元国情院長「延坪島砲撃は現政権が招いた」(下)

金万福元国家情報院長が日本の左翼系月刊誌『世界』に寄稿

 金氏は哨戒艦「天安」沈没事件に対する韓国政府の調査結果の内容も、ほぼ否定した。同氏は韓国政府がよく使う「爆沈」という言葉は使わず、これを「沈没」と表現し、その上で「多くの専門家たちは、韓国の国防部による説明には説得力がないと考えている」「あるアンケート調査では、韓国人のわずか30%しかこの調査結果を信じていない」などと主張した。しかし、どの調査でこのような結果が出たのかは明らかにしなかった。

 寄稿の中で金氏は、韓国情報機関の元トップとして外部に知らせてはならない情報まで公開した。07年10月に開催された南北首脳会談で、西海平和地帯建設に合意するに至るまでの、金正日(キム・ジョンイル)総書記と盧前大統領とのやりとりを明らかにしたのだ。それによると金総書記は盧前大統領に、「昼食のとき、国防委員会の責任者級将校たちと相談しました。わたしが海州工業団地(建設)は可能か尋ねたところ、問題ないということでした。海州でも良いし、海州から開城工業団地に続くカンリョン郡を活用することもできる。海州港を開発して利用しても良いでしょう」と語ったという。これは今まで外部に伝えられたことはなく、金氏がこの寄稿で初めて、しかも独断で明らかにした。

 金氏は、金泰栄(キム・テヨン)前国防長官が辞任に追い込まれた経緯にも言及した。同氏によると、金前国防長官が辞任した原因は、「金前長官が国会で“軍にいた経験がある人間であれば、誰でも知っている常識”と発言したため」だという。この発言は、大統領府の幹部らに「兵役の経験がないことを皮肉った」と受け取られ、大統領府側が気分を害したということだ。

 金万福氏は06年11月に国家情報院長に就任したが、08年1月に北朝鮮側の政府高官と交わした対話の内容を故意に流出させたとして解任された。

東京=車学峰(チャ・ハクポン)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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