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ひと:岡田圭子さん 携帯端末「ガラパゴス」の名付け親

 シャープの電子書籍対応の多機能携帯端末「GALAPAGOS(ガラパゴス)」。国内で独自進化したため、海外で通用しなかった日本の携帯電話の特異性を、太平洋の孤島になぞらえて揶揄(やゆ)する意味で使われる。この自虐的ともとれる命名の音頭を取った。

 「スマートな名前があふれる今こそ、骨太でごつごつした響きが耳に残るはず」。社内は賛否真っ二つに割れたが、食い下がり役員を説得した。

 こだわった理由がもう一つ。「サラリーマン化した社内にガツンと一石投じたかった」。熱く燃えて課題を乗り越えていく雰囲気にあふれていたのが、いつの間にか既存の枠組みの中でスマートに仕事をこなすのが当たり前に。「もっと進化しながら仕事してほしい」

 入社して30年余。結婚、出産を経ながら一度もくじけなかったのは、仕事への熱い思いがあったから。京都市立芸術大で工業デザインを学び、デザイナーとして商品開発に取り組んできた。04年発売の高温水蒸気で調理するオーブン「ヘルシオ」では、インテリア性を求める消費者の声を反映し、外観に赤とシルバーを採用して大ヒットにつなげた。

 今年は「多機能携帯端末元年」。米アップルの「iPad(アイパッド)」に負けじと国内外メーカーが相次ぎ参入する。「ガラパゴスという言葉で日本は元気を失ったが、日本の技術は必ず世界で通用する。今度こそ『ガラパゴス』で日本を元気にしたい」 【南敦子】

 【略歴】岡田圭子(おかだ・けいこ)さん 大阪府出身。78年シャープ入社。10年4月、初の女性本部長として、オンリーワン商品・デザイン本部長に。56歳。

毎日新聞 2011年1月13日 0時08分

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