事件概要…
●熊本県宇土(うと)市走潟(はしりがた)町。
2004年3月13日(土)、九州新幹線が営業を開始したこの日、
のどかな町の病院で悲劇は起きた。

午後2時少し前。
午前中の診療を終えた院長は、いつも通りゴルフの練習に出かけた。
1時間ほど練習し、家に戻ったのが午後3時半頃。
車を降りて玄関前に立った時、院長は異変に気付く。
院長「ドアの前に血痕が少し、落ちていたんです。
嫌な予感がして慌てて玄関を開けたら、そこは“血の海”でした」
●ドアの中はまさに、地獄絵だった。辺りは血の海、天井や壁にまで
血しぶきが飛び散っていたという。
そこに倒れていたのは、愛する妻だった。
院長はとっさに妻の容態を見たが、すでに絶命していた…

●院長はすぐに警察に通報。殺人事件として捜査が開始された。
当初、犯人逮捕は時間の問題とされたが、畑などに囲まれた現場は、
普段から人通りが少なく、目撃情報が皆無。捜査は難航…。
千鶴子さんの死因は?
●顔面を鈍器のようなモノで殴られての失血死。
顔面には、殴打の形跡が50箇所以上あったという。
遺体の側には、根元から曲がっていた中津家の包丁が落ちていたが、
千鶴子さんにはほとんど切り傷がなかった
状況から分かる犯人の行動
●玄関で倒れていた千鶴子さん。
犯人は千鶴子さんを殺害後、家の中を物色。
千鶴子さんのバックと、彼女が着ていた黒のハーフコートが
持ち出されていた。

しかし、同じ室内にあった財布や手提げ金庫は手つかずのまま残っていた。
犯人は現場に多くの痕跡を残していたが、指紋だけは検出されていない。
・犯行後、家の中を物色
・キッチンで血のついた手を洗った
・血のついた足跡は向かいの薬局まで続いていた
●犯人の足跡を分析した警察は、履いていた靴は
「ナイキのエアモック」と発表。
サイズは24・5p。
靴のルミノール反応から、犯行後、向かいの薬局まで歩き、そこから
車などで逃亡した可能性が高い。

家族の悲しみ…
●殺された千鶴子さんは、病院の経理を担当。
明るく気さくで、患者にも評判が良かったという。
実際、患者とのトラブルもなかった。
中津家は5人家族、3人の子供は事件当時、県外に住んでおり、家には、夫婦2人だけだった。
子供が成長、これからは夫婦2人でのんびり暮らしていこうと言っていた矢先の悲劇……。
今年、成人式を迎えた長女は、母が好きだった着物姿を見せてあげたかったという。
犯人扱いされた父…
●第一発見者は夫である院長。
警察は当初、院長の取り調べを行っている。
その噂は町中に広がり、いまだに院長が犯人と思っている人もいる程だ。
噂のせいで、病院は今も閉めたまま。再開のめどは立っていないという。
「なんとしても、迷宮入りだけは避けたい…妻の無念を晴らしたい」 |