前原誠司外相は11日の記者会見で、北朝鮮核問題に関する6カ国協議再開の見通しが立たなくても日本人拉致問題解決に向けた日朝交渉の再開を模索する考えを明らかにした。「6カ国協議開催の是非にとらわれず、話し合いが行われるべきだ」と述べた。
北朝鮮が2008年の日朝実務者合意に基づく拉致被害者再調査委員会の設置に応じなくても、交渉再開に応じる可能性にも含みを残した。
従来、日本政府は日朝交渉が6カ国協議に先行することを控えてきた。6カ国協議は長らく中断している上、北朝鮮の韓国砲撃による朝鮮半島緊迫化を受け、再開のめどが立っていない。外相発言は、日朝交渉への積極姿勢を示すことで、北朝鮮側の出方を探る狙いがあるとみられる。
ただ、日米韓3カ国は北朝鮮に厳しい姿勢で臨む方針で足並みをそろえており、日本が交渉を急ぎすぎると米韓との連携に影響が出ることも予想される。
前原氏は、日朝交渉に向けた基本姿勢に関して「2002年の日朝平壌宣言を踏襲する」と強調。核、ミサイル、拉致問題の包括的解決と「不幸な過去」の清算を通じて国交正常化を目指す立場に変わりがない考えを強調した。
拉致被害者再調査委員会設置を日朝交渉入りの事実上の条件としてきた従来方針については「政権交代があったので、どのような形で今後臨むかは白紙だ」と説明した。
前原氏は4日の記者会見でも日朝交渉に前向きな考えを表明。北朝鮮の朝鮮中央通信が論評で「新世紀の平和と安定を進める時代的流れと国家関係の発展に符合する」と評価した経緯がある。
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