さえ審判・証言録 被告人質問/10 /佐賀

 ◇両手錠は必要だった

 佐賀市で知的障害者の安永健太さん(当時25歳)が警察官に取り押さえられた直後に急死した問題で、県警巡査長、松雪大地被告(30)が特別公務員暴行陵虐傷害罪に問われた審判の第9回公判(昨年12月16日)。松雪被告に対する被告人質問が行われ、検察役弁護士の尋問が続いた。

 検察役 知的障害者でも、精神錯乱者でも対応は変わらないと言っていたが、精神錯乱者とは、どういう人のことを言うのか。

 被告 意味不明の言動で問い掛けにも答えない人を精神錯乱者と認めた。

 検察役 取り押さえ時、安永さんに何を言っても理解されないと考えたのか。

 被告 精神錯乱者は一時的になる人で、問い掛ければ、時間を掛ければ正常に戻ると考えていた。

 検察役 時間の経過とともに、優しい言葉、落ち着く言葉で説明すべきだったのではないか。

 被告 「落ち着かんか」「何しよっか」と声を掛けて落ち着いてくれればいいと思い、時間経過とともに落ち着いてくれると思った。

 検察役 言い方に問題があるのでは。力を込めて押さえているのに、相手を落ち着かせる声掛けができるのか。大声ではなかったのか。

 被告 暴れる安永さんを一生懸命押さえたので、語気が強かったと思うが、怒鳴りつけてはいない。

 検察役 歩道へ行き、うつぶせになり、そこで離せば逃げることができないのに、他害の恐れがあったのか。

 被告 歩道を通行する人や自転車とトラブルになる可能性があったと考えた。

 検察役 しかし、安永さんは暴力は振るっていない。

 被告 両腕を振り回し、肩を揺らす抵抗をしていた。暴行する姿勢を感じなかったけど、その状況を放置するわけにはいかなかった。

 検察役 後ろ手で保護することも許されると考えたか。

 被告 はい。相手の抵抗に応じ、最終手段として許されると考えた。

 検察役 後ろ手で両手に手錠を掛けることも保護だと考えたか。

 被告 はい。

 検察役 警察官が4~5人で後ろ手に手錠を掛け、もう逃げる恐れがない、その場合でも、両手錠が必要だと考えたか。

 被告 安永さんの抵抗の具合から考えて、必要と考えたと思う。

 検察役 逮捕術の中に、手錠も一つの行為としてあるのか。

 被告 相手を制圧し、手錠を掛けることも逮捕術の一つ。

 検察役 逮捕術の一つとして教わるのか。

 被告 逮捕術としても教わる。

 検察役 過去に保護活動を月に1、2回していたと言っているが、この保護活動で経験の対象者は。

 被告 迷子や酔っ払いなど。

 検察役 迷子とは子供のことか。

 被告 主として子供。

 検察役 精神錯乱者、知的障害者の保護について教育を受けたことは。

 被告 精神錯乱者を押さえる方法、訓練などを受けたこともない。

 検察役 安永さんを精神錯乱者と間違えて押さえたのが初めての経験か。

 被告 一連の行動を見て、精神錯乱者と判断した。直接保護したことはないが、教養で精神錯乱者も保護の対象と教育を受けている。

=つづく

毎日新聞 2011年1月9日 地方版

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