機動隊で多発する過酷ないじめ、その実態とは
殴打、過酷ないじめで重傷も
警察庁が11日に明らかにしたところによると、昨年1年間で戦闘警察・義務警察(兵役の代わりに勤務する警察)の部隊で発生した殴打や過酷ないじめは69件だった。2001年の569件から、04年は270件、07年は115件と徐々に減少し、関係者に対する刑事立件の割合も昨年は93%に達したが、問題の根絶とは程遠い。戦闘警察・義務警察官らは「殴打や過酷ないじめとはいえないまでも、巧妙な形の『境界線ぎりぎりのいじめ』は依然として行われている」と口々に語る。
昨年10月、忠清北道清州のある警察署の防犯巡察隊に17日前に転入してきたC二警(戦闘警察で最も低い階級)が、交通整理の任務中に自殺を試みた事件は、陰湿ないじめを受け続けた苦痛が爆発した結果だった。あおむけのまま枕を外して首を上げ続けるという姿勢で、40分以上も道路交通法を暗唱させられたほか、セルフサービスの食堂でタラのスープに具を多く入れたとして、おかずを与えなかったなど、C二警に対するいじめが行われた事実が監察の調査で明らかになった。
問題が明るみに出ると、警察は該当署の署長を解任し、指揮官5人にも人事上の処分を下した。問題が発生した小隊は、即座に解体させられた。昨年1年間で、二つの中隊と三つの小隊が過酷ないじめが原因で解体した。
先輩・後輩の間で日常的に繰り返される殴打や過酷ないじめの原因について、専門家は、閉鎖的な軍隊と異なり、一般社会の中で勤務する戦闘警察・義務警察の特殊性を挙げた。警察大の表蒼園(ピョ・チャンウォン)教授は「勤務態度が乱れたり内部規律が崩れたりすることへの懸念から、いっそう厳しい規律を要求し、その過程で殴打や過酷ないじめが必然的に発生する」と指摘した。集会やデモなど、緊迫した現場に投入されるケースが多いため、上の人間への絶対服従や紀綱遵守を厳しく求める過程で、先輩によるいじめが黙認され、問題が起こる。自制力が弱い若い隊員らが、集会やデモ発生時の出動でたまったストレスを、後輩隊員を相手に発散しているためとの分析も出ている。
こうした殴打や過酷ないじめの根絶を目指して警察庁が作成したチェックリストには、さまざまな種類のいじめが記されている。笑うことを禁じるというものや「はい、いいえ」以外の発言禁止、人員輸送車待機の際に瞳を動かさず前方だけを見詰めることを強要する、入隊年度別の隊員名などを寝ずに暗記させる、などの行為もあった。先輩隊員の勤務服や機動隊用制服の洗濯・アイロンがけや「ケツ穴なめ」と呼ばれる靴磨き、先輩隊員が「シャワーセット!」と叫ぶと、後輩隊員が下着とタオル、Tシャツなどを即座に準備するというものもあった。また、就寝時間に眠らせず、出動の際に小隊別に必要な飲料水をペットボトルに分ける作業を何時間も強要する「水ペット」といういじめもあった。
地方警察庁所属のミン二警(22)は「訓練時間を長くすることより、殴ってでも恐怖を与えることで、緊張感を持たせ、集会やデモの現場での事故を防ぐのが目的だと思う」と話した。
チェ・ソンジン記者
アン・ジュンホ記者
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